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2026.09.01社会保険

マイナ保険証への一本化で会社は何をするか。資格確認書と被扶養者の手続き

浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

従来の健康保険証は2024年(令和6年)12月2日に新規発行が終了し、発行済みの保険証も最長1年間の経過措置が過ぎました。マイナ保険証を持たない従業員には保険者から資格確認書が交付され、提示すれば従来どおり保険診療を受けられます。健康保険法第51条の3は、資格確認書を申請により交付するほか、当分の間は職権で交付できるとし、有効期限は交付日から5年を超えない範囲で保険者が定めるとしています。会社ができるのは資格取得届・被扶養者異動届を正しく行うことまでで、資格の判定は保険者が行います。資格確認書の交付対象、被扶養者・新規加入者の手続、従業員への案内のポイントを整理します。

結論(先に要点):従来の健康保険証は、2024年(令和6年)12月2日に新規発行が終了しました。発行済みの保険証は最長1年間(有効期限が先に来る場合はその日まで)使えましたが、その期間はすでに過ぎています。マイナ保険証(健康保険証利用登録を済ませたマイナンバーカード)を持たない人には、保険者から「資格確認書」が交付され、これを提示すれば従来どおり保険診療を受けられます。会社にできるのは資格取得・被扶養者の届出を正しく行うことまでで、資格の判定は保険者が行います。

「保険証が廃止されたと聞いたが、うちの従業員はマイナ保険証を持っていない。会社は何をすればいいのか」——マイナ保険証への移行をめぐって、総務・人事の現場ではこうした確認が続いています。この記事は、従業員の社会保険手続を担う中小企業の担当者に向けて、資格確認書の交付対象と、被扶養者・新規加入者の手続、従業員への案内のポイントを整理します。

従来の健康保険証はいつ使えなくなった?

新規発行が終わったのは2024年(令和6年)12月2日です。

この日以降、従来の紙・カード型の健康保険証は新たに発行されなくなりました。ただし、それまでに発行済みの保険証は、発行日から最長1年間(保険証に記載の有効期限が先に来る場合はその日まで)は使える経過措置がとられていました。

区分内容
新規発行の終了2024年(令和6年)12月2日
発行済み保険証の経過措置発行から最長1年間(有効期限が先に来る場合はその日まで)使用可
現在(2026年8月時点)経過措置期間は終了。受診はマイナ保険証または資格確認書で行う

つまり今は、従業員が医療機関を受診するときは、マイナ保険証を使うか、資格確認書を提示するかのいずれかになります。会社としては、自社の従業員がどちらで受診できる状態にあるかを把握しておくことが出発点です。

マイナ保険証を持たない従業員には何が交付される?

資格確認書が交付されます。

健康保険法第51条の3は、被保険者が電子資格確認(マイナ保険証による確認)を受けられない状況にあるとき、保険者が資格確認書を交付・提供する仕組みを定めています。申請による交付が原則ですが、同条は、必要があると認めるときは、当分の間、職権で(申請によらず)交付できるとしています。マイナ保険証を持たない人に、申請を待たずに交付が行われるのはこのためです。

項目内容(健康保険法第51条の3ほか)
交付するのは保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)
対象マイナ保険証(利用登録済みマイナンバーカード)を持たない被保険者・被扶養者
交付の方法申請による交付が原則。当分の間、職権交付も可能
有効期限交付日から起算して5年を超えない範囲で保険者が定める(職権交付などで短く設定される場合がある)
できること医療機関の窓口で提示すれば、従来どおり保険診療を受けられる

資格確認書があれば、マイナンバーカードがなくても保険診療は受けられます。「マイナ保険証を作らないと受診できなくなる」わけではない点を、従業員に正しく伝えることが大切です。

なお、資格取得届に個人番号(マイナンバー)が正確に記載されていないと、保険者が職権交付を行い、有効期限が短く設定される場合があります。入社時の資格取得届でマイナンバーを正しく記載することが、結果として従業員の手続をスムーズにします。社会保険の加入判定そのものは短い時間で雇うと、社会保険はどうなるかにまとめています。

被扶養者や新規加入者の手続はどう変わる?

会社が行う届出の中身そのものは、従来と大きくは変わりません。変わったのは「保険証という現物を配る」から「マイナ保険証で確認する/資格確認書が交付される」という受診の入口です。

場面会社の手続ポイント
新しく従業員が入社した被保険者資格取得届個人番号を正確に記載。マイナ保険証を持たない人には保険者から資格確認書が交付される
従業員に扶養家族ができた被扶養者(異動)届被扶養者分の資格確認書は被保険者宛に送られる運用。被扶養者の認定可否は保険者が判断
従業員が退職した被保険者資格喪失届資格喪失後は資格確認書も使えない。返納の要否は保険者の案内に従う

被扶養者分の資格確認書は、被保険者(従業員本人)あてにまとめて送付される運用です。ただし、被保険者・被扶養者のうちマイナ保険証を利用する人には発行されません。誰がマイナ保険証を持ち、誰が資格確認書を要するかを家族単位で押さえておくと、問い合わせに答えやすくなります。

被扶養者の認定基準そのものは、収入の壁とあわせて年収130万円の壁を一時的に超えたらどうなるか被扶養者は国内に住んでいないと認められないのかをご確認ください。加入の適用拡大については社会保険の適用拡大で2027年に何が変わるのかにまとめています。

会社が従業員に案内すべきことは?

会社が伝えるべきは、**「受診の入口が変わったこと」と「マイナ保険証がなくても資格確認書で受診できること」**の2点です。

案内の要点は次のとおりです。

  1. 受診の方法を伝える:マイナ保険証を利用登録している人はマイナンバーカードで、していない人は資格確認書で受診する。従来の保険証はもう使えない。
  2. 資格確認書は自動で届くことを伝える:マイナ保険証を持たない人には、申請しなくても保険者から資格確認書が交付される(当分の間の職権交付)。届いたら大切に保管する。
  3. カード作成は本人・自治体の手続であることを伝える:マイナンバーカードそのものの申請は、会社ではなく本人が市区町村に対して行う。会社が代行するものではない。
  4. 手続に必要な情報を集める:資格取得届・被扶養者異動届のために、個人番号や被扶養者の情報を正確に把握する。

会社ができるのは、資格取得・被扶養者の届出を正しく行い、受診の入口の変更を従業員に案内することまでです。誰を被保険者・被扶養者と認めるかという資格の最終判断は、保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)が行います。

なお、資格取得・被扶養者の届出は社会保険労務士の業務です。マイナンバーカードそのものの申請は従業員本人と市区町村の手続で、会社が代わりに行うものではありません。

よくある質問

Q. 従来の健康保険証は、今はもう使えませんか?
A. 使えません。新規発行は2024年(令和6年)12月2日に終了し、発行済みの保険証も最長1年間(有効期限が先に来る場合はその日まで)の経過措置期間が過ぎています。現在はマイナ保険証または資格確認書で受診します。

Q. マイナ保険証を持たない従業員は、受診できなくなりますか?
A. 受診できます。マイナ保険証を持たない被保険者・被扶養者には、保険者から資格確認書が交付され、窓口で提示すれば従来どおり保険診療を受けられます。申請しなくても当分の間は職権で交付されます(健康保険法第51条の3)。

Q. 資格確認書は会社が発行するのですか?
A. いいえ。資格確認書を交付するのは保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)です。会社が行うのは資格取得届・被扶養者異動届などの手続で、個人番号を正確に記載することが、従業員への交付をスムーズにします。

Q. マイナンバーカードは会社が申請してあげるべきですか?
A. マイナンバーカードそのものの申請は、従業員本人が市区町村に対して行う手続で、会社が代行するものではありません。会社の役割は、社会保険の資格取得・被扶養者の届出を正しく行い、受診の入口が変わったことを案内することです。

この記事の根拠

  • 従来の健康保険証の新規発行終了。2024年(令和6年)12月2日に、従来の紙・カード型健康保険証の新規発行が終了しました。発行済みの保険証は、発行から最長1年間(保険証に記載の有効期限が先に来る場合はその日まで)使える経過措置がとられました(厚生労働省・政府広報オンライン「マイナ保険証」に関する案内、2026年8月28日参照)
  • 健康保険法第51条の3(資格確認書)。被保険者が電子資格確認を受けられない状況にあるとき、保険者に資格確認書の交付・提供を求めることができ、保険者は速やかに交付・提供するとしています。有効期限は交付日から起算して5年を超えない範囲で保険者が定めます。また、必要があると認めるときは、当分の間、職権で交付・提供できるとされています(e-Gov法令検索、健康保険法・大正11年法律第70号、2026年8月28日参照)
  • 資格確認書の交付運用。マイナ保険証を持たない被保険者・被扶養者には、申請によらず資格確認書が交付されます。被扶養者分は被保険者あてに送付される運用で、マイナ保険証を利用する人には発行されません。職権交付の場合など、有効期限が短く設定されることがあります(協会けんぽ「マイナ保険証・資格確認書について」、2026年8月28日参照)
  • マイナンバーカードの申請主体。マイナンバーカードそのものの申請・交付は、本人と市区町村による手続です(デジタル庁・総務省のマイナンバーカードに関する案内、2026年8月28日参照)
  • 誰を被保険者・被扶養者と認めるかの最終判断は、保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)が行います。具体的な様式・締切・返納の要否は各保険者の案内でご確認ください

この記事は、誰に相談するかまで決めるものではありません。社会保険の資格取得・被扶養者の届出は社会保険労務士の業務です。マイナンバーカードそのものの申請は従業員本人と市区町村の手続です。四葉社会保険労務士事務所にご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。個別の資格・被扶養者の認定は保険者が判断します。制度の適用や個別の手続は、最新の一次情報(厚生労働省・日本年金機構・各保険者・デジタル庁など)と個別のご事情に照らし、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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