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2026.09.04許認可の手続き(行政書士の実務から)

飲食店の営業許可を取る:保健所の施設基準と食品衛生責任者

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

カフェ・居酒屋・レストランを開くには、食品衛生法にもとづく飲食店営業の許可(第55条第1項・施行令第35条)が要ります。保健所が見る施設基準(第54条・各自治体条例)、施設ごとに置く食品衛生責任者(第51条第1項・施行規則別表第17)、2021年(令和3年)6月1日のHACCP完全施行と許可業種の再編・営業届出制度(第57条)、申請から営業開始までの流れを整理し、物件・工事・消防・登記・税務は分離受任で振る分担を示しました。

結論(先に要点):カフェ・居酒屋・レストランなど調理して食事を出す店を開くには、食品衛生法にもとづく飲食店営業の許可が要ります。飲食店営業は食品衛生法施行令第35条で許可を要する業種とされ、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)の許可を受けます(食品衛生法第55条第1項)。施設が満たすべき基準は同法第54条により各自治体の食品衛生法施行条例で定められ、あわせて施設ごとに食品衛生責任者を1名置く必要があります(同法第51条第1項)。2021年(令和3年)6月1日にHACCPに沿った衛生管理が完全施行され、許可業種の再編と営業届出制度の新設も行われました。本記事は許可の条件と流れを整理するもので、許可の可否は保健所の審査によります。当事務所が許可を保証するものではありません。

飲食店営業許可は、どんな業態で必要になる?

店内で調理して食事や飲み物を提供する営業は、原則として飲食店営業の許可が必要です。レストラン・カフェ・居酒屋・スナックのほか、調理を伴うテイクアウトやデリバリー中心の店も、調理をする以上は飲食店営業にあたるのが一般的です。2021年の改正で、従来の「喫茶店営業」は飲食店営業に統合されました。

一方、扱う食品や加工の内容によっては別の業種になります。パンやケーキを作って売るのは菓子製造業、食肉や魚介類の販売はそれぞれの販売業など、業種ごとに許可の要否が分かれます。許可ではなく届出で足りる業態(同法第57条)もあり、どの手続に該当するかは営業の内容で決まります。判断に迷う場合は、開業予定地を管轄する保健所に確認します。

手続の別根拠主な例
営業許可食品衛生法第55条第1項・施行令第35条飲食店営業、菓子製造業など
営業届出食品衛生法第57条第1項常温で保存できる包装食品の販売など

なお、深夜0時以降に酒類をメインに提供する場合は、飲食店営業許可とは別に風営法の届出が必要になります。手続の違いは深夜酒類提供飲食店営業の届出にまとめています。

保健所が見る施設基準(手洗い・シンク・区画)はどこを満たせばいい?

施設が満たすべき基準は、食品衛生法第54条にもとづき、各自治体の食品衛生法施行条例で定められています。国は施行規則で参酌すべき基準の枠を示していますが、具体的な数値や仕様は自治体・業態によって異なるため、開業予定地の条例と保健所の手引きで確認します。代表的な確認項目は次のとおりです。

項目確認のポイント
手洗い設備従事者用の手洗いを設け、水栓は交差汚染を防ぐ構造(レバー式・自動等)が求められることが多い
シンク(洗浄設備)食品用・器具用などの洗浄に応じた槽数。2槽以上を求める自治体が多い
区画調理場と客席、汚染作業と非汚染作業を区分できる配置
床・壁・天井清掃しやすく、耐水性のある材質
換気・照明十分な換気と、作業に必要な明るさ
冷蔵・冷凍設備温度を確認できる温度計を備える
更衣室・防虫防そ・給湯従事者の更衣場所、ねずみ・昆虫の侵入防止、必要な給湯

数値や区画の要否は業態で変わります。内装工事や間取りを決める前に保健所へ事前相談し、条例の基準に沿った図面にしておくと、工事のやり直しを防げます。

食品衛生責任者は誰がなれて、どう選任する?

飲食店営業などの施設には、食品衛生責任者を1名置く必要があります(食品衛生法第51条第1項にもとづく一般衛生管理の基準。食品衛生法施行規則別表第17)。営業者自身がなることも、従業員を選任することもできます。

食品衛生責任者になれるのは、次のいずれかに当たる人です。

  • 調理師、栄養士、製菓衛生師、食品衛生管理者・食品衛生監視員となる資格を有する者など、定められた資格を持つ人
  • 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
  • 都道府県知事等が行う(または知事が指定した団体の)食品衛生責任者養成講習会を修了した人

資格がない場合は養成講習会の受講が一般的です。責任者は、衛生管理の実施状況を確認し、必要な改善を営業者に進言する役割を担います。営業許可の申請時までに選任しておくのが通例です。

2021年の食品衛生法改正(HACCP・許可業種の再編)で何が変わった?

2018年に公布された改正食品衛生法により、2021年(令和3年)6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められるようになりました(食品衛生法第51条第1項第2号)。飲食店は、一般衛生管理に加え、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」として、手引書を参考に衛生管理計画を作成し、記録・確認する運用が求められます。

あわせて営業許可制度が見直され、業種が再編されました。喫茶店営業が飲食店営業に統合され、許可を要する業種は施行令第35条に整理されました。さらに、許可の対象外だが公衆衛生への影響がある営業について、営業届出制度が新設されました(同法第57条)。自分の営業が許可・届出・いずれも不要のどれに当たるかは、保健所で確認します。

申請から許可・営業開始まで、どんな順番で進める?

飲食店の開業は、物件・工事・行政手続が並行します。手戻りを防ぐため、次の順番で進めるのが基本です。

  1. 物件を契約する前に、保健所へ事前相談し、施設基準と必要書類を確認する
  2. 条例の基準に沿って施設を設計・工事する
  3. 食品衛生責任者を選任する(資格がなければ養成講習会を受講)
  4. 営業許可を申請する(施設の図面、申請書などを提出)
  5. 保健所による施設の検査を受ける
  6. 許可証の交付を受け、営業を開始する

役割は次のように分かれます。

  • 飲食店営業許可の申請書・図面等の作成、保健所との事前相談の支援 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明、原状回復や排気の確認 → 四葉不動産株式会社
  • 深夜0時以降の酒類提供の届出 → 風営法にもとづく手続(行政書士)
  • 内装・排気・防火に関する工事や消防手続 → 建築士・消防設備士・消防機関
  • 法人設立の登記 → 司法書士
  • 開業後の会計・税務 → 税理士
  • 権利義務・紛争にわたる個別の法的判断 → 弁護士

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当事務所は飲食店営業許可の申請支援のみを独立した事業体として担い、物件・工事・消防・登記・税務は、それぞれの資格者・行政窓口と別々にご契約・ご相談いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。許認可の全体像は許認可の手続き、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表をご覧ください。許可の可否そのものは保健所が判断します。

よくある質問

Q. テイクアウトやキッチンカーだけでも飲食店営業許可は要りますか?
A. 調理して提供する以上、原則として飲食店営業の許可が必要です。キッチンカー(移動営業)は、施設基準が店舗と異なり、営業できる品目や区域が限定されることがあります。扱う食品や調理の内容で必要な手続が変わるため、開業予定地を管轄する保健所に確認してください。

Q. 食品衛生責任者は、必ず講習を受けないとなれませんか?
A. いいえ。調理師・栄養士・製菓衛生師などの資格や、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の資格がある人は、講習を受けなくても食品衛生責任者になれます。これらの資格がない場合は、都道府県知事等が行う(または指定する)養成講習会を修了することでなれます。

Q. HACCPは小さな個人店でも対応が必要ですか?
A. はい。2021年6月1日から、原則としてすべての事業者に求められています。ただし小規模な飲食店などは「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でよく、業界団体が作成した手引書を参考に、衛生管理計画を作って記録・確認する運用が基本です。具体的な様式は保健所や手引書で確認します。

Q. 許可は一度取れば更新は要りませんか?
A. 飲食店営業許可には有効期間があり、期間満了前に更新が必要です。有効期間は自治体が定めており、おおむね5〜8年の範囲で施設ごとに設定されます。許可証に記載された期限を確認し、更新の時期を逃さないようにします。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「食品衛生法」(昭和22年法律第233号)第51条第1項、第54条、第55条第1項、第57条第1項(参照日 2026-09-04)
  • e-Gov法令検索「食品衛生法施行令」(昭和28年政令第229号)第35条(営業許可を要する業種)(参照日 2026-09-04)
  • e-Gov法令検索「食品衛生法施行規則」(昭和23年厚生省令第23号)別表第17(食品衛生責任者等の選任)(参照日 2026-09-04)
  • 厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」および「営業許可制度の見直し・営業届出制度の創設」(令和3年6月1日完全施行。参照日 2026-09-04)
  • 開業予定地の自治体が定める食品衛生法施行条例(施設基準)および保健所が公表する飲食店営業許可申請の手引き(参照日 2026-09-04)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の許可の可否、施設基準への適合、必要書類・手数料・有効期間を保証するものではありません。施設基準は自治体の条例で異なり、飲食店営業許可の最終的な審査は保健所(都道府県・保健所設置市・特別区)が行います。深夜0時以降の酒類提供は風営法にもとづく別の届出、内装・排気・防火の工事や消防手続は建築士・消防設備士・消防機関、法人設立の登記は司法書士、会計・税務は税理士、権利義務・紛争にわたる個別の法的判断は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・ご相談のうえ対応します。事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明は四葉不動産株式会社が別事業体として担い、当事務所との間で相互に紹介料を受け取りません。施設ごとの基準・様式・必要書類は当該自治体の公式ページで確認してください。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

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