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2026.08.30許認可の手続き(行政書士の実務から)

貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)の届出は?──一般貨物との違いと2025年の安全管理

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

軽バン1台からの配送・宅配(貨物軽自動車運送事業=黒ナンバー)は、一般貨物のような許可ではなく、貨物自動車運送事業法第36条第1項の届出で始められます。第2条第4項の定義、経営届出書と事業用自動車等連絡書、軽自動車検査協会での黒ナンバー登録、2025年4月1日施行の貨物軽自動車安全管理者(第36条の2・令和6年法律第23号)の選任義務と2027年3月31日までの経過措置、物件は不動産・労務は社会保険労務士へ分離受任で振る分担を整理しました。

結論(先に要点):軽バン1台からの配送・宅配(貨物軽自動車運送事業=いわゆる黒ナンバー)は、一般貨物自動車運送事業のような「許可」ではなく「届出」で始められます。根拠は貨物自動車運送事業法第2条第4項(貨物軽自動車運送事業の定義)と第36条第1項(経営届出)です。所轄の運輸支局へ貨物軽自動車運送事業経営届出書と事業用自動車等連絡書を提出し、その連絡書を持って軽自動車検査協会で黒ナンバーの車両登録をします。2025年4月1日からは、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任する義務(同法第36条の2、令和6年法律第23号)が加わりました。本記事は、届出制と許可制の違い、必要書類と車庫・営業所の条件、2025年施行の安全管理義務、物件・労務を誰に振るかを行政書士の視点で整理する一般的な情報提供です。個別の受理の可否や必要書類は、所轄の運輸支局・軽自動車検査協会の取扱いによります。

軽貨物(黒ナンバー)は許可ではなく届出で始められる?

貨物軽自動車運送事業は、貨物自動車運送事業法第2条第4項で「他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業であって、一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業以外のもの」と定義されています。軽バン・軽トラックやバイク便がこれにあたります。

一般貨物自動車運送事業が第3条の「許可」を要するのに対し、貨物軽自動車運送事業は第36条第1項の「届出」で始められます。同項は「貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通省令で定める手続に従い、営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない」と定めます。実務では所轄の運輸支局へ届け出ます。

項目貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)
手続の種類届出(貨物自動車運送事業法第36条第1項)
使用車両三輪以上の軽自動車・二輪の自動車(軽バン、軽トラック、バイク等)
事業用自動車の数1両から可能
ナンバー黒地に黄文字の事業用ナンバー(いわゆる黒ナンバー)

届出は受理されれば足り、許可のような審査で可否が判断される仕組みではありません。ただし提出書類の形式や添付資料は所轄の運輸支局で取扱いが異なるため、事前に窓口で確認しておくと差戻しを避けられます。

一般貨物運送との違いはどこ?(台数・運行管理者・車庫)

同じ「貨物を運ぶ事業」でも、一般貨物自動車運送事業と貨物軽自動車運送事業は、手続も要件も別の制度です。主な違いは次のとおりです。

事項一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)
手続許可(第3条)届出(第36条第1項)
事業用自動車の数最低5両1両から可能
運行管理者選任が必要選任は不要(別に安全管理者を選任)
整備管理者一定台数で必要原則不要
車庫位置・広さの基準(車両相互間50センチメートル以上等)使用権原のある駐車スペース(併設または一定距離内が目安)
開始までの期間標準処理期間おおむね3〜5か月届出が受理されれば車両登録へ進める

一般貨物の許可要件(5両・運行管理者・車庫の広さ・法令試験など)は、別記事の一般貨物自動車運送事業の営業所・車庫の要件で整理しています。軽バン1台で始める場合は、まず貨物軽自動車運送事業の届出にあたるかを事業計画に照らして確認します。

届出に必要な書類と車庫・営業所の条件は?

届出の中心となる書類は、貨物軽自動車運送事業経営届出書と事業用自動車等連絡書です。経営届出書を運輸支局へ提出し、確認印を受けた事業用自動車等連絡書を軽自動車検査協会へ持参して、黒ナンバーの車両登録(事業用の変更登録)を行います。

書類内容
貨物軽自動車運送事業経営届出書営業所の名称・位置、事業用自動車の数などを記載して運輸支局へ提出
運賃料金設定届出書適用する運賃・料金を届け出る
運送約款標準貨物軽自動車運送約款を使用する場合は、その旨を届出書に記載
事業用自動車等連絡書運輸支局の確認を受け、軽自動車検査協会での車両登録に使用

営業所・車庫の条件は、一般貨物ほど細かな面積基準はありませんが、次の点が目安になります。

  • 営業所は使用権原(自己所有または賃貸借)があること。自宅を営業所とできる場合もあります
  • 車庫は、計画する事業用自動車を収容でき、使用権原があること。営業所への併設が原則で、離す場合は一定の距離内(地域により異なる)が目安
  • 賃貸物件を車庫・営業所に使う場合は、契約上その用途が認められているかの確認が必要

車庫や営業所の距離・広さの取扱いは所轄の運輸支局で異なります。物件を契約する前に、用途や使用権原の要件に照らして確認しておくと、契約後のやり直しを避けられます。物件側の要件は不動産の担当に確認するのが確実です。

2025年施行の貨物軽自動車安全管理者とは何をする?

貨物軽自動車運送事業をめぐる事故の増加を背景に、貨物自動車運送事業法が改正され(令和6年法律第23号、2024年5月15日公布)、2025年4月1日から貨物軽自動車安全管理者の制度が始まりました。根拠は同法第36条の2です。

事項内容
選任義務営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任(第36条の2)
施行日2025年4月1日
対象貨物軽自動車運送事業者
講習選任前に貨物軽自動車安全管理者講習を修了。以後は2年ごとに定期講習の受講が必要
主な業務点呼、運転者に対する指導・監督、業務の記録など運行の安全確保に関する業務
選任・届出選任したときは運輸支局等へ届出
経過措置2025年3月31日までに経営届出済みの既存事業者は、2027年3月31日までに選任すればよい

選任義務や届出義務に違反した場合は罰則(100万円以下の罰金)が定められています。講習の受講手数料や実施日程は、登録を受けた講習機関の案内によります。新たに始める事業者は、講習を修了したうえで安全管理者を選任し、届け出る流れになります。四葉行政書士事務所では、行政書士業務の範囲で、届出書類の作成や安全管理者の選任届の作成を支援します。個別の受理の可否や書類の要否は、所轄の運輸支局の取扱いによります。

人を雇う・物件を借りるときは誰に相談する?

貨物軽自動車運送事業は、届出だけで完結せず、物件・労務・登記・税務が関わります。担当は次のとおり分かれます。

  • 貨物軽自動車運送事業の経営届出、事業用自動車等連絡書、安全管理者の選任届の作成 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 営業所・車庫となる物件探し、用途や使用権原の確認、賃貸借契約 → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)
  • ドライバーを雇用する場合の労働保険・社会保険の加入、労働時間(改善基準告示)、就業規則・36協定 → 社会保険労務士
  • 法人設立・役員変更などの登記 → 司法書士
  • 所得税・消費税など税務の相談・申告 → 税理士

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。各分野は、それぞれの資格者と独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。営業所・車庫の物件側の要件は、別事業体の四葉不動産株式会社がまとめた運送業の営業所・車庫の物件要件もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 軽バン1台だけでも届出はできますか?
A. 貨物軽自動車運送事業は事業用自動車1両から始められます。一般貨物自動車運送事業のような最低5両の要件はありません。届出(貨物自動車運送事業法第36条第1項)にあたる事業計画かどうかは、使用する車両や運送の内容によります。個別の受理の可否は所轄の運輸支局の取扱いによります。

Q. 黒ナンバーはどこで取りますか?
A. まず運輸支局へ貨物軽自動車運送事業経営届出書を提出し、確認印を受けた事業用自動車等連絡書を軽自動車検査協会へ持参して、事業用(黒ナンバー)の車両登録を行います。届出と車両登録は窓口が分かれているため、順番を確認して進めます。

Q. 2025年から始まった安全管理者は必ず選任しますか?
A. 2025年4月1日から、貨物軽自動車運送事業者は営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任する義務があります(貨物自動車運送事業法第36条の2)。新たに始める事業者は、講習を修了したうえで選任・届出をします。2025年3月31日までに届出済みの既存事業者は、2027年3月31日までに選任すればよい経過措置が設けられています。

Q. 一般貨物(緑ナンバー)とはどう使い分けますか?
A. 三輪以上の軽自動車や二輪車で運ぶ場合は貨物軽自動車運送事業(届出・黒ナンバー)、普通車や小型トラック等で運ぶ場合は一般貨物自動車運送事業(許可・緑ナンバー、最低5両・運行管理者)になります。どちらにあたるかは使用車両と事業計画によります。許可制の詳細は一般貨物自動車運送事業の営業所・車庫の要件をご覧ください。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法」(平成元年法律第83号)第2条第4項・第3条・第36条第1項・第36条の2(参照日 2026-08-30)
  • 国土交通省「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正を行いました」(令和6年法律第23号、2024年5月15日公布、貨物軽自動車安全管理者の選任、2025年4月1日施行、既存事業者の2027年3月31日までの経過措置)(参照日 2026-08-30)
  • 国土交通省・各運輸支局「貨物軽自動車運送事業経営届出書」「事業用自動車等連絡書」の様式・手続(営業所・車庫・車両登録)(参照日 2026-08-30)
  • 軽自動車検査協会「事業用(黒ナンバー)の手続」(参照日 2026-08-30)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の届出の受理、必要書類、車庫・営業所の取扱いを保証するものではありません。届出様式や車庫の距離の目安、安全管理者講習の日程・手数料は、所轄の運輸支局・登録講習機関・軽自動車検査協会で扱いが異なるため、申請先の最新の案内で確認してください。営業所・車庫の物件探しと賃貸借は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、ドライバーの労務・社会保険は社会保険労務士、法人設立・役員変更などの登記は司法書士、税務は税理士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

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