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2026.08.31許認可の手続き(行政書士の実務から)

自動車の特定整備(分解整備)の認証申請は、どんな要件でどう進める?──整備主任者・設備・運輸支局の手続き

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

自動車の特定整備(従来の分解整備に電子制御装置整備を加えたもの)を業として行うには、道路運送車両法第78条にもとづく地方運輸局長の認証が事業場ごとに必要です。認証基準(第80条)、整備主任者などの人的要件(施行規則第62条の2の2)、作業場・車両置場やスキャンツールなどの設備、2020年(令和2年)4月1日施行の特定整備制度(電子制御装置整備の追加)、運輸支局への申請の流れを整理し、物件は不動産、登記は司法書士、労務は社会保険労務士、税務は税理士へ分離受任で振る分担を示しました。

結論(先に要点):自動車の特定整備(従来の分解整備に電子制御装置整備を加えたもの)を業として行うには、道路運送車両法第78条にもとづく地方運輸局長の認証を、事業場ごとに受ける必要があります。認証の基準は第80条にあり、作業場・車両置場の規模(道路運送車両法施行規則の別表第四)、整備主任者などの要員(同施行規則第62条の2の2)、作業機械・器具・スキャンツールなどの設備を満たすことが求められます。申請先は事業場の所在地を管轄する運輸支局(地方運輸局長あて)です。2020年(令和2年)4月1日施行の改正で、従来の「分解整備」が「特定整備」に拡大され、自動運行装置や運転支援に関わる電子制御装置整備が新たに加わりました。本記事は、認証が必要になる整備の範囲、人的・設備の要件、2020年改正の内容、申請の流れ、物件・登記・税務を誰に振るかを行政書士の視点で整理する一般的な情報提供です。個別の認証の可否や必要書類は、管轄の運輸支局の取扱いによります。

特定整備の認証は、どんな整備をするときに必要になりますか?

特定整備は、道路運送車両法施行規則第3条で定義されています。同条第1号から第7号までが従来の「分解整備」にあたり、原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置、連結装置を取り外して行う整備・改造が対象です。第8号・第9号が2020年に加わった「電子制御装置整備」で、自動運行装置や、衝突被害軽減ブレーキ・車線逸脱警報などの運転支援に使われるカメラ・レーダー等のセンサーの取り外し・調整(いわゆるエーミング)が対象になります。

これらの特定整備を、他人の求めに応じ有償・反復して業として行う場合、道路運送車両法第78条第1項により、地方運輸局長の認証が必要です。認証は事業場ごとに、特定整備事業の種類(分解整備・電子制御装置整備)と対象とする自動車の種類(普通・小型・軽・大型など)を定めて受けます。認証を受けずに特定整備を業として行うと、法令違反として罰則の対象になります。

事項内容
根拠道路運送車両法第78条第1項(自動車特定整備事業の認証)
対象分解整備(施行規則第3条第1号〜第7号)/電子制御装置整備(同第8号〜第9号)
単位事業場ごと・事業の種類と対象自動車の種類を定めて受ける
申請先事業場の所在地を管轄する運輸支局(地方運輸局長あて)

自分の工場で行う整備が分解整備・電子制御装置整備にあたるかどうかは、作業の内容によります。判断に迷う場合は、事業計画に照らして管轄の運輸支局に事前相談するのが確実です。

認証に必要な人(整備主任者・工員)と設備の要件は何ですか?

道路運送車両法第80条は、地方運輸局長が認証の申請を審査する際の基準を定めており、事業場の設備・従業員・作業管理の状況が国土交通省令で定める基準に適合しないときは認証をしてはならないとしています。実務上の要件は、大きく人的要件と設備・作業場の要件に分かれます。

区分主な要件
整備主任者道路運送車両法施行規則第62条の2の2にもとづき選任。一級又は二級の自動車整備士等の資格が必要。電子制御装置整備では、原則として運輸支局長等が行う電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習の修了が必要(一級大型・一級小型の整備士は講習免除)
工員対象とする自動車の種類・作業に応じた人数を確保
設備作業に必要な作業機械・器具。電子制御装置整備では性能・機能の要件を満たすスキャンツールや水準器等が必要
作業場・車両置場施行規則の別表第四に掲げる規模の屋内作業場・車両置場(対象とする自動車の種類で数値が異なる)

なお、電子制御装置整備で必須とされてきたスキャンツールについては、2025年7月8日の省令改正で、原動機等の分解整備を行う事業場にも備付けが求められる方向へ拡大されています。作業場・車両置場の具体的な間口・奥行・面積は施行規則の別表第四によりますが、対象車種で異なるため、物件を決める前に運輸支局の基準に照らして確認しておくと差戻しを避けられます。作業場・車両置場となる物件側の要件は、別事業体の四葉不動産株式会社がまとめた自動車整備工場(認証工場)に使える物件の要件もあわせてご確認ください。

2020年の分解整備から特定整備への改正で、電子制御装置整備は何が変わりましたか?

自動運転・運転支援技術の普及にともない、道路運送車両法施行規則が改正され、2020年(令和2年)4月1日から従来の「分解整備」が「特定整備」に拡大されました。この改正で、機械部分を取り外して行う分解整備に加え、電子制御装置整備が新たに認証の対象になりました。

事項内容
施行日2020年(令和2年)4月1日
変更点「分解整備」を「特定整備」へ拡大し、電子制御装置整備を追加
電子制御装置整備の対象自動運行装置、運転支援に係るカメラ・レーダー等のセンサーの取り外し・調整(エーミング)等
経過措置2020年(令和2年)3月31日までに電子制御装置整備を行っていた事業者は、2024年(令和6年)3月31日まで認証なしで継続可能とされたが、この経過措置はすでに終了

経過措置が令和6年3月31日で終了しているため、現在はエーミング等の電子制御装置整備を認証なしで行うことはできません。すでに分解整備の認証工場でも、電子制御装置整備を行うには、その種類を追加する認証(変更・追加の申請)が別途必要です。

認証申請の書類と運輸支局での手続きの流れはどうなりますか?

認証は、道路運送車両法第79条により、事業場の所在地を管轄する運輸支局を経由して地方運輸局長へ申請します。主な流れと書類は次のとおりです。

段階内容
事前相談作業場の図面・設備・要員を整理し、管轄の運輸支局へ事前に相談
書類準備認証申請書、整備主任者の選任届、工員名簿と整備士資格を証する書面、作業場・車両置場の配置図・写真、土地建物の登記事項証明書又は賃貸借契約書、法人は登記事項証明書 等
申請・審査運輸支局へ申請。書類審査と、必要に応じ作業場・設備の実地調査
認証・掲示認証後、認証標識を掲げ、特定整備記録簿を備えて記録する

認証申請書やその添付書類の作成は、官公署に提出する書類の作成として行政書士が業務の範囲で支援できます。四葉行政書士事務所では、行政書士業務の範囲で、認証申請書や整備主任者選任届などの作成を支援します。個別の必要書類や実地調査の要否は、管轄の運輸支局の取扱いによります。

なお、認証工場(第78条)と、指定自動車整備事業(第94条の2)に基づく指定工場(いわゆる民間車検場)は別の制度です。指定工場は工場内で完成検査を行い保安基準適合証を交付できますが、認証工場は運輸支局で検査を受けます。指定工場の指定申請も、行政書士が官公署提出書類の作成として支援できます。

物件の要件確認・会社の設立や税務は、それぞれ誰に頼めばよいですか?

特定整備の認証取得は、書類作成だけでなく、物件・登記・労務・税務が関わります。担当は次のとおり分かれます。

  • 特定整備事業(分解整備・電子制御装置整備)の認証申請書類、指定工場の指定申請書類、整備主任者選任届の作成 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 作業場・車両置場となる物件探し、用途地域や使用権原の確認、賃貸借契約 → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)
  • 会社設立・役員変更などの登記、土地建物の所有権に関する登記 → 司法書士(建物表題・分筆などの表示に関する登記は土地家屋調査士)
  • 従業員の労働保険・社会保険の加入、就業規則・36協定 → 社会保険労務士
  • 法人税・所得税・消費税など税務の相談・申告 → 税理士

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。各分野は、それぞれの資格者と独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。運送業を兼ねる場合の営業所・車庫の要件は一般貨物自動車運送事業の営業所・車庫の要件貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)の届出もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 認証工場と指定工場(民間車検場)は何が違いますか?
A. 認証工場は道路運送車両法第78条にもとづき特定整備を行える工場で、車検(継続検査)の完成検査は運輸支局で受けます。指定工場は同法第94条の2にもとづく指定自動車整備事業で、工場内で完成検査を行い保安基準適合証を交付できる、いわゆる民間車検場です。指定を受けるには認証を前提に、より厳しい設備・要員・検査体制の基準を満たす必要があります。どちらの申請書類も行政書士が官公署提出書類の作成として支援できます。

Q. エーミング(カメラ・レーダーの調整)だけを行う場合も認証は必要ですか?
A. 自動運行装置や運転支援に係るカメラ・レーダー等のセンサーの取り外し・調整(エーミング)は、道路運送車両法施行規則第3条の電子制御装置整備にあたり、業として行うには第78条の認証が必要です。2020年3月31日までに行っていた事業者に認められた経過措置は令和6年3月31日で終了しており、現在は認証なしで行うことはできません。

Q. 賃貸物件でも認証は取れますか?
A. 作業場・車両置場について使用権原があれば、賃貸物件でも認証の対象になり得ます。申請では土地建物の賃貸借契約書などで使用権原を示します。ただし作業場・車両置場の規模(施行規則の別表第四)や用途が満たされている必要があるため、契約前に物件側の要件を確認しておくのが確実です。物件側の要件は宅地建物取引業者に確認するのが安全です。

Q. 認証申請の書類作成は誰に頼めますか?
A. 認証申請書やその添付書類は官公署に提出する書類であり、その作成は行政書士が業務の範囲で支援できます。作業場・車両置場となる物件の賃貸借は宅地建物取引業者、会社設立などの登記は司法書士、労務は社会保険労務士、税務は税理士が、それぞれ独立した事業体として別々に対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「道路運送車両法」(昭和26年法律第185号)第78条・第79条・第80条・第94条の2(参照日 2026-08-31)
  • e-Gov法令検索「道路運送車両法施行規則」(昭和26年運輸省令第74号)第3条(特定整備の定義)・第62条の2の2(整備主任者)・別表第四(作業場・車両置場の規模)(参照日 2026-08-31)
  • 国土交通省「自動車特定整備事業について」(分解整備から特定整備への拡大、電子制御装置整備の追加、2020年4月1日施行、経過措置は令和6年3月31日で終了)(参照日 2026-08-31)
  • 国土交通省・各地方運輸局「自動車特定整備事業 認証取得説明用資料」(作業場・車両置場、整備主任者資格取得講習、スキャンツール等の設備、認証申請書類)(参照日 2026-08-31)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の認証の可否、必要書類、作業場・車両置場の規模、実地調査の要否を保証するものではありません。認証の基準や様式、整備主任者講習の日程・手数料は、管轄の運輸支局・登録講習機関で扱いが異なるため、申請先の最新の案内で確認してください。作業場・車両置場の物件探しと賃貸借は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、会社設立・所有権に関する登記は司法書士、従業員の労務・社会保険は社会保険労務士、税務は税理士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。

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