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2026.09.01料金の考え方

社会保険労務士の顧問料は、何の対価なのか

浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

顧問料は事務所によって中身が違います。多くは「相談+基本的な手続」を含む包括料金ですが、四葉は相談だけの対価にし、手続は顧問先でも都度いただく形をとりました。なぜその設計にしたのか、包括型と比べて何が変わるのかを、隠さずに書きます。

結論(先に要点):社会保険労務士の顧問料は、事務所によって中身が違います。多くは「相談+基本的な手続」を含む包括料金ですが、四葉は相談だけの対価にしています。手続は顧問先でも都度いただきます。同じ月額33,000円でも、含まれるものが違うということです。

社会保険労務士の顧問料を比べようとすると、金額はどこも似たような幅に収まっているのに、実際に払う総額が事務所によって変わります。理由は単純で、顧問料に何が入っているかが揃っていないからです。

顧問料には、ふつう何が入っているのか?

多くの事務所では、顧問料は次のようなものを包括しています。

  • 労務に関する相談
  • 法改正の案内
  • 入退社などの基本的な手続
  • 算定基礎届・年度更新といった年次の手続

3つめと4つめが入っているのが一般的です。だから「顧問料を払っていれば、入社1名の手続は追加費用なし」という事務所が多いわけです。

これには合理性があります。事業者から見れば、毎月いくらと決まっていて、その中で手続もしてもらえるほうが分かりやすい。事務所から見ても、都度の請求事務が減ります。

なぜ四葉は、その形をとらなかったのか?

四葉社会保険労務士事務所の顧問料は、労務のご相談に対する対価だけです。労働社会保険の手続は、顧問先の方にも報酬額表の料金を都度申し受けます。

そうした理由は3つあります。

ひとつめ。相談が「おまけ」になるのを避けたかった。 手続込みの顧問料では、手続が発生しない月は「何もしていないのに払っている」という感覚になりがちです。相談が主で手続が従、という関係をはっきりさせたいと考えました。

ふたつめ。手続の量で不公平が出るのを避けたかった。 入退社の多い事業所と少ない事業所が同じ顧問料では、どちらかが損をします。人の出入りが激しい業種ほど、包括料金の恩恵を受けます。それは裏返せば、出入りの少ない事業所が負担しているということです。

給与計算の値付けについては給与計算を社会保険労務士に頼むと、いくらかかるのかに書いています。

みっつめ。相談に制限をかけたくなかった。 手続を含めない代わりに、ご相談は回数・時間の制限なく承ります。「何回まで」「何時間まで」を決めていません。

この設計には、続きがあります。給与計算などの毎月の作業をfreeeで自社処理(内製)に切り替える体制づくりの支援を、顧問料に含めています。 手続や給与計算を顧問料に包括している事務所では、顧問先が内製に切り替えるほど顧問料の根拠が細っていきます。四葉の顧問料は相談の対価なので、内製への切り替えを支援しても顧問料の意味は変わりません——むしろ、設定の設計や毎月の締めの相談という形で、相談の比重が増えます。内製という選択肢の中身は給与計算をfreeeで内製したい。社会保険労務士には何を頼めばいいのかに書いています。

同じ月額でも、総額はどう変わるのか?

ここははっきり書いておきます。手続を別にしている以上、手続が多い年は、包括料金の事務所より総額が高くなります。

一般的な包括型四葉
顧問料相談+基本的な手続相談のみ
入退社の手続顧問料に含むことが多い都度申し受けます
算定基礎届・年度更新顧問料に含むことが多い都度申し受けます
相談の回数・時間制限を置く事務所もある制限なし
給与計算別料金が多い別料金(顧問契約とセット)。freeeでの内製への切替支援は顧問料に含む

料金表の月額だけを並べて比べると、四葉は安く見えます。それは正しくありません。 手続の分が乗るためです。ご検討の際は、年間でどれだけ手続が発生しそうかを見積もって、総額で比べてください。

手続だけを頼むことはできるのか?

四葉では承っていません。手続だけのご依頼をお受けしないのは、実情を把握しないまま誤った前提で処理してしまうおそれがあるためです。

たとえば「資格取得届を出してほしい」という依頼を受けたとします。書式を埋めるだけなら簡単ですが、その方が週何時間働くのか、雇用契約はどうなっているのか、他の従業員との均衡は取れているのか——こうしたことを知らないまま処理すると、加入すべき人を漏らしたり、逆に対象外の人を入れたりします。あとから遡って直すほうが、はるかに手間もお金もかかります。

法人・個人事業主のお客さまは顧問契約を前提としてお受けします。ただし障害年金のご相談(個人のお客さま)は顧問契約を前提としません。こちらはご本人・ご家族から直接お受けします。

規程の法改正対応には、そのつど費用がかかるのか?

かかりません。当事務所が作成した規程については、法改正に伴う該当条文の改定と届出を顧問料に含めて承ります。回数の制限はありません。

労働関係法令は毎年のように改正があります。そのたびに就業規則の直しに費用がかかるのでは、規程を作ったこと自体が負債になってしまいます。会社の都合による改定は「就業規則 変更」の料金を申し受けますが、法改正への追随は顧問料の中で行います。

よくある質問

Q. 相談は月に何回までですか?
A. 回数・時間の制限は設けていません。顧問料は相談の対価なので、制限を置くと趣旨と合わなくなります。

Q. 初めての相談から費用がかかりますか?
A. 初めてのご相談は60分まで無料です。顧問契約に至らなかった場合の2回目以降のご相談は、1時間11,000円(税込)を申し受けます。顧問契約後のご相談は顧問料に含まれます。

Q. 顧問料は従業員数で決まるのですか?
A. 対象人数の帯で決まります。〜4人の月22,000円(税込)から、25〜29人の77,000円(税込)まで、5人ごとの階段です。30人以上は個別にお見積りします。対象人数は、役員と従業員の合計です(アルバイト・パートの方を含みます。社会保険の被保険者数ではありません)。ただし人数帯は目安で、顧問料はご相談の対価のため、ご相談の内容と量に応じた帯でお見積りします。

Q. 顧問先だと手続が割引になりますか?
A. なりません。手続は顧問先だけにお受けするものなので、比べる相手がいないためです。顧問契約を結んでいない方から手続だけをお受けすることがないので、「顧問先価格」という考え方をとっていません。

この記事の根拠

  • 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項第1号・第2号・第3号、第27条
  • 四葉社会保険労務士事務所の料金は報酬額表に掲載しています。金額はすべて税込です。
  • 他の事務所の料金体系についての記述は、2026年8月時点で公開されている複数の社会保険労務士事務所の料金表から整理した一般的な傾向です。個々の事務所の契約内容を示すものではありません。

本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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