給与計算を社会保険労務士に頼むと、いくらかかるのか
浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
給与計算の代行は「基本料金+従業員1人あたりいくら」が一般的で、1人あたりは月200〜500円(税別)と説明されることが多い形です。なぜ基本料金があるのか、代行と伴走支援をどう見分けるのか、比べるときに揃えるべき4点を整理します。四葉は基本料金なし・1人1,100円(税込)です。
結論(先に要点):給与計算の代行は、**「基本料金+従業員1人あたりいくら」**という形が一般的です。1人あたりの単価は月200〜500円(税別)と説明されることが多く、税込では220〜550円ほど。ここに基本料金が乗ります。人数が少ないほど、1人あたりの負担が重くなる構造です。
給与計算をよそに頼もうとして料金表を見ると、事務所によって金額の出し方がばらばらで比べにくい、という声をよく聞きます。実際に調べてみると、値段そのものよりも料金の組み立て方に違いがあることが分かります。
市場ではどう値付けされているのか?
| 形 | 料金の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 基本料金+人数比例 | 基本料金 + 1人あたり月200〜500円(税別) | いちばん多い形。少人数だと基本料金の比重が大きい |
| 顧問料に込み | 顧問料の中に給与計算を含める | 内訳が見えにくい。人数が増えたときの扱いが契約で決まる |
| 自社で回す支援 | 月6,980円〜(10名程度から) | ★代行ではなく、クラウドの使い方を伴走する形。代行と直接は比べられない |
| ソフトを入れて自社で回す | ソフトの利用料のみ(プランによる) | 事務所には頼まない形。代行料は生じないが、入力・確認・判断は自社に残る。手続の代行を頼むときは別契約になる |
| 取り扱わない | — | スポット業務に特化した事務所には、給与計算を受けない方針のところもある |
3行目は注意が必要です。「給与計算 月6,980円〜」と見えても、それが代行なのか、自社でやるのを手伝う形なのかで、必要な手間がまったく違います。比較するときは、まずここを揃えてください。
4行目のように、ソフトを入れて代行そのものを頼まない選択もあります。その場合に社会保険労務士へ何を頼み、何が自社に残るのかは、freee人事労務を入れました。顧問社労士は何をしてくれるのですかで整理しています。なお四葉では、この「自社で回す」形への切り替えを顧問契約の範囲で支援しています(後述)。
なぜ「基本料金」があるのか?
給与計算は、人数に比例する作業と、人数に関係なく毎月かかる作業に分かれます。
人数に比例する作業
- 勤怠の確認と反映
- 支給・控除の計算
- 給与明細の作成
人数に関係なく毎月かかる作業
- 締日ごとのデータ受け渡しと突合
- 保険料率・税額表の改定への対応
- 振込データの作成
- 金額が合わないときの原因追及
後者があるため、多くの事務所が基本料金を置きます。従業員1人の会社でも、月末月初の作業そのものは発生するからです。
四葉はどうしているのか?
| 代行の料金 | 従業員1人あたり 月1,100円(税込) |
| 基本料金 | なし |
| 前提 | ★顧問契約とセット。給与計算だけのご依頼は承っていません |
| 内製への切替支援 | ★freeeで自社計算に切り替える体制づくりの支援は、顧問料に含みます(別料金はありません) |
1人あたり1,100円は、市場の上限(税込550円程度)の2倍にあたります。そのかわり基本料金を置いていません。従業員20名を境に、市場でよくある「基本料金11,000円+1人550円」と金額が一致します。20名より少なければ四葉のほうが安く、多ければ高くなります。
基本料金を置かずに済んでいるのは、給与計算を単独で受けないからです。 顧問契約が前提なので、「従業員1人の会社を月1,100円で引き受ける」という状況が起きません。最小の構成は、顧問料22,000円に給与計算1,100円を足した月23,100円(税込)になります。
つまり、基本料金の役割を受任方針が代わりに果たしているわけです。
もうひとつ、代行を頼まないという選択もあります。freeeで自社計算に切り替える体制づくり——初期設定の設計、給与項目や控除の整理、保険料率の改定時の確認、毎月の締めのご相談——を、顧問契約の範囲で支援しています。この支援に別料金はありません。代行(1人1,100円)と内製のどちらが向いているかの整理から、ご相談いただけます。
比べるときに揃えるべき4点
料金表の数字だけを並べても比較になりません。次の4つを揃えてから比べてください。
- 代行か、伴走か——自社で入力するのかどうか
- 税込か税別か——1人500円と550円は同じ額のことがある
- 賞与の扱い——月次と別に費用がかかるか
- 年末調整の扱い——年末調整は税理士の業務です。給与計算の料金に含まれていることはありません
4つめは見落とされがちです。四葉でも年末調整は取り扱っておらず、税理士におつなぎしています。
給与計算を含む料金の全体は報酬額表に、顧問料の考え方は社会保険労務士の顧問料は、何の対価なのかに書いています。
よくある質問
Q. 給与計算だけをお願いすることはできますか?
A. 四葉では承っておりません。給与計算は顧問契約とセットでお受けします。ご相談を伴わずに計算だけをお受けすると、実情を把握しないまま誤った前提で処理してしまうおそれがあるためです。なお、代行ではなくfreeeで自社計算に切り替える体制づくりの支援を、顧問料に含めて行っています。事務所によって方針は異なりますので、単独で受ける事務所をお探しになるのも一つの選択です。
Q. 給与計算は社会保険労務士でないとできない業務ですか?
A. いいえ。給与計算そのものは社会保険労務士の独占業務ではありません。ただし、給与計算に伴って発生する社会保険の資格取得・喪失、算定基礎届、月額変更届といった手続は、報酬を得て行うには社会保険労務士の登録が必要です(社会保険労務士法第27条)。
Q. 賞与のときも別に費用がかかりますか?
A. 四葉では賞与の計算そのものは給与計算に含めています。ただし賞与支払届の提出は労働社会保険の手続にあたるため、報酬額表の料金を別途申し受けます。他の事務所では扱いが異なることがあるので、契約前にご確認ください。
Q. 従業員が自分で入力する前提ですか?
A. クラウドの人事労務システムをお使いの場合、入社時の情報やマイナンバーは従業員ご本人に入力していただく形が基本になります。紙で受け取って当方で代行入力する場合は、作業量が変わるため個別にご相談ください。
この記事の根拠
- 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項第1号、第27条
- 市場の料金は、2026年8月時点で公開されている複数の社会保険労務士事務所・サービスの料金表および解説記事から整理したものです。事務所ごとに条件が異なるため、目安としてご覧ください。
- 「1人あたり月200〜500円」は税別と読める記述が多く、税込に換算すると220〜550円相当になります。原典の表記が税別か税込か明示されていない場合があるため、この換算は当方の解釈です。
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
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