中国語圏の買主に日本の収益物件を紹介する前に読む重要事項説明の要点
日本の収益物件を中国語圏の買主に紹介する前に読むべきは、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明です。登記された権利・法令上の制限・私道負担・供給施設が並び、非居住者が買主になるときは外為法の報告と税務の確認が先に重なります。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、買主側デューデリの観点を条文と公的資料から整理します。
結論(先に要点):日本の収益物件を中国語圏の買主に紹介する前に読むべきは、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明です。契約成立までの間に、宅地建物取引士が書面を交付して説明する法定の手続きで、登記された権利、法令上の制限、私道負担、供給施設などが並びます。非居住者が買主になるときは、これに外為法上の報告と税務の確認が先に重なります。
中国本土・香港・台湾で日本の不動産投資を扱う現地の専門家と、その顧客である非居住の投資家に向けて、購入前のデューデリジェンス(買主側の事前確認)で外せない論点を整理します。売った後の管理ではなく、買う前に重要事項説明書のどこを見るかに絞ります。当社は日本側の物件紹介と媒介を担い、外為法の報告・税務・登記は、それぞれ別の資格者へ分けてご案内します。
重要事項説明書のどの項目が、収益物件の投資判断を左右するのか?
宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第35条第1項は、宅地建物取引業者は、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも法定の事項を記載した書面を交付して説明させなければならない、と定めています。説明するのは業者ではなく宅地建物取引士で、書面の交付が前提です。2022年(令和4年)5月18日施行の改正により、相手方の承諾があれば書面を電磁的方法で交付できるようになり、遠隔地・海外の買主にも対応しやすくなりました。
収益物件の判断を左右しやすいのは、次の項目です。
| 第35条の号 | 内容 | 投資判断への影響 |
|---|---|---|
| 第1号 | 登記された権利の種類・内容、登記名義人 | 抵当権・賃借権など、収益を圧迫する負担の有無 |
| 第2号 | 都市計画法・建築基準法その他の法令に基づく制限 | 用途・再建築・容積など、出口の価値を左右する |
| 第3号 | 私道に関する負担 | 接道・持分・通行の可否 |
| 第4号 | 飲用水・電気・ガスの供給および排水施設の整備状況 | 稼働に必要なインフラの現況 |
| 第7号 | 代金以外に授受される金銭の額・目的 | 手付・精算金などの資金計画 |
| 第8号 | 契約の解除に関する事項 | 撤退時の条件 |
利回りの数字より先に、この負担と制限を読むのが、収益物件のデューデリジェンスの出発点です。表面利回りは重要事項説明書のどの項目とも直接は結びつきません。
権利関係・法令上の制限は、中国語圏の買主にどう説明すれば誤解が生じないのか?
言葉の置き換えではなく、制度の前提から説明する必要があります。日本の登記制度や用途地域は、中国本土・香港・台湾のいずれとも仕組みが異なるため、単語だけを訳すと誤解が残ります。
たとえば、日本の登記された権利(第35条第1号)は、抵当権や賃借権が土地・建物ごとに公示されます。法令上の制限(第2号)は、用途地域による建てられる用途の制限や、再建築の可否に直結します。用途地域の考え方はクリニックの物件は、契約前に何を確認するのかでも扱っています。現地の専門家が顧客に説明する際は、「日本ではこの書面のこの号に、こう書かれている」と条文と対応づけるほうが、口頭の要約より誤解が生じません。当社は繁体字・簡体字での資料提供に対応し、現地の専門家と組んで進める形は現地プロと組んで日本の不動産を扱うに整理しています。
非居住者が買主になるとき、外為法や税務でどんな確認が先に要るのか?
日本に住所を持たない買主(非居住者)が日本の不動産を取得するときは、重要事項説明の前提として、外為法と税務の確認が重なります。
| 論点 | 何を確認するか | 担当 |
|---|---|---|
| 外為法上の報告 | 非居住者による本邦不動産の取得が、外国為替及び外国貿易法にもとづく報告の対象になるか。目的(居住用・事業用・投資用)で扱いが分かれる | 行政書士・専門家 |
| 賃料の源泉徴収・確定申告 | 非居住者が日本の不動産を賃貸するときの源泉徴収と申告、納税管理人の届出 | 税理士 |
| 売却時の課税 | 譲渡益への課税、買主による源泉徴収の要否 | 税理士 |
| 所有権移転登記 | 名義変更の登記手続き | 司法書士 |
外為法(外国為替及び外国貿易法、昭和24年法律第228号)は、居住者・非居住者間の取引などについて報告を求める規定を置いています。非居住者による日本の不動産取得が報告の対象になるかは、取得の目的や態様によって分かれ、居住用や自らの事務所用などは扱いが異なります。 投資目的の収益物件は、報告が必要になる場合があります。どの報告に該当するか、様式や期限は財務省・日本銀行の手引きによるため、当社では判定しません。行政書士・専門家へ直接ご相談ください。税務についても、源泉徴収の要否や税率、納税管理人の要否は、非居住者としての区分や契約の内容で変わります。保有後の管理と源泉の論点は海外に住みながら日本の不動産を管理する、非居住者の賃料源泉は非居住者が日本の家賃を受け取るときの源泉徴収にまとめています。
現地の専門家と日本側の不動産は、どこで役割を分けるのか?
日本側の物件紹介・調査・重要事項説明・媒介・契約が当社の役割で、それ以外は分けます。
日本側の物件の調査、重要事項説明、価格と条件の調整、媒介と売買契約は、四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。重要事項説明は、当社の宅地建物取引士が第35条にもとづいて行います。現地(中国本土・香港・台湾)の専門家と当社は、それぞれ独立した事業体です。役割の重なる部分は、どちらが何を担うかを契約の前に明確にし、別々にご契約いただきます。
外為法上の報告は行政書士・専門家、賃料の源泉徴収・確定申告・納税管理人の届出は税理士、所有権移転登記は司法書士へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。当社は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。投資・事業用不動産の全体像は投資・事業用不動産のご相談にまとめています。相談は無料です。
よくある質問
Q. 重要事項説明は、買主が日本にいなくても受けられますか?
A. 2022年5月18日施行の改正により、相手方の承諾があれば重要事項説明書を電磁的方法で交付でき、テレビ会議などによる説明も一定の要件のもとで認められています。宅地建物取引士が第35条にもとづいて説明する点は変わりません。海外の買主でも、本人確認や承諾の取り方を整えれば対応できます。
Q. 表面利回りが高い物件は、そのまま良い投資と考えてよいですか?
A. 表面利回りは重要事項説明書のどの項目とも直接は結びつきません。第35条が並べるのは、登記された権利、法令上の制限、私道負担、供給施設などの現況です。抵当権や賃借権の負担、用途・再建築の制限を先に読み、そのうえで収支を検討する順番になります。当社は一般的な確認の観点をお示しし、投資の是非は判断しません。
Q. 非居住者が日本の収益物件を買うと、必ず外為法の報告が要りますか?
A. 一律ではありません。非居住者による日本の不動産取得が報告の対象になるかは、取得の目的や態様によって分かれ、居住用や自らの事務所用などは扱いが異なります。投資目的では報告が必要になる場合があります。該当性・様式・期限は財務省・日本銀行の手引きによるため、行政書士・専門家にご確認ください。当社では判定しません。
Q. 賃料や売却代金にかかる税金は、日本側の不動産が手続きしてくれますか?
A. いいえ。非居住者の賃料には源泉徴収が関わることがあり、確定申告や納税管理人の届出も含めて、税務は税理士の業務です。当社は物件紹介と媒介を担いますが、税額の計算や源泉の要否は判断しません。所有権移転登記は司法書士へ、それぞれ直接ご依頼ください。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(昭和27年法律第176号。第35条第1項=重要事項の説明(契約成立までに宅地建物取引士が書面を交付して説明)、同項第1号=登記された権利、第2号=法令に基づく制限、第3号=私道負担、第4号=供給施設の整備状況、第7号=代金以外の金銭、第8号=契約の解除。電磁的方法による書面交付は2022年〈令和4年〉5月18日施行の改正による。2026年8月23日参照)
- e-Gov法令検索「外国為替及び外国貿易法」(昭和24年法律第228号。居住者・非居住者間の取引等に関する報告の規定。非居住者による本邦不動産の取得の扱いは目的・態様により異なる。2026年8月23日参照)
- 財務省「対内直接投資等・特定取得に関する制度」(外為法にもとづく報告・届出の枠組み。個別の該当性は手引き・様式による。2026年8月23日参照)
- 国土交通省「重要事項説明・書面交付」(重要事項説明の様式・IT重説の考え方。2026年8月23日参照)
※非居住者による日本の不動産取得が外為法の報告対象になるか、その様式・期限は、取得の目的・態様や最新の運用により異なります。本記事では一律に断定せず、財務省・日本銀行の手引きと専門家の確認に委ねています(該当性の個別判断は【未検証】として扱っています)。
※非居住者の賃料・譲渡に関する源泉徴収の要否や税率、納税管理人の要否は、区分や契約内容で変わります。本記事では具体的な税額・税率を断定していません。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断・税務判断を示すものではありません。外為法上の報告は行政書士・専門家、税務は税理士、所有権移転登記は司法書士が行います。
※日本側の物件の調査・重要事項説明・媒介および売買契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が担い、現地の専門家とは、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で進めます。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。
この記事の執筆者
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。繁体字・簡体字での資料提供に対応し、中国語圏の買主と現地の専門家に向けて、重要事項説明書の号と条文を対応づけて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。
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