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2026.08.29許認可の手続き(行政書士の実務から)

一般貨物自動車運送事業の許可で、営業所と車庫はどんな要件を満たす?──5両・車庫・前面道路・標準処理期間

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)を始めるには、貨物自動車運送事業法第3条にもとづく許可が必要です。許可の基準(第6条)、事業用自動車の最低5両、営業所・休憩睡眠施設・車庫の位置と広さ(睡眠1人2.5㎡以上、車両相互間・境界50センチメートル以上)、車庫と営業所の距離(原則10km以内)、前面道路の車両制限令適合と幅員証明、市街化調整区域・農地の扱い、標準処理期間(おおむね3〜5か月)を整理し、許可申請は行政書士、物件探しは不動産、労務は社労士、緑ナンバーの登録は運輸支局へ分離受任で振る分担を示しました。

結論(先に要点):トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)を始めるには、貨物自動車運送事業法第3条にもとづく国土交通大臣(実務は地方運輸局長)の許可が必要です。許可は、同法第6条の基準――輸送の安全確保に適した事業計画であること、事業用自動車の数(最低5両)や車庫の規模が国土交通省令の基準に適合すること、事業を自ら的確に遂行するに足る経済的基礎と能力があること――を満たしたときに下ります。本記事は、営業所・車庫・休憩睡眠施設の位置と広さ、前面道路や用途地域で落ちやすい点、申請から許可までの標準処理期間、物件・車両・労務を誰に振るかを、行政書士の視点で整理する一般的な情報提供です。個別の許可の可否は運輸支局・地方運輸局の審査によります。

一般貨物自動車運送事業の許可は何を満たせば下りる?

一般貨物自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車と二輪の自動車を除く)を使って貨物を運送する事業です。これを始めるには、貨物自動車運送事業法第3条により、許可を受けなければなりません。

許可の基準は同法第6条に定められており、要旨は次のとおりです。

区分内容(要旨)
輸送の安全(第6条第1号)事業計画が、過労運転の防止や事業用自動車の安全性など、輸送の安全を確保するため適切であること
事業計画の適切さ(第6条第2号)事業用自動車の数、車庫の規模その他の事業計画が、国土交通省令で定める基準に適合すること
遂行能力(第6条第3号)事業を自ら的確に、かつ継続して遂行するに足る経済的基礎その他の能力を有すること
特別積合せ(第6条第4号)特別積合せ貨物運送をする場合、積卸施設を適切に保有・管理し、事故防止の措置を講じていること

このほか、貨物自動車運送事業法第5条の欠格事由(許可の取消しから一定期間を経過しない者など)に当たらないこと、常勤役員のうち1名が法令試験に合格すること、運行管理者・整備管理者を選任できること、所要資金を見積もり自己資金を確保していることが求められます。事業用自動車は最低5両を用意する必要があります。四葉行政書士事務所では、行政書士業務の範囲で、要件の確認、事業計画・申請書類の作成、申請の代理を支援します。個別の許可の可否は運輸支局・地方運輸局の審査によります。

営業所・休憩睡眠施設・車庫の位置と広さの要件は?

営業所・休憩睡眠施設・車庫は、それぞれ位置と広さ、使用権原の要件があります。

施設主な要件
営業所使用権原があること(自己所有、または賃貸借。賃貸は契約期間1年以上または自動更新が目安)。建築基準法・消防法に適合した建物であること。市街化調整区域は原則として設置不可。地目が農地(田・畑)は原則不可
休憩・睡眠施設営業所または車庫に併設していること。乗務員に睡眠を与える必要がある場合は1人あたり2.5㎡以上の睡眠施設が必要。運行形態から乗務員に8時間以上の休息が確保できる場合は睡眠施設が不要なこともある
車庫原則として営業所に併設。併設できない場合は営業所から一定の距離内(後述)。計画する事業用自動車をすべて収容でき、車両と車庫の境界および車両相互間に50センチメートル以上の間隔をとれること

営業所と車庫は、都市計画法・建築基準法・農地法など関係法令に抵触しない場所であることが前提です。物件を先に契約してから用途地域や地目で使えないと分かると、探し直しになります。物件選定の段階で、要件に照らした確認をしておくことが大切です。

車庫の前面道路や用途地域で落ちるのはどんなケース?

許可申請で見落とされやすいのが、車庫の前面道路の幅員と、営業所・車庫の立地です。

事項目安
営業所と車庫の距離併設が原則。離す場合は直線距離で原則10km以内(首都圏・近畿圏の一部など地域により5km・20kmなど、地方運輸局で異なる)
前面道路の幅員使用する車両が車両制限令に適合して通行できること。道路管理者の幅員証明書等で証明する(国道などは証明が不要な場合もある)
車庫の使用権原自己所有または賃貸借(賃貸は契約期間2年以上かつ自動更新の記載が目安)
立地(地目・区域)市街化調整区域は原則不可。地目が農地は原則不可。市街化区域でも用途地域による制限を確認

前面道路が狭く、使用予定の大型車が車両制限令に適合しないと、その車庫では許可が取れません。幅員証明書は道路管理者(国道・都道府県道・市町村道で窓口が異なる)から取得します。用途地域・地目・前面道路の三点は、物件を決める前に確認しておくとやり直しを避けられます。

申請から許可までどのくらいかかる?(標準処理期間)

申請から許可までの標準処理期間は、書類に不備・補正がない場合でおおむね3〜5か月です。地方運輸局によって幅があり、関東運輸局はおおむね3〜4か月、近畿運輸局はおおむね4〜5か月を目安として案内しています。法令試験の合格と補正事項の解消がこの期間内に整うことが前提です。

段階内容・目安
申請書の提出管轄の運輸支局を経由して地方運輸局へ提出
標準処理期間おおむね3〜5か月(運輸局により3〜4か月・4〜5か月)。書類の不備・補正がない場合の目安
法令試験常勤役員のうち1名が受験。合格が許可の前提
許可・登録免許税許可後に登録免許税(12万円)を納付
運輸開始事業用自動車の登録(緑ナンバー)、運行管理者・整備管理者の選任届、運輸開始届の提出

許可が出ても、事業用自動車の登録(緑ナンバーの取得)や運輸開始前の確認を経て、実際に運送を始められます。軽トラックなどで行う貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)は届出制で、この一般貨物の許可とは別の制度です。

物件・車両・労務は誰に振ればいい?

一般貨物自動車運送事業は、許認可・不動産・車両・労務が交わります。担当は次のとおり分かれます。

  • 許可申請の要件確認・事業計画と書類の作成・申請代理 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 営業所・車庫となる物件探し、用途地域・地目・前面道路の適合確認、賃貸借契約 → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)
  • ドライバーの労働時間(改善基準告示)・社会保険・就業規則 → 社会保険労務士
  • 事業用自動車の登録(緑ナンバー) → 運輸支局
  • 法人設立・役員変更などの登記 → 司法書士

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。各分野は、それぞれの資格者と独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。営業所・車庫の物件側の要件は、別事業体の四葉不動産株式会社がまとめた運送業の営業所・車庫の物件要件もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 事業用自動車が5両に満たなくても許可は取れますか?
A. 一般貨物自動車運送事業は、事業用自動車を最低5両そろえることが要件です。5両に満たない場合は許可を受けられません。軽トラックなどで運ぶ貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)は届出制で、5両要件のない別の制度です。どちらに当たるかは事業計画によります。

Q. 自宅を営業所にできますか?
A. 使用権原・建築基準法・消防法・用途地域を満たせば可能な場合があります。ただし市街化調整区域や地目が農地の場所は原則として営業所に使えません。賃貸の場合は契約期間や自動更新の要件もあります。物件を決める前に要件に照らして確認することをおすすめします。

Q. 車庫は営業所から離れていてもよいですか?
A. 原則は営業所への併設です。併設できない場合は、営業所から直線距離で原則10km以内(地域により5km・20kmなど地方運輸局で異なる)に置く必要があります。あわせて、車庫の前面道路が車両制限令に適合すること、車両と境界・車両相互間に50センチメートル以上の間隔をとれることが求められます。

Q. 申請してからどのくらいで許可が下りますか?
A. 標準処理期間はおおむね3〜5か月です(運輸局により3〜4か月・4〜5か月)。これは書類の不備・補正がない場合の目安で、常勤役員の法令試験の合格と補正事項の解消がこの期間内に整うことが前提です。個別の審査期間は運輸支局・地方運輸局の判断によります。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法」(平成元年法律第83号)第3条・第5条・第6条(参照日 2026-08-29)
  • 国土交通省・各地方運輸局「一般貨物自動車運送事業の許可等に関する処理方針」(営業所・車庫・休憩睡眠施設の要件、事業用自動車の数、営業所と車庫の距離、前面道路・車両制限令、車両相互間の間隔)(参照日 2026-08-29)
  • 関東運輸局「トラック事業を始めるには」・近畿運輸局「一般貨物自動車運送事業」(標準処理期間、法令試験の説明)(参照日 2026-08-29)
  • 都市計画法・建築基準法・農地法(営業所・車庫の用途地域・地目の扱い)(参照日 2026-08-29)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の許可の可否、必要書類、審査期間を保証するものではありません。要件の細部(営業所と車庫の距離、前面道路の幅員、賃貸借契約の期間など)は地方運輸局・運輸支局で扱いが異なるため、申請先の最新の公示・手引きで確認してください。営業所・車庫の物件探しと賃貸借は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、ドライバーの労務・社会保険は社会保険労務士、法人設立・役員変更などの登記は司法書士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

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