60歳定年のままでいいのか──65歳までの雇用確保措置と70歳までの就業確保を整理
浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
「65歳まで雇用する義務」と「65歳定年の義務」は同じではありません。60歳定年を残したまま、希望者全員を65歳まで継続雇用する制度でも対応できます。対象者を選ぶ基準を使えた経過措置は2025年3月31日で終わりました。70歳までは雇用に限らない就業機会の確保が努力義務で、実施率は34.8%。継続雇用しないことができるのは就業規則の解雇事由・退職事由に該当する場合に限られ、再雇用後の労働条件は変えられますが「何割まで」の基準は法令にありません。同日得喪、第二種計画認定、在職老齢年金の65万円、2026年4月施行の労働安全衛生法第62条の2まで整理します。
結論(先に要点):「65歳まで雇用する義務」と「65歳定年の義務」は同じではありません。60歳定年を残したまま、希望者全員を65歳まで継続雇用する制度でも対応できます。70歳までは、雇用に限らない就業機会の確保が努力義務です。
2025年4月に何が終わり、いま何が義務になっているのか?
2025年3月31日で、高年齢者雇用安定法の経過措置が終了しました。
かつては、労使協定で「継続雇用の対象者を選ぶ基準」を定めていた会社について、その基準を段階的に使える経過措置がありました。2025年4月1日以降、この基準は使えません。65歳未満の定年を定めている会社は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかを講じることになります。
厚生労働省は、この改正について「定年の65歳への引上げを義務付けるものではありません」と明記しています。ここが読み違えられやすいところです。
実際の実施状況を見ると、2025年6月1日現在で報告した23万7,739社のうち、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%でした。中小企業(21〜300人規模)も大企業(301人以上)も同じ99.9%です。つまり、この義務そのものはほぼ行き渡っています。問題になるのは、制度が「実態と合っているか」のほうです。
「65歳まで雇用する義務」は「65歳定年の義務」と同じか?
同じではありません。条文が2つに分かれているからです。
高年齢者雇用安定法第8条は、定年を定める場合、その定年は60歳を下回ることができないと定めています。定年年齢そのものの下限を決めている条文です。
一方、同法第9条第1項は、65歳未満の定年を定めている事業主に対して、65歳までの安定した雇用を確保するための措置を講じなければならないと定めています。こちらは定年年齢ではなく、65歳までの雇用の「確保」を求める条文です。
つまり、60歳定年という制度自体は今も適法です。60歳定年のままで、そこから先を継続雇用でつなぐ設計が第9条を満たしていれば、法律上の問題はありません。「2025年から65歳定年が義務化された」という説明は誤りです。
確認すべきなのは、定年年齢そのものではなく、定年後から65歳までの空白がふさがっているかどうかです。
65歳までの雇用確保措置は、3つのどれを選ぶ?
第9条第1項は、次の3つを挙げています。会社はこのうちいずれかを講じます。
| 措置 | 条文 | 内容 | 2025年6月1日現在の割合 |
|---|---|---|---|
| 定年の引上げ | 第9条第1項第1号 | 定年年齢そのものを65歳以上に引き上げる | 31.0% |
| 継続雇用制度の導入 | 第9条第1項第2号 | 60歳定年を残し、希望者を定年後も引き続き雇用する | 65.1% |
| 定年の定めの廃止 | 第9条第1項第3号 | 定年という区切りをなくす | 3.9% |
3分の2の会社が継続雇用制度を選んでいます。定年退職の手続きをいったん行ったうえで、あらためて労働条件を決め直せるためです。再雇用制度と勤務延長制度のどちらの形でも、第2号の継続雇用制度に当たります。
なお、継続雇用の相手は自社に限りません。第9条第2項により、グループ会社などの特殊関係事業主で継続雇用することもできます。ただしこの場合、元の会社と特殊関係事業主との間で、定年後に引き続き雇用することを約束する契約を締結しておく必要があります。契約を結ばずに「グループ会社で引き取ってもらう」だけでは要件を満たしません。
継続雇用を選んだら、希望者は全員が対象になるのか?
原則として全員です。
厚生労働省の高年齢者雇用安定法Q&A(2025年4月1日適用)は、継続雇用制度を導入する場合「希望者全員を対象とするものにしなければなりません」としています。経過措置が終わったいま、就業規則や労使協定に「上司の推薦がある者」「勤務評価が一定以上の者」といった選別基準を置くことはできません。
ここでよくある誤解が2つあります。
1つは、「希望を出すかどうかは本人の判断だから、こちらから案内しなくてもよい」というものです。制度として希望者全員が対象である以上、本人が希望を表明できる状態にしておくことが前提になります。定年の何か月前に意思確認をするのか、書式は何か、を決めておかないと、「知らないうちに定年退職扱いになっていた」という争いのもとになります。
もう1つは、「一度断った人は対象外」というものです。制度の運用として、いつの時点の希望を基準にするのかを社内ルールとして定めておく必要があります。
継続雇用しないことができるのは、どんな場合か?
まったく例外がないわけではありません。
高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(2012年11月9日厚生労働省告示第560号)は、「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由に該当する場合には、継続雇用しないことができる」としています。
読み方の要点は3つです。
第一に、根拠は「就業規則に定める解雇事由または退職事由」です。継続雇用のためだけの別基準を新しく作ることはできません。裏を返すと、就業規則の解雇事由・退職事由が実態に合っていない会社は、この入口が使えません。
第二に、年齢に係る事由は除かれます。「65歳未満でも○歳で契約しない」という定めは置けません。
第三に、該当すれば自動的に継続雇用しないでよい、という話ではありません。指針は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められるとしています。個別の事案でこの線を引く判断は、当事務所では扱いません。争いになりそうな場面は弁護士へのご相談をご案内します。相談先の分け方は社員を辞めてもらうとき、社労士と弁護士のどちらに頼むのかに整理しています。
なお、心身の不調が理由になりそうな場面では、休職制度の運用がそのまま論点になります。従業員がメンタル不調で休職するときもあわせてご確認ください。
再雇用後の賃金・勤務日数・職務は、変えてよいのか?
労働条件を定年前と変えること自体は可能です。
厚生労働省のQ&Aは、フルタイムかパートタイムか、労働時間、賃金、待遇などについて「事業主と労働者の間で十分に話し合い決めることが重要」としています。週3日勤務のようなワークシェアリングの形も「差し支えないと考えられます」とされています。定年前とまったく同じ処遇を続けなければならない、ということはありません。
ただし「何割までなら下げてよい」という一律の基準は法令にありません。
参考になるのは最高裁の判断です。2023年7月20日の第一小法廷判決(令和4年(受)第1293号)は、定年後に再雇用された嘱託職員と正職員との間の基本給・賞与の相違について、原審が労働契約法第20条違反とした判断を破棄し、名古屋高等裁判所に差し戻しました。理由として、各給与の性質や支給目的を十分に踏まえず、労使交渉の具体的な経緯も考慮していない点を挙げています。
ここから読み取れるのは、「◯割だから安全」「◯割だから違法」という水準の議論ではなく、その基本給・賞与が何のために支払われているものなのか、労使でどう話し合ったのか、が問われるということです。有期契約で再雇用する場合の待遇差は、現在はパートタイム・有期雇用労働法の枠組みで扱われます。待遇差の説明義務については2026年10月、パート・有期雇用のルールはどう変わる?をご覧ください。
会社としてやっておけることは、賃金水準を決める前に、基本給・各手当・賞与がそれぞれ何に対する支払いなのかを言葉にしておくことです。
再雇用を有期契約にするとき、何に気をつける?
継続雇用を1年ごとの有期契約で行う会社は多く、その運用自体は差し支えありません。注意点が2つあります。
1つ目は、65歳より前に打ち切る定めを置けないことです。厚生労働省のQ&Aは、65歳を下回る年齢に達した日以後は契約しない旨の定めについて、高年齢者雇用安定法第9条違反だと解しています。「63歳まで」といった上限を契約書や規程に書いてしまうと、そこで引っかかります。
2つ目は、無期転換ルールとの関係です。有期労働契約が更新されて通算5年を超えると、労働者は無期労働契約への転換を申し込めます。定年後の再雇用を60歳から1年更新で続けると、65歳を過ぎたあたりでこの5年に届きます。
これについては、有期雇用特別措置法に基づく第二種計画認定という特例があります。適切な雇用管理に関する計画を作成し、本社を管轄する都道府県労働局長の認定を受けると、定年に達した後に引き続いて雇用される有期雇用労働者について、無期転換申込権が発生しないものとして扱えます。認定を受けていなければ特例は働きません。定年後再雇用を有期で回している会社は、この認定の有無を確認しておく価値があります。
70歳までの就業確保は、義務か努力義務か?
努力義務です。
高年齢者雇用安定法第10条の2第1項は、65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう「努めなければならない」と定めています。第9条の「講じなければならない」とは書き分けられています。
対象になるのは、65歳以上70歳未満の定年を定めている事業主か、継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している事業主です。60歳定年+65歳までの継続雇用制度という一般的な形をとっている会社は、この「継続雇用制度を導入している事業主」に当たります。
| 65歳まで | 70歳まで | |
|---|---|---|
| 根拠 | 第9条 | 第10条の2 |
| 性質 | 義務 | 努力義務 |
| 措置の種類 | 3つ(すべて雇用) | 5つ(雇用3+創業支援等措置2) |
| 継続雇用の対象者 | 原則として希望者全員 | 対象者を限定する基準を設けられる |
| 労使の同意 | 不要 | 創業支援等措置には過半数代表等の同意が必要 |
| 2025年6月1日現在の実施率 | 99.9% | 34.8% |
70歳までの措置は、第10条の2第1項が定年の引上げ・65歳以上継続雇用制度の導入・定年の定めの廃止の3つを、同条第2項が創業支援等措置として業務委託契約による就業確保と社会貢献事業による就業確保の2つを挙げています。
努力義務であっても、放っておいてよいという意味ではありません。第10条の3により、厚生労働大臣は必要な指導および助言を行うことができ、実施状況が著しく不十分な場合には計画の作成を勧告できるとされています。
2026年3月31日に告示された高年齢者等職業安定対策基本方針(2026年度から2029年度まで/厚生労働省告示第132号)は、2029年までに70歳までの就業確保措置の実施率を40.0%以上にすることを目標に掲げています。34.8%から40.0%へ、という水準です。
業務委託や社会貢献事業(創業支援等措置)は、どんなときに使える?
創業支援等措置は、雇用ではない形で70歳までの就業機会を確保する仕組みです。第10条の2第2項が2つ挙げています。
第1号は、高年齢者が新たに事業を開始する場合に、その高年齢者との間で委託契約その他の契約(労働契約を除く)を締結し、就業を確保する措置です。第2号は、事業主が行う社会貢献事業、または事業主が委託・出資等をする団体が行う社会貢献事業について、その事業を実施する者が高年齢者と契約を締結して就業を確保する措置です。
使うにあたって、押さえておくべき点が3つあります。
第一に、過半数労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)の同意が必要です。第10条の2第1項ただし書に定められています。雇用による3つの措置は同意なしで導入できますが、創業支援等措置は同意が前提です。
第二に、契約は労働契約ではありません。労働時間規制や割増賃金、労働保険といった労働法の枠組みが原則として及ばない形になります。ただし、契約の名前が業務委託であっても、実態として指揮命令を受けて働いていれば労働者と判断されることがあります。この線引きは外注と雇用の境目は、契約書では決まらないに整理しています。
第三に、実務ではほとんど使われていません。2025年6月1日現在、70歳までの措置を講じている企業のうち、創業支援等措置によるものは報告企業全体の0.1%でした。継続雇用制度が28.3%、定年の定めの廃止が3.9%、定年の引上げが2.5%です。制度としては用意されていますが、選択肢の中心は雇用側にあります。
定年後に再雇用したとき、社会保険と年金はどうなる?
3つ、押さえておくと実務が変わります。
同日得喪。60歳以上の人が退職し、1日も空くことなく同じ会社に再雇用された場合、使用関係がいったん中断したものとみなして、被保険者資格喪失届と被保険者資格取得届を同時に提出できます。これにより、再雇用された月から、再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に改定されます。2013年4月1日から、対象は60歳以降に退職後継続再雇用される人すべてに広がりました。
この手続きを取らないと、通常の随時改定を待つことになり、下がった給与に対して定年前の高い標準報酬月額のまま保険料を負担する月が生じます。添付書類は、就業規則および退職辞令の写しと雇用契約書の写しの両方、または退職日と再雇用された日が記載された事業主の証明書です。標準報酬月額そのものの仕組みは算定基礎届と月額変更届は何が違う?をご覧ください。
在職老齢年金。老齢厚生年金を受けながら働く場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計が一定額を超えると年金の全部または一部が支給停止されます。この基準額は、2026年3月以前は51万円でしたが、2025年年金制度改正法(令和7年法律第74号)により、2026年4月以降は65万円に見直されました。再雇用後の給与設計をする際の前提が変わっています。計算の詳細は年金をもらいながら働く人を雇うときに整理しています。
高年齢雇用継続給付。60歳到達時と比べて賃金が下がった場合の雇用保険の給付です。2025年4月1日から支給率の上限が変わり、2025年4月1日以降に60歳に達する人については各月の賃金の10%が限度になりました。2025年3月31日以前に60歳に達した人は従来の15%のままです。「賃金を下げても給付でこのくらい戻る」という以前の前提で設計していると、ずれます。
2026年4月から、高年齢者の安全衛生に何が加わった?
2026年4月1日から、労働安全衛生法第62条の2が施行されました。2025年の改正(令和7年法律第33号)で新設された条文です。
内容は、高年齢労働者の労働災害の防止を図るため、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずることを事業者の努力義務とするものです。同条第2項に基づき、「高年齢者の労働災害防止のための指針」(2026年2月10日公示・指針公示第1号)が定められ、同じ2026年4月1日から適用されています。
定年・再雇用の話は、制度設計と賃金の話に寄りがちです。しかし実際に65歳・70歳まで働き続けてもらうなら、転倒・墜落のリスク、照度、段差、重量物の扱い、休憩の取り方といった現場側の条件が並行して問われます。努力義務ではありますが、指針が出た以上、何もしていない状態を説明することは難しくなります。
就業規則と毎年の報告は、どこを確認すればよい?
最後に、会社が手を動かす部分をまとめます。
就業規則。定年の条項が60歳以上になっているか。定年後の継続雇用について、対象者・希望の申出方法・申出の期限・契約期間・更新の考え方が書かれているか。旧経過措置時代の選別基準が残っていないか。解雇事由・退職事由が実態に合っているか。この4点です。就業規則の作成・届出の義務そのものについては就業規則は何人から義務か。義務でないものは何かをご覧ください。
高年齢者雇用状況等報告。高年齢者雇用安定法第52条第1項により、事業主は毎年1回、定年、継続雇用制度、65歳以上継続雇用制度および創業支援等措置の状況等を厚生労働大臣に報告しなければなりません。毎年6月1日現在の状況を、7月15日までに、管轄のハローワークを経由して提出します。こちらは努力義務ではなく義務です。
高年齢者雇用等推進者。同法第11条は、高年齢者雇用確保措置等を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者を選任するよう努めなければならないとしています。努力義務ですが、担当者を決めていない会社では、報告も就業規則の見直しも誰の仕事にもなりません。
助成金。65歳以上への定年引上げ、定年廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入、高年齢者の雇用管理制度の整備、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者の無期雇用への転換については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の65歳超雇用推進助成金があります。制度を変えるタイミングと申請のタイミングの関係で使えなくなることがあるため、順番の確認が要ります。考え方は採用で使える助成金は、入口で決まると同じです。
よくある質問
Q. 60歳定年のままにしていますが、法律違反になりますか?
A. 定年そのものは60歳以上であれば違反ではありません(高年齢者雇用安定法第8条)。ただし65歳未満の定年を定めている以上、同法第9条第1項の雇用確保措置を講じる必要があります。60歳定年を残したまま、希望者全員を65歳まで継続雇用する制度を整えていれば対応できます。確認すべきなのは定年年齢そのものではなく、定年後から65歳までがふさがっているかどうかです。
Q. 再雇用の際に給与を下げてもよいのですか。何割までなら大丈夫ですか?
A. 労働条件を定年前と変えること自体は可能で、厚生労働省のQ&Aも労使で十分に話し合って決めることが重要としています。ただし「何割までなら問題ない」という一律の基準は法令にありません。最高裁は2023年7月20日の判決で、基本給や賞与それぞれの性質・支給目的や労使交渉の経緯を踏まえずに判断した原審を破棄しています。水準そのものより、何に対する支払いなのかを説明できるかが問われます。個別の争いは弁護士へのご相談をご案内します。
Q. 継続雇用の受け入れ先を、グループ会社にすることはできますか?
A. できます。高年齢者雇用安定法第9条第2項により、特殊関係事業主で継続雇用することが認められています。ただし、元の事業主と特殊関係事業主との間で、継続雇用制度の対象となる高年齢者を定年後に引き続き雇用することを約する契約を締結しておくことが要件です。契約がないまま運用していると、措置を講じたことになりません。
Q. 70歳までの措置を入れていないと、行政から指導されますか?
A. 70歳までは努力義務ですが、高年齢者雇用安定法第10条の3により、厚生労働大臣は必要な指導および助言を行うことができ、実施状況が著しく不十分な場合には計画の作成を勧告できるとされています。また2026年3月31日告示の高年齢者等職業安定対策基本方針は、2029年までに実施率40.0%以上を目標としています。「努力義務だから何もしなくてよい」とは言いにくくなっています。
この記事の根拠
- 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)第8条 ──「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない」
- 同法第9条第1項 ── 65歳未満の定年を定めている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するため、第1号 当該定年の引上げ、第2号 継続雇用制度の導入、第3号 当該定年の定めの廃止のいずれかを「講じなければならない」
- 同法第9条第2項 ── 継続雇用制度には特殊関係事業主との契約に基づく制度が含まれる
- 同法第9条第3項に基づく「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」(2012年11月9日厚生労働省告示第560号)──「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由に該当する場合には、継続雇用しないことができる」。客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められる
- 同法第10条の2第1項 ── 65歳以上70歳未満の定年を定めている事業主または継続雇用制度を導入している事業主は、65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう「努めなければならない」。第1号 当該定年の引上げ、第2号 65歳以上継続雇用制度の導入、第3号 当該定年の定めの廃止。ただし書により、創業支援等措置は過半数労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)の同意を得ることが要件
- 同法第10条の2第2項 ── 第1号 創業高年齢者等との委託契約その他の契約(労働契約を除く)による就業確保措置、第2号 社会貢献事業に係る契約による就業確保措置
- 同法第10条の3 ── 厚生労働大臣による指導および助言、実施状況が著しく不十分な場合の計画作成の勧告
- 同法第11条 ── 高年齢者雇用確保措置等を推進する業務を担当する者を「選任するように努めなければならない」(努力義務)
- 同法第52条第1項 ── 事業主は毎年1回、定年、継続雇用制度、65歳以上継続雇用制度および創業支援等措置の状況等を厚生労働大臣に「報告しなければならない」。毎年6月1日現在の状況を7月15日までにハローワーク経由で提出
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)」(2025年3月31日改訂・2025年4月1日適用)── 継続雇用制度は「希望者全員を対象とするものにしなければなりません」。労働時間・賃金・待遇は「事業主と労働者の間で十分に話し合い決めることが重要」。週3日勤務等のワークシェアリングも「差し支えないと考えられます」。65歳を下回る年齢に達した日以後は契約しない旨の定めは第9条違反。特殊関係事業主での継続雇用は契約の締結が要件
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正」── 経過措置は2025年3月31日で終了。「この改正は、定年の65歳への引上げを義務付けるものではありません」
- 「高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針」(2020年10月30日厚生労働省告示第351号)
- 「高年齢者等職業安定対策基本方針」(2026年3月31日厚生労働省告示第132号・2026年度から2029年度まで)── 2029年までに70歳までの高年齢者就業確保措置の実施率40.0%以上を目標
- 厚生労働省「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」(2025年6月1日現在・報告企業23万7,739社)── 65歳までの雇用確保措置の実施済み企業99.9%(定年の引上げ31.0%、継続雇用制度の導入65.1%、定年制の廃止3.9%)。70歳までの就業確保措置の実施済み企業34.8%(継続雇用制度28.3%、定年制の廃止3.9%、定年の引上げ2.5%、創業支援等措置0.1%)
- 労働安全衛生法第62条の2(労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律〔令和7年法律第33号〕による新設・2026年4月1日施行)── 高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずることが事業者の努力義務。同条第2項に基づく「高年齢者の労働災害防止のための指針」(2026年2月10日公示・指針公示第1号)は2026年4月1日から適用
- 厚生年金保険法第46条第3項および2025年年金制度改正法(令和7年法律第74号)── 在職老齢年金の支給停止調整額は、2026年3月以前は51万円、2026年4月以降は65万円
- 雇用保険法(高年齢雇用継続給付)── 2025年4月1日以降に60歳に達する人の支給率の上限は各月の賃金の10%。2025年3月31日以前に60歳に達した人は15%
- 日本年金機構「60歳以上の方を、退職後1日の間もなく再雇用したとき」── 使用関係がいったん中断したものとみなし、被保険者資格喪失届と被保険者資格取得届を同時に提出。再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に改定(2013年4月1日施行)。添付書類は就業規則および退職辞令の写しと雇用契約書の写しの両方、または退職日と再雇用された日が記載された事業主の証明書
- 厚生労働省「無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例(第二種計画認定・変更申請)」── 定年に達した後、引き続いて雇用される有期雇用労働者について、適切な雇用管理に関する計画の認定を都道府県労働局長から受けることにより無期転換申込権が発生しない特例
- 最高裁判所第一小法廷 2023年7月20日判決(令和4年(受)第1293号・地位確認等請求事件)── 定年後再雇用の嘱託職員と正職員との基本給・賞与の相違について、各給与の性質や支給目的、労使交渉の経緯を踏まえていないとして原判決の該当部分を破棄し、名古屋高等裁判所に差し戻し
- 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「65歳超雇用推進助成金」── 65歳超継続雇用促進コース、高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、高年齢者無期雇用転換コースの3コース。支給額および受付期間は年度により変わるため本記事では記載していません
- 公的資料・条文は2026年8月20日に確認
この記事は、個別の該当性を判断するものではありません。四葉社会保険労務士事務所では、定年および継続雇用に関する就業規則・規程の作成と変更、意思確認の書式や社内フローの設計、高年齢者雇用状況等報告の作成と提出代行、定年後再雇用にともなう社会保険の同日得喪の手続、第二種計画認定の申請、65歳超雇用推進助成金についてご相談いただけます。退職金や企業年金の税務上の取扱いは税理士へおつなぎします。継続雇用しないことの個別の可否や、再雇用の条件をめぐって争いになった場面の交渉・訴訟は当事務所では扱わず、弁護士への相談をご案内します。定年後に起業される方の会社設立・許認可は四葉行政書士事務所が別の事業体として承ります。別の専門家が必要な場合は、それぞれ別契約となり、紹介料はありません。ご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。
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本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
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