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働き方

テレワーク(在宅勤務)を導入するとき、労働時間や費用負担のルールはどう整えますか?

付箋のはさまった就業規則の冊子を開いた机上の水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

テレワーク(在宅勤務)を導入しても、労働基準法は同じように適用されます。労働時間は原則として使用者が客観的な記録などで把握する義務があり、労働時間を算定し難い一定の場合に限って事業場外みなし労働時間制(労働基準法第38条の2)を使えます。通信費や在宅勤務手当を労働者に負担させる・支給するときは、就業規則に定めます(常時10人以上の事業場は作成・届出義務。労働基準法第89条)。厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(令和3年3月25日改定)が、労働時間の把握や費用負担の考え方を整理しています。テレワーク規程・就業規則の整備は社会保険労務士、費用の課税や必要経費の扱いは税理士(独立した事業体・別々にご契約)に分けて進めます。

結論(先に要点):テレワーク(在宅勤務)を導入しても、労働基準法は同じように適用されます。労働時間は原則として使用者が客観的な記録などで把握する義務があり、労働時間を算定し難い一定の場合に限って事業場外みなし労働時間制(労働基準法第38条の2)を使えます。通信費や在宅勤務手当を労働者に負担させる・支給するときは、就業規則に定めます(常時10人以上の事業場は作成・届出義務。労働基準法第89条)。厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(令和3年3月25日改定)が、労働時間の把握や費用負担の考え方を整理しています。テレワーク規程・就業規則の整備は社会保険労務士、費用の課税や必要経費の扱いは税理士(独立した事業体・別々にご契約)に分けて進めます。

「在宅勤務にすると、労働時間はどう管理すればよいのか」「通信費は会社と社員のどちらが負担するのか」——テレワークを制度として入れたい会社からいただく相談です。このページは、在宅勤務・リモートワークを就業規則の制度として導入したい中小企業に向けて、労働時間の管理・費用負担・規程の整備で押さえる点を整理します。在宅勤務中のケガが労災に当たるかどうかなど個別の判断は、この記事の範囲外です。

テレワークでも、労働時間はどう把握・管理しますか?

テレワークは働く場所が自宅などに変わるだけで、労働基準法の労働時間の規制はそのまま適用されます。使用者には労働時間を適正に把握する義務があり、原則としてタイムカードやパソコンの使用時間の記録など客観的な方法で把握します。やむを得ず自己申告による場合は、実態と合っているかを確認する仕組みを整えます。

  • 始業・終業の時刻の記録や、中抜け(業務の中断)時間の扱いを、あらかじめ決めておきます
  • 時間外・休日・深夜の労働には割増賃金が発生します(労働基準法第37条)。在宅でも同じです
  • 労働時間を算定し難いときに限り、事業場外みなし労働時間制(労働基準法第38条の2)を使い、所定労働時間労働したものとみなすことができます

事業場外みなし労働時間制は、どんな在宅勤務でも使えるわけではありません。厚生労働省のガイドラインは、情報通信機器が常時通信可能な状態にあり、随時具体的な指示に基づいて業務を行っている場合には「労働時間を算定し難いとき」に当たらない、という趣旨を示しています。労働時間制そのものの選び方は、変形労働時間制とフレックスの選び方でも整理しています。

通信費・光熱費・在宅勤務手当は、誰がどこまで負担しますか?

在宅勤務で生じる通信費・光熱費・情報通信機器の費用などを、会社と労働者のどちらがどこまで負担するかは、法律で一律に決まっているわけではありません。労使で話し合って決め、就業規則やテレワーク規程に定めておきます。

費用の例決めておくこと
通信費・光熱費会社負担か、在宅勤務手当として一定額を支給するか、労働者負担か
情報通信機器(PC・スマホ等)会社貸与か、私物利用(BYOD)か。私物利用なら費用と情報管理の扱い
事務用品・郵送費実費精算か、手当に含めるか

労働者に費用を負担させる場合は、就業規則の相対的必要記載事項として規定する必要があります(労働基準法第89条第5号)。在宅勤務手当や通信費補助の税務上の取扱い(給与課税か実費弁償か、必要経費の扱い)は税理士(独立した事業体・別々にご契約)の領域です。副業・兼業とテレワークが重なる場合の労務管理は、副業・兼業の労務管理も参考になります。

就業規則やテレワーク規程には、何を定めておくべきですか?

常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります(労働基準法第89条)。テレワークを導入するときは、就業規則本体に定めるか、テレワーク規程を別に設けて就業規則の一部として届け出ます。

  • 対象者・対象業務、申請や許可の手続
  • 始業・終業時刻や休憩、中抜けの扱い、労働時間制(通常の労働時間制か、事業場外みなしか)
  • 通信費・光熱費・機器などの費用負担のルール
  • 情報セキュリティ・服務規律、連絡や報告の方法
  • 在宅勤務中の安全衛生・健康確保に関する事項

就業規則の作成・変更には、事業場の過半数代表者の意見を聴き、意見書を添えて届け出ます。就業規則の作成義務そのものは、就業規則は何人から必要かで整理しています。

在宅勤務中のケガや長時間労働に、会社はどう備えますか?

使用者は、労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう配慮する義務を負います(労働契約法第5条の安全配慮義務)。テレワークでも、健康確保のための措置は必要です。労働安全衛生法に基づく健康診断や、長時間労働者への医師の面接指導などの枠組みは、在宅勤務でも同じく及びます。

ご自身のケースについて相談したい方へ

社会保険・給与・労務について、状況をお聞かせください。

  • 労働時間の把握を通じて、長時間労働を早めに見つけ、上限規制(労働基準法第36条の時間外労働の限度)に沿って管理します
  • 深夜・休日のメール送信の抑制など、つながり続ける状態を避ける工夫を規程に盛り込むことがあります
  • 在宅勤務中の負傷が業務上の災害(労災)に当たるかどうかは、業務遂行性・業務起因性から個別に判断され、最終的な認定は労働基準監督署が行います

労災に当たるかどうかの個別判断は行政の権限に属し、会社は労働時間の記録や業務の指示内容を残しておくことが備えになります。

四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?

文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、テレワーク規程・就業規則の整備、労働時間の把握方法の設計、事業場外みなし労働時間制を使えるかの検討、費用負担ルールの明文化、長時間労働・健康確保の体制づくりをお受けします。在宅勤務手当や通信費補助の税務上の取扱いは税理士、情報セキュリティの技術的対策はITベンダーが担い、いずれも当事務所とは独立した事業体として、別々にご契約いただきます。当事務所は労務管理と規程整備の面を担当します。ご相談は無料です。 費用は報酬額表を、よくいただくご質問はよくあるご質問をご覧ください。

よくある質問

Q. 在宅勤務にすれば、労働時間の管理はしなくてよくなりますか?
A. いいえ。テレワークでも労働基準法の労働時間の規制はそのまま適用され、使用者には労働時間を適正に把握する義務があります。原則はパソコンの使用時間などの客観的な記録で把握し、自己申告による場合は実態との整合を確認します。時間外・休日・深夜の労働には割増賃金が発生します。

Q. 在宅勤務だから、すべて事業場外みなし労働時間制にできますか?
A. できるとは限りません。事業場外みなし労働時間制(労働基準法第38条の2)は「労働時間を算定し難いとき」に限って使えます。厚生労働省のガイドラインは、情報通信機器が常時通信可能で、随時具体的な指示に基づいて働いている場合は「算定し難いとき」に当たらないとしています。適用の可否は働き方の実態で判断します。

Q. 通信費や在宅勤務手当は、会社が必ず負担しなければいけませんか?
A. 法律で一律には決まっていません。労使で話し合って決め、就業規則やテレワーク規程に定めます。労働者に費用を負担させる場合は、就業規則の相対的必要記載事項として規定する必要があります(労働基準法第89条第5号)。手当の税務上の取扱いは税理士の領域です。

Q. テレワークを始めるとき、就業規則は必ず変更しなければなりませんか?
A. 常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則の作成・届出義務があります(労働基準法第89条)。労働時間の扱いや費用負担など、テレワークで新たに定める事項は就業規則本体かテレワーク規程に規定し、過半数代表者の意見書を添えて届け出ます。10人未満でも、トラブルを避けるため書面で定めておくのが望ましいです。

この記事の根拠

  • 労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条の2=事業場外みなし労働時間制(労働時間の全部又は一部を事業場外で従事し、労働時間を算定し難いときは所定労働時間労働したものとみなす)/第37条=時間外・休日・深夜労働の割増賃金/第36条=時間外・休日労働の協定と限度/第89条=常時10人以上の労働者を使用する使用者の就業規則作成・届出義務(第5号=労働者に負担させる費用等の相対的必要記載事項)/第24条=賃金の全額払
  • 労働契約法(平成19年法律第128号)第5条=使用者の安全配慮義務(労働者の生命・身体等の安全の確保)
  • 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)=健康診断・長時間労働者への医師の面接指導など健康確保措置
  • 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(平成30年2月策定の旧ガイドラインを令和3年3月25日に改定)=労働時間の把握方法、事業場外みなしの適用範囲、中抜け時間、費用負担、長時間労働対策の考え方(2026年9月23日参照)
  • 条文は e-Gov 法令検索により確認しています(2026年9月時点)

この記事は、個別の事情に応じた労働時間制の可否や労災の該当性までは断定していません。テレワーク規程・就業規則の整備、労働時間管理の設計、健康確保の体制づくりは社会保険労務士の業務です。費用の課税や必要経費の扱いは税理士、情報セキュリティの技術的対策はITベンダー、労災の個別認定は労働基準監督署(いずれも当事務所とは独立した事業体・別々にご契約)が担います。四葉社会保険労務士事務所にご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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