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2026.09.01労働法の基本

副業を認める会社の労務管理──就業規則・労働時間の通算・健康管理をどう設計するか

浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

法律に「副業を認めなければならない」という条文はありませんが、厚生労働省のガイドラインは原則として認める方向が適当とし、禁止・制限できる場合を4類型に限っています。労働基準法第38条第1項は事業主が異なる場合も労働時間を通算するため、届出の方法、割増賃金を誰が払うか、健康管理までを運用ルールにする必要があります。所定労働時間は契約の先後順、所定外労働時間は実際に行われた順に通算し、各社は自社で働かせた時間について割増賃金を支払います。負担を軽くする管理モデル、労災・雇用保険・社会保険の扱い、雇用型とフリーランス型の違いまで整理します。2026年8月20日時点で通算ルールは変わっていません。

結論(先に要点):副業を認める場合、会社が決めるのは「許可する/禁止する」だけではありません。届出の方法、他社での労働時間の把握、割増賃金を誰が払うか、健康管理、秘密保持までを運用ルールにする必要があります。

会社は副業・兼業を認めなければならないのか?

法律に「副業を認めなければならない」という条文はありません。ただし、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2018年1月策定、2020年9月改定、2022年7月改定)は、裁判例を踏まえて、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に労働者の自由であるとし、企業は原則として副業・兼業を認める方向とすることが適当としています。

そのうえで、企業が副業・兼業を禁止または制限できる場合として、次の4つを挙げています。

  1. 労務提供上の支障がある場合
  2. 業務上の秘密が漏洩する場合
  3. 競業により自社の利益が害される場合
  4. 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

つまり、「全面禁止」を就業規則に書き続けることは、この4類型に当たらない副業まで一律に止めることになり、説明が難しくなります。逆に「副業はすべて自由」でもありません。会社が設計するのは、この4類型に当たるかどうかを判断できる材料を、あらかじめ集めておく仕組みです。

就業規則には、何をどう書けばよい?

厚生労働省のモデル就業規則は、第14章「副業・兼業」の第70条に規定を置いています(令和7年12月版。版によって条番号が動きます)。骨格は2つです。

第1項が「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という原則許容の宣言。第2項が、労働者からの届出に基づき、前項の4類型に該当する場合には禁止または制限することができるという留保です。

自社の就業規則に落とすとき、この2項に加えて実際に必要になるのは次の項目です。

  • 届出の対象(雇用されて働く場合だけか、業務委託や自営も含むか)
  • 届出のタイミング(開始前、内容変更時、終了時)
  • 届け出てもらう内容
  • 労働時間の報告の方法と頻度
  • 禁止・制限に該当したときの手続き
  • 秘密保持と競業に関する定め

就業規則そのものの作成・届出義務については就業規則は何人から義務か。義務でないものは何かをご覧ください。

届出制と許可制は、どちらで設計する?

ガイドラインは、副業・兼業の有無や内容を確認する方法として、労働者からの届出に基づくこととし、届出制など確認の仕組みを設けておくことが望ましいとしています。

「許可制」という言葉を使うこと自体が直ちに違法になるわけではありませんが、運用として「会社が自由に諾否を決められる」形にすると、原則許容という考え方と食い違います。実務では、名称を届出制にしたうえで、4類型に該当する場合には禁止・制限できる旨を規定に明記し、判断の理由を本人に伝える手順まで書いておくほうが、後の説明が通ります。

届け出てもらう内容は、ガイドラインが挙げているものが土台になります。

  • 他の使用者の事業内容
  • 従事する業務内容
  • 労働時間通算の対象となるか否か

労働時間通算の対象になる場合は、さらに次を確認します。

  • 労働契約を締結した日と契約期間
  • 所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻
  • 所定外労働の有無、見込み時間数
  • 実労働時間を報告してもらう手続き
  • 確認の頻度

副業先の労働時間を、なぜ会社が把握するのか?

労働基準法第38条第1項が「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めているためです。

この「事業場を異にする場合」には、事業主を異にする場合も含むというのが行政解釈です(2020年9月1日基発0901第3号)。同じ会社の別の工場という意味ではなく、A社とB社という別の会社で働く場合も通算されます。

会社は他社のタイムカードを見られません。ガイドラインは、労働者からの申告等により他の使用者の事業場における労働時間を把握することとしています。申告がなければ通算のしようがないため、届出制と報告の仕組みが必要になるのは、ここに理由があります。

通算するもの・通算しないものは何か?

すべてが通算されるわけではありません。通達は、労働時間に関する規定のうち何が通算対象かを整理しています。

通算する通算しない
対象法定労働時間(1日8時間・週40時間)/時間外労働の単月100時間未満・複数月平均80時間以内36協定で定める延長時間の限度時間(事業場ごと)/休憩・休日・年次有給休暇
理由労働時間に関する規定の適用各事業場で定めるもの、または労働時間そのものの規定ではない

休憩・休日・年次有給休暇が通算されないのは、これらが「労働時間に関する規定」ではないからです。36協定の限度時間が通算されないのは、36協定が事業場ごとに締結されるものだからです。ただし、単月100時間未満・複数月平均80時間以内という上限は通算されます。36協定と残業の枠組みは残業の上限は36協定で決まる。社労士にどこまで頼めるのかに整理しています。

割増賃金は、どちらの会社が払う?

通算の順番で決まります。ガイドラインは2段階で説明しています。

第一段階は、所定労働時間の通算です。副業・兼業を始める前の時点で、労働契約を締結した先後の順に所定労働時間を通算します。これで法定労働時間を超える部分が生じるなら、その部分は、時間的に後から契約した使用者にとっての法定外労働時間になります。

第二段階は、所定外労働時間の通算です。副業・兼業が始まったあとは、所定外労働が実際に行われた順に通算していきます。

そのうえで、各使用者は、通算して時間外労働となる時間のうち、自らの事業場において労働させた時間について割増賃金を支払います。「後から雇った会社が全部負担する」でも「先に雇った会社が全部負担する」でもありません。

先に契約していた会社にとっては、自社では所定内に収まっているのに、社員が副業先で働いた結果として自社の残業が割増の対象になる、という順番の問題が起こり得ます。ここが実務でいちばん重い部分です。

「管理モデル」を使うと、何が楽になる?

ガイドラインは、この計算の負担を軽くする簡便な方法として管理モデルを示しています。

副業・兼業を始める前に、時間的に先行する使用者Aの事業場における1か月の法定外労働時間と、後行する使用者Bの事業場における1か月の労働時間とを合計した時間数が、単月100時間未満・複数月平均80時間以内となる範囲内で、それぞれの上限をあらかじめ設定します。

そのうえで、使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間について、使用者Bは自らの事業場における労働時間について、それぞれ割増賃金を支払います。

この方法をとると、各社はあらかじめ決めた上限の中で働かせている限り、他社の実労働時間を都度把握して計算し直す必要がなくなります。副業を認める側にとっては、これが現実的な着地点になることが多い方法です。

なお、管理モデルは法律の条文ではなくガイドラインが示す運用方法です。導入するには、労働者を通じて副業先の理解を得る必要があります。

通算のルールは、これから変わるのか?

2026年8月20日時点で、労働基準法第38条第1項の通算ルールは変わっていません。

見直しの議論は続いています。労働基準関係法制研究会の報告書は、割増賃金の支払いについては通算を要しないよう制度改正に取り組むことが考えられるとする一方、健康確保のための労働時間の通算は維持する方向を示しています。労働政策審議会労働条件分科会でも、通算が企業にとって副業を認めにくい要因になっているという実態が資料として示されています(第200回・2025年6月16日ほか)。

ただし、これは検討段階の議論です。厚生労働省が国会に提出した法律案の一覧を確認しても、2026年8月20日時点で労働基準法の改正法案は提出されていません。

したがって、いま制度を作るなら現行ルールを前提にします。「近く通算がなくなるらしいので待つ」という判断は取らないほうが安全です。一方で、制度を作り込みすぎず、通算の計算方法を変えやすい形(管理モデルの上限を規程本体ではなく運用細則や個別の合意書に置くなど)にしておくことには意味があります。

健康管理は、どこまで会社の仕事か?

労働安全衛生法第66条等に基づく健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックは、その労働者が副業・兼業をしているかどうかにかかわらず実施する義務があります。

ガイドラインは、これらの健康確保措置の実施対象者を選ぶ際には、副業・兼業先の労働時間を通算する必要はないとしています。ここは割増賃金の通算とは扱いが違います。ただし、使用者の指示により副業・兼業をさせている場合には、副業・兼業先との情報交換により、労働時間を通算して実施することが適当だとしています。

そのうえで、長時間労働を防ぐために、時間外・休日労働の免除や抑制等の措置を講じることが適当だとされています。届出の内容から総労働時間が長くなりそうだとわかったときに、自社側の残業を抑えるという判断ができるようにしておくことが、実際の健康確保になります。

ストレスチェックの義務が2028年4月から50人未満の事業場にも広がる点は2028年4月から50人未満の事業場もストレスチェック義務化に、不調が起きたあとの対応は従業員がメンタル不調で休職するときに整理しています。

労災・雇用保険・社会保険は、副業でどう変わる?

制度ごとに考え方が違います。

制度副業・兼業での扱い
労災保険2020年9月1日から、複数事業労働者の給付基礎日額はすべての就業先の賃金額を合算して決定。1つの事業場だけでは労災認定できない場合でも、複数事業場の負荷を総合的に評価する複数業務要因災害として認定される道がある(脳・心臓疾患や精神障害など)
雇用保険原則として主たる事業所でのみ被保険者となる。65歳以上については、2022年1月1日からマルチジョブホルダー制度があり、2つの事業所の週所定労働時間を合算して20時間以上(各5時間以上20時間未満)などの要件を満たす場合、本人がハローワークに申し出ることで被保険者になれる
社会保険2か所以上の適用事業所でそれぞれ加入要件を満たしたときは、被保険者所属選択・二以上事業所勤務届を事実発生から10日以内に提出。標準報酬月額は各事業所の報酬月額を合算して決定し、保険料は各事業所の報酬月額に応じて按分する

社会保険の届出は、原則として被保険者本人が提出するものですが、事業所の担当者や社会保険労務士が提出することもできます。標準報酬月額の決まり方そのものは算定基礎届と月額変更届は何が違う?を、短時間労働者の加入要件は短い時間で雇うと、社会保険はどうなるかをご覧ください。

雇用保険については、2028年10月1日から週所定労働時間の要件が20時間以上から10時間以上に下がります(雇用保険法等の一部を改正する法律・令和6年法律第26号)。マルチジョブホルダー制度の要件も、1つの事業所で10時間以上、2つの事業所の合計で10時間以上に変わります。週10時間台の副業が被保険者資格に絡んでくるため、副業を認める会社ほど影響が大きい改正です。65歳以上の働き方の全体像は60歳定年のままでいいのかに整理しています。

雇用型とフリーランス型は、何が違う?

労働時間の通算が必要になるのは、労働基準法の労働時間規制が適用される労働者として働く場合です。

ガイドラインは、副業・兼業の形態が、フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等である場合には、労働時間規制が適用されないため通算の対象にならないとしています。

つまり、社員が休日に業務委託でウェブ制作を請け負っている場合と、休日に別の会社にアルバイトとして雇われている場合とでは、会社がやることが変わります。前者は通算の計算が不要で、後者は必要です。届出書に「雇用されて働くのか、そうでないのか」を書いてもらう欄が要るのは、この分岐のためです。

ただし、契約書の名前が業務委託でも、実態として指揮命令を受けて働いていれば労働者と判断されることがあります。この線引きは外注と雇用の境目は、契約書では決まらないに整理しています。

また、通算の対象にならない場合でも、ガイドラインは、過労等により業務に支障を来さないようにする観点から、労働者自身が就業時間を把握することを推奨しています。会社としても、健康確保の観点からは総就業時間を聞いておく意味があります。

秘密保持・競業・情報の持出しはどう扱う?

禁止・制限の4類型のうち、秘密漏洩・競業・名誉信用の3つは、労働時間の管理とは別の系統の話です。

会社として整備できるのは、次のような枠組みです。

  • 就業規則の服務規律に、秘密保持と競業に関する定めを置く
  • 副業の届出書に、副業先の事業内容と従事する業務内容を書いてもらう
  • 自社の営業秘密や顧客情報を持ち出さないことを確認する
  • 会社の貸与端末・アカウントを副業で使わせない

一方で、特定の副業が競業に当たるかどうか、競業避止の合意がどこまで有効かという個別の判断は、当事務所では扱いません。 契約の効力や損害賠償が問題になる場面は弁護士への相談をご案内します。就業規則の条文を整えることと、個別の事案の法的評価を下すことは別の仕事です。

よくある質問

Q. 就業規則に「副業禁止」と書いてあります。そのままにしておくと問題になりますか?
A. ただちに違法というわけではありませんが、厚生労働省のガイドラインは、労働時間以外の時間の使い方は基本的に労働者の自由であり、原則として副業・兼業を認める方向とすることが適当としています。会社が禁止・制限できるのは、労務提供上の支障、秘密漏洩、競業、名誉信用の毀損の4類型です。一律禁止のままだと、この4類型に当たらない副業まで止めることになり、実際に処分をしようとした場面で説明が難しくなります。届出制に切り替えて、4類型に該当する場合に禁止・制限できると書くのが実務的です。

Q. 社員が副業を始めたら、うちの残業に割増賃金がつくのですか?
A. つく場合があります。労働基準法第38条第1項により、事業主が異なる場合も労働時間は通算されます。所定労働時間は労働契約を締結した先後の順に、所定外労働時間は実際に行われた順に通算し、各社は通算して時間外労働となる時間のうち自社で働かせた時間について割増賃金を支払います。負担を軽くする方法として、ガイドラインは管理モデルを示しています。あらかじめ各社の上限を決めておけば、他社の実労働時間を都度把握して計算し直す必要がなくなります。

Q. 副業先が業務委託の場合も、労働時間を通算しますか?
A. 労働基準法の労働時間規制が適用されない働き方であれば通算しません。ガイドラインは、フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等を挙げています。ただし契約書の名称が業務委託でも、実態として指揮命令を受けていれば労働者と判断されることがあります。また通算の対象外でも、健康確保の観点から就業時間を把握しておくことは推奨されています。

Q. 副業の労働時間を通算するルールは、なくなると聞きました。待ったほうがよいですか?
A. 2026年8月20日時点で、労働基準法第38条第1項の通算ルールは変わっていません。労働基準関係法制研究会の報告書は、割増賃金については通算を要しないよう制度改正に取り組むことが考えられるとし、健康確保のための通算は維持する方向を示していますが、これは検討段階の議論です。厚生労働省が国会に提出した法律案にも、労働基準法の改正法案は含まれていません。いま制度を作るなら現行ルールを前提にし、将来の変更に合わせやすい形にしておくのが現実的です。

この記事の根拠

  • 労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条第1項 ──「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」
  • 「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について」(2020年9月1日基発0901第3号)── 「事業場を異にする場合」には事業主を異にする場合も含む。通算されるのは法定労働時間および単月100時間未満・複数月平均80時間以内の上限。36協定で定める延長時間の限度時間は事業場ごとであり通算されない。休憩・休日・年次有給休暇は労働時間に関する規定ではないため通算されない
  • 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2018年1月策定、2020年9月改定、2022年7月8日改定)── 労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に労働者の自由であり、原則として副業・兼業を認める方向とすることが適当。禁止・制限できるのは①労務提供上の支障がある場合②業務上の秘密が漏洩する場合③競業により自社の利益が害される場合④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合。副業・兼業の有無・内容は労働者からの届出により確認し、届出制など確認の仕組みを設けることが望ましい
  • 同ガイドライン(労働時間の通算)── 所定労働時間は労働契約を締結した先後の順に、所定外労働時間は実際に行われた順に通算する。各使用者は、通算して時間外労働となる時間のうち自らの事業場において労働させた時間について割増賃金を支払う
  • 同ガイドライン(管理モデル)── 副業・兼業の開始前に、先行する使用者Aの事業場における1か月の法定外労働時間と後行する使用者Bの事業場における1か月の労働時間とを合計した時間数が単月100時間未満・複数月平均80時間以内となる範囲内で各々の上限を設定し、使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間について、使用者Bは自らの事業場における労働時間について割増賃金を支払う
  • 同ガイドライン(通算の対象外)── フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等、労働基準法の労働時間規制が適用されない場合は通算の対象にならない。ただし過労等により業務に支障を来さないようにする観点から就業時間の把握が推奨される
  • 同ガイドライン(健康管理)── 労働安全衛生法第66条等に基づく健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックは副業・兼業の有無にかかわらず実施義務がある。健康確保措置の実施対象者の選定にあたって副業・兼業先の労働時間を通算する必要はない。使用者の指示により副業・兼業をさせている場合は副業・兼業先との情報交換により通算して実施することが適当。時間外・休日労働の免除や抑制等の措置を講じることが適当
  • 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)── 第14章「副業・兼業」第70条。第1項は勤務時間外において他の会社等の業務に従事できる旨、第2項は労働者からの届出に基づき前記4類型に該当する場合に禁止または制限できる旨。条番号は版によって異なります(2025年3月時点の解説では第68条)
  • 労働基準関係法制研究会報告書 ── 割増賃金の支払いについては通算を要しないよう制度改正に取り組むことが考えられるとする一方、健康確保のための労働時間の通算は維持する方向。労働政策審議会労働条件分科会(第200回・2025年6月16日ほか)でも通算が副業・兼業を認めにくい要因になっている実態が資料として示されている。いずれも検討段階であり、2026年8月20日時点で労働基準法の改正法案は国会に提出されていません
  • 厚生労働省「複数事業労働者への労災保険給付」(2020年9月1日施行)── 複数事業労働者は、被災した時点で事業主が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある労働者等。給付基礎日額はすべての就業先の賃金額を合算した額を基礎として決定。複数の事業場の業務上の負荷を総合的に評価して認定する複数業務要因災害の給付が新設(脳・心臓疾患や精神障害など)
  • 厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度」(2022年1月1日施行)── 65歳以上で2つの事業所に雇用され、1つの事業所の週所定労働時間が5時間以上20時間未満、2つの事業所の週所定労働時間の合計が20時間以上、それぞれの雇用見込みが31日以上であることが要件。労働者本人が住居所を管轄するハローワークに申し出ることで被保険者となり、申出日から資格取得(遡及適用の対象外)
  • 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)── 週所定労働時間の被保険者要件が20時間以上から10時間以上に変更。施行日は2028年10月1日。特例高年齢被保険者(マルチジョブホルダー)の要件も、一の適用事業・二の適用事業の合計ともに10時間以上に変更
  • 日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」── 同時に2か所以上の適用事業所で加入要件を満たしたときは「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を事実発生から10日以内に提出。標準報酬月額は各事業所の報酬月額を合算して決定し、保険料は各事業所の報酬月額に基づき按分。提出は被保険者本人が行うほか、事業所担当者や社会保険労務士が提出することもできる
  • 公的資料・条文は2026年8月20日に確認

この記事は、個別の該当性を判断するものではありません。四葉社会保険労務士事務所では、副業・兼業に関する就業規則・規程の作成と変更、届出書式と報告フローの設計、管理モデルを含む労働時間通算の運用整理、36協定の作成と届出、長時間労働を抑えるための社内ルールづくり、複数事業所勤務にともなう社会保険の届出、雇用保険マルチジョブホルダー制度の手続についてご相談いただけます。副業収入の確定申告や住民税の取扱いは税理士へおつなぎします。特定の副業が競業に当たるかどうか、秘密保持・競業避止の合意の効力、損害賠償が問題になる場面は当事務所では扱わず、弁護士への相談をご案内します。社員が法人を設立して副業を行う場合の会社設立・許認可は四葉行政書士事務所が別の事業体として承ります。別の専門家が必要な場合は、それぞれ別契約となり、紹介料はありません。ご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

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本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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