在留期間の更新・変更を申請中の外国人を、満了後も働かせてよい?

浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
在留期間の更新・変更を満了日までに申請し、満了日までに許可・不許可の処分がされないときは、処分がされる時か、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日が終了する時のいずれか早い時まで、従前の在留資格をもって在留できます(出入国管理及び難民認定法第20条第6項。在留期間の更新には第21条第4項が同項を準用)。この「特例期間」中は従前の在留資格に基づく活動を続けられるので、在留期間更新を申請中なら満了後も従前の仕事を続けさせて差し支えありません。ただし、満了日を1日でも過ぎてからの申請や、在留期間が30日以下の人には特例期間はなく、在留資格「変更」の申請中は変更後の活動はまだできません。不許可の処分がされた時点で特例期間は終わり在留の根拠を失うため、以後の就労は不法就労になり得て、事業主は不法就労助長(第73条の2)の責任を問われるおそれがあります。社会保険・雇用保険の被保険者資格は使用関係(就労の実態)で判断され、特例期間中も原則として継続します。外国人雇用状況の届出(労働施策総合推進法第28条)との整合にも注意します。在留期間更新・変更許可申請とその取次は行政書士(社会保険労務士は在留申請の取次を行えません)、在留資格該当性の最終判断は出入国在留管理庁、雇用契約・就業規則・社会保険の資格管理・在留と雇用期間の整合は社会保険労務士が担当し、事業体をまたぐ場合はそれぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。
結論(先に要点):在留期間の更新・変更を満了日までに申請し、満了日までに許可・不許可の処分がされないときは、処分がされる時か、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日が終了する時のいずれか早い時まで、従前の在留資格をもって在留できます(出入国管理及び難民認定法第20条第6項。在留期間の更新には第21条第4項が同項を準用)。この「特例期間」中は従前の在留資格に基づく活動を続けられるので、在留期間更新を申請中なら満了後も従前の仕事を続けさせて差し支えありません。ただし、満了日を1日でも過ぎてからの申請や、在留期間が30日以下の人には特例期間はなく、在留資格「変更」の申請中は変更後の活動はまだできません。在留手続の取次は行政書士、雇用契約・社会保険など労務の整備は社会保険労務士の分野で、事業体をまたぐ場合はそれぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。
在留期間の満了日が来ても、審査中なら働かせていいのか?
働かせて差し支えないのは、在留期間の「更新」を満了日までに申請し、満了日までに処分が出ていない場合です。出入国在留管理庁は、在留期間の満了日までに在留期間更新許可申請等を行い、満了日までに処分がされないときは、「引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留でき、従前の活動を行うことができます」と案内しています(2026年11月3日参照)。従前の在留資格(たとえば「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」)のまま在留し、その資格で認められた従前の活動=従前の仕事を続けられる、というのがこの特例期間の効果です。
この取扱いの根拠は、出入国管理及び難民認定法第20条第6項(在留資格の変更)にあり、在留期間の更新については第21条第4項が同項を準用しています。したがって、更新を申請した外国人は、満了日を過ぎても審査中であれば、適法に在留して従前の仕事を続けられます。在留期限と雇用契約期間の整合のとり方全般は在留期限と雇用契約期間をどう合わせるかに整理していますが、本稿はそのうち「満了後・審査中の特例期間に働かせてよいか」という一点に絞ります。
注意したいのは、在留資格の「変更」を申請中の場合です。特例期間中は「従前の」在留資格のまま在留するので、変更後の在留資格で初めて認められる活動は、許可が出るまでできません。たとえば「留学」から就労資格への変更を申請中の留学生に、変更後の正社員としての就労をまだ行わせることはできません(留学中の資格外活動許可の範囲は別の扱いです)。従前の資格の範囲内でできる活動と、変更後に初めてできる活動を、切り分けて管理します。
特例期間(最長2か月)は、どんな条件で認められるのか?
特例期間が認められる条件と、その長さを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請の時期 | 在留期間の満了日までに更新・変更を申請していること(1日でも過ぎてからの申請は対象外) |
| 期間の終わり | 処分がされる時か、満了の日から2か月を経過する日が終了する時のいずれか早い時まで |
| 対象外(在留期間) | 30日以下の在留期間を決定されている人は対象外(第20条第6項かっこ書き) |
| 対象外(申請種別) | 永住許可申請だけでは特例期間は生じない(更新・変更の申請が前提) |
2か月は上限であって、審査が早く終われば処分の時に特例期間は終わります。たとえば満了日が3月1日で、2月中に更新を申請したものの3月1日までに処分が出なければ、最長で5月1日ごろまで従前の在留資格で在留できますが、途中で許可・不許可が出れば、そこで特例期間は終了します。更新許可申請は在留期限の3か月前からできるため、満了直前に駆け込まず、早めに申請しておくほど、この不確実な特例期間に頼らずに済みます。
事業主が確認する実務上の手がかりとして、申請中である旨は在留カードの裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に記載されます(オンライン申請の場合を除く)。満了後も雇用を続ける前に、申請を済ませた証跡(申請受付のカード裏面の記載や受付票)を確認しておきます。
特例期間中に不許可になったら、雇用はどうなるのか?
特例期間は「審査中の在留を認める」仕組みであって、更新・変更が許可されたことを意味しません。不許可の処分がされた時点で特例期間は終わり、従前の在留資格による在留の根拠も失われます。以後も就労させれば不法就労に当たり得て、事業主は出入国管理及び難民認定法第73条の2の不法就労助長の責任を問われるおそれがあります(事業主がその事実を知らなかったことにつき過失がない場合を除く、とされています)。したがって、不許可の連絡を受けたら、まず就労を止め、本人の在留状況を確認するのが基本です。
不許可の後は、本人が出国の準備のための在留資格(「特定活動」等)を付与されることや、再申請・審査請求の可否を検討することがありますが、これらの在留資格該当性や手続の見通しの判断は、出入国在留管理庁の審査と、申請取次を行う行政書士・弁護士の領域です。社会保険労務士は在留資格の審査結果を左右できないため、労務側では、不許可の場合に雇用契約をどう扱うか(就労不能による休業・契約終了の整理)をあらかじめ就業規則や雇用契約で定めておくのが現実的です。採用時から在留資格の取得・維持を雇用の前提条件として明示しておく設計は技術・人文知識・国際業務の採用と在留も参考になります。
社会保険・雇用保険・給与は、特例期間中どう扱うのか?
社会保険(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険の被保険者資格は、国籍や在留資格の有無そのものではなく、適用事業所での使用関係(就労の実態)で判断されます。特例期間中も従前の在留資格のまま適法に在留し、従前どおり働いている以上、使用関係は続いているので、被保険者資格は原則としてそのまま継続し、保険料の納付や給与の支払いも通常どおり行います。資格喪失の手続を、特例期間に入ったことだけを理由に行う必要はありません。
一方、満了後に就労させる以上、外国人雇用状況の届出との整合には注意します。事業主は、外国人を雇い入れたとき・離職したときに、氏名・在留資格・在留期間等をハローワークへ届け出る義務があります(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第28条)。更新・変更が許可されて新しい在留資格・在留期間が確定したら、その内容を記録・管理に反映します。届出の実務は外国人雇用状況の届出に整理しています。賃金は、就労の実態があり労働基準法上の労働者である以上、国籍を問わず最低賃金以上を支払い、割増賃金も日本人と同じ基準で計算します。外国人雇用管理指針に沿った労務管理の全体像は外国人雇用管理指針と事業主の努力義務をご覧ください。
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なお、不許可で特例期間が終わり就労できなくなった場合の資格喪失や、休業期間の社会保険の取扱いは、事実関係により判断が分かれるため、所轄の年金事務所・ハローワークや資格者への確認が必要です(確定的な取扱いは未検証として一律には示しません)。
在留手続(行政書士)と労務管理(社会保険労務士)の役割分担はどうなるのか?
この場面は、根拠となる法律で担当が分かれます。
| 担当 | 業務 | 根拠・位置づけ |
|---|---|---|
| 行政書士(申請取次) | 在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請の書類作成と取次 | 出入国管理及び難民認定法上の申請。社会保険労務士は在留申請の取次ができない |
| 出入国在留管理庁 | 在留資格該当性・更新/変更の許否の判断 | 最終判断は入管庁 |
| 社会保険労務士 | 雇用契約・就業規則、社会保険・雇用保険の資格管理、在留と雇用期間の整合、労務管理 | 労働・社会保険の分野 |
| 弁護士 | 不許可後の審査請求や雇用をめぐる個別紛争 | 法的判断・紛争 |
社会保険労務士は、在留資格の審査や申請の取次はできません。これは行政書士(申請取次の届出をした行政書士)の業務です。一方で、満了後・審査中の雇用をどう続けるか、不許可の場合に雇用契約をどう整理するか、社会保険・給与をどう扱うかは労務の設計で、社会保険労務士が担当します。在留資格該当性の最終判断は出入国在留管理庁に委ねられます。これらで事業体をまたぐときは、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、紹介料はありません。
よくある質問
Q. 在留期限が過ぎましたが、更新を申請中です。満了後も今までどおり働かせてよいですか?
A. 満了日までに在留期間更新許可申請を済ませ、満了日までに処分が出ていないのであれば、特例期間として、処分がされる時か満了日から2か月を経過する時のいずれか早い時まで、従前の在留資格で在留し従前の仕事を続けさせて差し支えありません(出入国管理及び難民認定法第20条第6項・第21条第4項)。ただし、申請が満了日を過ぎてからだった場合や、在留期間が30日以下だった場合は特例期間がなく、在留資格を失っている可能性があります。就労させる前に、満了日までに申請が受け付けられていることを在留カード裏面の記載等で確認してください。
Q. 「特例期間は最長2か月」とは、必ず2か月働かせられるという意味ですか?
A. いいえ。2か月は上限で、審査が早く終われば処分がされた時に特例期間は終わります。処分がされる時か、満了の日から2か月を経過する日が終了する時の、いずれか早い時までです。許可が出ればその在留期間に移り、不許可が出ればその時点で特例期間は終了します。「2か月は在留できる」と固定的に考えず、処分が出るまでの暫定的な期間と理解してください。
Q. 在留資格の「変更」を申請中の留学生に、変更後の正社員の仕事をさせてもよいですか?
A. 変更が許可されるまではできません。特例期間中は「従前の」在留資格(この場合は留学)のまま在留するため、変更後の就労資格で初めて認められる活動は、許可が出てからになります。留学中にできるのは資格外活動許可の範囲に限られ、フルタイムの正社員就労はその範囲を超えます。更新(同じ資格の延長)の場合は従前の活動を続けられますが、変更(別の資格への切替え)の場合は活動内容が変わる点に注意してください。
Q. 特例期間中に不許可になりました。社会保険や雇用はどうすればよいですか?
A. 不許可の処分がされた時点で特例期間は終わり、従前の在留資格による在留の根拠を失います。以後の就労は不法就労に当たり得るため、まず就労を止め、本人の在留状況を確認します。知りながら就労させると事業主が不法就労助長の責任を問われるおそれがあります(出入国管理及び難民認定法第73条の2)。社会保険・雇用保険の資格喪失や休業期間の取扱いは事実関係により変わるため、所轄の年金事務所・ハローワークや資格者に確認してください。再申請や審査請求の見通しは、申請取次を行う行政書士・弁護士の領域です。
この記事の根拠
- 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第20条第6項 ── 在留資格変更の申請があった場合(30日以下の在留期間を決定されている者からの申請を除く)に、在留期間の満了の日までに処分がされないときは、その処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から2月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間、引き続き従前の在留資格をもって本邦に在留できる
- 同法第21条第4項 ── 在留期間の更新の申請について、第20条第6項の規定を準用する(更新申請中も同じ特例期間が適用される)
- 出入国在留管理庁「特例期間とは?」 ── 在留カードを所持し在留期間更新許可申請等を行った者について、満了日までに処分がされないときは「引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留でき、従前の活動を行うことができます」。申請中である旨は在留カード裏面の在留期間更新等許可申請欄に記載される(オンライン申請を除く)。2026年11月3日参照
- 出入国在留管理庁 出入国審査・在留審査Q&A ── 在留期間更新許可申請は在留期限の3か月前から可能。活動内容が変わる場合は更新ではなく在留資格変更許可申請が必要。2026年11月3日参照
- 同法第73条の2 ── 事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせる等の行為(不法就労助長)の処罰。知らなかったことにつき過失がない場合を除く
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第28条 ── 事業主は、外国人を雇い入れたとき及び離職したとき、その氏名・在留資格・在留期間等を厚生労働大臣(ハローワーク)に届け出る
- 健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法 ── 被保険者資格は適用事業所での使用関係(就労の実態)で判断される。特例期間中の資格継続・喪失や休業期間の取扱いの個別判定は、所轄の年金事務所・ハローワーク・資格者に確認(確定的な取扱いは未検証として一律には示していません)
- 法令の条文は e-Gov法令検索で、出入国在留管理庁の案内は公式サイトで、いずれも2026年11月3日に確認。特例期間の起算(初日の算入等)や個別事案の在留資格該当性は、出入国在留管理庁・申請取次を行う行政書士・弁護士の判断による
この記事は、個別の該当性を判断するものではありません。四葉社会保険労務士事務所では、在留期間の更新・変更を申請中の外国人を満了後も雇用する際の雇用契約・就業規則の整備、社会保険・雇用保険の資格管理、在留と雇用期間の整合、外国人雇用状況の届出を含む労務管理についてご相談いただけます。在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請の書類作成と取次は行政書士(申請取次)、在留資格該当性の最終判断は出入国在留管理庁、不許可後の審査請求や雇用をめぐる個別紛争は弁護士への相談をご案内します。別の専門家が必要な場合は、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただき、紹介料はありません。ご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
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