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外国人雇用

外国人を雇う事業主の『雇用管理指針』の努力義務とは——募集から雇用管理・離職まで確認する点

多様な人材が働く職場づくりのイメージ
浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

外国人雇用管理指針は、労働施策総合推進法第7条(事業主の努力義務)に定める事項について第8条に基づき厚生労働大臣が定めた告示で、募集・採用から労働条件・安全衛生・社会保険の適用、相談体制、離職時の援助まで事業主が努めるべき事項を束ねたものです。これとは別に、第28条の外国人雇用状況の届出は法律上の義務です。2026年5月29日公布の告示第227号で一部改正され、適用は段階的(本則の多くは令和9年4月1日から)です。

結論(先に要点):外国人雇用管理指針は、労働施策総合推進法第7条(事業主の努力義務)に定める事項について、第8条に基づき厚生労働大臣が定めた告示で、募集・採用から労働条件・安全衛生・社会保険の適用、相談体制、離職時の援助まで事業主が努めるべき事項を束ねたものです。これとは別に、第28条の外国人雇用状況の届出は法律上の義務です。この記事は一般的な案内です。

この記事は、中国・台湾をはじめ外国人の人材を採用・雇用する事業主と人事担当に向けて、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(厚生労働省告示。以下「雇用管理指針」)が募集から離職まで何を求めているかの全体像を整理します。労働条件明示の細目は外国人労働者への労働条件明示——2024年改正と母国語配慮に、安全衛生教育は外国人労働者の安全衛生教育と母国語での労働災害防止に分けてまとめています。この記事は制度の案内にとどまります。

『外国人労働者の雇用管理指針』とは何を求めているのか?

雇用管理指針は、事業主が外国人労働者の雇用管理の改善や再就職の促進のために講ずるよう努める事項を、国が告示で具体的に示したものです。根拠は労働施策総合推進法で、第7条が事業主の努力義務を定め、第8条がその事項について厚生労働大臣が指針を定める根拠になっています。全体を貫く考え方は「労働関係法令・社会保険関係法令を遵守し、国籍を理由とする差別をせず、外国人が在留資格の範囲内で能力を発揮できるようにする」ことです。

項目内容
名称外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(厚生労働省告示)
根拠労働施策総合推進法 第7条(事業主の努力義務)・第8条(指針の根拠)
性格事業主の努力義務(指針)。別に第28条の外国人雇用状況の届出は法律上の義務
近時の改正2026年(令和8年)5月29日公布の厚生労働省告示第227号で一部改正。適用は段階的(本則の多くは令和9年4月1日から)

雇用管理指針は近年、母国語・平易な日本語での説明などを盛り込む形で何度か改正されています。直近では2026年(令和8年)5月29日に改正告示(厚生労働省告示第227号)が公布され、適用は段階的で、本則の多くは令和9年4月1日からとされています。したがって、実務で使う前に、適用時期と現行の条文を厚生労働省の最新版でご確認ください(2026年10月参照)。

募集・採用の段階で何に気をつけるのか?

募集・採用は、指針が具体的な配慮を求めている入口の工程です。要点は、条件を分かるように示すことと、在留資格上その仕事に就ける人かを確認することです。

  • 募集時の明示:従事すべき業務内容・賃金・労働時間・就業場所・労働契約期間・労働社会保険関係法令の適用に関する事項を、書面の交付等により明示するよう努めます。
  • 母国語等での理解:労働条件の明示や変更の説明を、母国語や平易な日本語など、外国人労働者が理解できる方法で行うよう努めます。
  • 採用前の在留資格確認:採用しようとする人が、採用後に従事する業務について在留資格上その就労が認められる人かを、あらかじめ確認します。認められない人を就労させることはできません。
  • 国外からのあっせん:国外に居住する人のあっせんを受けるときは、許可・届出のある職業紹介事業者を利用します。

在留資格の範囲外の仕事に就かせると、不法就労を助長したと評価されるおそれがあります。採用前に在留カードで在留資格・在留期間・就労制限の有無を確認し、疑問があれば在留資格の専門家に相談するのが安全です。

労働条件・安全衛生・社会保険で事業主がすべきことは?

採用後の雇用管理でも、指針は日本人と同じ法令の遵守に加え、外国人であることに配慮した対応を求めています。

分野事業主が努めること
労働条件国籍を理由とする賃金・労働時間等の差別的取扱いをしない。労働時間の適正な把握、割増賃金・年次有給休暇などの法令遵守
安全衛生安全衛生教育を母国語等で理解できるように実施。健康診断、労働災害防止のための日本語教育・標識の工夫
労働・社会保険要件を満たす場合は労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険を適用し、手続を行う。保険給付の請求に必要な援助
相談・苦情相談しやすい体制の整備、苦情・相談への対応
生活支援日本語教育や生活相談など、職場への適応・生活の安定への配慮

社会保険・労働保険の適用は、国籍にかかわらず要件で決まります。「外国人だから入れない」という扱いはできません。労働条件の明示や安全衛生教育の細目は上記の関連記事に分けていますので、あわせてご確認ください。

離職・解雇のときの援助や届出は?

指針は、外国人労働者が離職する場面でも事業主の配慮を求めています。加えて、雇入れ・離職のつど法律上の届出義務があります。

  • 解雇の予防・再就職援助:事業の縮小等で離職を余儀なくされる外国人について、解雇の予防や再就職の援助に努めます。
  • 離職時の証明等:離職時に、求めに応じた証明や、帰国・在留資格に関わる手続への配慮を行います。
  • 外国人雇用状況の届出(義務):新たに外国人を雇い入れたとき、またはその外国人が離職したときは、氏名・在留資格・在留期間等を厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ます(労働施策総合推進法第28条)。特別永住者と、在留資格が「外交」「公用」の人は届出の対象外です。

ご自身のケースについて相談したい方へ

社会保険・給与・労務について、状況をお聞かせください。

雇用状況の届出は努力義務ではなく法律上の義務で、怠ると30万円以下の罰金の対象になり得ます。届出の様式・期限は外国人雇用状況の届出はいつ・どう出すのかに分けてまとめています。

在留資格や紛争は誰に振るのか?

外国人雇用に関わる作業は、担い手が分かれます。雇用管理指針に沿った労務管理・就業規則・社会保険や外国人雇用状況の届出は社会保険労務士がご支援できる領域ですが、在留資格そのものの手続や紛争は別の専門家の領域です。

論点誰が担うか
雇用管理指針に沿った労務管理・就業規則、社会保険の適用、外国人雇用状況の届出社会保険労務士(当事務所)
在留資格の取得・変更・更新、認定証明書の申請行政書士(独立した事業体として別々にご契約)
解雇・雇止めなどの紛争、訴訟・あっせん代理弁護士(独立した事業体として別々にご契約)

四葉社会保険労務士事務所では、雇用管理指針に沿った労務管理・社会保険の適用・外国人雇用状況の届出をご支援します。在留資格の手続は行政書士へ、解雇など紛争は弁護士へ、いずれも独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします(紹介料はいただきません)。会社側では、在留カードの確認や社内規程の整備にご協力いただきます。この記事は指針の全体像の案内にとどまり、個別の対応の可否を判断するものではありません。

よくある質問

Q. 外国人雇用管理指針は守らないと罰則がありますか?
A. 雇用管理指針そのものは労働施策総合推進法第7条に基づく事業主の努力義務で、直ちに罰則が科されるものではありません。ただし、国籍を理由とする差別の禁止や労働・社会保険の適用など、指針が前提とする個々の法令には別途の義務・罰則があります。また、第28条の外国人雇用状況の届出は法律上の義務で、怠ると30万円以下の罰金の対象になり得ます。

Q. 募集・採用のときに特に何を確認すればよいですか?
A. 業務内容・賃金・労働時間・就業場所・契約期間・労働社会保険の適用を、母国語や平易な日本語など理解できる方法で明示するよう努めます。あわせて、採用しようとする人が在留資格上その業務に就けるかを、在留カード等で採用前に確認します。就労が認められない人を働かせることはできません。

Q. 外国人も社会保険に入れる必要がありますか?
A. 労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険の適用は、国籍ではなく労働時間や雇用の形などの要件で決まります。要件を満たせば、日本人と同じく適用し手続を行う必要があります。「外国人だから加入させない」という扱いは指針・法令に反します。保険給付の請求に必要な援助も求められます。

Q. 外国人雇用状況の届出は全員が対象ですか?
A. 新たに雇い入れた外国人、離職した外国人が対象で、氏名・在留資格・在留期間等を厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ます。ただし、特別永住者と、在留資格が「外交」「公用」の人は届出の対象外です。努力義務ではなく法律上の義務である点に注意が必要です。

この記事の根拠

  • 指針の根拠:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第7条(事業主の努力義務)・第8条(厚生労働大臣が指針を定める根拠)。指針本文の趣旨は法第7条に定める事項への対応を目的とし、改正告示の前文は第8条を根拠としている(e-Gov法令検索・厚生労働省告示。施行日・最終改正は都度確認)
  • 指針の名称・内容:外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(厚生労働省告示)。募集・採用の明示と在留資格確認、母国語等による理解、国籍を理由とする差別的取扱いの禁止、安全衛生教育、労働・社会保険の適用、相談体制、解雇の予防・再就職援助等(厚生労働省「外国人を雇用する事業主の方へ」および指針本文、2026年10月参照)
  • 近時の改正:2026年(令和8年)5月29日公布の厚生労働省告示第227号による一部改正。適用は段階的で、本則の多くは令和9年4月1日から(第1条の規定は令和8年6月14日、第2条の規定は令和8年10月1日から適用。独立行政法人労働政策研究・研修機構の掲載および厚生労働省告示、2026年10月参照。現行の条文は最新版で確認)
  • 外国人雇用状況の届出:労働施策総合推進法第28条。新たに外国人を雇い入れた場合またはその外国人が離職した場合に、氏名・在留資格・在留期間等を厚生労働大臣へ届け出る。特別永住者と在留資格「外交」「公用」の人は対象外(厚生労働省・e-Gov法令検索、2026年10月参照)
  • 社会保険労務士の業務:社会保険労務士法第2条

この記事は、誰に相談するかまで決めるものではありません。四葉社会保険労務士事務所では、雇用管理指針に沿った労務管理・就業規則、社会保険の適用、外国人雇用状況の届出についてご相談いただけます。在留資格の取得・変更・更新は行政書士へ、解雇など紛争は弁護士へ、いずれも独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします(紹介料はいただきません)。費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。指針のどの事項がどこまで求められるか、個別の雇用管理・届出の要否といった判断は、在留資格や雇用の形、改正の施行時期によって分かれます。制度の適用や個別の判断は、最新の一次情報(厚生労働省・出入国在留管理庁・e-Gov等)と個別のご事情に照らし、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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