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2026.09.09許認可の手続き(行政書士の実務から)

着地型ツアーを売るには旅行業登録が要るのか?種別と要件を整理する

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

他人のために旅行の企画・手配・受託販売を反復継続して報酬を得るなら、原則として旅行業法第3条の登録が要ります。第1種(観光庁長官)から第2種・第3種・地域限定(都道府県知事)までの種別と業務範囲、基準資産額(第1種3,000万円〜地域限定100万円)、営業保証金の最低額(第1種7,000万円〜地域限定15万円、旅行業法第7条)、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者(旅行業法第11条の2)を整理し、宿泊(旅館業法)・民泊(住宅宿泊事業法)・運送との切り分けと、登録は行政書士、約款・紛争は弁護士、税務は税理士へ分離受任で振る分担をまとめました。

結論(先に要点):他人のために旅行の企画・手配・受託販売を反復継続して報酬を得るなら、原則として旅行業法(昭和27年法律第239号)第3条の登録が要ります。登録は業務範囲に応じて第1種・第2種・第3種・地域限定に分かれ、第1種は観光庁長官、第2種・第3種・地域限定は主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事が登録行政庁です。登録には財産的基礎としての基準資産額と、営業保証金の供託(旅行業法第7条)、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者の選任(旅行業法第11条の2)が求められます。本記事は種別と要件の全体像を整理する一般的な情報提供で、登録の可否は観光庁・都道府県の審査によります。当事務所が登録を保証するものではありません。

自社ツアーを売る前に、旅行業登録は本当に必要なのか?

旅行業登録が要るかどうかは、「誰のために」「何を」「反復継続して報酬を得て」行うかで決まります。旅行業とは、報酬を得て、運送・宿泊などの旅行サービスの手配や、これらを組み合わせた旅行の企画・実施を業として行うことをいいます。

想定するケース旅行業登録の要否(目安)
自館の宿泊のみを自ら販売する旅館業法の領域。旅行業には原則当たらない
他社の交通・宿泊・体験を組み合わせ、着地型ツアーとして企画・募集して販売する旅行業に当たり得る
旅行者から依頼を受け、交通・宿泊を手配して報酬を得る(手配旅行)旅行業に当たり得る
他の旅行業者の商品を代理販売する旅行業者代理業の登録が別に必要

宿泊事業者が自館の宿泊だけを販売するのは旅行業ではありませんが、他社のサービスを組み合わせた着地型ツアーを企画・募集して販売すると旅行業に当たり得ます。宿泊そのものの許可は旅館業法の領域で、簡易宿所の旅館業許可にまとめています。境界は取り扱う商品の内容で変わるため、企画ごとに確認することが実務上重要です。

第1種から地域限定まで、種別で何ができ、どこへ申請するのか?

登録の種別は、取り扱う旅行業務の範囲で分かれます。登録行政庁も種別で異なります。

種別登録行政庁業務範囲の概要
第1種観光庁長官海外・国内の募集型企画旅行を含め、旅行業務全般
第2種都道府県知事国内の募集型企画旅行は可。海外の募集型企画旅行は不可
第3種都道府県知事募集型企画旅行は原則不可。ただし営業所の所在市町村等に区域を限定すれば国内の募集型企画旅行が可能。受注型企画旅行と手配旅行は区域制限なし
地域限定都道府県知事国内の企画旅行・手配旅行を、営業所の存する市町村・隣接市町村等の区域内に限定

海外向けの募集型企画旅行(自社で募集する海外パッケージツアー)まで扱うなら第1種が必要です。インバウンド向けの着地型ツアーでも、国内の日帰り・近隣ツアーを営業所周辺の区域内で完結させる設計なら、地域限定や第3種で始められる場合があります。どの種別が合うかは、扱う旅行の範囲と事業計画で変わります。

営業保証金と旅行業務取扱管理者は、いくら・誰が要るのか?

登録には財産的基礎(基準資産額)が求められ(旅行業法第6条第1項)、あわせて営業保証金を主たる営業所の最寄りの供託所に供託します(旅行業法第7条)。

種別基準資産額営業保証金(最低額)
第1種3,000万円7,000万円
第2種700万円1,100万円
第3種300万円300万円
地域限定100万円15万円

営業保証金は上表が最低額で、前年度の旅行業務取扱額に応じて増えます。日本旅行業協会・全国旅行業協会に加入して保証社員になると、営業保証金の供託に代えて、その5分の1の弁済業務保証金分担金を納付する方法があります。

旅行業務取扱管理者は、営業所ごとに1人以上選任し、その職務に当たらせなければなりません(旅行業法第11条の2)。資格は総合・国内・地域限定の3種で、海外旅行を取り扱う営業所は総合旅行業務取扱管理者が必要です。名義だけを借りる形は認められません。

宿泊業や運送業の許可と、どう切り分けるのか?

旅行業は「旅行の企画・手配・受託販売」への登録で、宿泊や運送そのものの許可とは別物です。着地型ツアーは複数の法律が交わるため、どの行為にどの手続が要るかを分けて考えます。

行う内容根拠法手続
旅行の企画・手配・受託販売旅行業法第3条登録
宿泊(旅館・ホテル・簡易宿所)旅館業法許可
住宅を活用した宿泊(民泊)住宅宿泊事業法届出(年間提供日数180日以内)
自ら貸切バスで有償運送する道路運送法(一般貸切旅客自動車運送事業)許可

宿泊は旅館業法の許可(簡易宿所の旅館業許可)、住宅を活用した民泊は住宅宿泊事業法の届出で年間提供日数が180日以内に制限されます。ツアーの移動を自らバスで有償運送する形は、道路運送法の別の許可の問題になり得ます。旅行業登録があれば運送や宿泊の許可まで兼ねられるわけではないため、必要な手続を漏れなく整理することが重要です。

登録は誰に頼み、約款や紛争は誰に振るのか?

旅行業の立ち上げは、複数の専門分野が交わります。担当は次のように分かれます。

  • 旅行業登録の申請書・添付書類の作成、都道府県・観光庁との事前相談の支援 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 事業用物件(事務所・営業所)の選定・賃貸借・重要事項説明 → 四葉不動産株式会社
  • 旅行業約款や消費者契約に関する個別の法的判断、旅行者との紛争 → 弁護士
  • 会計・税務、営業保証金や取引に関する税務処理 → 税理士

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当事務所は旅行業登録の申請支援のみを独立した事業体として担い、物件・法務・税務は、それぞれの資格者と別々にご契約・ご相談いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。許認可の全体像は許認可の手続き、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表をご覧ください。登録の可否そのものは観光庁・都道府県が判断します。

よくある質問

Q. 自社の宿だけを泊めるのに旅行業登録は要りますか?
A. 自館の宿泊サービスの提供そのものは旅館業法の領域で、旅行業登録は原則要りません。ただし、他社の交通・宿泊・体験を組み合わせて着地型ツアーとして企画・募集し、報酬を得て販売すると旅行業に当たり得ます。境界は取り扱う商品の内容で変わるため、企画内容ごとに確認します。

Q. インバウンド向けの着地型ツアーは、どの種別で始められますか?
A. 取り扱う範囲によります。国内の日帰り・近隣ツアーを営業所周辺の区域内で行うなら地域限定や第3種で設計できる場合があり、海外の募集型企画旅行まで扱うなら第1種が必要です。基準資産額と営業保証金も種別で変わるため、事業計画とあわせて種別を選びます。

Q. 営業保証金は必ず現金で供託しますか?
A. 営業保証金は金銭のほか国債証券等でも供託できます。また、日本旅行業協会・全国旅行業協会の保証社員になれば、営業保証金の供託に代えてその5分の1の弁済業務保証金分担金を納付する方法があります(旅行業法第7条ほか)。金額は前年度の旅行業務取扱額で変わるため、直近の数字で確認します。

Q. 旅行業務取扱管理者は外部委託でよいですか?
A. 旅行業務取扱管理者は営業所ごとに1人以上を選任し、常時その職務に当たらせる必要があります(旅行業法第11条の2)。名義だけを借りる形は認められません。海外旅行を扱う営業所は総合旅行業務取扱管理者が必要で、誰を選任できるかは営業所の取扱範囲で変わります。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「旅行業法」(昭和27年法律第239号)第3条(登録)・第6条第1項(登録の拒否・財産的基礎)・第7条(営業保証金)・第11条の2(旅行業務取扱管理者)(参照日 2026-09-09)
  • e-Gov法令検索「旅行業法施行規則」(基準資産額・営業保証金の額に関する定め)(参照日 2026-09-09)
  • 観光庁「旅行業法概要」(登録行政庁=第1種は観光庁長官、第2種・第3種・地域限定は都道府県知事/営業所ごとに旅行業務取扱管理者1人以上)(参照日 2026-09-09)
  • 都道府県(第2種・第3種・地域限定)の旅行業新規登録の案内(基準資産額=第1種3,000万円・第2種700万円・第3種300万円・地域限定100万円、営業保証金の最低額=第1種7,000万円・第2種1,100万円・第3種300万円・地域限定15万円)(参照日 2026-09-09)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の登録の可否、種別の選択、基準資産額・営業保証金の具体的な金額を保証するものではありません。営業保証金の額は前年度の旅行業務取扱額に応じて変わり、上記は最低額の目安です。登録の最終的な審査は観光庁(第1種)・都道府県(第2種・第3種・地域限定)が行います。事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明は四葉不動産株式会社、旅行業約款・消費者契約に関する個別の法的判断や旅行者との紛争は弁護士、会計・税務は税理士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・ご相談のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。宿泊そのものの許可は旅館業法の領域で、簡易宿所の旅館業許可をあわせてご覧ください。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

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