接待をともなう飲食店(風営法1号)の許可は、どんな物件なら取れる?
スナック・ラウンジ・クラブなど客の接待をして飲食をさせる店は、風営法第2条第1項第1号の「接待飲食等営業」にあたり、第3条第1項にもとづく都道府県公安委員会の許可(1号許可)が必要です。届出との違い、保全対象施設からの距離制限(施行令第6条・おおむね100メートル限度)、客室16.5㎡・和室9.5㎡・見通し・照度5ルクスなどの構造要件、第4条の人的欠格を整理し、物件は不動産、求積図・平面図は建築士・測量、飲食店営業許可は保健所へ分離受任で振る分担をまとめました。
結論(先に要点):スナック・ラウンジ・クラブなど、客の接待をして飲食をさせる店を開くには、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条第1項第1号の「接待飲食等営業」にあたり、第3条第1項にもとづき、営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可(いわゆる1号許可)を受ける必要があります。これは「届出」ではなく「許可」で、①場所的要件(用途地域・保全対象施設からの距離)、②構造的要件(客室の床面積・見通し・照度)、③人的要件(第4条第1項の欠格事由)のすべてを満たす必要があります。物件を借りる前に立地と構造が要件に合うかを確認しておかないと、契約後に許可が下りない事態になりかねません。本記事は、接待をともなう飲食店(風営法1号)の許可要件と申請の流れを整理する一般的な情報提供であり、個別の許可の可否は判断しません。
接待をともなう飲食店は、どの営業許可が必要?(届出との違い)
「接待」とは、風営法第2条第3項で「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。特定の客の隣に継続して座って談笑・お酌をする、カラオケでデュエットの相手をする、といった行為が典型です。全員に同じ料理を出す、カウンター越しに雑談する程度は接待に当たらないと整理されるのが一般的ですが、実態で判断されます。
風営法第2条第1項第1号は、「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」を風俗営業の1号と定めています。この第1号から第3号までをまとめて「接待飲食等営業」と呼びます(同条第4項)。接待をして飲食をさせるなら、この1号許可が必要です。
| 営業の中身 | 必要な手続 | 根拠 |
|---|---|---|
| 接待をして飲食をさせる(スナック・クラブ等) | 風俗営業(1号)の許可 | 風営法第2条第1項第1号・第3条第1項 |
| 深夜0時以降に酒類提供が中心(接待なし) | 深夜における酒類提供飲食店営業の届出 | 風営法第33条第1項 |
| 通常の飲食店(接待・深夜営業なし) | 飲食店営業許可(保健所) | 食品衛生法 |
ここが最大の分かれ目です。接待がなく深夜に酒を出すだけなら「届出」で足りますが(詳しくは深夜0時以降にお酒を出す店、届出は何がいる?)、接待をするなら「許可」が要ります。許可は審査を経て下りるもので、標準処理期間(都道府県により概ね55日前後とされます)を要し、下りるまで営業できません。
保全対象施設からの距離制限で、物件はどう絞られる?
1号許可でとくに物件選びに効くのが「場所的要件」です。風営法第4条第2項第2号は、良好な風俗環境を保全するため、政令で定める基準に従って都道府県の条例が定める地域では許可をしないと定めています。その政令が風営法施行令第6条で、①住居が多数集合する地域、②学校・図書館・児童福祉施設・病院・診療所などの「保全対象施設」の周囲一定距離の区域を、条例で営業制限地域として定められる枠組みを置いています。保全対象施設の周囲については、施行令が敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度としています。
実際の距離は都道府県の条例で異なります。たとえば神奈川県の条例では、次のように区分しています(参照日 2026-09-10。数値は都道府県ごとに異なるため、必ず物件所在地の条例を確認してください)。
| 保全対象施設 | 距離の例(神奈川県) |
|---|---|
| 学校(大学を除く) | 100メートル |
| 大学・図書館・児童福祉施設・病院・診療所 | 70メートル(商業地域は30メートル) |
このため、物件が商業地域にあっても、近くに学校や病院があると距離制限で許可が取れないことがあります。用途地域は建築基準法にもとづく都市計画で定まり、同じ通り沿いでも区画によって変わります。物件を決める前に、用途地域と保全対象施設からの距離の両方を確認することが欠かせません。
客室の面積・見通し・照度の構造要件は、どこまで満たせばよい?
構造的要件は風営法第4条第2項第1号にもとづく技術上の基準で、国家公安委員会規則(施行規則)と都道府県条例で具体化されています。1号営業でよく問われる代表的な基準は次のとおりです(数値は多くの都道府県で共通しますが、細部は条例で差があります)。
| 項目 | 基準の目安 |
|---|---|
| 客室の床面積 | 1室あたり16.5㎡以上(和室は9.5㎡以上)。ただし客室が1室のみの場合は適用しない |
| 客室内部の見通し | 見通しを妨げる、おおむね高さ1メートルを超える設備を設けない。営業所の外部から客室内が見通せる構造にしない |
| 照度 | 営業所内の照度を5ルクス以下としない(営業中に5ルクス以上を維持できる構造・設備) |
| 善良の風俗を害する設備 | 性的好奇心をそそる写真・装飾等を設けない |
| 出入口の施錠 | 客室の出入口に施錠設備を設けない(店外へ通じる出入口を除く) |
図面(求積図・平面図)と現況が食い違うと、実地調査で指摘を受けます。間仕切りやボックス席の高さ、客室数の数え方は許可の可否を左右するため、内装設計の段階でこれらの基準を織り込むのが安全です。求積図・平面図の作成や内装設計は建築士・測量・内装業者の専門分野で、当事務所とは独立した事業体として別々にご契約いただきます。
許可が下りない人的欠格事由には、何がある?
風営法第4条第1項は、申請者(法人ならその役員を含む)が一定の事由にあたるときは許可をしないと定めています。代表的なものは次のとおりです。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(第1号)
- 一定の罪により1年以上の拘禁刑、又は所定の罪で1年未満の拘禁刑・罰金に処せられ、その執行を終わった日等から起算して5年を経過しない者(第2号)
- 集団的・常習的に暴力的不法行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者(第3号)
- アルコール・麻薬・大麻・あへん・覚醒剤の中毒者(第4号)
- 心身の故障により業務を適正に行えない者、営業の許可の取消し等から一定期間を経過しない者 など
(拘禁刑は刑法改正により令和7年6月1日に施行され、従来の懲役・禁錮を一本化した刑です。)人的欠格の確認は、本人の申告と警察による調査で行われるもので、前科・前歴に関する事実の確認は本人と警察の管轄です。当事務所が本人に代わって前科の有無を証明することはできません。
物件・図面・申請は、それぞれ誰に頼む?
接待をともなう飲食店の開業は、複数の専門分野にまたがります。担当は次のとおりです。
- 風俗営業(1号)許可の要件確認・申請書類の作成・許可申請の代理 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 店舗物件の賃貸借・立地(用途地域・保全対象施設からの距離)の事前確認・使用条件の調整 → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)
- 求積図・平面図の作成、内装設計・工事 → 建築士・測量・内装業者
- 飲食店営業許可(食品衛生法) → 保健所
四葉行政書士事務所とは別事業体の四葉不動産株式会社が、独立した事業体として別契約で、物件探し・賃貸借契約・用途地域や保全対象施設からの距離の事前確認を担当します。求積図・平面図は建築士・測量、飲食店営業許可は保健所、申請者本人の欠格事由の確認は本人と警察の管轄で、いずれも独立した事業体・所管として別々にご契約・お手続きいただきます。各分野は、それぞれの窓口・資格者と別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。飲食店の営業許可については飲食店営業許可と保健所の設備基準も参考になります。
よくある質問
Q. 「接待」とは具体的にどこからですか?
A. 風営法第2条第3項は「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を接待と定義します。特定の客の隣に継続して座り談笑・お酌をする、カラオケでデュエットの相手をするなどが典型です。全員に同じ料理を出す、カウンター越しに雑談する程度は接待に当たらないと整理されるのが一般的ですが、実態で判断されます。個別の判断は所轄警察署が行います。
Q. 届出ではなく許可なのは、なぜ手間が違うのですか?
A. 深夜の酒類提供(接待なし)は風営法第33条第1項の「届出」で足りますが、接待をともなう1号営業は第3条第1項の「許可」が必要です。許可は場所・構造・人の各要件を審査したうえで下りるもので、標準処理期間(都道府県により概ね55日前後とされます)を要し、下りるまで営業を始められません。
Q. 物件が商業地域なら距離制限は関係ないですか?
A. いいえ。商業地域でも、近くに学校・図書館・児童福祉施設・病院・診療所などの保全対象施設があると、都道府県条例の距離制限で許可が取れないことがあります。距離は条例で異なり、風営法施行令第6条は保全対象施設の周囲おおむね100メートルを限度としています。物件契約の前に条例で確認してください。
Q. 客室が狭いのですが許可は取れますか?
A. 1号営業の客室は1室あたり16.5㎡以上(和室は9.5㎡以上)が目安で、客室が1室のみなら面積基準は適用されません。見通しを妨げる高さ1メートル超の設備や、外部から見通せない構造は不可です。数値・扱いは都道府県条例で差があるため、内装設計の前に所在地の条例を確認することをおすすめします。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(昭和23年法律第122号)第2条第1項第1号・第3項・第4項、第3条第1項、第4条第1項・第2項第1号・第2号(参照日 2026-09-10)
- e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令」(昭和59年政令第319号)第6条(営業制限地域の基準・保全対象施設の周囲おおむね100メートルを限度)(参照日 2026-09-10)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)(客室の床面積・見通し・照度等の技術上の基準)(参照日 2026-09-10)
- 神奈川県警察「風俗営業等の規制概要と営業申請(届出)手続」(保全対象施設からの距離・構造設備の例)(参照日 2026-09-10)
- 各都道府県の風営法施行条例(営業制限地域・構造設備の技術上の基準)(参照日 2026-09-10)
- e-Gov法令検索「建築基準法」(用途地域)(参照日 2026-09-10)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の許可の可否、営業制限地域への該当性、構造設備基準の適合、必要書類、審査期間、欠格事由の該当性を保証するものではありません。距離・面積・照度などの数値と様式は都道府県ごとに異なるため、必ず営業所の所在地の条例と所轄警察署の公式案内で確認してください。1号許可の可否と審査は都道府県公安委員会(所轄警察署)が判断します。店舗物件の賃貸借・立地の確認は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、求積図・平面図は建築士・測量、飲食店営業許可は保健所、申請者本人の欠格事由の確認は本人と警察が、それぞれ独立した事業体・所管として別々にご契約・お手続きのうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
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