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2026.09.01採用と雇用

在留期限と雇用契約期間は、どちらが先に切れるか

浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

在留期限と雇用契約期間は別々に走る2つの時計です。契約を在留期限に合わせれば更新のたびに労働条件の明示が要り、切り離せば在留期限が先に来ます。更新上限の明示(労働基準法施行規則第5条第1項第1号の2)と無期転換もあわせ、3つの時計を1枚で設計します。

結論(先に要点):在留期限と雇用契約期間は、別々に走る2つの時計です。契約を在留期限に合わせて短く切れば更新のたびに労働条件の明示が要り、契約を長くすれば在留期限が先に来ます。どちらを基準にするかは、入社前に決めておくこと。 有期契約には更新上限の明示も必要になりました(労働基準法施行規則第5条第1項第1号の2)。

このページは、有期契約で外国人を雇っている・雇おうとしている会社の経営者・総務担当の方に向けたものです。本記事は労働契約の側からだけ書きます。 在留資格の更新手続そのものは行政書士の業務で、企業側の手続と期限は四葉行政書士事務所(別事業体)のページをご覧ください。

契約期間は、在留期限に合わせるべきか?

決まった正解はありませんが、どちらの設計かを意識的に選ぶ必要があります。

設計起きること
契約期間を在留期限に合わせる(例:在留期限までの有期契約)在留資格が更新されるたびに契約も更新。更新のたびに労働条件の明示(更新の基準・更新上限を含む)が必要。管理は明快だが事務は増える
契約期間を在留期限と切り離す(例:無期または長めの有期)契約は続くが、在留期限が先に切れるリスクを契約の外で管理することになる。期限管理の仕組みが必須

どちらにも共通するのは、在留期限の管理を「契約の更新日」だけに頼らないことです。切り離した設計では特に、期限を見張る仕組みが契約書のどこにもない状態になりがちです。

更新上限は、どう書けばいいのか?

有期労働契約では、更新の基準に加えて、通算契約期間または更新回数に上限を定める場合はその上限を、労働条件として明示する必要があります(労働基準法施行規則第5条第1項第1号の2。令和6年4月施行の改正で加わった事項です)。

外国人雇用で注意したいのは、「在留期限まで」を上限のように扱う書き方です。在留資格が更新されれば働き続けられる前提なのに、契約書の上限がそれを塞いでいる——あるいは逆に、上限を書かずに更新を繰り返し、無期転換(労働契約法第18条の通算5年)の見込みを整理していない——という食い違いが起きます。在留期限・契約の更新上限・無期転換の3つの時計を、1枚の表で並べて設計するのが実務です。

在留期限が切れたら、雇用契約はどうなるのか?

在留期限を過ぎて就労させると、会社の側に不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2。3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または併科)が問われ得ます。しかも同条第2項は、在留資格や期限を**「知らなかったことを理由に処罰を免れることはできない」**(過失がないときを除く)と定めています。確認していなかった、では通らない構造です。

雇用契約そのものをどう終了させるかは労働契約の論点として残りますが、その手前の期限管理——在留カードの期限の把握と、更新申請のスケジュール確認——が会社の防波堤になります。

期限の管理は、誰がするのか?

役割誰が
在留期限・契約期間・無期転換の3つの時計の設計と台帳管理社会保険労務士(当事務所)
在留資格の更新申請そのもの行政書士(四葉行政書士事務所。別事業体・別契約)
更新の基準・上限を含む労働条件通知書・雇用契約書の整備社会保険労務士(当事務所)

外注か雇用かの整理が先に必要な場合は外注と雇用の境目は、契約書では決まらないを、規程の整備は就業規則は何人から義務かをご覧ください。

四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?

文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、有期契約の設計(更新の基準・更新上限の明示)、労働条件通知書・雇用契約書の整備、在留期限とあわせた期限台帳の設計をお受けします。ご相談は無料です。 料金は報酬額表に、外国人雇用の全体の流れは外国人を1人雇うと、窓口はいくつ必要かにまとめています。

誰に相談するか

在留資格の申請・変更・更新は四葉行政書士事務所(当事務所とは別の事業体で、別々にご契約いただきます)。税務は税理士、登記は司法書士、すでに紛争になっている解雇・雇止めの事案は弁護士の業務です。いずれも紹介料の授受はありません。

よくある質問

Q. 契約期間は在留期限より長くしても違法ではないのですか?
A. 契約期間の設定自体が直ちに違法になるわけではありません。ただし在留期限を過ぎた就労は許されず、会社側に不法就労助長罪(入管法第73条の2)が問われ得ます。契約を長くする設計を取るなら、在留期限の管理を契約とは別に確実に回す仕組みが前提になります。

Q. 更新上限は必ず定めなければいけませんか?
A. 定めること自体は義務ではありません。義務なのは、更新の基準と、上限を定める場合にはその上限を明示することです(労働基準法施行規則第5条第1項第1号の2)。定めない場合は、無期転換(通算5年)の見込みを含めて設計しておくことをお勧めします。

Q. 在留期限の管理はどのくらい前から動けばいいですか?
A. 更新申請の受付時期や審査期間は在留資格や個別の事情で変わるため、当事務所からは断定できません。申請の時期・段取りは行政書士(四葉行政書士事務所・別事業体)にご確認ください。当事務所は、期限の一覧化と契約側の準備(更新面談・条件明示)のスケジュールを担当します。

Q. 雇止めをしたい場合も相談できますか?
A. 更新の基準の整理や手続の設計はお受けできます。ただし、すでに紛争になっている・なりそうな個別の雇止めの可否判断は弁護士の業務のため、弁護士へ直接ご依頼いただく形をご案内します。紹介料の授受はありません。

この記事の根拠

  • 労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第5条第1項第1号の2(更新の基準。通算契約期間・更新回数の上限を定める場合はその上限を含む) ―― 2026年8月14日にe-Gov法令検索で現行条文を確認
  • 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第73条の2(不法就労助長。3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金または併科。第2項=知らないことを理由に処罰を免れない〔過失がないときを除く〕) ―― 同日にe-Gov法令検索で現行条文を確認
  • 労働契約法(平成19年法律第128号)第18条(無期転換)は、本文中の参照として記載

本記事は一般的な情報提供です。個別の契約の設計・雇止めの可否は事情によって判断が分かれます。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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