就労選択支援(2025年10月新設)の人員配置と労務は何を整える?
浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
2025年(令和7年)10月1日に新設された就労選択支援では、置く職員は「管理者」と「就労選択支援員」が基本で、就労継続支援A型・B型で必要だったサービス管理責任者は配置しなくてよい形が示されています。個別支援計画を作らない短期のアセスメント型サービスだからです。就労選択支援員は常勤換算で利用者の数を15で除した数以上を置き、就労選択支援員養成研修を修了した人が担います。人員の骨格が既存サービスと違うので、就業規則・労働時間・シフトはこの類型に合わせて作り直すのが安全です。指定申請は行政書士、事業所となる物件は不動産の領域で、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。
結論(先に要点):2025年(令和7年)10月1日に新設された就労選択支援では、置く職員は「管理者」と「就労選択支援員」が基本で、就労継続支援A型・B型で必要だったサービス管理責任者は配置しなくてよい形が示されています。個別支援計画を作らない短期のアセスメント型サービスだからです。就労選択支援員は常勤換算で利用者の数を15で除した数以上を置き、就労選択支援員養成研修を修了した人が担います。人員の骨格が既存サービスと違うので、就業規則・労働時間・シフトはこの類型に合わせて作り直すのが安全です。
指定申請そのものは行政書士、事業所となる物件の選定・賃貸借は不動産の領域で、当事務所とは独立した事業体として別々にご契約いただきます。当事務所がお引き受けするのは労務・社会保険の設計で、個別の判断は面談のうえ資格者が行います。
就労選択支援の人員配置基準はどうなっている?
就労選択支援は、就労を希望する障害のある人が、就労移行支援・就労継続支援や一般就労のどれを選ぶかを、短期間の作業と就労アセスメントを通じて整理するサービスです(障害者総合支援法第5条第13項)。短期間で個別支援計画を作らない設計のため、人員の骨格が就労継続支援A型・B型とは違います。
| 職種 | 就労選択支援 | (参考)就労継続支援A型・B型 |
|---|---|---|
| 管理者 | 事業所ごとに1人。支障がなければ兼務可 | 同様に1人・兼務可 |
| 就労選択支援員 | 常勤換算で利用者の数を15で除した数以上を配置 | (この職種は置かない) |
| サービス管理責任者 | 配置は不要(個別支援計画を作成しないため) | 利用者60人以下で1人以上など、配置が必要 |
| 職業指導員・生活支援員 | 就労選択支援固有の必須職種としては置かない | 常勤換算で利用者数÷10以上など、配置が必要 |
いちばん間違えやすいのが、就労継続支援の感覚で「サービス管理責任者を置かなければ」と考えてしまう点です。就労選択支援は個別支援計画を作らないため、サービス管理責任者の配置は求められない形が示されています。逆に、就労選択支援員という新しい職種が必須になります。人員の数え方は既存サービスと同じ常勤換算方式なので、A型・B型の人員の考え方は就労継続支援A型・B型の人員基準を満たす雇用形態と労務管理もあわせてご覧ください。
なお、条番号などの細かな指定基準は指定基準省令(平成18年厚生労働省令第171号)の改正で定められており、条項の枝番は自治体の手引きと省令本文で最新のものを確認してください。この記事では人員の骨格までにとどめ、個別の算定は結論を出しません。
就労選択支援員になるには、どんな要件・研修が必要?
就労選択支援員は、就労選択支援員養成研修を修了した人が担います。この養成研修を受けるには、障害福祉サービスの基礎的研修の修了などが受講要件として求められる仕組みが示されています。制度の立ち上がりに合わせて、研修体制が整うまでの経過措置も設けられています。
| 確認すること | 労務側で整えること |
|---|---|
| 就労選択支援員養成研修の修了 | 修了証・受講記録を採用時に確認し、人事ファイルに保存する |
| 受講要件(基礎的研修の修了など) | 実務経験や前職の研修歴を、雇用契約前に確認する |
| 経過措置の期限 | 研修修了の期限を勤務予定に落とし込み、期限切れで基準を割らないようにする |
| 常勤・非常勤の別 | 就業規則で「常勤が勤務すべき時間数」を定め、常勤換算の分母を明確にする |
研修修了は「資格」ではなく、事業所側が採用時と配置換えのたびに確認すべき事実です。誰が就労選択支援員として何時間勤務するかを勤務実績で残しておくと、常勤換算の数字と研修修了の両方を、指定を維持するための書類としてそのまま使えます。短時間で雇うときの社会保険の考え方は短い時間で雇うと、社会保険はどうなるかに整理しています。
既存の就労移行・A型・B型と兼務や多機能型にできる?
就労継続支援などの事業と一体的に就労選択支援を実施する場合には、職員の兼務が可能とされています。すでに就労移行支援やA型・B型を運営している事業者が、同じ職員体制の一部で就労選択支援を加える形が想定されています。
| 兼務・多機能の型 | 労務側で気をつけること |
|---|---|
| 既存事業の職員が就労選択支援員を兼ねる | 同じ勤務時間を複数事業の常勤換算に二重に数えない |
| 管理者の兼務 | 管理業務に支障がない範囲か、勤務時間の配分を勤務表で示す |
| 多機能型として届け出る | 事業ごとに必要な人員の数え方が変わるため、シフトを事業単位で設計する |
| 就労選択支援員養成研修の修了者を確保 | 兼務者にも研修修了の要件がかかる点を採用・配置で確認する |
兼務ができるといっても、常勤換算は勤務時間の実績で決まります。1人の勤務時間を複数の事業で満額カウントすることはできません。どの兼務が具体的に認められるかは、自治体の運用や当該事業所の勤務体制によって判断が分かれるため、この記事では一般的な考え方までにとどめます。
新設時に整える就業規則・労働時間・シフトは何?
新しい類型を加えるときは、就業規則と労働時間の枠組みを、就労選択支援員という職種も含めて作り直しておくと後の手戻りが減ります。労働時間は1週40時間・1日8時間が上限で(労働基準法第32条)、これを超えるには時間外・休日労働に関する協定(36協定)の締結・届出が要ります。
| 整えるもの | 根拠・ポイント |
|---|---|
| 就業規則 | 常時10人以上の労働者を使用する事業場で作成・届出の義務(労働基準法第89条)。常勤が勤務すべき時間数を明記する |
| 労働条件の明示 | 雇用時に書面等で明示する義務(労働基準法第15条第1項・同法施行規則第5条)。就労選択支援員の所定労働時間・所定労働日数を明示する |
| 法定労働時間・休憩 | 1週40時間・1日8時間(第32条)、6時間超で45分・8時間超で60分の休憩(第34条) |
| シフト | 常勤換算の数字を満たすよう、勤務予定表と勤務実績(タイムカード等)を両方残す |
就業規則の作成義務が生じる人数の考え方は就業規則は何人から義務か。義務でないものは何かに整理しています。常勤換算の数え方そのものは、障害福祉・介護の常勤換算の実務にも共通するため、障害福祉・介護の常勤換算はどう計算するかもあわせてご覧ください。
人員が基準を割ると、労務・運営上どんなリスクがある?
常勤換算の数字が就労選択支援員の配置基準を割ると、指定基準を満たさない状態になります。労働時間の管理が甘いと、勤務実績が予定と食い違い、気づかないうちに基準割れが起きます。
| 起こりやすいこと | 労務側の対策 |
|---|---|
| 退職・休職で就労選択支援員が減る | 研修修了者の採用計画を前倒しし、常勤換算の余裕を持たせる |
| 兼務者の勤務時間が想定より短い | 勤務実績を月次で集計し、常勤換算を実測で確認する |
| 経過措置の期限切れ | 研修修了の期限を勤務予定に組み込み、期限前に修了させる |
| 労働時間の記録不足 | タイムカード等で客観的に労働時間を把握する(労働安全衛生法第66条の8の3) |
ご自身のケースについて相談したい方へ
社会保険・給与・労務について、状況をお聞かせください。
人員が基準を割ったかどうかは、勤務実績の記録がなければ後から証明できません。勤務記録は労務管理であると同時に、指定を維持するための書類でもあります。ただし、基準割れが指定にどう影響するか(改善指導・報酬返還など)の個別の判断は、自治体の運用によるため、この記事では結論を出しません。
人員配置の労務と指定申請は、誰にどこを頼めばよい?
開業と運営の準備は、担当する事業体が分かれます。
| 論点 | 担当 |
|---|---|
| 就労選択支援員・管理者の雇用契約、就業規則・賃金規程、常勤換算を意識した勤務体制、社会保険・労働保険の手続 | 社会保険労務士(当事務所) |
| 指定申請・変更届など自治体への手続、報酬(国保連請求)の制度設計 | 行政書士・事業者 |
| 事業所となる物件の選定・賃貸借 | 不動産 |
| 法人の会計・税務 | 税理士 |
| 事業所の登記 | 司法書士 |
指定申請は行政書士の業務で、四葉行政書士事務所は当事務所とは独立した事業体です。物件は四葉不動産株式会社が、これも別の事業体として承ります。必要な場合は、お客様に別々にご契約いただく形をご案内し、当事務所は紹介料を受け取りません。
四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?
当事務所がお引き受けするのは、就労選択支援の人員基準を満たす労務の設計と、その維持です。
- 常勤・非常勤の所定労働時間を踏まえた就労選択支援員・管理者の雇用契約書の作成
- 常勤換算を意識した勤務体制・シフトの設計と、勤務実績の記録の整備
- 就業規則・賃金規程の整備
- 就労選択支援員・管理者の社会保険・雇用保険の加入判定と手続
- 労働時間・休憩・時間外労働の管理の設計
次のものは、当事務所では扱いません。
- 指定申請・変更届などの自治体手続、報酬(国保連請求)の制度設計 → 四葉行政書士事務所が別の事業体として承ります
- 事業所となる物件の選定・賃貸借 → 四葉不動産株式会社が別の事業体として承ります
- 法人の会計・税務 → 税理士へおつなぎします
- 事業所の登記 → 司法書士へおつなぎします
四葉不動産株式会社、四葉行政書士事務所、四葉社会保険労務士事務所は、それぞれ独立した事業体として業務を受任します。他の専門家をご紹介する場合も、お客様に直接ご契約いただく形をご案内し、当事務所は紹介料を受け取りません。
ご相談は無料です。費用は報酬額表に、サービス内容とご相談の流れもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 就労選択支援にサービス管理責任者は必要ですか?
A. 就労選択支援は短期間のアセスメント型サービスで個別支援計画を作成しないため、サービス管理責任者の配置は求められない形が示されています。代わりに就労選択支援員という新しい職種を、常勤換算で利用者の数を15で除した数以上、配置します。就労継続支援A型・B型の感覚でサービス管理責任者を前提に人員を組むと、必要な就労選択支援員が足りなくなることがあるので、類型に合わせて数え直してください。
Q. 就労選択支援員は誰でもなれますか?
A. 就労選択支援員は、就労選択支援員養成研修を修了した人が担います。この養成研修の受講には基礎的研修の修了などが求められる仕組みが示されており、制度の立ち上がりに合わせた経過措置も設けられています。採用時と配置換えのたびに研修修了を確認し、記録として残しておくことが、指定を維持するうえでも実務上重要です。
Q. すでにA型・B型をやっています。職員を兼務させて就労選択支援を加えられますか?
A. 就労継続支援などと一体的に就労選択支援を実施する場合には、職員の兼務が可能とされています。ただし常勤換算は勤務時間の実績で決まるため、同じ勤務時間を複数の事業で二重にカウントすることはできません。兼務者にも就労選択支援員養成研修の修了の要件がかかる点に注意し、事業ごとにシフトを設計してください。具体的にどの兼務が認められるかは自治体の運用によります。
Q. 職員が10人未満でも就業規則は要りますか?
A. 労働基準法第89条の作成・届出義務は、常時10人以上の労働者を使用する事業場で生じます。10人未満ならこの義務そのものはありません。ただし常勤換算の前提となる「常勤が勤務すべき時間数」や、就労選択支援員の所定労働時間の考え方を規程として整えることは、人数にかかわらず実務上必要になる場面が多くあります。義務としての就業規則と、運営のために整える規程は目的が別だと考えてください。
この記事の根拠
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年11月7日法律第123号)第5条第13項 ── 就労選択支援の定義(就労を希望・継続を希望する障害者につき、短期間の生産活動等を通じて就労に関する適性・知識・能力の評価等を行うサービス。令和4年法律第104号による改正で追加)
- 就労選択支援の創設・施行日 ── 令和7年(2025年)10月1日施行(厚生労働省の障害福祉サービス等の報酬・基準の資料、及び自治体の周知資料で確認。2026年9月17日参照)
- 就労選択支援の人員基準 ── 管理者(事業所ごとに1人・支障がなければ兼務可)、就労選択支援員(常勤換算で利用者の数を15で除した数以上)、サービス管理責任者は配置不要(個別支援計画を作成しないため)。指定障害福祉サービス等の人員・設備・運営基準(平成18年厚生労働省令第171号)の改正で規定(厚生労働省資料・自治体手引きで確認。2026年9月17日参照)
- 就労選択支援員の要件 ── 就労選択支援員養成研修の修了。受講要件に基礎的研修の修了等。制度立ち上がりに伴う経過措置あり(厚生労働省資料で確認。2026年9月17日参照)
- 就労継続支援等と一体的に実施する場合の職員の兼務可(厚生労働省資料で確認。2026年9月17日参照)
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条 ── 法定労働時間(1週40時間・1日8時間)
- 同法 第34条 ── 休憩(6時間超で45分・8時間超で60分)
- 同法 第89条 ── 常時10人以上の労働者を使用する使用者の就業規則の作成・届出義務
- 同法 第15条第1項・同法施行規則第5条 ── 労働条件の明示(明示すべき事項と書面等による明示)
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条の8の3 ── 労働時間の状況の把握
- 指定基準省令の条番号・枝番、就労選択支援員養成研修の受講要件や経過措置の具体的な期限は、改正・自治体の運用で変わり得ます。指定申請の直前には、当該自治体の最新の手引きと省令本文で確認してください(未検証)
- 常勤換算の細かな算定方法(小数点以下の端数処理など)や、兼務・多機能型での個別の可否は、自治体ごとの運用・手引きによる部分があり、個別の判断は本記事では扱っていません(未検証)
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。四葉社会保険労務士事務所では、常勤・非常勤の所定労働時間を踏まえた就労選択支援員・管理者の雇用契約書の作成、常勤換算を意識した勤務体制の設計と勤務実績の記録の整備、就業規則・賃金規程の整備、就労選択支援員・管理者の社会保険・雇用保険の加入判定と手続、労働時間・休憩・時間外労働の管理の設計についてご相談いただけます。指定申請・変更届などの自治体手続と報酬(国保連請求)の制度設計は四葉行政書士事務所が別の事業体として、事業所となる物件の選定・賃貸借は四葉不動産株式会社が別の事業体として承り、それぞれ別々にご契約いただきます。法人の会計・税務は税理士へ、登記は司法書士へおつなぎします。別の専門家が必要な場合は、それぞれ別契約となり、紹介料はありません。よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
「働き方」から、整理しませんか。
四葉社会保険労務士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、労務の現状整理からお手伝いします。
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