従業員がメンタル不調で休職するとき──傷病手当金・休職中の対応・復職まで会社が確認すること
浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
メンタル不調の診断書を受け取ったら、まず就業規則の休職制度を確認します。休職は全国一律の法定制度ではなく、定めを置く場合に就業規則へ記載する事項(労働基準法第89条第10号)で、会社ごとに異なるためです。休職中は賃金の取扱い、社会保険料、傷病手当金、本人との連絡方法、健康情報の扱いを整理します。傷病手当金は業務外の傷病で労務に服することができないときの健康保険の給付で、待期3日には有給休暇や土日・祝日等の公休日も含まれ、支給期間は同一の傷病について通算1年6か月です。復職は主治医の「復職可」だけで機械的に決めるものではなく、厚生労働省の職場復帰支援の手引きが示す5ステップで進めます。休職の開始から復職後のフォローまで、会社が確認することを整理します。
結論(先に要点):メンタル不調の診断書を受け取ったら、まず就業規則の休職制度を確認します。休職は全国一律の法定制度ではなく、会社の定めによる部分が大きいためです。復職の判断も、主治医の診断書だけで機械的に決めるものではありません。
休職に入ったあとは、賃金の取扱い、社会保険料、傷病手当金、本人との連絡方法、健康情報の扱いを整理していきます。復職のときは、担当している業務、勤務時間、通勤といった実際の条件に照らして、業務遂行能力と職場側の受入体制を確認します。休職期間の満了、退職、解雇といった個別の法的判断が問題になる場面は、弁護士にご確認ください。
この記事は、メンタル不調による休職者が出た「後」に、会社が休職開始から復職まで何を確認するかに絞っています。不調が起きる前の把握についてはストレスチェックの記事を、退職や解雇が争いになった場面の相談先については解雇の相談先の記事をご覧ください。
メンタル不調の診断書が出たら、会社は最初に何をする?
診断書を受け取ったら、診断書の内容を確認すると同時に、就業規則・休職規程を確認します。「その診断内容が休職事由に当たるか」「休職は会社が命じるのか、本人の申出と会社の承認によるのか」「開始日と期間をどう数えるか」を、規程の文言で確かめます。診断書の提出は重要な判断材料ですが、提出したその日から自動的に休職が始まる、という制度ではありません。
確認する項目は次のとおりです。
- 診断書の記載内容(病名、療養を要する期間、就業の可否についての記載の有無)
- 就業規則上の休職事由に当たるか
- 休職を発令する主体と手続(誰が、どの書面で)
- 休職開始日の起算。欠勤が先行している場合、その欠勤期間を通算する定めがあるか
- 休職できる期間と、延長・再発時の通算の定め
- 会社側の連絡窓口(直属の上司ではなく、人事など特定の担当者に一本化する)
- 診断書など健康情報の受領・保管の方法
年次有給休暇が残っている場合、休職の前に取得するかどうかは本人の意向を確認する事項です。傷病手当金の待期との関係もあるため、後述の内容と合わせて整理してください。
就業規則そのものの整備については、就業規則の記事もご覧ください。
休職制度は法律で一律に決まっているのか?
労働基準法には、休職制度をすべての会社に設けるよう義務づける規定は置かれていません。労働基準法第89条は就業規則の記載事項を定めていますが、そのうち第10号は「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」という書き方になっています。つまり、休職の定めを置く場合に就業規則へ記載する、という条件つきの記載事項です。
そのため、次のことはすべて会社ごとに異なります。
- 休職事由(私傷病に限るか、勤続年数による違いを設けるか)
- 休職できる期間と、延長の可否
- 復職の要件と、復職を認める手続
- 復職後に再び同じ事由で休職した場合の通算
- 休職期間が満了したときの取扱い
一方、第89条第3号「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」は、定めをするかどうかにかかわらない記載事項です。休職期間満了時の取扱いは、この第3号にも関わってきます。規程の書きぶりによって結論が変わりうるところなので、自社の条文を実際に読んで確認してください。
なお、就業規則の作成・届出義務は事業場単位で判断されます。常時10人未満で作成義務がない事業場でも、休職の定めを整えておくと、実際に不調者が出たときの判断が早くなります。
休職中の給与・社会保険料はどうなる?
休職中の賃金の取扱いは、就業規則・賃金規程・労働契約等を確認します。法律が「必ず無給」「必ず有給」と一律に決めているわけではありません。まず自社の定めを読み、休職に入る前に本人へ説明しておきます。
社会保険については、考え方が違います。雇用関係と被保険者資格が継続する場合、私傷病による休職だけを理由に当然に資格を喪失するわけではなく、原則として社会保険料の負担が続きます。賃金の支払いがない月であっても、本人負担分は発生しうるということです。
ここで混同しやすいのが、保険料の免除制度です。日本年金機構が保険料の免除として案内しているのは産前産後休業・育児休業等の期間であり、私傷病による休職はそこに掲げられていません。「休職すれば保険料が免除される」という前提で話を進めないよう注意してください。
本人負担分をどう受け取るかは、法令と自社の規程を確認したうえで、本人に説明し、休職に入る前に方法を決めておきます。決めた内容は書面に残してください。傷病手当金は本人の口座に振り込まれる給付なので、そこから会社が自動的に控除するという建て付けにはなりません。
住民税の特別徴収の扱いや年末調整への影響は、税務の領域です。税理士にご確認ください。
傷病手当金はどんな場合に使える?
傷病手当金は、業務外の病気やケガの療養のため労務に服することができないときに支給される健康保険の給付です。健康保険法第99条第1項は、労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から支給すると定めています。この最初の3日間が「待期」です。
協会けんぽは、支給の条件として「業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること」「仕事に就くことができないこと」「連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと」「休業した期間について給与の支払いがないこと」を挙げています。
待期の数え方でよく誤解があるのは、次の2点です。
- 待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれます。給与の支払いがあったかどうかは関係ありません
- ただし連続していることが必要です。2日休んだ後に1日出勤すると、そこで待期は成立しません
支給される額は、健康保険法第99条第2項により、支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額です。なお、標準報酬月額が定められている月が12か月に満たない場合には、同項ただし書により別の算定方法(各号に掲げる額のうちいずれか少ない額の3分の2)が用いられます。入社して間もない従業員の場合は、この点を確認してください。
給与が支払われている期間との調整もあります。健康保険法第108条第1項は、報酬の全部または一部を受けることができる期間は傷病手当金を支給しないとしたうえで、その報酬額が第99条第2項により算定される額より少ないときは差額を支給する、と定めています。
支給期間は、同一の傷病について支給を始めた日から通算して1年6か月です(第99条第4項)。この通算化は、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)により、令和4年1月1日から適用されています。
傷病手当金は、被保険者本人に対する給付です。本人自身で申請できるほか、社会保険労務士へ申請書の作成・提出の代行を依頼することもできます。いずれの場合も、被保険者本人の記入に加えて、事業主の証明と療養担当者の意見が必要です(2026年8月現在の協会けんぽの様式は4ページ構成で、事業主記入用と療養担当者記入用がそれぞれ1ページずつ設けられています)。会社の証明が要るため、休職中の事務として必ず発生します。申請のサイクルと必要書類は、休職の開始時に整理しておいてください。
任意継続被保険者については、健康保険法第99条第1項が括弧書きで対象から除いています。任意継続の期間中に新たに発生した傷病は、原則として支給の対象になりません。一方、退職前から受けていた場合など、資格喪失後の継続給付の要件を満たすときは、退職後も残りの期間について受けられる場合があります。要件は個別に異なるため、詳細は加入している保険者にご確認ください。
なお、業務上の事由による場合は労災保険の領域であり、傷病手当金とは別の制度です。精神障害の労災認定は個別の判断になるため、この記事では扱いません。
休職中、会社は本人とどの程度連絡してよい?
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、休業開始から休業中のケアを第1ステップに位置づけ、必要な情報提供や相談対応を行うことを示しています。連絡を取ること自体が問題なのではなく、療養を妨げない形に整えられているかどうかが実務の分かれ目になります。
休職に入る時点で、次を決めて本人と共有しておきます。
- 窓口を誰にするか(直属の上司が窓口だと本人の負担になりやすいため、人事などに一本化する)
- 頻度と方法(メール、郵送、電話のどれを基本にするか)
- 会社から必ず連絡する事項(診断書の提出時期、社会保険料の本人負担分、傷病手当金の申請サイクル、休職期間満了前の通知)
- 本人から連絡してほしい事項(療養の見通しに変化があったとき、復職を希望するとき)
聴く内容は「療養の見通し」と「就業に関する事項」に絞り、病状の詳細を繰り返し尋ねることは避けてください。家族を窓口とする場合は、本人の同意を確認しておきます。
診断書や病名などの健康情報は、社内でどこまで共有してよい?
労働安全衛生法第104条第1項は、労働者の心身の状態に関する情報について、「労働者の健康の確保に必要な範囲内で」収集し、「当該収集の目的の範囲内で」保管・使用しなければならないと定めています。同条第3項に基づく指針(労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針。平成30年9月7日 公示第1号、改正 令和4年3月31日 公示第2号)は、取り扱う目的を「労働者の健康確保措置の実施や事業者が負う民事上の安全配慮義務の履行」とし、取り扱う者とその権限、取り扱う情報の範囲を定めることが適切だとしています。
実務で使いやすいのは、指針が示す情報の「加工」の考え方です。指針は、提供する情報の内容を記録そのものではなく「所見の有無や検査結果を踏まえた就業上の措置に係る医師の意見に置き換える」ことを挙げています。復職の場面では、管理監督者への共有を、病名や診断書そのものではなく、就業上必要な措置や勤務制限といった形に加工して伝える方法が有効です。
病名等を共有する必要がある場合もあります。その場合は、次を確認したうえで行ってください。
- 何のために共有するのか(目的)
- 誰が取り扱うのか(取扱者)と、その権限の範囲
- どこまでが必要な範囲か
- 本人への説明をどう行うか
このほか、保管場所とアクセスできる者、保存期間もあわせて決めておきます。病歴は、個人情報の保護に関する法律第2条第3項の要配慮個人情報に含まれます。ほかの人事情報と同じ感覚で回覧しないでください。
主治医が「復職可能」と書けば、そのまま復職させるのか?
厚生労働省の手引きは、この点をはっきり書いています。
主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限りません。
診断書は重要な資料です。ただし、そこに「復職可」とあることが、そのまま自動的な復職を意味するわけではありません。
一方で、逆の単純化も避けてください。「いま担当している仕事が休職前とまったく同じようにはできない、だから復職は認められない」という決め方も、実際には確認が足りていない場合があります。会社が見る項目は次のようなものです。
- 労働契約で職務が限定されているかどうか
- 勤務時間の短縮、残業・出張・深夜業の制限といった就業上の措置で対応できる範囲があるか
- 現職以外に配置できる可能性があるか
- 職場側の受入体制(引き継ぎ、指揮命令、フォローの担当者)が整っているか
- 通勤の負担、業務量、対人接触の程度
主治医に意見を求めるときは、担当業務の内容、勤務時間、通勤時間、繁忙の度合いといった会社側の情報を伝えたうえで照会します。手引きには職場復帰支援に関する情報提供依頼書の様式例があります。いずれの場合も、本人の同意を前提としてください。
どこまで配置転換や就業上の措置を検討すべきか、復職を認めないという判断ができるかは、労働契約の内容と個別の事情によって変わります。この線引きが問題になる場面は、弁護士にご確認ください。医学的な判断は医師が行います。
復職までの5ステップは?
厚生労働省の手引き(平成24年7月改訂)は、職場復帰支援を5つのステップで整理しています。
表A:職場復帰支援の5ステップ
| ステップ | 名称 | 会社が主に動くこと |
|---|---|---|
| 第1 | 病気休業開始及び休業中のケア | 休職の手続、傷病手当金等の事務、連絡方法の取決め |
| 第2 | 主治医による職場復帰可能の判断 | 復職申出の受付、診断書の受領、業務情報の提供 |
| 第3 | 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成 | 業務遂行能力の確認、配置の検討、プランの作成 |
| 第4 | 最終的な職場復帰の決定 | 就業上の措置の決定、本人への説明、記録 |
| 第5 | 職場復帰後のフォローアップ | 面談、プランの実施状況の確認と見直し |
実務で手が止まりやすいのは第3ステップと第5ステップです。第3は判断とプラン作成が同時に求められるところ、第5は日常業務に紛れて省略されやすいところです。
復職までにかかる期間は会社によって違います。日数を決め打ちせず、第3ステップの検討に必要な時間を見込んでスケジュールを組んでください。
職場復帰支援プランには何を書く?
手引きは、職場復帰支援プランに盛り込む項目として次を挙げています。
(ア)職場復帰日/(イ)管理監督者による就業上の配慮/(ウ)人事労務管理上の対応等/(エ)産業医等による医学的見地からみた意見/(オ)フォローアップ/(カ)その他
具体化するときの目安は次のとおりです。
- 業務量と業務内容を段階的に戻す期間を区切る
- 残業、出張、深夜業の制限をいつまで置くか
- 通院のための時間をどう確保するか
- 定期面談の頻度と担当者
- 再評価の日をあらかじめ決めておく
- 人事評価や賃金の扱いを事前に決め、本人へ説明しておく
「配慮」は、本人の希望をすべて受け入れることと同じではありません。医学的な意見、業務上の必要性、会社の受入可能性を突き合わせて決めます。
また、本人の状態が障害者の雇用の促進等に関する法律上の「障害者」に該当する場合には、同法第36条の3の合理的配慮も検討事項となります。同条は必要な措置を講じることを求めたうえで、「事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。」とただし書を置いています。該当するかどうか、どの措置が必要かは、個別にご確認ください。
復職後の時間外労働の管理については、36協定の記事もご覧ください。
試し出勤・短時間勤務はどう考える?
手引きは、正式な職場復帰の前に行うものとして「模擬出勤」「通勤訓練」「試し出勤」の3つを挙げています。そのうえで、次のように書いています。
この間の処遇や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等について、あらかじめ労使間で十分に検討しておくとともに、一定のルールを定めておく必要があります。
つまり、始める前に決めておくことが前提になっている取組みです。決めておく事項は次のとおりです。
- 出勤として扱うのか、扱わないのか
- 賃金を支払うか、支払う場合の根拠
- その間に災害が発生した場合の対応
- 交通費
- 時間帯、1日あたりの時間数、実施する期間
- 指揮命令を行うのか、どの業務をどこまで任せるのか
- 人事評価への反映
- 中止する場合の基準
使用者の指示で業務を行わせる場合などは、労働基準法や労災保険法の適用が問題になり得ます。この判断は実態によって変わるため、争いになりうる場面は弁護士にご確認ください。
短時間勤務で復帰する場合は、まず人事労務上の位置づけを明確にします。短時間勤務制度として所定労働時間を短縮するのか、それとも一定期間の就業上の措置として勤務時間を制限するのか、という区別です。そのうえで、賃金、社会保険の扱い、実施する期間、通常勤務へ戻す条件を整理してください。
産業医がいない会社は、誰に相談して復職を進める?
産業医の選任義務がない規模の事業場についても、労働安全衛生法第13条の2第1項は次のように定めています。
事業者は、前条第一項の事業場以外の事業場については、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師その他厚生労働省令で定める者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない。
労働者数50人未満の小規模事業場は、地域産業保健センター(地さんぽ)の産業保健サービスを無料で利用できる場合があります。健康管理に関する相談にはメンタルヘルスに関することも含まれ、医師等による訪問指導もあります。ただし、地さんぽが個別の復職可否を一律に判定してくれるわけではありません。利用できる条件、回数、内容は所在地のセンターへご確認ください。
このほか、外部の産業医や産業保健職と契約する、都道府県の産業保健総合支援センターを使う、主治医へ情報提供を依頼する(本人の同意が前提)といった方法があります。
表B:誰が何を担当するか
| 主体 | 休職中 | 復職の準備 | 復職後 |
|---|---|---|---|
| 会社 | 休職の手続、連絡方法の取決め、社会保険の事務 | 業務情報の整理、可否の判断、プランの作成 | 就業上の措置の実施、面談、プランの見直し |
| 本人 | 療養、診断書の提出、状況の連絡 | 復職の申出、主治医への相談、情報提供への同意 | 体調の報告、面談への参加 |
| 医師 | 診断、療養の指示 | 復職に関する医学的な意見 | 治療の継続、必要な意見 |
| 社会保険労務士 | 規程の確認、社会保険の手続、事務の整理 | 手続と様式の整備、労務面の運用整理 | 就業条件の整理、規程の見直し |
医学的な判断は医師が行います。紛争になった場面の法的判断は弁護士が行います。社会保険労務士は、就業規則と手続、労務運用の側を担当します。
休職期間満了が近づいたら何を確認する?
まず、就業規則の休職期間、延長の定め、復職の要件、満了時の取扱いを、規程の文言で確認します。そのうえで、次を整理します。
- 最新の診断書
- 業務遂行能力の状況
- 労働契約上の職務の範囲と、配置の可能性
- 就業上の措置で対応できる範囲があるか
- 過去の同種の事案でどう運用してきたか
- 傷病手当金の残りの支給期間(通算1年6か月との関係)
進め方としては、満了日から逆算して、本人へ通知する時期、診断書の提出期限、面談の設定を決めます。通知した内容、面談の記録、受け取った書類はすべて残してください。
休職期間が満了すれば当然に退職や解雇になるかは、規程の内容、これまでの運用、個別の事情によって変わります。この記事では結論を出しません。退職、解雇、復職を認めないという判断が問題になる場面の相談先については、解雇の相談先の記事をご覧ください。
会社は、結局何をすればよい?
順番に並べると、次の7つになります。
- 就業規則・休職規程を確認する
- 診断書等を確認し、休職開始の手続をとる
- 賃金の取扱い、社会保険料、傷病手当金を整理する
- 休職中の連絡方法と健康情報の取扱いを決める
- 復職の申出と診断書を受ける
- 業務遂行能力を確認し、職場復帰支援プランを作る
- 復職後も一定期間フォローする
7番目を省かないでください。手引きが第5ステップを置いているのは、復職した時点が終わりではないからです。
四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?
当事務所がお引き受けするのは、休職と復職の「制度と手続」の側です。
- 就業規則・休職規程の整備、復職手続のルール化
- 休職開始から復職までの社内フローと様式の整備
- 賃金・社会保険の取扱いの整理
- 傷病手当金など社会保険に関する手続。健康保険法は、社会保険労務士法別表第一に掲げられた労働社会保険諸法令に含まれます(社会保険労務士法第2条第1項第1号・第1号の2)
- 復職に向けた労務面の運用整理(面談記録、就業上の措置の設計、規程の見直し)
次のものは、当事務所では扱いません。
- 医学的な判断、復職の医学的な可否、面接指導 → 医師
- 解雇・復職拒否の個別の適法性判断、紛争化した場面の交渉・訴訟 → 弁護士
- 税務に関する相談 → 税理士
四葉不動産株式会社、四葉行政書士事務所、四葉社会保険労務士事務所は、それぞれ独立した事業体として業務を受任します。他の専門家をご紹介する場合も、お客様に直接ご契約いただく形をご案内し、当事務所は紹介料を受け取りません。
ご相談は無料です。サービス内容とご相談の流れもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. メンタル不調の診断書が出たら、会社は必ず休職させなければなりませんか?
A. 休職制度は労働基準法がすべての会社に義務づけている制度ではなく、就業規則等の定めによります。診断書の内容を確認すると同時に、その診断内容が自社の休職事由に当たるかを規程で確かめてください。診断書は判断材料であり、提出したその日から自動的に休職が始まるという制度ではありません。休職の定めがない会社では、欠勤の扱いをどう整理するかという検討になります。
Q. 休職中の給与と社会保険料はどうなりますか?
A. 賃金の取扱いは、就業規則・賃金規程・労働契約等を確認します。法律が一律に「無給」「有給」と決めているわけではありません。社会保険は、雇用関係と被保険者資格が継続する場合、私傷病による休職だけを理由に当然に資格を喪失するわけではなく、原則として保険料の負担が続きます。産前産後休業・育児休業等の保険料免除制度とは別のものです。本人負担分の受け取り方は、法令と自社の規程を確認したうえで、休職に入る前に本人へ説明して決めておいてください。
Q. 主治医が「復職可能」と診断したら、会社は必ず復職させる必要がありますか?
A. 厚生労働省の手引きは、主治医の診断について「必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限りません」としています。会社は診断書を重要な資料としたうえで、担当業務、勤務時間、通勤、配置の可能性、職場側の受入体制を確認します。一方で、現職が休職前とまったく同じにはできないというだけで復職不可と決めるのも、確認が足りていない場合があります。医学的な判断は医師が行い、復職を認めない判断ができるかという線引きは弁護士にご確認ください。
Q. 休職期間が満了したら、自動的に退職になりますか?
A. 規程の内容、これまでの運用、個別の事情によって変わるため、一律に「当然に退職や解雇になる」とは言えません。満了前に、最新の診断書、業務遂行能力、配置の可能性、就業上の措置で対応できる範囲を整理し、本人への通知と面談の記録を残してください。退職や解雇が問題になる場面は弁護士にご確認ください。
この記事の根拠
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条第3号(退職に関する事項=解雇の事由を含む)・第10号(定めをする場合に記載する事項)
- 健康保険法(大正11年法律第70号)第99条第1項(待期3日・任意継続被保険者を除く)・第2項(支給額と12か月未満の場合のただし書)・第4項(通算1年6か月)、第108条第1項(報酬との調整・差額支給)
- 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)── 傷病手当金の支給期間の通算化。令和4年(2022年)1月1日施行
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第13条の2第1項(産業医の選任義務がない事業場の努力義務)、第104条第1項〜第3項(心身の状態に関する情報の取扱い)
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第3項(要配慮個人情報=病歴を含む)
- 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)第36条の3(必要な措置とただし書=過重な負担)
- 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項第1号・第1号の2・第3号。健康保険法は同法別表第一に掲げられた労働社会保険諸法令に含まれます
- 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(平成16年10月作成、平成24年7月改訂)── 5ステップ、職場復帰支援プランの項目、試し出勤等の3類型、主治医の判断についての記述
- 厚生労働省「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成30年9月7日 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第1号、令和4年3月31日 同公示第2号改正)
- 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日 健康保持増進のための指針公示第3号、平成27年11月30日 同公示第6号改正)
- 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」、健康保険傷病手当金支給申請書の様式 ── 支給の4条件、待期に有給休暇・土日祝等の公休日を含むこと、資格喪失後の継続給付の要件
- 日本年金機構「保険料の免除等(産休・育休関係)」── 保険料免除の対象として掲げられているのは産前産後休業・育児休業等の期間
- 厚生労働省「こころの耳」地域産業保健センター ── 労働者数50人未満の小規模事業場が対象、無料
- 公的資料・条文は2026年8月19日に確認
この記事は、誰に相談するかまで決めるものではありません。四葉社会保険労務士事務所では、休職・復職に関する就業規則や休職規程の整備、休職開始から復職までの社内フローと様式、賃金・社会保険の取扱いの整理、傷病手当金など社会保険の手続、復職に向けた労務面の運用整理についてご相談いただけます。復職の医学的な可否や面接指導は医師、解雇・復職拒否の個別の適法性判断や紛争化した場面の交渉・訴訟は弁護士、税務は税理士の領域です。別の専門家が必要な場合は、それぞれ別契約となり、紹介料はありません。ご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
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