メインコンテンツにスキップ
2026.09.11介護と福祉

訪問介護の特定事業所加算|勤続年数・研修・会議・緊急時体制の労務

浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

訪問介護の特定事業所加算は、単位数の高さではなく体制と記録で取れるかが決まります。勤続年数・資格・重度者割合という人材要件と、個別研修計画・定期会議・緊急時対応・健康診断という体制要件を、労務の書類と記録の側から整理します(算定基準=平成12年厚生省告示第19号、留意事項通知=平成12年老企第36号)。加算区分の判定と届出は行政書士、報酬請求は請求実務、税務は税理士という切り分けもまとめます。

結論(先に要点):訪問介護の特定事業所加算は、単位数の高さではなく体制と記録で取れるかが決まります。整えるのは、勤続年数と資格・重度者割合という「人の要件」と、個別研修計画・定期会議・緊急時対応体制・健康診断という「運営の要件」です(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準=平成12年厚生省告示第19号、留意事項通知=平成12年老企第36号)。このうち勤続年数の管理、研修計画と記録、会議の議事録、就業規則・賃金規程の整備は社会保険労務士の領分で、加算区分の判定と指定権者への届出書類の作成は行政書士、報酬(介護給付費)の請求は請求実務、税務は税理士に分かれます。この記事では、加算を「労務のどこを直せば取れるのか」という側から整理します。

「特定事業所加算を取りたいが、何を用意すればよいか分からない」「一度取ったが、実地指導で記録の不備を指摘されないか不安だ」——訪問介護の管理者・経営者からよくいただく相談です。このページは、加算の算定・維持をめざす事業所に向けて、体制要件を労務の書類と記録の観点から整理します。単位数・加算率や区分の細かな組み合わせは報酬改定のたびに変わるため、金額そのものは扱いません。最新の要件は必ず告示と留意事項通知で確認してください。

訪問介護の特定事業所加算は、労務のどこを整えると取れるのか?

特定事業所加算の要件は、大きく「人材要件」「体制要件」「重度者等対応要件」の3層に分かれます(令和6年度介護報酬改定時点)。区分(Ⅰ〜Ⅴ)によって満たすべき組み合わせが違いますが、労務として整えるべき土台はほぼ共通です。

主な内容(令和6年度時点)労務で用意するもの
人材要件介護福祉士が一定割合、または勤続年数7年以上の者が一定割合など資格・勤続年数の管理台帳、常勤換算の計算根拠
体制要件個別研修計画の作成・実施、定期会議の開催と記録、緊急時対応方法の文書化、健康診断の実施、文書による指示と報告研修規程・研修計画・記録、会議の議事録、緊急時対応マニュアル、健診記録
重度者等対応要件要介護4・5、認知症、たんの吸引等を必要とする利用者が一定割合利用者構成の記録

要件の数字(割合など)は改定で動きます。労務側の勘所は、「満たしている」と口で言うのではなく、書類と記録で示せる状態にしておくことです。給与計算や勤怠の仕組みの考え方は給与計算を社会保険労務士に頼むと、いくらかかるのかもあわせてご覧ください。

勤続年数と研修計画の要件は、就業規則と記録でどう示すのか?

人材要件でつまずきやすいのが、勤続年数と資格割合の「数え方」です。割合は常勤換算方法で、前年度または算定日が属する月の前3月の平均で出すのが原則です(留意事項通知)。つまり、入退職のたびに割合が動くため、採用・退職・雇用形態の変更を時点で記録しておかないと、後から割合を再現できません

  • 勤続年数は「同一法人での継続勤務」で数えます。就業規則・雇用契約書で、入社日・雇用区分・所定労働時間を明確にしておきます
  • 研修は、訪問介護員等とサービス提供責任者それぞれについて個別の研修計画を作り、それに基づいて実施します。計画には目的・内容・実施時期を盛り込みます(職責や経験に応じたグループ分けも可能)
  • 実施したら、日時・参加者・内容の記録を残します。計画だけで実施記録がないと、要件を満たしたと示せません

就業規則の記載事項そのものは労働基準法第89条が定めており、賃金の決定・計算・支払の方法や昇給、退職に関する事項は絶対的必要記載事項です。加算のための研修・キャリアの仕組みを賃金や等級と結びつけるなら、就業規則・賃金規程の側も揃えておく必要があります。就業規則の作成義務は就業規則は何人から義務かにまとめています。

定期会議と緊急時対応体制は、どこまでの記録が必要なのか?

体制要件のうち会議と緊急時対応は、「やっていること」ではなく「記録が残っていること」で判断されます。

項目求められること(留意事項通知等)残す記録
定期会議サービス提供責任者が主催し、訪問介護員等が参加。利用者の状態や留意点の伝達・技術指導を目的に、おおむね月1回以上開催開催案内、出欠、議事録(日時・参加者・議題・共有事項)、配布資料
緊急時対応体制緊急時の対応方法(対応方針・連絡先・対応可能時間)を文書化し、利用者に説明して交付対応マニュアル、契約時の説明・交付の記録
健康診断常勤・非常勤を問わず全従業者に、少なくとも年1回、事業主負担で実施健診の実施記録
指示・報告サービス提供責任者から訪問介護員への文書等による指示と、提供後の報告指示・報告の記録

会議は「おおむね月1回以上」が目安です。テレビ会議等での開催が認められる範囲や記録の残し方は改定・通知で変わることがあるため、直近の留意事項通知で確認してください。実地指導では、この議事録と緊急時対応の交付記録が最初に見られる書類です。

処遇改善加算と特定事業所加算は、労務の整備先がどう違うのか?

同じ「加算」でも、整える書類の中心が違います。混同すると、片方の準備で満足してしまいます。

特定事業所加算処遇改善加算
主眼勤続年数・研修・会議・緊急時対応などの体制と記録賃金改善の原資の配分と賃金規程
労務の整備先研修規程・議事録・勤続年数の管理・緊急時マニュアル賃金規程・賃金改善の計画と実績・キャリアパス要件
労務の役割体制の設計と記録の仕組みづくり賃金への反映と原資配分の設計

処遇改善加算は賃金原資の配分と賃金規程の話が中心で、詳しくは介護の処遇改善加算と賃金規程にまとめています。特定事業所加算は、そこに「体制と記録」という別の層が重なると理解してください。

加算の体制整備・届出・報酬請求は、それぞれ誰が担うのか?

特定事業所加算をめぐる仕事は、担当が分かれます。誰が何をするかを最初に決めておくと、書類が二重になりません。

すること誰の領分か
就業規則・賃金規程・研修規程の整備、勤続年数と資格の管理、会議・研修・緊急時対応の記録の仕組みづくり、勤怠管理社会保険労務士(当事務所)
加算区分の判定にあわせた指定権者への届出書類(体制届)の作成行政書士(四葉行政書士事務所は独立した事業体で、社会保険労務士事務所とは別々にご契約いただきます)
介護給付費(報酬)の請求実務、返戻・過誤の処理事業所の請求担当・請求代行
税務・決算税理士

加算の体制づくりと記録の仕組みは社会保険労務士の業務です。届出書類の作成代理は行政書士の業務で、四葉行政書士事務所は独立した事業体のため、社会保険労務士事務所とは別々にご契約いただきます。報酬請求と税務はそれぞれの担当に分かれます。

四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?

文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、特定事業所加算の体制要件の整理、研修規程・研修計画と記録の仕組みづくり、定期会議の運用と議事録の型、勤続年数・資格・常勤換算の管理、就業規則・賃金規程の整備、緊急時対応体制の書類化をお受けします。処遇改善加算の賃金規程は介護の処遇改善加算と賃金規程、就業規則の整備は就業規則は何人から義務かにまとめています。ご相談は無料です。 費用は報酬額表を、よくいただくご質問はよくあるご質問をご覧ください。

よくある質問

Q. 特定事業所加算は、就業規則を直せば取れますか?
A. 就業規則だけでは足りません。就業規則・賃金規程は土台ですが、加算は個別研修計画とその実施記録、定期会議の議事録、緊急時対応方法の文書化と交付、勤続年数・資格の割合など、複数の要件を書類と記録で示して初めて算定できます。まずは今ある記録で何が示せるかの棚卸しから始めるのが実務的です。

Q. 会議は毎月開かないといけませんか?
A. 留意事項通知は、利用者の状態や留意点の伝達・技術指導を目的とした会議を、おおむね月1回以上開催することを求めています。開催の形式(テレビ会議等の可否)や記録の残し方は改定・通知で変わることがあるため、直近の留意事項通知でご確認ください。残すべきは、開催案内・出欠・議事録・配布資料です。

Q. 勤続年数は、前の会社での経験も数えられますか?
A. 勤続年数は同一法人での継続勤務で数えるのが原則です。割合は常勤換算方法で、前年度または算定日の属する月の前3月の平均で算出します。入退職や雇用区分の変更で割合が動くため、時点ごとの記録を残しておくことが要件維持の鍵になります。

Q. 加算の届出も社労士に頼めますか?
A. 加算の体制づくりと記録の仕組みは社会保険労務士の業務ですが、指定権者へ提出する届出書類(体制届)の作成代理は行政書士の業務です。四葉行政書士事務所は独立した事業体で、社会保険労務士事務所とは別々にご契約いただきます。報酬請求と税務は、それぞれ請求担当・税理士に分かれます。

この記事の根拠

  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)=訪問介護の特定事業所加算の算定基準
  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年老企第36号)=特定事業所加算の各要件(個別研修計画・定期会議・緊急時対応方法の文書化・健康診断・勤続年数や資格の割合の算定方法等)の解釈
  • 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)=訪問介護の運営基準(会議・指示と報告・緊急時対応の基礎)
  • 労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条=就業規則の絶対的必要記載事項(賃金の決定・計算・支払の方法・昇給、退職に関する事項等)
  • 特定事業所加算の算定要件の具体(会議はおおむね月1回以上、健康診断は少なくとも年1回、勤続年数7年以上や介護福祉士の割合、重度者等が一定割合など)は、東京都福祉局が公表する令和6年度の留意事項資料により確認しています(2026年9月時点)。単位数・加算率・区分の組み合わせは介護報酬改定で変わるため、算定にあたっては最新の告示と留意事項通知でご確認ください

この記事は、誰に相談するかまでは決めていません。就業規則・賃金規程・研修規程の整備、勤続年数・資格の管理、会議・研修・緊急時対応の記録の仕組みづくりは社会保険労務士の業務です。指定権者への届出書類の作成代理は行政書士、報酬請求は請求実務、税務は税理士の業務です。四葉社会保険労務士事務所にご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

「働き方」から、整理しませんか。

四葉社会保険労務士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、労務の現状整理からお手伝いします。

LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。

東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|火・水 10:00〜19:00/月・木・金・土・日 18:00〜19:00