農地を宅地に変えるには?──農地法4条・5条の転用許可の流れと必要書類・用途地域・期間
農地を宅地・駐車場などに変える「農地転用」には、農地法にもとづく許可か届出が必要です。自己転用は第4条、権利移動を伴う転用は第5条で、市街化区域内なら農業委員会への届出で足ります(第4条第1項第7号・第5条第1項第6号)。市街化調整区域など区域外は都道府県知事等の許可が必要です。4条許可と5条許可の違い、区域による許可/届出の別、農業委員会への申請書類、期間の目安、無断転用の罰則(第64条)を整理し、許可・届出書類は行政書士、登記は司法書士・土地家屋調査士、売買は不動産、税務は税理士へ分離受任で振る分担を示しました。
結論(先に要点):農地を宅地・駐車場・資材置場などに変える「農地転用」には、農地法にもとづく許可か届出が必要です。自分の農地を自分で転用するなら第4条、売買・贈与・貸借など権利の移動を伴って転用するなら第5条です。市街化区域内の農地なら、あらかじめ農業委員会へ届け出れば都道府県知事等の許可は要りません(第4条第1項第7号・第5条第1項第6号)。市街化調整区域など区域外は都道府県知事等(指定市町村は市町村長)の許可が必要です。本記事は、4条許可と5条許可の違い、区域による許可/届出の別、農業委員会への申請書類、期間の目安、そして登記・売買・税務を誰に振るかを整理します。個別の許可の可否は農業委員会・都道府県が判断します。
農地転用の4条許可と5条許可は何が違う?
農地転用とは、農地を農地以外(宅地・駐車場・資材置場・太陽光発電用地など)にすることです。農地法は、誰が転用するかで条文を分けています。
| 条文 | 使う場面 | 申請する人 |
|---|---|---|
| 農地法第4条(転用の制限) | 農地の所有者が、自分の農地を自分で農地以外に転用する。権利の移動はない | 転用する所有者 |
| 農地法第5条(転用のための権利移動の制限) | 農地を転用する目的で、売買・贈与・貸借など権利の移動を伴う | 譲渡人(所有者)と譲受人(転用する人)が共同で |
たとえば、自分の田畑に自宅を建てるのは第4条、農地を買った人(または借りた人)が宅地にするのは第5条です。相続で取得した農地をそのまま宅地化して売る場合は、買主への権利移動を伴うため第5条になります。
なお、農地かどうかは登記の地目ではなく現況で判断されます(農地法第2条第1項の農地の定義)。地目が「畑」でも現況が農地でなければ扱いが変わり、逆に地目が「宅地」でも現況が農地なら転用手続の対象になり得ます。判断は農業委員会が行います。
市街化区域と市街化調整区域で手続きはどう変わる?
同じ転用でも、その農地がどの区域にあるかで「届出」か「許可」かが分かれます。
| 区域 | 手続 | 根拠 |
|---|---|---|
| 市街化区域内 | 農業委員会へ届出(受理通知で足りる。知事許可は不要) | 第4条第1項第7号(自己転用)/第5条第1項第6号(権利移動を伴う転用) |
| 市街化調整区域・非線引き区域など区域外 | 都道府県知事等(指定市町村は市町村長)の許可 | 第4条第1項・第5条第1項 |
市街化区域は「計画的に市街化を進める区域」なので、農地を宅地等にすることが政策的に予定されており、届出で足ります。これに対し、市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」なので許可のハードルが高く、そもそも建物の建築自体に都市計画法上の制限もかかります。
また区域外の農地は、農用地区域内農地・第1種農地・甲種農地・第2種農地・第3種農地に区分され、区分ごとに許可の見込みが変わります。農用地区域内農地や第1種農地は原則不許可、市街地に近い第3種農地は許可されやすい、という立地基準があります。どの区分に当たるかは農業委員会でご確認ください。
農業委員会への申請にはどんな書類がいる?
書類は許可申請と届出で異なり、様式は市町村の農業委員会ごとに用意されています。代表的なものは次のとおりです。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 共通 | 申請書(4条)または当事者連署の申請書(5条)、土地の登記事項証明書、位置図・公図・地番図、転用計画(施設の配置図・資金計画) |
| 許可(区域外)で加わるもの | 被害防除計画、周辺農地への影響の説明、法人は登記事項証明書・定款、賃貸借なら契約書案 など |
| 届出(市街化区域)で加わるもの | 届出書、権利者の確認書類 など(許可より簡素) |
書類の名称・部数・添付資料は農業委員会ごとに異なります。四葉行政書士事務所では、行政書士業務の範囲で、許可申請書・届出書の作成、添付書類の整理、農業委員会窓口への確認を支援します。許可・届出の受理、農地への該当性、立地基準の判断は農業委員会・都道府県が行います。
許可が下りるまでの期間はどれくらい?
期間は手続の種類と自治体で大きく変わります。あくまで目安です。
| 手続 | 期間の目安 |
|---|---|
| 届出(市街化区域) | 受理通知の交付までおおむね1〜2週間程度 |
| 許可(区域外) | 農業委員会は月1回程度の総会で審議し、都道府県へ進達するため、申請から許可までおおむね数週間〜2か月程度が目安 |
総会の開催日や締切、標準処理期間は自治体ごとに定められています。売買や建築のスケジュールを組む前に、当該農業委員会・都道府県の公式ページで受付日程と標準処理期間を直接確認してください。
なお、許可・届出を受けずに農地を無断で転用すると、農地法第64条により3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(法人には第67条により1億円以下の罰金)の対象となり得るほか、工事停止命令や原状回復命令を受けることがあります。「先に埋め立ててから届け出る」ことはできません。
登記・売買・税務は誰に振ればよい?
農地転用は複数の専門分野が交わります。担当は次のように分かれます。
- 農地転用(第4条・第5条)の許可・届出書類の作成 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 転用後の所有権移転登記 → 司法書士、地目変更登記(表示に関する登記) → 土地家屋調査士
- 農地・宅地の売買や貸借の相手探しと媒介 → 四葉不動産株式会社
- 譲渡所得税・不動産取得税など税額の計算・申告 → 税理士
- 権利関係でもめている場合の交渉・調停・訴訟 → 弁護士
四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当社は転用の許可・届出書類の作成支援のみを独立した事業体として担い、登記・売買・税務・紛争は、それぞれの資格者と別々にご契約いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。相続で取得した農地であれば、まず農地を相続したら農業委員会への届出(農地法第3条の3)で権利者を確定させ、期限の全体像は相続手続きの期限まとめ、名義変更は相続登記はどう進める?をご覧ください。許認可業務の全体像は行政書士サービス、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、相続不動産の全体像は相続不動産の完全ガイドをご覧ください。
よくある質問
Q. 市街化区域の農地を宅地にするのに許可は要りますか?
A. 市街化区域内の農地は、あらかじめ農業委員会へ届け出れば都道府県知事等の許可は不要です。自分で転用するなら第4条第1項第7号、転用目的で売買・貸借など権利移動を伴うなら第5条第1項第6号にもとづく届出です。市街化調整区域など区域外は許可が必要で、扱いが異なります。
Q. 相続した農地を宅地にして売りたい。4条ですか、5条ですか?
A. 買主へ売って買主が宅地にする(権利移動を伴う転用)なら第5条です。売主と買主が共同で申請します。加えて、相続で取得した農地は農地法第3条の3の届出も別に必要です。詳しくは農地を相続したら農業委員会への届出をご覧ください。
Q. 無断で農地を駐車場にしていました。どうなりますか?
A. 許可・届出を受けない無断転用は、農地法第64条により3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(法人には第67条により1億円以下の罰金)の対象となり得るほか、工事停止命令や原状回復命令を受けることがあります。早めに農業委員会へ相談し、必要な手続を整えてください。
Q. 許可はどのくらいの期間で下りますか?
A. 市街化区域の届出は受理通知までおおむね1〜2週間程度、区域外の許可は農業委員会の総会と都道府県への進達を経るため申請からおおむね数週間〜2か月程度が目安です。総会日程・標準処理期間は自治体で異なるため、当該農業委員会・都道府県の公式ページで確認してください。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「農地法」(昭和27年法律第229号)第2条、第4条、第5条、第64条、第67条(参照日 2026-08-28)
- e-Gov法令検索「都市計画法」(昭和43年法律第100号)市街化区域・市街化調整区域(第7条ほか)(参照日 2026-08-28)
- 農林水産省「農地転用許可制度」(立地基準・一般基準の解説)(参照日 2026-08-28)
- 各市町村農業委員会(相模原市ほか)「農地法第4条第1項第7号・第5条第1項第6号にもとづく農地転用の届出」案内・様式(参照日 2026-08-28)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の許可・届出の要否、農地への該当性、立地基準の適否、許可の可否、期間、罰則の適用を保証するものではありません。許可・届出の受理と農地への該当性の判断は農業委員会・都道府県が行います。市町村ごとの区域区分・様式・添付書類・受付日程は当該農業委員会・都道府県の公式ページで確認してください。転用後の所有権移転登記は司法書士、地目変更登記は土地家屋調査士、農地・宅地の売買や貸借の媒介は四葉不動産株式会社、譲渡所得税・不動産取得税など税務は税理士、権利関係でもめている場合の交渉・調停・訴訟は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
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