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外国人雇用

外国人材の寮・送迎と通勤災害の労災(技能実習・特定技能で確認すべき点)

多様な人材が働く職場づくりのイメージ
浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

会社の寮から現場へ向かう途中のけがは、寮が生活の本拠(住居)で合理的な経路・方法なら通勤災害の対象になり得ます(労働者災害補償保険法第7条第2項第1号)。ただし通勤には「業務の性質を有するもの」は含まれず、会社が支配・管理する専用の送迎での移動は業務災害の問題になり得ます。寮と職場が同一構内のときは、どこからが通勤かが変わります。いずれも最終的な認定は労働基準監督署が行います。労災の手続・母国語での説明は社会保険労務士、在留資格の申請取次は行政書士、寮の賃貸借は不動産会社、損害賠償の争いは弁護士が担い、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。

結論(先に要点):会社が用意した寮から現場へ向かう途中のけがは、寮が労働者の生活の本拠(住居)で、合理的な経路・方法による移動であれば、通勤災害として労災の対象になり得ます(労働者災害補償保険法第7条第2項第1号)。ただし、通勤には「業務の性質を有するもの」は含まれません(同項柱書)。会社が支配・管理する専用の送迎で移動中の災害は、業務の性質を有する移動として業務災害の問題になり得ます。寮と職場が同じ構内にあるときは、構内の移動が事業主の管理下の災害として扱われ得るため、どこからが「通勤」かが変わります。いずれも最終的な認定は労働基準監督署が行います。労災の手続・母国語での説明は社会保険労務士、在留資格の申請取次は行政書士、寮の賃貸借は不動産会社、損害賠償の争いは弁護士が担い、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。

「寮から現場までの事故も労災になるのか」「送迎車での事故は通勤災害か、それとも業務中の事故か」——寮を用意し送迎も行う、外国人材を雇う会社の労務担当からいただく相談です。このページは、技能実習生・特定技能外国人などに寮と送迎を提供する受入れ企業の労務担当に向けて、通勤災害と業務災害の入口の切り分けを条文に沿って整理します。個別の事故がどちらに当たるかの最終判断は労働基準監督署が行い、この記事の範囲外です。

会社が用意した寮から現場へ向かう途中のけがは、通勤災害になるのか?

労災保険の保険給付は、業務災害・複数業務要因災害・通勤災害などに関するものに分かれます(労働者災害補償保険法第7条第1項)。このうち通勤災害の「通勤」とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復などを、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものは除かれます(第7条第2項第1号・柱書)。

  • ここでいう「住居」は、形式上の届出ではなく実態で判断され、労働者が居住して日常生活の用に供している、就業のための拠点となる場所を指します
  • 会社が用意した寮に住んで現場へ通っている場合、その寮が生活の本拠であれば「住居」に当たり、寮と就業の場所との往復は通勤として扱われ得ます
  • 合理的な経路から大きく外れたり(逸脱)、通勤と関係ない行為で中断したりすると、その後の移動は原則として通勤でなくなります(第7条第3項)

外国人材の受け入れ全体の流れは外国人雇用は誰に頼むかで、帰国後の労災補償の受給継続は外国人労災の帰国後の補償で整理しています。

会社の送迎車での事故は、通勤災害と業務災害のどちらか?

通勤の定義からは「業務の性質を有するもの」が除かれています(労働者災害補償保険法第7条第2項柱書)。会社が支配・管理して提供する専用の送迎手段で移動している最中の災害は、この「業務の性質を有する移動」に当たり、通勤災害ではなく業務災害の問題として扱われ得ます。

移動の形入口の考え方
労働者が自分で選んだ公共交通機関・自家用車・自転車・徒歩で寮から現場へ通勤災害の枠組みで検討
会社が支配・管理する専用の送迎手段での移動業務の性質を有する移動として業務災害の問題になり得る
送迎はあるが利用が任意で、通勤方法の一つにすぎない実態に即して通勤災害か業務災害かを個別判断

送迎が業務の性質を有するといえるかは、誰が手配し費用を負担しているか、利用が事実上強制されているか、運行が事業主の指揮・管理の下にあるかといった実態で変わります。業務災害になるか通勤災害になるかで、給付の名称や一部負担金の有無などの扱いが変わるため、入口の切り分けが実務上重要です。どちらに当たるかの最終的な認定は労働基準監督署が行います。

寮と職場が同じ敷地のとき、「通勤」はどこから始まるのか?

通勤は「住居と就業の場所との間の往復」です(労働者災害補償保険法第7条第2項第1号)。寮と職場が別の場所にあれば、寮が通勤の起点となる「住居」です。一方、寮と職場が同じ構内(同一敷地内)にある場合は、構内の移動が事業主の施設管理下にあるため、通勤とは別に整理されることがあります。

  • 構外にある寮から就業の場所へ向かう移動は、住居と就業の場所との間の往復として通勤の枠組みで検討されます
  • 同一構内の寮から就業の場所までの移動中に起きた災害は、事業主の支配・管理下の災害として、通勤災害ではなく業務上の災害の問題になり得ます
  • どこまでが構内で、どこからが公道上の通勤かは、施設の配置や災害の発生地点によって結論が変わります

寮が労働基準法上の事業附属寄宿舎に当たるときの寄宿舎規則の作成・届出は、通勤災害の論点とは別の義務です。この点は外国人材の寮と寄宿舎規則の届出で整理しています。個別の構内の移動が通勤に当たるかどうかは、実態に即した判断になります。

日本語が不自由な本人に、労災の手続をどう進めてもらうのか?

労災保険の保険給付の請求は、原則として被災した労働者本人(死亡の場合は遺族)が行います。もっとも、事業主には請求手続への助力義務と証明義務があり、労働者から求められたときはすみやかに証明しなければなりません(労働者災害補償保険法施行規則第23条)。日本語が不自由な本人の場合、会社の助力が実務上の鍵になります。

  • 請求書の事業主証明欄への記載など、会社が行う証明に協力します
  • 本人が内容を理解できる言語で、労災制度の仕組みと請求の流れを説明できるよう準備しておきます
  • 労災の請求手続や死傷病報告の流れは労災の手続と死傷病報告で整理しています

ご自身のケースについて相談したい方へ

社会保険・給与・労務について、状況をお聞かせください。

事業主が証明に応じない場合でも、労働者は証明なしで請求でき、最終的な認定は労働基準監督署が行います。母国語での説明や通訳の手配は、受入れ体制の整備の一部として設計します。

労災と自動車保険が重なるとき、受け取り方はどう整理するのか?

送迎車や通勤途上の交通事故のように、第三者(加害者)の行為によって被災した場合は、労災保険の給付と、加害者側の自賠責保険・任意保険による損害賠償とが重なります。これは第三者行為災害として扱われ、同じ損害について二重に受け取ることはできない形で調整されます。

  • 労災保険を先に受けた場合、政府はその給付の価額の限度で、被災者が加害者に対して持つ損害賠償請求権を取得し、加害者側に求償します
  • 先に加害者側から損害賠償を受けた場合は、その価額の限度で労災保険の給付が行われないことがあります
  • どちらを先に請求するか、慰謝料など労災でカバーされない部分をどう扱うかは、事案ごとに整理が必要です

損害賠償の金額や過失割合をめぐる争いそのものは弁護士(独立した事業体・別々にご契約)の領域です。社会保険労務士は、労災保険の請求手続と第三者行為災害の届出の面を担当します。どの受け取り方が適切かは、具体的な事故の内容に応じて確認します。

四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?

文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、通勤災害・業務災害の入口の切り分けの整理、労災保険給付の請求手続と第三者行為災害の届出、外国人材への母国語での制度説明や通訳手配を含む受入れ体制の整備、寮や送迎に関する労務管理の設計をお受けします。在留資格の申請取次は四葉行政書士事務所、寮の建物・賃貸借の契約は四葉不動産、損害賠償・示談の争いは弁護士が担い、いずれも当事務所とは独立した事業体として、別々にご契約いただきます。当事務所は労災と労務管理の面を担当します。ご相談は無料です。 費用は報酬額表を、よくいただくご質問はよくあるご質問をご覧ください。

よくある質問

Q. 寮から現場までの移動中の事故は、必ず通勤災害になりますか?
A. 必ずではありません。寮が労働者の生活の本拠(住居)で、合理的な経路・方法による移動であれば通勤災害の対象になり得ます(労働者災害補償保険法第7条第2項第1号)。ただし、会社が支配・管理する送迎での移動は「業務の性質を有する移動」として業務災害の問題になり得ますし、同一構内の移動は事業主の管理下の災害として扱われ得ます。最終的な認定は労働基準監督署が行います。

Q. 会社の送迎車で事故に遭ったら、通勤災害ですか業務災害ですか?
A. 送迎が「業務の性質を有する移動」といえるかで変わります。会社が手配・費用負担し、利用が事実上強制され、運行が事業主の指揮・管理の下にある場合は、業務災害の問題になり得ます。逆に、利用が任意で通勤方法の一つにすぎない場合は、通勤災害として検討されることがあります。実態に即して個別に判断され、認定は労働基準監督署が行います。

Q. 寮と職場が同じ敷地のとき、通勤はどこから始まりますか?
A. 寮と職場が同じ構内にある場合、構内の移動は事業主の施設管理下にあるため、通勤とは別に整理されることがあります。構外にある寮から就業の場所へ向かう移動は、住居と就業の場所との間の往復として通勤の枠組みで検討されます。どこまでが構内かは施設の配置や災害の発生地点により結論が変わります。

Q. 日本語が話せない社員の労災手続は、会社がやってよいのですか?
A. 請求は原則として本人(遺族)が行いますが、事業主には請求手続への助力義務と証明義務があります(労働者災害補償保険法施行規則第23条)。日本語が不自由な本人の場合、請求書の証明への協力や、母国語での制度説明が実務上の助けになります。事業主が証明に応じない場合でも、労働者は証明なしで請求でき、認定は労働基準監督署が行います。

この記事の根拠

  • 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第7条第1項=保険給付は業務災害・複数業務要因災害・通勤災害・二次健康診断等給付に関するもの/第7条第2項柱書=通勤は就業に関し合理的な経路及び方法により行う移動をいい、業務の性質を有するものを除く/同項第1号=住居と就業の場所との間の往復/第7条第3項=逸脱・中断後の移動は原則として通勤でない(日常生活上必要な行為のやむを得ない最小限度の例外)
  • 「業務の性質を有する移動」の扱い=事業主の支配・管理下にある専用の送迎等での移動は通勤から除かれ、業務上の災害の問題になり得る。同一構内(事業主の施設管理下)の移動も通勤とは別に整理され得る。いずれも個別の認定は労働基準監督署が行う
  • 労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)第23条=事業主の助力義務(第1項)と証明義務(第2項)。保険給付を受けるべき者から証明を求められたときはすみやかに証明する
  • 第三者行為災害の調整=同一の損害について労災保険給付と加害者の損害賠償を二重に受けられない。労災先行の場合は政府が求償権を取得し、損害賠償先行の場合は給付が行われないことがある(労働者災害補償保険法第12条の4の趣旨)。金額・過失割合の争いは弁護士の領域
  • 条文は e-Gov 法令検索により確認しています(2026年10月7日参照)

この記事は、個別の事故が通勤災害・業務災害のいずれに当たるかまでは断定していません。労災保険の請求手続、第三者行為災害の届出、受入れ体制の整備、労務管理は社会保険労務士の業務です。在留資格の申請取次は行政書士、寮の賃貸借は不動産会社、損害賠償の争いは弁護士(いずれも当事務所とは独立した事業体・別々にご契約)の業務です。四葉社会保険労務士事務所にご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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