障害福祉・介護の常勤換算はどう数えるか|人員基準を満たす勤務の組み方
浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
常勤換算は、事業所の従業者の勤務延時間数を、その事業所で定めた常勤の従業者が勤務すべき時間数で割り、常勤何人分にあたるかを出す数え方です(介護=指定居宅サービス等の人員等基準・平成11年厚生省令第37号第2条、障害福祉=指定障害福祉サービスの人員等基準・平成18年厚生労働省令第171号第2条)。割る数(分母)は就業規則などで事業所が定めた時間で、週32時間を下回るときは32時間を基本とし、端数は小数点第2位以下を切り捨てるのが一般的な取扱いです。常勤との違い、割る時間の決め方、兼務・非常勤・育休者の数え方、基準を割りそうなときの直し方、そして労務(社会保険労務士)と指定申請(行政書士)の分担を整理します。個別の基準適合の最終判断は指定権者(都道府県・市町村)が行います。
結論(先に要点):「常勤換算」は、事業所の従業者の勤務延時間数を、その事業所で定めた常勤の従業者が勤務すべき時間数で割り、常勤何人分にあたるかを出す数え方です(介護=指定居宅サービス等の人員等基準・平成11年厚生省令第37号第2条、障害福祉=指定障害福祉サービスの人員等基準・平成18年厚生労働省令第171号第2条)。割る数(常勤の勤務すべき時間数)は就業規則などで事業所が定めた時間で、週32時間を下回るときは32時間を基本とします。端数は小数点第2位以下を切り捨てるのが一般的な取扱いです。この記事では、常勤との違い、割る時間の決め方、兼務・非常勤・育休者の数え方、基準を割りそうなときの直し方、そして労務(社会保険労務士)と指定申請(行政書士)の分担を整理します。
指定を受けて障害福祉・介護のサービスを運営するには、サービスの種類ごとに決められた人員基準を満たすシフトを組む必要があります。このページは、事業所の管理者・事務担当の方に向けて、人員基準の中心にある「常勤換算数」の計算方法そのものを、社会保険労務士の労務管理の視点で整理します。個別の事業所が基準を満たすかどうかの最終判断は、指定権者(都道府県・市町村)に確認してください。
『常勤』と『常勤換算』は何が違うか?
似た言葉ですが、指す対象が違います。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 常勤 | 一人の従業者について、その事業所で定められた常勤者が勤務すべき時間数に達している働き方(人の属性) |
| 常勤換算 | 事業所の従業者全員の勤務延時間数を、常勤者が勤務すべき時間数で割り、常勤何人分かに直す数え方(事業所の人員量の指標) |
「常勤」は一人ひとりの働き方の区分です。指定基準の解釈通知では、常勤とは、事業所における勤務時間が、事業所で定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(週32時間を下回る場合は32時間を基本とする)に達していることをいうとされています(厚生労働省の解釈通知。2026年9月参照)。
これに対して「常勤換算」は、非常勤も含めた従業者全体が常勤何人分に相当するかという事業所の人員量を表す指標です。常勤換算方法は、「従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除する」方法と省令に定義されています(平成11年厚生省令第37号第2条、平成18年厚生労働省令第171号第2条)。人員基準で「常勤換算で○人以上」と書かれているのは、この数え方で満たすという意味です。
常勤換算数はどの勤務時間で割るのか(就業規則の定めとの関係)?
計算式は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計算式 | 常勤換算数 = 従業者全員の勤務延時間数 ÷ 常勤の従業者が勤務すべき時間数 |
| 割る数(分母) | その事業所で定めた常勤者が勤務すべき時間数。週32時間を下回るときは32時間を基本とする |
| 集計の単位 | 原則として1週間または1か月あたりで集計する |
| 端数処理 | 小数点第2位以下を切り捨てるのが一般的な取扱い |
ここでいちばん取り違えやすいのが分母です。分母は法律で一律に「40時間」と決まっているのではなく、その事業所が就業規則などで定めた常勤者の勤務すべき時間数を使います。たとえば所定労働時間を週40時間と定めていれば分母は40時間、週37.5時間と定めていれば37.5時間です。ただし解釈通知により、事業所が定めた時間が週32時間を下回るときは32時間を基本とします(2026年9月参照)。
なお、所定労働時間そのものの上限は労働基準法第32条(1週40時間・1日8時間が原則)で決まります。分母を小さくすれば見かけの常勤換算数は増えますが、就業規則の定めや実際の勤務実態と離れた分母は使えません。所定労働時間や変形労働時間制の組み方は変形労働時間制とフレックスの選び方もあわせてご覧ください。端数処理や勤務延時間数の細かな数え方は指定権者によって運用が分かれる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。
兼務・非常勤・育休者はどう数えるか?
勤務の形態ごとに、勤務延時間数への入れ方が変わります。
| 形態 | 勤務延時間数への算入 |
|---|---|
| 非常勤(パート等) | その職務に実際に従事する勤務時間を算入する |
| 兼務(複数の職務を兼ねる) | 職務ごとに勤務時間を分けて按分し、それぞれの職務の勤務延時間数に入れる |
| 常勤で複数職務を兼務 | 常勤であっても、ある職務の常勤換算数には当該職務に充てる時間だけを算入する |
| 産休・育休・介護休業中の職員 | 休業中は原則として勤務延時間数に算入できない。代替職員を置くなどの取扱いは解釈通知・Q&Aによる |
兼務の場合、一人の職員をそのまま「1人」と数えるのではなく、その職務に実際に充てている時間だけを勤務延時間数に入れます。管理者やサービス管理責任者などが他の職務を兼ねているとき、この按分を忘れると人員基準を満たしていないのに満たしていると誤解しがちです。
産休・育休・介護休業を取得している職員は、休業中は原則として勤務延時間数に算入できません。育児等を理由とする短時間勤務者を一定の要件のもとで常勤として扱う特例など、細かな取扱いは厚生労働省の解釈通知・Q&Aで定められています(2026年9月参照)。名称や要件は改定されるため、適用の可否は指定権者に確認してください。訪問系サービスの移動時間・待機時間の扱いは訪問介護の移動時間は労働時間か、オンコールと常勤換算の関係は訪問看護のオンコール手当と常勤換算で整理しています。
人員基準を割りそうなとき、シフトと雇用契約で何を直すか?
常勤換算数が基準を下回りそうなときは、勤務延時間数(分子)を増やすか、分母の設定を見直すかのどちらかです。ただし数字合わせではなく、雇用契約と就業規則、実際の勤務実態をそろえることが前提になります。
| 直す場所 | 具体的にすること |
|---|---|
| 雇用契約 | 非常勤職員の所定労働時間・所定労働日数を見直し、契約書に反映する |
| シフト | 特定の職務に充てる時間を明確にし、兼務の按分を勤務表で記録する |
| 就業規則 | 常勤者が勤務すべき時間数の定めを整理する(週32時間の下限に注意) |
| 採用 | 不足分を新規採用・時間延長で補い、資格取得届など社会保険の手続を行う |
人員基準を満たせない状態が続くと、指定権者から運営指導を受けたり、報酬の減算(人員基準欠如減算)の対象になったりすることがあります。まず勤務表と雇用契約書、就業規則を突き合わせ、実態と書面のずれをなくすところから始めます。社会保険の加入がからむ場合は短い時間で雇うと、社会保険はどうなるかもあわせてご確認ください。
なお、サービス種類ごとの人員配置基準そのものの中身(配置すべき職種と人数)は、就労継続支援A型・B型の人員基準と労務や児童発達支援・放課後等デイの人員基準と労務で扱っています。本記事は、それらの前提になる「常勤換算数の数え方」に絞っています。
労務(社労士)と指定申請(行政書士)の分担はどうなるか?
常勤換算は、労務の書類と指定の書類の両方にまたがります。担い手は業務ごとに分かれます。
| すること | 誰の業務か |
|---|---|
| 労働時間・勤怠の管理、雇用契約書・就業規則の整備、社会保険・労働保険の手続、給与計算 | 社会保険労務士(当事務所) |
| 指定基準の解釈、指定申請・変更届など指定権者に出す書類の作成 | 行政書士 |
| 個別の事業所が人員基準を満たすかどうかの最終判断 | 指定権者(都道府県・市町村) |
| 労使間の紛争・解雇をめぐる争い | 弁護士 |
| 報酬・税務の申告 | 税理士 |
当事務所は労務管理の情報提供・手続に限ります。指定基準の解釈や指定申請・変更届については四葉行政書士事務所へおつなぎすることもできますが、社会保険労務士業務と行政書士業務は、それぞれ独立した事業体が担い、別々にご契約いただく前提です。一括受任はしません。個別の事業所が人員基準を満たすかどうかの最終的な判断は、指定権者(都道府県・市町村)が行います。
四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?
文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、障害福祉・介護の事業所について、勤怠・労働時間の管理、雇用契約書・就業規則の整備、社会保険・労働保険の適用手続き、給与計算をお受けします。常勤換算の分母となる所定労働時間の設計や、兼務の按分を勤務表に落とし込む作業もお手伝いします。ご相談は無料です。 料金の考え方は報酬額表を、よくいただくご質問はよくあるご質問をご覧ください。
指定申請・変更届など指定権者に出す書類は四葉行政書士事務所(独立した事業体・別々にご契約)へ、労使紛争は弁護士へご案内します。当事務所は紹介料を受け取りません。
よくある質問
Q. 常勤換算の分母は必ず週40時間ですか?
A. いいえ。分母は、その事業所が就業規則などで定めた常勤者が勤務すべき時間数です。週40時間と定めていれば40時間、週37.5時間なら37.5時間を使います。ただし解釈通知により、定めた時間が週32時間を下回るときは32時間を基本とします(2026年9月参照)。分母を実態と離れた時間に設定することはできません。
Q. 管理者が他の職務を兼務している場合、そのまま1人と数えてよいですか?
A. いいえ。兼務のときは職務ごとに勤務時間を按分し、それぞれの職務に実際に充てている時間だけを、その職務の勤務延時間数に算入します。常勤であっても、ある職務の常勤換算数には当該職務ぶんの時間だけが入ります。勤務表で時間の内訳を記録しておくことをおすすめします。
Q. 育児休業中の職員は常勤換算に入れられますか?
A. 休業中は原則として勤務延時間数に算入できません。育児等を理由とする短時間勤務者を一定の要件のもとで常勤として扱う特例など、細かな取扱いは厚生労働省の解釈通知・Q&Aで定められています(2026年9月参照)。要件は改定されるため、適用の可否は指定権者に確認してください。
Q. 常勤換算数が基準を割りそうです。まず何を確認すべきですか?
A. 勤務表・雇用契約書・就業規則の3つを突き合わせ、実態と書面のずれをなくすところから始めます。そのうえで、非常勤の所定労働時間の見直しや採用で分子(勤務延時間数)を補います。人員基準を満たすかどうかの最終判断は指定権者が行うため、変更前に相談しておくと安全です。
この記事の根拠
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第2条(「常勤換算方法」の定義=従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除する方法)/e-Gov法令検索により条文を確認(2026年9月参照)
- 障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第2条(「常勤換算方法」の定義)/e-Gov法令検索により条文を確認(2026年9月参照)
- 常勤の意味(事業所で定める常勤者が勤務すべき時間数に達していること・週32時間を下回る場合は32時間を基本とする)、常勤換算数の端数処理(小数点第2位以下切り捨て)、産休・育休中の職員や兼務の取扱いは、厚生労働省の各サービスの人員・設備・運営基準に関する解釈通知およびQ&Aにより確認(2026年9月参照)。名称・要件は改定されうる
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条(労働時間の原則=1週40時間・1日8時間)/e-Gov法令検索により確認(2026年9月参照)
この記事は、誰に相談するかまでは決めていません。労働時間・勤怠の管理、雇用契約書・就業規則の整備、社会保険・労働保険の手続、給与計算は社会保険労務士の業務です。指定基準の解釈や指定申請・変更届など指定権者に出す書類の作成は行政書士の業務、労使紛争は弁護士の業務、報酬・税務の申告は税理士の業務です。社会保険労務士業務と行政書士業務は、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の事業所が人員基準を満たすかどうかの最終判断は、指定権者(都道府県・市町村)が行います。四葉社会保険労務士事務所にご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
「人」のことから、整理しませんか。
四葉社会保険労務士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、労務の現状整理からお手伝いします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|火・水 10:00〜19:00/月・木・金・土・日 18:00〜19:00
