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業種別の労務管理

バス運転者の2024年改善基準告示と拘束時間・休息・連続運転の労務|36協定との整合

壁の掛け時計と升目だけのシフト表を描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

バス運転者の労働時間は、労働基準法に加えて改善基準告示(令和4年12月23日改正・令和6年4月1日適用)で管理します。拘束時間は「1年・1か月」か「52週・4週平均1週」のいずれかで管理し、原則は1年3,300時間・1か月281時間以内(または52週3,300時間・4週平均1週65時間以内)、貸切バス等の運転者は労使協定で1年3,400時間の範囲で1か月294時間まで(年6か月まで)延長できます。1日の拘束時間は13時間を原則・最大15時間(14時間超は週3回まで)、休息期間は継続11時間を基本とし9時間を下回りません。運転時間は2日平均1日9時間・4週平均1週40時間、連続運転は4時間以内です。タクシー・トラックとの違い、拘束時間の2つの管理方式、連続運転と休息期間、36協定・特別条項との整合、そして誰に何を頼むかを整理します。

結論(先に要点):バス運転者の労働時間は、労働基準法に加えて改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)で管理します。令和4年(2022年)12月23日改正・令和6年(2024年)4月1日適用の現行基準では、拘束時間を「1年・1か月」か「52週・4週平均1週」のどちらかで管理し、原則は1年3,300時間・1か月281時間以内(または52週3,300時間・4週平均1週65時間以内)、1日の拘束時間は13時間を原則・最大15時間、休息期間は継続11時間以上を基本とし継続9時間を下回らないと定められています。この記事では、バスがタクシー・トラックと何が違うか、拘束時間の上限、連続運転と休息期間、36協定・特別条項との整合、そして誰に何を頼むかを、社会保険労務士の労務管理の視点で整理します。

バスは、乗合・貸切という業態の違いに加え、長距離・夜行の運行や2人乗務など、拘束時間の管理が複雑になりやすい業種です。このページは、乗合・貸切バス事業者の労務・運行管理担当の方に向けて、改善基準告示のバス関係の数値、拘束時間の2つの管理方式、連続運転と休息期間、36協定・特別条項の整え方、そして運送事業の許可・運行管理との線引きを整理します。

バスの改善基準告示は、タクシー・トラックと何が違うの?

改善基準告示は、始業から終業までの「拘束時間」(労働時間+休憩・手待ち時間)と、勤務と勤務の間の「休息期間」、そして「運転時間」「連続運転時間」に上限・下限を定める厚生労働大臣の告示です。令和4年(2022年)12月23日に改正され、令和6年(2024年)4月1日から適用されています。あわせて、自動車運転の業務にも同じ令和6年4月1日から時間外労働の上限規制(特別条項でも年960時間以内。労働基準法附則第140条第1項)が適用されました。「上限規制」と「改善基準告示」は別の物差しで、両方を同時に満たす必要があります。

バス・トラック・タクシーは同じ告示で扱われますが、数値は業態ごとに別建てです。主な違いは次のとおりです。

項目バストラックタクシー
1年の拘束時間原則3,300時間原則3,300時間(日勤・隔日で別建て)
1か月の拘束時間原則281時間原則284時間日勤288時間・隔日262時間
1日の拘束時間(14時間超の目安)週3回まで週2回まで週3回まで
運転時間2日平均1日9時間・4週平均1週40時間2日平均1日9時間・2週平均1週44時間—

タクシーの隔日勤務(2暦日22時間など)の数値はタクシー運転者の2024年改善基準告示と隔日勤務の労務、トラック運送の2024年問題は運送業の2024年問題と改善基準告示で扱っています。バスは1か月の拘束時間がトラックより短く、週単位の運転時間の基準も4週平均である点が特徴です。

1日・1か月・1年の拘束時間の上限はどう決まっているの?

バスの拘束時間は、「1年・1か月」で管理する方式と、「52週・4週平均1週」で管理する方式のいずれかを選んで運用します。原則値と、労使協定による延長(貸切バス等の運転者が対象)は次のとおりです。

管理方式原則労使協定による例外(貸切バス等の運転者)
1年・1か月で管理1年3,300時間以内・1か月281時間以内1年3,400時間の範囲で1か月294時間まで(年6か月まで・281時間超は連続4か月まで)
52週・4週平均1週で管理52週3,300時間以内・4週平均1週65時間以内52週3,400時間の範囲で4週平均1週68時間まで(52週のうち24週まで・65時間超は連続16週まで)

1日単位では、拘束時間は13時間以内を原則とし、延長する場合でも15時間が限度です。14時間を超える回数は1週間に3回までを目安とし、できるだけ少なくするよう努めることとされています。

改善基準告示は労働基準法そのものではなく告示ですが、違反すると労働基準監督署の是正指導の対象になり、運輸行政の処分(事業者への行政処分)にもつながります。「協定さえ結べば青天井」ではない点が、時間外労働の上限規制との違いです。

連続運転と休息期間は、どこまで短くできるの?

休息期間は、勤務と勤務の間に継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないこととされています。勤務終了後に9時間以上を与えることが困難な場合は、1か月を限度に全勤務回数の2分の1まで休息期間を分割でき、分割した各回は継続4時間以上・合計11時間以上で2分割までです。

運転時間・連続運転時間は次のとおりです。

項目基準
運転時間2日(始業から起算して48時間)平均で1日9時間以内/4週平均1週40時間以内
連続運転時間4時間以内(運転の中断は、1回連続10分以上・合計30分以上の運転をしない時間が必要)
高速道路の実車区間(高速・貸切バス)おおむね2時間までとするよう努める

事故・故障・災害など予期し得ない事象で遅延が生じた場合は、客観的な記録が認められるときに限り、1日の拘束時間・2日平均の運転時間・連続運転時間の規制の適用上、その対応に要した時間を除くことができます。ただし、勤務終了後には通常どおりの休息期間(継続11時間以上を基本・継続9時間を下回らない)を確保する必要があります。仮眠や待機の実態をデジタコや日報で記録することが出発点になります。

36協定・特別条項は、告示とどう整合させるの?

バスも自動車運転の業務なので、時間外労働の上限は特別条項でも年960時間以内です(労働基準法第36条・附則第140条第1項)。36協定と就業規則を、改善基準告示の拘束時間・休息期間と矛盾しない形で設計する必要があります。整えどころは次のとおりです。

すること見直すポイント
36協定(特別条項)時間外労働を年960時間以内で設計し、特別条項の回数(年6回まで)・理由・手続を明記する
就業規則・賃金規程拘束時間・休息期間・深夜割増(22時〜翌5時25%以上)・休憩を明記し、告示の数値と整合させる
変形労働時間制長距離・夜行の運行は1か月単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の2)等で設計し、所定労働時間と休日の置き方を規程に落とす
拘束時間・運転時間の記録デジタコ・日報と勤怠を突き合わせ、1か月281時間(または4週平均1週65時間)・運転時間・連続運転4時間のラインを日々管理する
過半数代表者の選出管理監督者でない者を適正な手続で選び、記録を残す(労働基準法施行規則第6条の2)

ご自身のケースについて相談したい方へ

社会保険・給与・労務について、状況をお聞かせください。

就業規則は常時10人以上の労働者を使う事業場に作成・届出の義務があります(労働基準法第89条)。何人から義務かは就業規則は何人から義務か、36協定と残業の上限の基本は36協定と残業の上限もあわせてご覧ください。

労務管理(社労士)と、運送事業の許可・運行管理はどこで分けるの?

バス事業の労務対応は、労務だけで完結しません。業務ごとに担い手が分かれます。

すること誰の業務か
就業規則・賃金規程・36協定の作成、拘束時間・運転時間の管理体制の整備、割増賃金の計算社会保険労務士(当事務所)
一般乗合旅客自動車運送事業・一般貸切旅客自動車運送事業の許可申請、事業計画変更などの許認可書類行政書士
運賃・運行・運行管理者など運輸行政の許可・認可、安全統括の判断地方運輸局(運輸支局)
未払い割増賃金の請求、労使紛争、労働審判・訴訟弁護士
割増賃金の源泉徴収や年末調整の税務判断税理士

当事務所は労務管理の情報提供・手続に限ります。バス事業の許可や事業計画変更については、四葉行政書士事務所へおつなぎすることもできますが、社会保険労務士業務と行政書士業務はそれぞれ独立した事業体が担い、別々にご契約いただく前提です。一括受任はしません。

四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?

文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、バス事業の就業規則・賃金規程の改善基準告示への対応、1か月単位の変形労働時間制の設計、36協定(特別条項)の設計・届出、深夜・時間外の割増賃金の計算、拘束時間・運転時間の管理体制の整備をお受けします。ご相談は無料です。 内容と人数に応じてお見積りし、料金の考え方は報酬額表をご覧ください。よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

すでに未払い割増賃金の請求や紛争になっている場合は、弁護士へ直接ご依頼いただく形をご案内します。当事務所は紹介料を受け取りません。

よくある質問

Q. バスの拘束時間は、1年と1か月のどちらで見ればよいですか?
A. 「1年・1か月で管理する方式」と「52週・4週平均1週で管理する方式」のどちらかを選んで運用します。前者は1年3,300時間・1か月281時間以内が原則、後者は52週3,300時間・4週平均1週65時間以内が原則です。貸切バス等の運転者は、労使協定により前者は1年3,400時間の範囲で1か月294時間まで(年6か月まで)、後者は52週3,400時間の範囲で4週平均1週68時間まで(52週のうち24週まで)延長できます。

Q. 1日の拘束時間は最大何時間まで認められますか?
A. 原則13時間以内で、延長する場合でも15時間が限度です。14時間を超える回数は1週間に3回までを目安とし、できるだけ少なくするよう努めることとされています。トラックは14時間超が週2回までで、バスとタクシーは週3回までと、業態で目安が異なります。

Q. 連続運転は何時間までで、休憩はどう取ればよいですか?
A. 連続運転時間は4時間以内です。運転の中断には、1回連続10分以上・合計30分以上の運転をしない時間が必要です。高速バス・貸切バスの高速道路の実車区間は、おおむね2時間までとするよう努めることとされています。

Q. バス事業の許可も一緒にお願いできますか?
A. 労務管理は社会保険労務士、一般乗合・一般貸切旅客自動車運送事業の許可や事業計画変更の書類は行政書士の業務です。それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、四葉行政書士事務所へおつなぎすることはできます。まとめて一括で受任する形はとっていません。

この記事の根拠

  • 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示。平成元年労働省告示第7号、令和4年12月23日厚生労働省告示第367号により改正、令和6年4月1日適用)のバス運転者に係る規定。拘束時間=1年3,300時間・1か月281時間(または52週3,300時間・4週平均1週65時間)を原則とし、貸切バス等の運転者は労使協定により1年3,400時間の範囲で1か月294時間まで(年6か月まで・281時間超は連続4か月まで)、52週3,400時間の範囲で4週平均1週68時間まで(52週のうち24週まで・65時間超は連続16週まで)。1日の拘束時間13時間を原則・最大15時間(14時間超は週3回までが目安)。休息期間は継続11時間を基本・継続9時間を下回らない。運転時間は2日平均1日9時間・4週平均1週40時間。連続運転時間4時間以内(中断は1回連続10分以上・合計30分以上)
  • 労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条、第32条の2(1か月単位の変形労働時間制)、第36条(時間外・休日労働の協定)、第37条(割増賃金=時間外25%以上・月60時間超50%以上・休日35%以上・深夜25%以上)、第89条(就業規則の作成・届出)、附則第140条第1項(自動車の運転の業務への時間外労働の上限規制の適用=特別条項でも年960時間)
  • 労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第6条の2(過半数代表者の要件)
  • 拘束時間・休息期間・運転時間・連続運転時間・予期し得ない事象の数値は、厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」バス運転者のページ、および厚生労働省・国土交通省のバス運転者向けリーフレットにより確認(2026年10月参照)

この記事は、誰に相談するかまでは決めていません。就業規則・賃金規程・36協定の作成、拘束時間・運転時間の管理体制の整備、割増賃金の計算は社会保険労務士の業務です。一般乗合・一般貸切旅客自動車運送事業の許可申請や事業計画変更の書類は行政書士の業務、未払い割増賃金の請求・紛争は弁護士の業務、源泉徴収・年末調整の税務判断は税理士の業務です。社会保険労務士業務と行政書士業務は、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。四葉社会保険労務士事務所にご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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