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外国人雇用

外国人を『日本人と同等以上の報酬』で雇うとき、同等性はどう立証しますか?

多様な人材が働く職場づくりのイメージ
浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

外国人を雇うときの「日本人と同等以上の報酬」は、在留資格の基準省令が明文で求める要件です。技術・人文知識・国際業務は上陸基準省令の該当項下欄第3号「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」、特定技能は基準省令第1条第1項第3号「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上」と定めます。比較対象は職務・学歴・社内等級・入社区分がそろう日本人で、いなければ賃金規程・賃金テーブルや同業他社の水準で妥当性を説明します。賞与・職務手当は算入し、通勤・扶養・住宅手当など実費弁済的なものは含めません。立証資料と母国語併記の労働条件通知書(労働基準法第15条第1項・外国人指針=厚生労働省告示第276号)の整備は社会保険労務士、在留資格の申請は行政書士(四葉行政書士事務所は独立した事業体・別々にご契約)、可否は入管が判断します。

結論(先に要点):外国人を雇うときの「日本人と同等以上の報酬」は、在留資格の基準省令が明文で求める要件です。技術・人文知識・国際業務では上陸基準省令の該当項の下欄第3号が「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」と定め、特定技能では基準省令第1条第1項第3号が「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」と定めています。立証は、賃金規程・賃金テーブルと比較対象の説明資料でそろえるのが実務です。

在留資格の申請そのものは行政書士(四葉行政書士事務所)の業務で、当事務所(社会保険労務士事務所)とは独立した事業体として別々にご契約いただきます。この記事は制度の枠組みの整理にとどまり、個別の可否は入管・有資格者が判断します。同等報酬の立証資料と母国語併記の労働条件通知書の整備という、社会保険労務士がご支援できる労務の論点に絞って説明します。

「日本人と同等以上の報酬」とは、具体的に何と何を比べるのか?

まず、要件そのものが在留資格の基準に明文で置かれている点を押さえます。根拠は在留資格ごとに別の省令です。

在留資格根拠文言
技術・人文知識・国際業務上陸基準省令(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令、平成2年法務省令第16号)の該当項の下欄第3号日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
特定技能1号特定技能基準省令(特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令、平成31年法務省令第5号)第1条第1項第3号外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること

比べるのは「同じ仕事をする日本人が受け取る報酬」と「その外国人に支払う報酬」です。出入国在留管理庁の運用では、比較の基準を、職務の内容・責任、学歴や職歴、社内での等級、新卒か中途かといった入社区分がそろう日本人従業員に置きます(2026年9月参照)。つまり、社内に「同じ条件の日本人」がいれば、その人の賃金が第一の物差しになります。

外国人だからという理由で低い賃金にすると、この要件を満たさず、在留資格の該当性そのものが崩れます。逆に、日本人と同じ賃金規程を機械的に当てはめているだけでは、比較対象がずれていて説明できないことがあります。要点は、賃金規程・賃金テーブルという社内の物差しがあり、その中でどの位置に置いたのかを説明できることです。労働条件明示のルールの全体像は外国人にも必要な労働条件明示。2024年から何が変わったかに整理しています。

比較対象がいない小規模な会社では、同等性をどう説明するのか?

社内に同じ職務の日本人がいない小規模な会社では、比較対象を社外に求めます。出入国在留管理庁の運用では、同種の職務に従事する同業他社の同水準の求人・賃金水準などを参考に、支払う報酬が妥当であることを説明する方法が示されています(2026年9月参照)。

  • 賃金規程・賃金テーブルを整える:職務・等級ごとの賃金レンジを社内規程として持ち、その外国人がどのレンジのどの位置にいるかを示します。規程があること自体が、恣意的でない設定の裏づけになります。
  • 社外の水準で補強する:地域・職種の賃金相場、同業他社の求人票、公的な賃金統計などを、支払額が下回っていないことの補強資料にします。
  • 説明書の様式を使う:特定技能では、報酬に関する説明書の参考様式が用意されており、比較の考え方を書面で示す運用になっています。

小規模だから緩くなるわけではなく、比較対象が社内にない分、規程と社外水準で「同等以上」を説明する負担がむしろ増えます。採用の全体像で誰が何を担うかは外国人を1人雇うと、窓口はいくつ必要かに整理しています。

手当・賞与・現物給与は、同等性の判断にどう含めるのか?

「報酬」に何を含めるかで、同等かどうかの結論が変わります。出入国在留管理庁の運用では、報酬は労働の対償として支払われるものを指し、賞与や職務に対する手当は含める一方、通勤手当・扶養手当・住宅手当のように実費弁済の性格を持つものは含めないとされています(2026年9月参照)。

区分同等性の判断への算入
基本給・職務に対する手当含める
賞与(賞与見込みを含む考え方)含める
通勤手当・扶養手当・住宅手当など実費弁済的なもの含めない

したがって、「手当を厚くして額面をそろえた」つもりでも、その手当が実費弁済的なものであれば、同等性の物差しには乗りません。社宅を安く貸すなどの現物給与は、社会保険の標準報酬では現物給与として扱われる場面がある一方、在留資格の報酬要件では実費弁済的な部分は算入されないというように、制度ごとに扱いが違います。社宅・現物給与の社会保険上の扱いは社宅を貸すと、社会保険の報酬はどうなるかも参考になります。額面の見せ方ではなく、労働の対償としての基本給・賞与・職務手当で同等以上を組み立てるのが安全です。

労働条件通知書は、母国語でどこまで示す必要があるのか?

労働条件の明示そのものは労働基準法第15条第1項の義務で、明示事項は労働基準法施行規則第5条が定めます。2024年(令和6年)4月1日施行の改正(令和5年厚生労働省令第39号)で、就業場所・業務の変更の範囲、有期契約の更新上限、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件が明示事項に加わりました。改正の範囲は労働条件の明示ルールはどう変わった?に整理しています。

言語については、条文は指定していません。ただし「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年厚生労働省告示第276号)が、外国人が理解できるよう、母国語又は平易な日本語を用いる等の方法で明示するよう努めることを求めています。これは努力義務です。実務では、厚生労働省が公表する労働条件通知書のモデル様式の外国語版を使い、母国語版と日本語版を併せて交付して「渡した・理解した」を残します。同等報酬の説明も、賃金の根拠を本人が理解できる形で伝えておくと、後の食い違いを防げます。募集段階の明示との関係は求人票に書かなければならないことにまとめています。

採用後に賃金を下げると、在留更新にどう響くのか?

同等報酬の要件は、入社時に一度満たせば終わりではありません。在留期間の更新のときにも、労働条件が適正に保たれているかがみられます。採用後に外国人の賃金だけを引き下げれば、同じ職務の日本人との差が生じ、更新の審査で同等性を説明しにくくなります。

ご自身のケースについて相談したい方へ

社会保険・給与・労務について、状況をお聞かせください。

  • 賃金を下げるときは、日本人も含む規程の変更として整合させる:外国人だけを対象にした引き下げは、同等性の観点でも労務の観点でも説明が難しくなります。
  • 昇給・降給は賃金規程に沿って記録する:賃金台帳・辞令など、いつ・なぜ・いくら変えたかの記録を残します。
  • 更新時に説明できる状態を保つ:入社時に整えた比較資料を、更新のたびに現況へ更新します。

在留期限と契約期間はどちらが先に切れるかという論点は在留期限と雇用契約期間は、どちらが先に切れるかに、技人国で中国・台湾の人材を採るときの労務と在留の全体像は技人国で中国・台湾の人材を採るとき、労務と在留はどう進めるかに整理しています。なお、特定の更新が許可されるかどうかは入管が判断する事項で、この記事は制度の枠組みの紹介にとどまります。

労務の整備と在留申請は、誰に分けて頼むのが安全か?

外国人を1人雇うと、在留資格・労働社会保険・労働条件という別々の手続が同時に動きます。手続の性質で担当が分かれます。

手続担当
同等報酬の立証資料(賃金規程・比較説明)、母国語併記の労働条件通知書、労働・社会保険の加入と届出、就業規則社会保険労務士(当事務所)
在留資格の申請・変更・更新(入管への申請書類の作成・取次)行政書士(四葉行政書士事務所)
雇い入れ・離職時の外国人雇用状況の届出事業主の義務。社会保険労務士が代行できます

同等報酬の立証資料づくりと労働条件通知書の整備は、賃金規程との整合をとる労務の手続で、社会保険労務士の領域です。在留資格そのものを取る・変える手続は行政書士(四葉行政書士事務所)の領域で、当事務所とは独立した事業体として別々にご契約いただきます。当事務所は他の専門家を紹介する場合も、お客様に直接ご契約いただく形をご案内し、紹介料を受け取りません。ご相談は無料で、費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。所得税・住民税の扱いは税理士の領域です。

よくある質問

Q. 外国人を日本人より低い賃金で雇うと、どうなりますか?
A. 技術・人文知識・国際業務も特定技能も、在留資格の基準省令が「日本人が従事する場合の報酬と同等以上」を明文で求めています。外国人だからという理由で低い賃金にすると、この要件を満たさず、在留資格の該当性そのものが問われます。同じ職務の日本人の賃金や賃金規程・社外水準に照らして、同等以上であることを説明できる状態にしておく必要があります。

Q. 比較できる日本人が社内にいない場合は、どう説明しますか?
A. 出入国在留管理庁の運用では、社内に同じ職務の日本人がいない場合、同業他社の同水準の求人・賃金水準などを参考に、支払う報酬が妥当であることを説明する方法が示されています。職務・等級ごとの賃金テーブルを社内規程として整え、その中の位置づけと社外水準の両方で「同等以上」を裏づけると、説明の負担が下がります。

Q. 手当を増やせば、同等報酬の要件は満たせますか?
A. 報酬に含まれるのは労働の対償として支払われるもので、賞与や職務に対する手当は含まれますが、通勤手当・扶養手当・住宅手当のように実費弁済の性格を持つものは含まれないとされています。実費弁済的な手当で額面をそろえても同等性の物差しには乗らないため、基本給・賞与・職務手当で組み立てるのが安全です。

Q. 労働条件通知書は、必ず母国語で作らなければなりませんか?
A. 労働条件の明示は労働基準法第15条第1項の義務ですが、条文は言語を指定していません。外国人指針(厚生労働省告示第276号)が、母国語又は平易な日本語を用いる等、理解できる方法で明示するよう努めることを求めており、これは努力義務です。実務では、厚生労働省のモデル労働条件通知書の外国語版を使い、母国語版と日本語版を併せて交付して理解を確認します。

この記事の根拠

  • 技術・人文知識・国際業務の報酬要件:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)の「技術・人文知識・国際業務」の項の下欄第3号「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」(e-Gov法令検索。施行日・最終改正は都度ご確認ください)
  • 特定技能1号の報酬要件:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成31年法務省令第5号)第1条第1項第3号「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」(e-Gov法令検索)
  • 同等性の比較の考え方・報酬の範囲:出入国在留管理庁の運用(比較対象は職務・学歴・社内等級・入社区分がそろう日本人。比較対象がいない場合は同業他社の同水準の求人等で妥当性を説明。報酬は労働の対償で賞与・職務手当を含み、通勤・扶養・住宅手当など実費弁済的なものは含まない。特定技能は報酬に関する説明書の参考様式で説明する運用。2026年9月参照)
  • 労働条件の明示:労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条第1項、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第5条。2024年4月1日施行の改正(令和5年厚生労働省令第39号)で、就業場所・業務の変更の範囲、有期契約の更新上限、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件が明示事項に追加された
  • 母国語等での明示(努力義務):外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(平成19年8月3日厚生労働省告示第276号)。母国語又は平易な日本語を用いる等、外国人労働者が理解できる方法により労働条件を明示するよう努めること(2026年9月参照)
  • 厚生労働省 モデル労働条件通知書(外国語版):労働条件通知書のモデル様式が英語・中国語等で公表されている。追加された明示事項を反映した最新版を使う(2026年9月参照)
  • 社会保険労務士の業務:社会保険労務士法第2条

四葉不動産株式会社、四葉行政書士事務所、四葉社会保険労務士事務所は、それぞれ独立した事業体として業務を受任します。他の専門家をご紹介する場合も、お客様に直接ご契約いただく形をご案内し、当事務所は紹介料を受け取りません。同等報酬の立証について当事務所がご支援するのは、賃金規程・賃金テーブルと比較説明資料の整備、外国語版を含む労働条件通知書・雇用契約書のひな型整備と就業規則との整合の点検です。在留資格の申請・変更は四葉行政書士事務所が別々にご契約のうえ担当し、所得税・住民税は税理士の領域としてご案内します。費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。特定の報酬額が同等以上に当たるか、特定の在留資格の申請・更新が許可されるかといった個別の該当性は、事情によって判断が分かれます。制度の適用や個別の判断は、最新の一次情報(出入国在留管理庁、厚生労働省、e-Gov等)と個別のご事情に照らし、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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