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労働保険

建設業の社会保険加入義務と一人親方の労災特別加入はどう整理する?

人事・賃金・労務制度を整えるイメージ
浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

建設業許可には、健康保険・厚生年金保険・雇用保険への「適切な社会保険への加入」が要件として求められます(令和2年10月1日施行の改正建設業法)。一方、労働者を使用しないで働くことを常態とする一人親方は労災保険の労働者ではないため、一人親方等の特別加入(第2種・労働者災害補償保険法第35条)を団体を通じて行います。労働者を雇う中小事業主の特別加入(第1種・第34条)とは加入の窓口も要件も別です。加入手続は社会保険労務士、建設業許可の申請は行政書士(独立した事業体・別々にご契約)に分けて整理します。

結論(先に要点):建設業許可には、健康保険・厚生年金保険・雇用保険への「適切な社会保険への加入」が要件として求められます(令和2年10月1日施行の改正建設業法)。一方、労働者を使用しないで働くことを常態とする一人親方は、そもそも労災保険の労働者ではないため、労災の補償を受けるには一人親方等の特別加入(第2種特別加入・労働者災害補償保険法第35条)を、一人親方の団体を通じて行います。労働者を雇う中小事業主の特別加入(第1種・第34条)とは、加入の窓口も要件も別です。この記事では、建設業の社会保険加入義務と一人親方の労災特別加入をどう整理するかをまとめます。加入手続・就業規則・特別加入団体を通じた手続は社会保険労務士、建設業許可の申請・要件確認は行政書士(四葉行政書士事務所=当事務所とは独立した事業体・別々にご契約)に分かれます。

「建設業許可を取る(更新する)ので社会保険を整えたい」「現場に出る一人親方だが、労災はどうすればよいか」——建設業の事業者からいただく相談です。このページは、建設業許可の取得・更新を控え、社会保険加入と一人親方の労災を整えたい事業者に向けて、加入義務と特別加入の考え方を整理します。個別の加入可否や保険料額の確定判断は、面談のうえ資格者が行います。

建設業許可に、社会保険への加入は必須ですか?

必須です。令和2年10月1日に施行された改正建設業法(令和元年法律第30号による改正)で、「適切な社会保険への加入」が建設業許可の要件(許可の基準)に加わりました。新規の許可申請でも更新でも、加入すべき社会保険に加入していることが確認されます。加入義務があるのに未加入だと、許可の要件を満たしません。

「適切な社会保険」は、事業所の形態と規模で決まります。

事業所の区分健康保険厚生年金保険雇用保険
法人(役員1人でも)必要必要労働者を雇えば必要
個人事業・常時5人以上必要必要労働者を雇えば必要
個人事業・常時5人未満適用除外(国民健康保険等でよい)適用除外(国民年金でよい)労働者を雇えば必要

健康保険・厚生年金保険は、法人なら役員1人でも、個人事業なら常時5人以上で強制適用です。個人事業で常時5人未満なら、この2つは適用除外となり、国民健康保険・国民年金のままで要件を満たします。雇用保険は、労働者を1人でも雇えば加入が必要です。加入義務の判断は事業所ごとに分かれるため、許可の準備の前に、まず自社がどの区分かを確かめることが出発点です。加入すべきかどうかは労働者性の判断とも関わり、外注と雇用の境目にまとめています。

一人親方は、労災にどう特別加入しますか?

一人親方は、労働者を使用しないで働くことを常態とする自営業者です(労働者災害補償保険法第33条第3号)。労災保険はもともと「労働者」の業務災害・通勤災害を補償する制度なので、労働者でない一人親方には、そのままでは労災の給付がありません。そこで用意されているのが、一人親方等の特別加入(第2種特別加入・同法第35条)です。

  • 加入は個人で直接はできず、一人親方等の団体(特別加入団体)を通じて申し込みます。団体が事業主に相当する立場で手続を行います
  • 補償の基礎となる給付基礎日額を、決められた範囲から選びます。日額が高いほど保険料も給付も高くなります
  • 建設業の一人親方は、業務の実態に応じて健康診断が求められる作業があります

一人親方は、労働者を雇う場合とは労働保険の枠組みが変わります。人を雇い入れて労働者を使う状態になれば、それは一人親方ではなくなり、労働保険の適用事業として別の手続が必要になります。海外の現場に関わる場合の特別加入の考え方は、海外出張と海外派遣は労災でまったく違うも参考になります。

中小事業主の特別加入と、一人親方の特別加入は何が違いますか?

どちらも「事業主側の特別加入」ですが、根拠条文も加入の窓口も違います。取り違えると手続が進みません。

中小事業主等の特別加入(第1種)一人親方等の特別加入(第2種)
根拠労働者災害補償保険法第34条(対象者は第33条第1号・第2号)労働者災害補償保険法第35条(対象者は第33条第3号〜第5号)
誰が入れるか労働者を雇う中小事業主とその家族従事者等労働者を使用しないで働くことを常態とする一人親方等
加入の窓口労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託して加入**一人親方等の団体(特別加入団体)**を通じて加入
前提労働者について労災保険の保険関係が成立していること労働者を雇っていないこと

要点は、労働者を雇っているかどうかです。労働者を雇う社長は第1種(中小事業主等)で、労働者について労災保険の関係が成立していることが前提になり、労働保険事務組合を通じて入ります。労働者を雇わずに働く一人親方は第2種で、一人親方の団体を通じて入ります。社長1人だけの会社が中小事業主として特別加入できない理由は、社長には労災が出ない。そして1人だと特別加入もできないにまとめています。同じ「建設業の事業主」でも、雇用の実態でどちらの制度に乗るかが分かれます。

加入手続きと建設業許可の申請は、どの専門家に分けますか?

建設業の社会保険と許可は、担当する資格が分かれます。最初に切り分けておくと、手続の抜けや二度手間を防げます。

ご自身のケースについて相談したい方へ

社会保険・給与・労務について、状況をお聞かせください。

すること誰の領分か
健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入手続、資格取得・喪失の届出、就業規則の整備、一人親方の特別加入団体を通じた手続の相談社会保険労務士(当事務所)
建設業許可の申請・更新、許可要件の確認、経営事項審査行政書士(四葉行政書士事務所=当事務所とは独立した事業体。別々にご契約いただきます)
会社の設立・役員変更などの登記司法書士
労働保険料・社会保険料に関わる税務、決算税理士

社会保険の加入手続と労働保険の届出、就業規則の整備は社会保険労務士の業務です。建設業許可の申請と要件確認は行政書士が担います。四葉には社会保険労務士事務所と行政書士事務所がありますが、それぞれ独立した事業体で、ご契約・ご請求・お振込先も別々です。紹介料のやり取りはありません。就業規則の作成・届出の義務は常時10人以上から生じます(就業規則は何人から義務か)。

四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?

文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、建設業の健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入手続、労働保険の年度更新、資格取得・喪失の届出、就業規則の整備、一人親方の特別加入団体を通じた手続のご相談をお受けします。建設業許可の申請そのものは行政書士(四葉行政書士事務所=独立した事業体・別々にご契約)が担い、社会保険の側を当事務所が受け持ちます。ご相談は無料です。 費用は報酬額表を、よくいただくご質問はよくあるご質問をご覧ください。

よくある質問

Q. 一人親方ですが、労災に入らないまま現場に出て問題ありませんか?
A. 法律上、一人親方の特別加入は義務ではありません。ただし、元請の現場では特別加入の証明を求められることが多く、加入していないと入場できない場合があります。特別加入をしていないと、業務中のけがに労災保険の給付はありません。加入の要否と給付基礎日額の選び方は、実態に応じて資格者が整理します。

Q. 従業員を雇っていない一人社長の会社でも、一人親方として特別加入できますか?
A. できる場合があります。労働者を1人も使用しない会社は、中小事業主等の特別加入(第1種)には入れません。労働者について労災保険の保険関係が成立していることが前提だからです。一方、建設業のように省令で定める種類の事業を、労働者を使用しないで行うことを常態としている場合は、法人の代表者でも一人親方等(第2種・労働者災害補償保険法第33条第3号)として、一人親方の団体を通じて特別加入できる場合があります。代表者以外の役員の有無や、労働者を使用する日数などで扱いが分かれるため、個別の可否は加入先の団体と所轄の労働局で確認が必要です。

Q. 個人事業で従業員が4人なら、健康保険と厚生年金には入らなくてよいのですか?
A. 個人事業で常時5人未満なら、健康保険・厚生年金保険は適用除外で、国民健康保険・国民年金のままでも建設業許可の要件を満たします。ただし雇用保険は、労働者を1人でも雇えば加入が必要です。5人以上になれば健康保険・厚生年金も強制適用に変わるため、人数の変化に注意してください。

Q. 建設業許可のために社会保険に入りました。就業規則も要りますか?
A. 就業規則の作成・届出が義務になるのは、常時10人以上の労働者を使用する事業場です。10人未満なら作成・届出の義務はありませんが、労働条件の明示は1人目から必要です。許可の要件は社会保険への加入であって就業規則の有無ではありませんが、現場の労務管理のうえで整えておく意味はあります。

この記事の根拠

  • 建設業法(昭和24年法律第100号)第7条=一般建設業の許可の基準。令和元年法律第30号による改正建設業法(令和2年10月1日施行)で、建設業法施行規則により「適切な社会保険への加入」が許可の要件に加わった
  • 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第33条=特別加入の対象者(第1号・第2号=中小事業主等、第3号・第4号=一人親方等、第5号=特定作業従事者、第6号・第7号=海外派遣者)/第34条=中小事業主等の特別加入(第1種)/第35条=一人親方等の特別加入(第2種)/第36条=海外派遣者の特別加入(第3種)
  • 健康保険法(大正11年法律第70号)・厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)=適用事業所(法人は1人でも、個人事業は常時5人以上で強制適用。個人事業で常時5人未満は適用除外)
  • 「適切な社会保険への加入」の許可要件化(令和2年10月1日施行)と、法人/個人5人以上/個人5人未満の区分は、国土交通省「建設業における社会保険加入対策について」および東京都都市整備局の公表資料により確認(いずれも2026年9月22日参照)
  • 条文は e-Gov 法令検索により確認しています(2026年9月時点)

この記事は、誰に相談するかまでは決めていません。社会保険・労働保険の加入手続、就業規則の整備、一人親方の特別加入団体を通じた手続の相談は社会保険労務士の業務です。建設業許可の申請・要件確認は行政書士(四葉行政書士事務所=独立した事業体・別々にご契約)、登記は司法書士、税務は税理士の業務です。四葉社会保険労務士事務所にご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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