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2026.09.01誰に頼むか

freee人事労務を入れました。顧問社労士は何をしてくれるのですか

浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

freee人事労務は書類を作り、マイナポータルやe-Govを通じて電子申請まで出せます。自社の手続を自社で行う限り、資格は要りません。社会保険労務士が必要になるのは、報酬を得て他人の手続を代わりに行うときです。条文に沿って、ソフトと社労士の線の引き方を整理します。

結論(先に要点):freee人事労務は書類を作り、マイナポータルやe-Govを通じて電子申請まで出せます。自社の手続を自社で行う限り、資格は要りません。 社会保険労務士が必要になるのは、他人の求めに応じ報酬を得て、代わりに作成・提出するときです(社会保険労務士法第27条)。

このページは、freee人事労務を導入した、あるいは導入を検討している中小企業の経営者・総務担当の方に向けたものです。ソフトと社労士は代替関係ではなく、線の引き方が違います。その線を、条文に沿って整理します。

freee人事労務だけで、どこまでできるのか?

freeeの公式ヘルプ(2026年4月10日更新・2026年8月14日参照)によると、freee人事労務の電子申請はマイナポータル経由とe-Gov経由の2つがあり、利用にはgBizIDプライムアカウントが必要です(法人事業所のみ。無料プラン等は対象外)。

経路電子申請できる書類(例)
マイナポータル月額変更届/算定基礎届/賞与支払届/健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届・喪失届/雇用保険の被保険者資格取得届・喪失届(離職票あり・なし)/育児休業給付・高年齢雇用継続給付の申請書 など
e-Gov労働保険の年度更新/定期健康診断結果報告書/心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書

つまり、入社・退社にともなう社会保険・雇用保険の手続や、毎年の算定基礎届・年度更新まで、自社の分を自社で出すことは、ソフトの機能としてできます

2点、注意があります。第一に、freeeの機能や対応書類は改定されます。上の表は2026年8月時点の公表資料によるもので、最新の範囲は公式ヘルプでご確認ください。第二に、同じヘルプに**「社労士による代理人申請には現在対応しておりません」**と明記されています。freee人事労務の電子申請は、事業主が自社の手続を自分で出すための機能として設計されています。

ソフトがあるのに、なぜ社会保険労務士が要るのか?

社会保険労務士法は、労働社会保険の手続について、次の3つを社会保険労務士の業務として定めています(第2条第1項)。

業務中身
第1号申請書等の作成行政機関等に提出する申請書・届出書・報告書などを作ること
第1号の2提出代行申請書等の提出に関する手続を代わって行うこと
第1号の3事務代理申請等について、また行政機関の調査・処分に関する主張・陳述について代理すること

ここで見落とされがちな一語があります。第1号の「申請書等」の定義には、書面の作成に代えて電磁的記録を作成する場合の当該電磁的記録を含む、と条文に明記されています。つまり、紙の届出書だけでなく、クラウドソフトで作って電子申請するデータも、条文上そのまま対象です。

そして第27条が、この線を引きます。

社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行ってはならない。(社会保険労務士法第27条)

裏返すと、自社が自社の手続を行うことは、この条文の対象外です。freeeで自社の算定基礎届を作って出すのに、資格は要りません。資格が要るのは、報酬を得て、他人(他社)の手続を代わりに行うときです。ソフトの導入で消えるのは「自社で出す作業の手間」であって、「代わりにやってもらう」という行為の性質ではありません。

なお第27条にはただし書があり、政令で定める業務に付随して行う場合は例外とされています。政令(社会保険労務士法施行令第2条)が定めるのは、公認会計士がその業務として行う場合と、税理士・税理士法人が税理士業務に付随して行う場合の2つです。どこまでが「付随」かは個別の判断になるため、本記事では条文の紹介にとどめます。

会計と労務で、頼む相手はどう分かれるのか?

freeeを使っている会社では、会計と労務が同じ画面の並びに見えるため、「全部まとめて誰かに頼めないか」という疑問が自然に生まれます。しかし資格の線は、ソフトの画面とは別のところに引かれています。

ソフト・場面自社でやる場合報酬を得て代わりに頼む相手
freee会計(記帳・決算・申告)資格不要税理士
freee人事労務(社会保険・労働保険の手続)資格不要社会保険労務士
freee人事労務の年末調整機能資格不要税理士(年末調整は税務の領域)
freee会社設立のあとの許認可申請資格不要行政書士

四葉の場合でいえば、労働社会保険の手続は四葉社会保険労務士事務所、許認可や在留資格・補助金は四葉行政書士事務所がお受けします。それぞれ独立した事業体で、契約も請求も別々です。税務は税理士に直接ご依頼いただく形をご案内しており、紹介料の授受はありません

顧問料は、一体何のサービスに支払うものなのか?

ソフトが入力と提出を担うようになると、社会保険労務士の仕事は「書類を書く作業」から、その手前と後ろに移ります。

  • その手続がそもそも要るのか、いつまでか(入社・退社・休業のたびに判断が発生します)
  • 給付を受けられる要件を満たしているか、どの給付が使えるか
  • 行政機関の調査や照会への対応(第1号の3の事務代理はこの場面の業務です)
  • 手続の前提になる労務管理そのもの(労働時間・賃金・就業規則)

ソフトを入れた会社にとっての顧問は、「入力の外注先」ではなく「判断の相談先」に近くなります。四葉ではこの考えを料金にも反映し、給与計算などをfreeeで自社処理(内製)する体制づくりの支援を、顧問料に含めています内製という選択肢の中身)。給与計算の相場と社会保険労務士の関わり方は給与計算を社会保険労務士に頼むと、いくらかかるのかで、料金の考え方は報酬額表で公開しています。料金が見えないと比較のしようがない、と私たちも考えるからです。

四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?

文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、労働社会保険の手続の作成・提出代行・事務代理(社会保険労務士法第2条第1項第1号〜第1号の3)と、労務相談・就業規則の作成変更をお受けします。freee人事労務をお使いの会社からのご相談も、ソフトを入れ替えていただく必要はありません。自社で出す部分はそのまま自社で出し、判断が要る部分・代行が要る部分だけをお預かりする形が組めます。これから導入する会社には、freeeで給与計算などを内製する体制づくりの支援を、顧問料に含めて行っています——初期設定の設計から、毎月の締めのご相談、保険料率の改定時の確認までが範囲です。

ご相談は無料です。 freeeの設定画面や、出そうとしている手続の一覧をお持ちいただければ、「自社で出せるもの」と「頼んだほうがよいもの」の仕分けからご一緒します。よくある質問はFAQにまとめています。

誰に相談するか

記帳・決算・申告・年末調整は税理士、登記は司法書士、紛争性のある事案は弁護士の業務です。在留資格の申請・補助金・会社設立の書類は四葉行政書士事務所(当事務所とは別の事業体で、別々にご契約いただきます)がお受けします。いずれも紹介料の授受はありません。

よくある質問

Q. freeeで電子申請までできるなら、社会保険労務士に頼む意味はありますか?
A. 自社の手続を自社で出す作業は、ソフトでできます。社会保険労務士に頼むのは、その手続が要るのか・いつまでか・どの給付が使えるかという判断と、報酬を得て代わりに行える作成・提出代行・事務代理(社会保険労務士法第2条第1項第1号〜第1号の3)です。作業と判断は別のものです。なお四葉では、freeeで自社処理する体制づくりの支援そのものも、顧問料に含めて行っています。

Q. freeeの電子申請には、何が必要ですか?
A. 公式ヘルプ(2026年8月14日参照)によると、gBizIDプライムアカウントが必要で、法人事業所のみが対象です。経路はマイナポータルとe-Govの2つに分かれます。機能や対応書類は改定されるため、最新の範囲はfreeeの公式ヘルプでご確認ください。

Q. 顧問の社会保険労務士は、freeeの中から代理申請してくれるのですか?
A. freeeの公式ヘルプには「社労士による代理人申請には現在対応しておりません」(2026年4月10日更新)と明記されています。代理で申請する場合は、社会保険労務士側の仕組みで行います。freee人事労務をお使いのまま頼めますので、ソフトの入れ替えは不要です。

Q. 年末調整も社会保険労務士に頼めますか?
A. freee人事労務に年末調整の機能はありますが、報酬を得て代わりに行うのは税務の領域で、税理士の業務です。当事務所では取り扱っておらず、税理士に直接ご依頼いただく形をご案内しています。紹介料の授受はありません。

この記事の根拠

  • 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項第1号・第1号の2・第1号の3、第27条 ―― 2026年8月14日にe-Gov法令検索で現行条文を確認
  • 社会保険労務士法施行令(昭和43年政令第327号)第2条(業務の制限の解除) ―― 同日にe-Gov法令検索で現行条文を確認
  • freee人事労務の電子申請の範囲・gBizIDプライムの要否・社労士による代理人申請への非対応 ―― freeeヘルプセンター「freee人事労務から各種書類の電子申請を行う」(2026年4月10日更新・2026年8月14日参照)

**freeeの機能・対応書類は改定されます。導入や運用をご検討の際は、freeeの公式ヘルプで最新の情報をご確認ください。**本記事は2026年8月時点の公表資料に基づいています。

freeeのAI機能がどこまで進んでいるかはfreee人事労務とfreee会計のAI連携は、どこまで進んでいるのかに整理しています。当事務所の料金は報酬額表に、ご相談から契約までの流れはご相談から契約までの流れに書いています。

本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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