訪問看護ステーションの指定申請は、どんな流れで進みますか──介護保険の指定と医療保険のみなし指定
訪問看護ステーションを始めるには、指定訪問看護事業者の指定が要ります。介護保険では事業所ごとに都道府県知事の指定を受け(介護保険法第70条第1項)、医療保険の指定訪問看護は厚生労働大臣の指定ですが(健康保険法第88条第1項・第89条第1項)、介護保険の指定を受ければ医療保険側の指定があったものとみなされます(健康保険法第89条第2項のみなし指定)。人員は看護職員を常勤換算方法で2.5以上、管理者は原則保健師又は看護師(平成11年厚生省令第37号)。申請の流れと必要書類を整理し、物件は不動産、労務は社会保険労務士、登記は司法書士、税務は税理士へ分離受任で振る分担を示しました。
結論(先に要点):訪問看護ステーションを始めるには、指定訪問看護事業者としての指定が要ります。介護保険で訪問看護を提供するには、事業所ごとに都道府県知事(指定都市・中核市では市長)の指定を受けます(介護保険法第70条第1項)。医療保険での指定訪問看護は厚生労働大臣の指定ですが(健康保険法第88条第1項・第89条第1項)、介護保険の指定を受けると医療保険側の指定があったものとみなされます(健康保険法第89条第2項の「みなし指定」)。人員は看護職員を常勤換算方法で2.5以上、管理者は原則として保健師又は看護師です。本記事は指定申請の流れと必要書類を整理し、どの部分を誰に頼むかを示すためのものです。指定の可否は指定権者の審査によるものであり、当事務所が指定を保証するものではありません。
訪問看護ステーションの指定は、誰に申請するのですか
訪問看護は、利用者の自宅へ看護師等が出向いて療養上の世話や診療の補助を行うサービスです。介護保険で提供する場合、指定居宅サービス事業者(訪問看護)の指定を、事業所ごと・サービスの種類ごとに都道府県知事から受けます(介護保険法第70条第1項)。指定都市・中核市では市長が指定権者になります。
指定を受けるには、あらかじめ法人であることが前提です。定款の事業目的に訪問看護(居宅サービス)が含まれている必要があり、含まれていない場合は目的変更の登記が要ります。個人事業では指定を受けられません。まず、どの保険(医療保険・介護保険)で、どの範囲のサービスを提供するのかを決めることが、書類づくりの出発点になります。
人員基準(常勤換算2.5・管理者)は具体的にどう満たしますか
人員・設備・運営の基準は、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号。公布 平成11年3月31日)に定められ、都道府県等の条例で具体化されています。訪問看護の基本は次のとおりです。
| 区分 | 基準 |
|---|---|
| 看護職員(保健師・看護師・准看護師) | 常勤換算方法で2.5以上。ただし、うち1人は常勤 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 事業の実情に応じた適当数(配置は任意) |
| 管理者 | 専らその職務に従事する常勤の者。原則として保健師又は看護師 |
常勤換算は「従業者の勤務延べ時間数」を「常勤の従業者が勤務すべき時間数」で割って求めます。設備の面では、事業の運営に必要な広さの専用の事務室を設けるほか、指定訪問看護の提供に必要な設備・備品を備えることが求められます(同基準の訪問看護の設備の規定)。訪問看護は利用者宅へ出向くサービスのため、利用者の居室のような設備は要りませんが、感染予防のための手洗い・器材の保管などの衛生管理は運営基準上求められます。人員基準を満たす雇用契約・労働時間の設計・社会保険の適用は社会保険労務士の領域で、当社とは独立した事業体として別々にご契約いただきます。
医療保険と介護保険で、指定の窓口はどう違いますか
訪問看護は、医療保険(健康保険法)と介護保険の両方から給付される場合があります。指定の窓口はそれぞれ異なりますが、実務上は「みなし指定」によって手続が一体的に整理されます。
| 保険 | 指定の根拠 | 指定権者 |
|---|---|---|
| 介護保険 | 指定居宅サービス事業者(訪問看護)の指定(介護保険法第70条第1項) | 都道府県知事(指定都市・中核市は市長) |
| 医療保険 | 指定訪問看護事業者の指定(健康保険法第88条第1項・第89条第1項) | 厚生労働大臣(実務上は地方厚生(支)局長へ委任) |
医療保険の指定訪問看護事業者の指定は厚生労働大臣が行いますが、介護保険法の指定居宅サービス事業者(訪問看護)の指定を受けた事業者は、健康保険法第89条第2項により医療保険側の指定訪問看護事業者の指定があったものとみなされます(みなし指定)。別段の申出をしない限り、介護保険の指定を受ければ医療保険側の指定申請を別途行う必要はない、という仕組みです。ただし、みなしの範囲や届出の要否は事業内容によって異なるため、地方厚生(支)局と都道府県の双方の窓口で確認します。
申請から指定までのスケジュールはどれくらいですか
指定は毎月1日付で行う自治体が多く、申請書の提出期限は指定希望日の前月または前々月に設定されているのが一般的です。順番が前後すると差し戻しになりやすいため、事前協議を早めに始めます。一般的な流れは次のとおりです。
- 事業計画・資金計画を固め、法人を設立する(または定款の事業目的に訪問看護を加える)
- 事務室となる物件を選び、設備・衛生管理の基準に適合するかを確認する
- 指定権者(都道府県等)と事前協議を行う
- 管理者となる保健師又は看護師、常勤換算2.5以上の看護職員を確保する
- 申請書と添付書類を作成し、締切までに提出する
- 書類審査・必要に応じて現地確認
- 指定(多くの自治体で毎月1日付)
締切は指定権者ごとに異なり、年度替わりは前倒しになることもあるため、必ず当該自治体の公式ページで確認します。医療保険のみなし指定に関する届出のタイミングも、あわせて地方厚生(支)局に確認しておきます。人員の採用や物件の契約を確定させる前に、事前協議で基準適合を確認しておくと、指定希望日に間に合わないリスクを減らせます。
労務・登記・物件は、それぞれ誰に相談すればよいですか
指定申請は複数の専門分野が交わります。担当は次のように分かれます。
- 指定申請書・付表・添付書類の作成、事前協議の支援 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 事業用物件(事務室)の選定・賃貸借・重要事項説明 → 四葉不動産株式会社
- 人員基準に対応した雇用契約・就業規則・労働時間管理・オンコール(待機)手当の設計・社会保険の適用 → 社会保険労務士
- 法人設立の登記・変更登記 → 司法書士
- 法人の会計・税務・税額計算 → 税理士
- 権利義務・紛争にわたる個別の法的判断 → 弁護士
四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当事務所は指定申請の支援のみを独立した事業体として担い、物件・労務・登記・税務は、それぞれの資格者と別々にご契約いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。許認可の全体像は許認可の手続き、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表をご覧ください。物件側の要件は不動産の実務で、事務室・感染予防区画・用途地域の考え方が中心になります。
よくある質問
Q. 訪問看護ステーションは、看護師が1人いれば始められますか?
A. 始められません。看護職員を常勤換算方法で2.5以上(うち1人は常勤)配置することが人員基準です。管理者は原則として保健師又は看護師で、専らその職務に従事する常勤の者を置きます。理学療法士等の配置は事業の実情に応じた任意です。
Q. 医療保険と介護保険で、指定申請を2回しなければなりませんか?
A. 介護保険法第70条第1項の指定(都道府県知事)を受けると、健康保険法第89条第2項により医療保険の指定訪問看護事業者の指定があったものとみなされます(みなし指定)。別段の申出をしない限り、医療保険側の指定申請を別途行う必要はありません。届出の要否は地方厚生(支)局で確認します。
Q. 個人でも指定を受けられますか?
A. 指定訪問看護事業者の指定は法人であることが前提です。定款の事業目的に訪問看護(居宅サービス)が含まれている必要があり、含まれていない場合は目的変更の登記が要ります。
Q. 事務室はどのくらいの広さが要りますか?
A. 基準は「事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室」と定めており、一律の面積を全国一律で数値化してはいません。必要な設備・備品をあわせて備えます。具体的な広さや区画の考え方は指定権者の手引きと事前協議で確認し、物件選定は不動産と別々にご契約のうえ進めます。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「介護保険法」(平成9年法律第123号)第41条第1項、第70条第1項(参照日 2026-09-03)
- e-Gov法令検索「健康保険法」(大正11年法律第70号)第88条第1項、第89条第1項・第2項(参照日 2026-09-03)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号。公布 平成11年3月31日)第60条〜第62条(訪問看護)(参照日 2026-09-03)
- 開設予定地の都道府県・地方厚生(支)局が公表する指定(訪問看護)申請の手引き(各自治体・各厚生局。参照日 2026-09-03)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の指定の可否、人員・設備・運営基準への適合、みなし指定の範囲、申請日程を保証するものではありません。指定の最終的な審査は指定権者(介護保険は都道府県・指定都市・中核市、医療保険は厚生労働大臣=地方厚生(支)局)が行います。事業所ごとの締切・様式・必要書類は当該自治体・厚生局の公式ページで確認してください。事業用物件(事務室)の選定・賃貸借・重要事項説明は四葉不動産株式会社、人員基準に対応した雇用契約・労働時間管理・オンコール手当の設計・社会保険の適用は社会保険労務士、法人の設立・変更登記は司法書士、会計・税務は税理士、権利義務・紛争にわたる個別の法的判断は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
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