技術・人文知識・国際業務で中国・台湾人材を採る:労務と在留更新は?
浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
技術・人文知識・国際業務(技人国)で中国・台湾の人材を採るとき、最初に確かめるのは「本人の学歴・実務経験と、任せる職務に関連があるか」です。ここがずれると在留資格の該当性が崩れます。採用後の労務では、2024年(令和6年)4月1日から労働条件の明示事項が増え、社会保険・雇用保険は国籍を問わず要件を満たせば加入します。そして残業や賃金のトラブルは、在留期間の更新のときに労務管理の適正さとして響きます。在留資格の申請取次は行政書士(社労士は在留申請の取次ができません)、所得税は税理士、住まいは不動産の領域で、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。
結論(先に要点):技術・人文知識・国際業務(技人国)で中国・台湾の人材を採るとき、最初に確かめるのは「本人の学歴・実務経験と、任せる職務に関連があるか」です。ここがずれると在留資格の該当性が崩れます。採用後の労務では、2024年(令和6年)4月1日から労働条件の明示事項が増え、社会保険・雇用保険は国籍を問わず要件を満たせば加入します。そして残業や賃金のトラブルは、在留期間の更新のときに労務管理の適正さとして響きます。
在留資格の認定・変更・更新の申請取次は行政書士の業務で、社会保険労務士は在留申請の取次ができません。当事務所とは独立した事業体として別々にご契約いただきます。当事務所がお引き受けするのは労務・社会保険の設計で、個別の判断は面談のうえ資格者が行います。
技人国で中国・台湾人材を採るとき、最初に確認することは?
技術・人文知識・国際業務は、出入国管理及び難民認定法の別表第一の二に定められた就労の在留資格で、理学・工学等の技術分野、法律・経済・社会等の人文知識分野、そして通訳・翻訳・語学指導・海外取引業務などの国際業務をまとめた区分です。許可されるかどうかは、本人の学歴または実務経験と、任せる職務との関連性がまず問われます。
| 確認すること | 労務側の見どころ |
|---|---|
| 職務内容 | 単純作業ではなく、専門的・技術的な業務か。職務内容を雇用契約書で具体的に書く |
| 学歴・実務経験 | 技術・人文分野は関連する学歴、または一定年数の実務経験。国際業務は原則3年以上の実務経験(語学指導等の例外あり) |
| 職務との関連性 | 大学等での専攻や実務経験と、任せる職務がつながっているか |
| 報酬 | 日本人が従事する場合と同等額以上か |
技人国に「該当するか」の最終判断は出入国在留管理庁が行い、認定・変更の申請は行政書士の業務です。当事務所は、その前提となる職務内容・報酬・労働条件が労働関係法令に沿っているかを設計します。外国人を1人採るときに動く手続の全体像は外国人を1人雇うと、窓口はいくつ必要かに、高度専門職・IT技術者に寄せた論点は高度専門職(外国人IT・技術者)を採用するときの労務と社会保険は?に整理しています。
労働条件の明示は、母語対応までどこまで必要?
労働条件の明示は労働基準法第15条第1項の義務で、明示すべき事項は同法施行規則第5条に定められています。2024年(令和6年)4月1日からは明示事項が増えました。外国語(母語)での明示そのものは法律上の義務ではありませんが、本人が理解できる言語で示すのが安全で、厚生労働省は多言語のモデル労働条件通知書を公表しています。
| 2024年4月に増えた明示事項 | 内容 |
|---|---|
| 就業場所・業務の変更の範囲 | 将来の配置転換等で変わり得る就業場所・業務の範囲を明示する |
| 更新上限 | 有期契約で更新回数・通算契約期間の上限がある場合はその内容 |
| 無期転換申込機会 | 無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとにその旨 |
| 無期転換後の労働条件 | 無期転換した場合の労働条件 |
技人国は有期契約で採ることも多く、その場合は更新上限や無期転換の明示がそのまま関係します。母語での明示は義務ではないものの、日本語だけの通知書で内容が伝わっていないと、後のトラブルや在留更新時の説明の負担につながります。外国人への労働条件明示を母語対応まで含めて考える論点は外国人の労働条件明示は、母語対応までどこまで必要かに、2024年改正の明示事項そのものは労働条件明示の2024年改正——変更の範囲とは何かに整理しています。
社会保険・雇用保険は、いつから加入させる?
社会保険(健康保険・厚生年金保険)と雇用保険は、国籍や在留資格を問わず、適用のルールは日本人と同じです。適用事業所に常時使用される人は、要件を満たせば入社の時点から被保険者になります。「外国人だから後回し」という扱いはできません。
| 保険 | 加入の考え方 |
|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 | 適用事業所に常時使用される人は、国籍を問わず被保険者。パート等は4分の3基準、特定適用事業所では週20時間以上・月額8.8万円以上・2か月超見込み・非学生の要件 |
| 雇用保険 | 週の所定労働時間20時間以上・31日以上の雇用見込みで被保険者(2028年10月からは週10時間以上に拡大予定) |
| 労災保険 | 労働者であれば国籍・在留資格を問わず適用 |
| 外国人雇用状況の届出 | 雇入れ・離職のたびにハローワークへ届出(労働施策総合推進法第28条第1項) |
母国の制度との二重加入は、社会保障協定を結んだ相手国とだけ、適用証明書で調整できます。中国とは協定がありますが年金加入期間の通算の規定はなく、台湾とは協定そのものがありません。この違いは中国駐在の社会保障協定と二重加入、台湾から人を雇う・出向で受け入れるときの社会保険に整理しています。所得税や日中・日台間の租税の取扱いは税理士の領域です。
在留更新に響く労務トラブルは、どう避ける?
在留期間の更新のとき、審査では雇用の継続性や会社の労務管理の適正さも見られます。残業代の未払いや、契約と実態の食い違いは、更新の場面で不利に働くことがあります。労務を整えておくことが、そのまま更新のリスクを下げます。
| 起こりやすいこと | 労務側の対策 |
|---|---|
| 残業代の未払い | 労働時間を客観的に把握し、時間外・深夜・休日の割増(労働基準法第37条)を正しく計算する |
| 契約書と実態のずれ | 明示した職務内容・就業場所と、実際の業務を一致させる |
| 在留期限と契約期間の不一致 | 有期契約の期間・更新上限を在留期限とあわせて設計する |
| 職務内容の変更 | 技人国の該当性に影響する配置転換は、事前に在留資格の観点を確認する |
在留期限と雇用契約期間はそれぞれ別に走る時計です。この設計は在留期限と雇用契約期間は、どちらが先に切れるかに整理しています。なお、更新が許可されるかどうかの見込みや、個別の雇止めの可否といった判断は、この記事では結論を出しません。許可の判断は出入国在留管理庁が、紛争性のある事案は弁護士が扱います。
採用から在留更新まで、誰が何を担う?
技人国の中国・台湾人材を採るときは、担当する資格が分かれます。
| 論点 | 担当 |
|---|---|
| 雇用契約・労働条件明示、就業規則・賃金規程、社会保険・労働保険の手続、労働時間・賃金の管理 | 社会保険労務士(当事務所) |
| 在留資格の認定・変更・更新の申請取次、職務と学歴の関連の整理 | 行政書士(申請取次) |
| 所得税・日中/日台間の租税の取扱い | 税理士 |
| 不許可への不服申立てなど紛争性のある対応 | 弁護士 |
| 住まい(社宅・賃貸)の確保 | 不動産 |
ご自身のケースについて相談したい方へ
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社会保険労務士は在留申請の取次ができないため、在留資格の申請は必ず行政書士に振ります。四葉行政書士事務所は当事務所とは独立した事業体で、必要な場合はお客様に別々にご契約いただく形をご案内し、当事務所は紹介料を受け取りません。住まいの確保は四葉不動産株式会社が、これも別の事業体として承ります。
四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?
当事務所がお引き受けするのは、技人国人材を採るときの労務・社会保険の設計です。
- 労働条件明示(2024年改正の変更の範囲・更新上限・無期転換を含む)と雇用契約書の作成
- 就業規則・賃金規程の整備
- 社会保険・雇用保険の加入判定と手続、外国人雇用状況の届出
- 労働時間・時間外・割増賃金の管理の設計
- 在留更新に響かないための労務管理の点検
次のものは、当事務所では扱いません。
- 在留資格の認定・変更・更新の申請取次、職務と学歴の関連の整理 → 四葉行政書士事務所が別の事業体として承ります
- 住まい(社宅・賃貸)の確保 → 四葉不動産株式会社が別の事業体として承ります
- 所得税・租税の取扱い → 税理士へおつなぎします
- 紛争性のある対応 → 弁護士へおつなぎします
四葉不動産株式会社、四葉行政書士事務所、四葉社会保険労務士事務所は、それぞれ独立した事業体として業務を受任します。他の専門家をご紹介する場合も、お客様に直接ご契約いただく形をご案内し、当事務所は紹介料を受け取りません。
ご相談は無料です。費用は報酬額表に、サービス内容とご相談の流れもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 技人国で中国・台湾の人材を採るとき、まず何を確認しますか?
A. 本人の学歴または実務経験と、任せる職務との関連性です。技術・人文分野は関連する学歴か一定年数の実務経験、国際業務は原則3年以上の実務経験(語学指導等の例外あり)が目安で、単純作業ではなく専門的・技術的な業務であることが求められます。該当性の最終判断は出入国在留管理庁が行い、認定・変更の申請は行政書士の業務です。当事務所は、その前提となる職務内容・報酬・労働条件を労働関係法令に沿って設計します。
Q. 外国人には母語で労働条件を明示しなければなりませんか?
A. 外国語(母語)での明示そのものは法律上の義務ではありません。ただし本人が理解できる言語で示すのが安全で、厚生労働省は英語・中国語などの多言語モデル労働条件通知書を公表しています。2024年4月からは、就業場所・業務の変更の範囲、更新上限、無期転換に関する事項の明示が増えました(労働基準法第15条第1項・同法施行規則第5条)。日本語だけの通知書で内容が伝わっていないと、後のトラブルや在留更新時の説明の負担につながります。
Q. 外国人社員の社会保険・雇用保険はいつから入れますか?
A. 国籍や在留資格を問わず、適用のルールは日本人と同じです。適用事業所に常時使用される人は、要件を満たせば入社の時点から健康保険・厚生年金保険の被保険者になり、労災保険は労働者であれば全員、雇用保険は週20時間以上・31日以上の雇用見込みで加入します。母国の制度との二重加入は、社会保障協定を結んだ相手国とだけ適用証明書で調整でき、中国は年金の期間通算がなく、台湾とは協定そのものがありません。
Q. 残業や賃金のトラブルは在留更新に影響しますか?
A. 在留期間の更新では、雇用の継続性や会社の労務管理の適正さも見られます。残業代の未払いや契約と実態の食い違いは、更新の場面で不利に働くことがあります。労働時間を客観的に把握し、時間外・深夜・休日の割増賃金を正しく計算し、明示した職務内容と実際の業務を一致させておくことが対策になります。ただし更新が許可されるかどうかの見込みは、この記事では結論を出しません。許可の判断は出入国在留管理庁が行います。
この記事の根拠
- 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第一の二 ── 在留資格「技術・人文知識・国際業務」(理学・工学等の技術、法律・経済・社会等の人文知識、通訳・翻訳・語学指導等の国際業務に係る活動)
- 「技術・人文知識・国際業務」の学歴・実務経験・職務との関連性・報酬(日本人が従事する場合と同等額以上)の考え方 ── 出入国在留管理庁の在留資格「技術・人文知識・国際業務」の案内・審査要領(2026年9月17日参照)。該当性の最終判断は出入国在留管理庁が行う
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条第1項・同法施行規則第5条 ── 労働条件の明示。2024年(令和6年)4月1日施行の改正で、就業場所・業務の変更の範囲、更新上限、無期転換申込機会・無期転換後の労働条件が明示事項に追加
- 外国語(母語)での明示は法律上の義務ではないが、厚生労働省が英語・中国語等の多言語モデル労働条件通知書を公表(2026年9月17日参照)
- 同法 第37条 ── 時間外・休日・深夜労働の割増賃金
- 健康保険法(大正11年法律第70号)・厚生年金保険法(昭和29年法律第115号) ── 適用事業所と被保険者資格(国籍・在留資格を問わず、常時使用される人は要件を満たせば被保険者。パート等は4分の3基準、特定適用事業所では週20時間以上・月額8.8万円以上・2か月超見込み・非学生の要件)
- 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第6条 ── 週20時間以上・31日以上の雇用見込みで被保険者(2028年10月からは週10時間以上に拡大予定)
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第28条第1項 ── 外国人雇用状況の届出
- 社会保障協定 ── 二重加入の調整は協定締結国とのみ。中国とは協定があるが年金加入期間の通算の規定はなく、台湾とは協定が締結されていない(日本年金機構・厚生労働省の社会保障協定の締結状況。2026年9月17日参照)
- 技人国の該当性の判断、在留更新の許可の見込み、個別の雇止めの可否は、出入国在留管理庁・事案の事情によります。本記事では結論を出していません(未検証)
- 学歴・実務経験の年数要件や職務との関連性の具体的なあてはめは、職種・経歴ごとに判断が分かれます。個別の可否は本記事では扱っていません(未検証)
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。四葉社会保険労務士事務所では、労働条件明示(2024年改正の変更の範囲・更新上限・無期転換を含む)と雇用契約書の作成、就業規則・賃金規程の整備、社会保険・雇用保険の加入判定と手続、外国人雇用状況の届出、労働時間・時間外・割増賃金の管理の設計についてご相談いただけます。在留資格の認定・変更・更新の申請取次は四葉行政書士事務所が別の事業体として、住まい(社宅・賃貸)の確保は四葉不動産株式会社が別の事業体として承り、それぞれ別々にご契約いただきます。所得税・租税の取扱いは税理士へ、紛争性のある対応は弁護士へおつなぎします。別の専門家が必要な場合は、それぞれ別契約となり、紹介料はありません。よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
「働き方」から、整理しませんか。
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