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2026.09.02許認可の手続き(行政書士の実務から)

診療所(クリニック)を開くときの開設届──医療法8条の届出と、病院の許可はどう違うのか

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

無床または19床以下の診療所(クリニック)は、病院と違って開設の許可ではなく届出で始められます。臨床研修等修了医師等が診療所を開設したときは開設後10日以内に都道府県知事(保健所)へ届け出ます(医療法第8条第1項)。病院・有床・医師以外の開設との違い(医療法第7条・第1条の5)、保険診療に要る保険医療機関の指定(健康保険法第65条第1項)、医療法人での開業(医療法第44条第1項)を整理し、物件は不動産、登記は司法書士、税務は税理士、労務は社会保険労務士へ分離受任で振る分担を示しました。

結論(先に要点):無床または19床以下の診療所(クリニック)は、病院と違って開設の「許可」ではなく「届出」で始められます。臨床研修等修了医師(又は臨床研修等修了歯科医師)が診療所を開設したときは、開設後10日以内に、診療所の所在地の都道府県知事(保健所設置市の市長・特別区の区長)へ届け出ます(医療法第8条第1項)。これに対し、病院や、医師でない人が開設する診療所、病床を置く診療所は、開設前に都道府県知事の許可が必要です(医療法第7条)。病院と診療所を分けるのは入院用の病床の数で、20人以上を入院させる施設が病院、19人以下または入院施設なしが診療所です(医療法第1条の5)。保険診療を始めるには、開設届とは別に保険医療機関の指定申請(健康保険法第65条第1項)が要ります。開設届・指定申請・医療法人設立認可申請などの書類作成と提出サポートは当事務所(四葉行政書士事務所)が担当し、物件の選定・賃貸借は別事業体の四葉不動産株式会社、開業融資に伴う税務・会計は税理士、スタッフの雇用契約・就業規則・社会保険の新規適用は四葉社会保険労務士事務所(社会保険労務士)が、それぞれ独立した事業体として別々に対応します。本記事は制度の流れを整理する一般的な情報提供で、個別の可否や様式は所在地の自治体の審査によります。

診療所は「許可」ではなく「届出」でよいのはなぜですか?

医療法は、開設のハードルを施設の性格ごとに変えています。臨床研修等修了医師(又は臨床研修等修了歯科医師)が、入院用の病床を置かない診療所を自分で開設する場合は、事前の許可ではなく、開設後の届出でよいとされています(医療法第8条第1項)。医師の資格と臨床研修を修了していることが、施設の質をある程度担保していると考えられているためです。

一方、次のいずれかに当たる場合は、開設前に都道府県知事(保健所設置市の市長・特別区の区長)の許可が必要になります(医療法第7条)。第一に、病院を開設するとき。第二に、医師・歯科医師でない人(医療法人や自治体など)が診療所を開設するとき。第三に、診療所に病床(入院用ベッド)を置くとき、または病床数・種別を変えるとき(医療法第7条第3項)。つまり、医師個人が無床のクリニックを開くケースが、もっとも手続の軽い「届出」で足りる典型です。

施設・開設者手続根拠
医師個人・無床(19床以下含む一般診療所で病床なし)開設後10日以内の届出医療法第8条第1項
病院(20人以上を入院させる施設)開設前の許可医療法第7条第1項
医師でない人(医療法人等)の診療所開設前の許可医療法第7条第1項
診療所に病床を設ける・変更する事前の許可医療法第7条第3項

「許可」は行政が事前に可否を審査して初めて開設できる仕組み、「届出」は要件を満たせば開設でき、その事実を届け出る仕組みです。この違いが、開業までの期間と準備の重さに直結します。

病院と診療所は、何で線が引かれるのですか?

医療法第1条の5が、入院用の病床の数で区分しています。医師又は歯科医師が医業を行う場所のうち、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものが「病院」、入院施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものが「診療所」です。19床以下の有床診療所と、まったく入院施設を持たない無床診療所は、どちらも「診療所」に含まれます。

区分入院用病床開設手続根拠
病院20人以上開設前の許可医療法第1条の5第1項・第7条
有床診療所19人以下病床設置は許可、開設は届出(医師個人の場合)医療法第1条の5第2項・第7条第3項・第8条
無床診療所なし開設後10日以内の届出(医師個人の場合)医療法第1条の5第2項・第8条

無床のクリニックで開業する場合でも、後から病床を設けるときは、その時点で別に許可が必要になります(医療法第7条第3項)。将来の入院設備を見込むかどうかは、物件の面積・構造の検討にも関わるため、物件選定の段階から整理しておくと手戻りが少なくなります。物件の選定・賃貸借の見立ては別事業体の四葉不動産株式会社の領域です。

開設届はいつまでに、どこへ、何を出すのですか?

医療法第8条第1項は、届出の期限を「開設後10日以内」と定めています。提出先は、診療所の所在地の都道府県知事です。ただし、その所在地が保健所設置市又は特別区の区域にある場合は、実務上その市長・区長(=保健所)へ提出します。窓口は保健所であることが一般的です。

添付書類は自治体ごとに様式が定められていますが、一般に次のようなものが求められます。開設者・管理者の医師免許証の写し、管理者の臨床研修等修了登録証の写し、敷地・建物の平面図と周辺の見取図、診療科目、業務に従事する医師・看護師などの員数、X線装置など診療用放射線に関する届出(設置する場合)です。具体的な様式・部数・添付書類は、所在地の保健所の公式ページを申請の直前に確認してください(本記事では特定の自治体の様式を断定しません)。

事項内容
期限開設後10日以内(医療法第8条第1項)
提出先診療所の所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区は市長・区長=保健所窓口)
主な添付書類医師免許証の写し、臨床研修等修了登録証の写し、平面図・見取図、従事者の員数、放射線関係の届出(設置時)
様式の確認所在地の保健所の公式ページを申請直前に確認

診療所開設届やこれらの添付書類の作成・提出サポートは、官公署へ提出する書類の作成として当事務所(四葉行政書士事務所)が担当できます。開設者本人が届け出ることもできます。

保険診療を始めるには、開設届のほかに何が要りますか?

開設届は、あくまで医療法上の届出です。健康保険や国民健康保険を使った保険診療を行うには、これとは別に「保険医療機関の指定」を受ける必要があります。指定は厚生労働大臣が行い(健康保険法第65条第1項)、申請の窓口は診療所の所在地を管轄する地方厚生(支)局(都道府県事務所)です。指定には申請の締切と発効日のサイクルがあり、開設日と保険診療の開始日がずれることがあります。

そのため、内装・人員・開設届のスケジュールと、保険医療機関指定の申請時期を合わせて逆算しておくことが重要です。指定の申請時期を外すと、開設はできても保険診療の開始が翌月以降にずれ込むことがあります。

手続根拠・提出先目的
診療所開設届医療法第8条第1項・保健所医療法上、診療所を適法に開設する
保険医療機関の指定申請健康保険法第65条第1項・地方厚生(支)局保険診療(健康保険・国保)を行えるようにする
生活保護法・労災保険等の指定各制度の根拠法・所管公費・労災の取扱いを行う場合に必要

保険医療機関の指定申請書・添付書類の作成・提出サポートも、当事務所が担当できます。診療報酬の請求実務や施設基準の届出のうち税務・会計に関わる部分は税理士の領域です。当事務所は税務相談を行いません。

医師個人の開業と医療法人での開業で、手続きはどう変わりますか?

医師個人が開設する場合は、上で見た開設後10日以内の届出(医療法第8条第1項)が入口です。これに対し、医療法人を設立して法人として診療所を開設する場合は、まず医療法人の設立認可を受けなければなりません。医療法人は、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ設立できません(医療法第44条第1項)。認可には都道府県ごとの受付時期(年に数回)が定められていることが多く、法人設立・登記・診療所開設許可(医療法第7条)を順に踏むため、個人開業より準備期間が長くなります。

区分入口の手続特徴
医師個人での開業開設後10日以内の届出(医療法第8条第1項)手続が比較的軽い。まず届出で始められる
医療法人での開業設立認可(医療法第44条第1項)→設立登記→開設許可(医療法第7条)認可の受付時期に合わせる。準備期間が長い

医療法人の設立認可申請書・定款・事業計画などの書類作成・提出サポートは、当事務所が担当できます。設立登記そのものは司法書士、法人の税務・会計は税理士の領域です。当事務所は登記申請の代理・登記申請書の作成、税務相談を行いません。

物件・届出・税務・労務は、それぞれ誰に頼むのですか?

クリニックの開業は、複数の専門分野にまたがります。担当は次のとおりです。

  • 診療所開設届・保険医療機関指定申請・医療法人設立認可申請などの書類作成・提出サポート → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 物件の選定・賃貸借の仲介・用途や構造の見立て → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)
  • 医療法人設立の登記・不動産登記 → 司法書士
  • 開業融資に伴う税務・会計、社会保険料の試算、診療報酬に関わる会計 → 税理士
  • スタッフの雇用契約・就業規則・社会保険の新規適用 → 四葉社会保険労務士事務所(社会保険労務士)

四葉行政書士事務所とは別事業体の四葉不動産株式会社が、独立した事業体として別契約で、物件の選定・賃貸借の仲介・用途や構造の見立てを担当します。医療法人設立の登記は司法書士、税務・会計と社会保険料の試算は税理士、雇用契約・就業規則・社会保険の新規適用は四葉社会保険労務士事務所と、担当が分かれます。各分野は、それぞれの資格者・事務所と独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。

よくある質問

Q. 無床のクリニックなら、開設前に役所の許可はいりませんか?
A. 医師個人が入院用の病床を置かない診療所を開設する場合は、事前の許可ではなく、開設後10日以内の届出でよいとされています(医療法第8条第1項)。ただし、病床を設ける場合や、医療法人など医師以外が開設する場合、病院を開設する場合は、開設前に都道府県知事の許可が必要です(医療法第7条)。まず自院がどの類型に当たるかの確認が入口になります。

Q. 開設届を出せば、すぐ保険診療を始められますか?
A. 開設届は医療法上の届出であって、保険診療の可否とは別です。健康保険・国保を使った保険診療には、保険医療機関の指定(健康保険法第65条第1項)が別に必要で、申請の窓口は地方厚生(支)局です。指定には締切と発効日のサイクルがあり、開設日と保険診療の開始日がずれることがあります。開設届と指定申請の時期を合わせて逆算しておくと安全です。

Q. 開設届の提出先は都道府県ですか、保健所ですか?
A. 医療法第8条第1項は「診療所の所在地の都道府県知事」への届出と定めています。もっとも、その所在地が保健所設置市又は特別区にある場合は、実務上その市長・区長(保健所)が窓口になります。様式・添付書類・部数は自治体ごとに異なるため、所在地の保健所の公式ページを申請直前に確認してください。

Q. 医療法人にすると手続きはどう増えますか?
A. 医療法人での開業は、まず主たる事務所の所在地の都道府県知事の設立認可(医療法第44条第1項)を受け、設立登記を経て、法人として診療所の開設許可(医療法第7条)を受ける流れになります。認可の受付時期が年に数回に限られることが多く、個人開業より準備期間が長くなります。認可申請の書類作成は行政書士、設立登記は司法書士、税務は税理士が、それぞれ独立した事業体として別々に対応します。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「医療法」(昭和23年法律第205号)第1条の5(病院・診療所の定義)、第7条(開設の許可)、第8条第1項(臨床研修等修了医師等による診療所開設の届出=開設後10日以内)、第44条第1項(医療法人の設立認可)(参照日 2026-09-02)
  • e-Gov法令検索「健康保険法」(大正11年法律第70号)第65条第1項(保険医療機関の指定=厚生労働大臣。申請の窓口は地方厚生(支)局)(参照日 2026-09-02)
  • 厚生労働省「保険医療機関・保険薬局の指定申請」および各地方厚生(支)局の指定申請の受付・発効日の案内(参照日 2026-09-02)
  • 各都道府県・保健所設置市・特別区(保健所)の「診療所開設届」の様式・添付書類・提出期限の案内(申請の直前に所在地の公式ページを参照して確認する)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の開設届の受理、保険医療機関の指定の可否、必要書類、審査の取扱い、様式を保証するものではありません。診療所開設届の受理と審査は都道府県知事等(保健所設置市・特別区は市長・区長)が、保険医療機関の指定は厚生労働大臣(申請の窓口は地方厚生(支)局)が、それぞれ判断します。様式・添付書類・提出期限は、診療所の所在地の自治体の条例・公式ページで、申請の直前に確認してください。物件の選定・賃貸借の仲介・用途や構造の見立ては別事業体の四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、医療法人設立の登記は司法書士、開業融資に伴う税務・会計と社会保険料の試算は税理士、雇用契約・就業規則・社会保険の新規適用は四葉社会保険労務士事務所(社会保険労務士)が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は登記申請の代理・登記申請書の作成、税務相談を行いません。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

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