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2026.10.06離日・売却

購入時の契約書が見つからないと、税金はどうなるのか? —— 売った金額の5%という壁

浦松 丈二

浦松 丈二

四葉不動産株式会社代表取締役・宅建士・行政書士

Profile (samurai.co.jp) ↗

取得費が分からないときは、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます(国税庁 タックスアンサー No.3258/所得税法第33条・第38条、租税特別措置法第31条の4、同法通達31の4-1)。裏を返せば、購入時の売買契約書が見つからないと、残りの95%が課税の対象になり得るということです。5,000万円で売って取得費が不明なら、取得費は250万円。譲渡所得は4,750万円になります。長期譲渡(非居住者の所得税15.315%)でも、税額は700万円を超えます。契約書1枚で数百万円が動きます。だから、出国の準備でいちばん先に探していただきたいのが、購入時の売買契約書です。見つからない場合に何を代わりに集めるか、その資料で認められるのかまで整理します。文京区小日向・茗荷谷駅徒歩5分。

売った金額の5%が取得費になります(国税庁 No.3258/措置法第31条の4、同通達31の4-1)。5,000万円で売れば取得費は250万円。実際に4,000万円で買っていても、証明できなければ差額の3,750万円分に税金がかかります。だから、まず契約書を探してください。

このページは、購入時の売買契約書が見つからない場合だけを扱います。売却全体の流れは出国前の不動産売却の特集に、税率と源泉徴収は海外オーナーのための日本不動産売却ガイドにまとめています。

最終更新:2026年10月6日

「取得費」とは、何のことか?

譲渡所得は、次の式で計算します。

譲渡所得 = 売った金額 - 取得費 - 譲渡費用(- 特別控除)

取得費は、その不動産を手に入れるためにかかった金額です。

区分取得費に入るもの
土地買い入れたときの購入代金、購入手数料などの合計額
建物購入代金などの合計額から、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額

(国税庁 タックスアンサー No.3258)

取得費が大きいほど、譲渡所得は小さくなり、税額も小さくなります。契約書は、その取得費を証明する書類です。

契約書が見つからないと、どうなるのか?

売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。

国税庁は、こう説明しています。

売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなど、取得費が分からない場合には、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。
また、実際の取得費が売った金額の5パーセント相当額を下回る場合も、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。

これを概算取得費といいます。「5%も認めてもらえる」と読むか、「95%が課税対象になる」と読むかで、まったく印象が変わります。

金額で見てください。

前提契約書がある場合契約書がない場合
売った金額5,000万円5,000万円
取得費4,000万円(実額)250万円(5%)
譲渡費用(仮)200万円200万円
譲渡所得800万円4,550万円
所得税(長期・非居住者 15.315%)約122万円約697万円
差額約575万円

※ 数字は説明のための仮の計算です。特別控除や特例の適用、住民税の有無、建物の減価償却によって結果は変わります。実際の税額は税理士にご確認ください。

契約書1枚で、数百万円が動きます。 出国の準備で探すものの順番として、権利証や印鑑登録証明書より先でも構いません。

契約書は、どこを探せばいいのか?

見つかる場所には、傾向があります。

探す場所何が出てくるか
購入時にもらった書類一式のファイル売買契約書、重要事項説明書、領収書、パンフレット
確定申告の控え(住宅ローン控除を受けた年分)売買契約書の写しが添付されていることがあります
住宅ローンを借りた金融機関金銭消費貸借契約書、抵当権設定契約書(借入額は購入価格の手がかりになります
仲介した不動産会社契約書の控えが保管されていることがあります
登記事項証明書(乙区)抵当権の債権額が分かります
通帳・振込記録売主への支払い記録

とくに2行目と3行目です。 契約書そのものがなくても、そこにたどり着く手がかりが残っていることがよくあります。

契約書がどうしても出てこないときは、5%しかないのか?

ここは慎重にお伝えします。

実務では、購入価格を推計する方法(一般財団法人日本不動産研究所の「市街地価格指数」を使う方法、分譲時のパンフレットや新聞広告の価格を使う方法、ローンの借入額から推計する方法など)が試みられることがあります。

ただし、これらが必ず認められるとは限りません。 国税不服審判所の裁決や裁判例には、認められた例と認められなかった例の両方があります。 物件の種類、資料の性質、推計の合理性によって結論が分かれます。

したがって、このページでは「この方法なら通ります」とは書きません。書けるのは、次のことだけです。

#言えること
15%(概算取得費)は、いつでも選べる最低ラインです
2実額を証明する資料が出れば、そちらのほうが有利になることが多い
3推計による方法は、認められるかどうかが事案によります。税理士の判断が必要です
4**申告してからでは、資料を集め直す時間がありません。**出国前に手を打つ意味は、ここにあります

個別の判断は税理士が行います。 当社は、登記事項証明書の取得や、仲介した会社・金融機関への照会など、資料を集める部分をお手伝いします。

相続で取得した物件の場合は、どうなるのか?

亡くなった方の取得費を引き継ぎます。 つまり、お父さま・お母さまが購入したときの契約書を探すことになります。

さらに、相続税を納めている場合は、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(相続税の取得費加算)が使えることがあります。相続の開始があった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却することが要件のひとつです(国税庁 タックスアンサー No.3267)。

相続した不動産の売却は、相続した不動産のことにまとめています。

出国までに、何をしておけばいいのか?

いつやること
今日購入時の書類一式を探す。日本を離れる前でないと探せません
2〜3日目見つからなければ、確定申告の控え・金融機関・仲介会社へ照会
同時に登記事項証明書(乙区)を取得し、抵当権の債権額を確認(当社が取得します)
決済前集まった資料を持って、税理士に相談。実額でいけるか、5%になるかを先に確かめる
手取りの見込みが変わるので、売るかどうかの判断材料にもなります

「税金は売った後に考える」では遅いのが、この論点です。売却代金の使い道を決める前に、税額の見込みを知っておいてください。

この記事の根拠

内容根拠
譲渡所得の計算(収入金額-取得費-譲渡費用)、取得費の内容(土地は購入代金・購入手数料等、建物は減価償却費相当額を控除)所得税法(昭和40年法律第33号)第33条・第38条/国税庁 タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」(令和7年4月1日現在法令等)
取得費が分からない場合に、売った金額の5%相当額を取得費とすることができること。実際の取得費が5%相当額を下回る場合も同様租税特別措置法第31条の4、同法通達31の4-1/国税庁 タックスアンサー No.3258
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡)国税庁 タックスアンサー No.3267
非居住者の長期譲渡所得に対する所得税率(15.315%)所得税法第161条・第164条・第165条ほか/復興財源確保法第28条
非居住者から不動産を購入する際の源泉徴収(10.21%)所得税法第161条第1項第5号・第212条第1項/国税庁 タックスアンサー No.2879

本ページは一般的な情報提供です。本文の計算は説明のための仮の数値であり、特別控除・特例の適用、建物の減価償却、住民税の有無により結果は変わります。取得費の認定、推計による方法が認められるかどうかを含め、個別の税務判断は税理士が行います。

不動産の媒介は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が、許認可申請書類の作成は四葉行政書士事務所が、それぞれ別の契約としてお受けします。税務は税理士、登記は司法書士におつなぎし、それぞれご本人と直接ご契約いただきます。当社が紹介料を受け取ることはありません。

この記事の著者 浦松 丈二|四葉不動産株式会社 代表取締役・専任宅地建物取引士。行政書士。元毎日新聞中国総局長(記者歴34年)。中国総局長として中国や台湾、タイに駐在しました。社会保険労務士試験合格(2026年9月開業予定)。

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