菓子・そうざい製造業の営業許可と物件の設備基準|飲食営業との違い
焼き菓子やケーキを作って売る菓子工房、弁当・惣菜を作って売る店を始めるには、店内で食事を出す飲食店営業とは別に、菓子製造業(食品衛生法施行令第35条第11号)やそうざい製造業(同条第25号)の営業許可が要ります。飲食店営業との違い、2021年(令和3年)6月1日の食品衛生法改正による許可業種の再編、製造業で求められる物件の設備基準、小規模事業者のHACCP対応を整理し、物件・工事・消防・登記・税務・労務は分離受任で振る分担を示しました。
結論(先に要点):焼き菓子やケーキを作って売る菓子工房、弁当・惣菜を作って売るテイクアウトの店を始めるには、店内で食事を出す飲食店営業とは別に、菓子製造業やそうざい製造業の営業許可が要ります。これらは食品衛生法施行令第35条で許可を要する業種とされ、菓子製造業は同条第11号、そうざい製造業は同条第25号にあたり、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)の許可を受けます(食品衛生法第55条第1項)。施設が満たすべき基準は同法第54条により各自治体の条例で定められ、飲食店営業と製造業では求められる区画や設備が異なります。物件を契約する前に保健所へ事前相談し、条例の基準に沿った図面にしておくことが重要です。本記事は許可の条件と流れを整理する一般的な情報提供で、許可の可否は保健所の審査によります。当事務所が許可を保証するものではありません。
飲食店営業許可と菓子・そうざい製造業許可は、何が違うのか?
大きな違いは「その場で客に飲食させるか」「作って包装し販売するか」です。店内で調理して食事や飲み物を提供するのは飲食店営業(食品衛生法施行令第35条第1号)で、作った菓子や惣菜を包装して持ち帰り・卸しで売るのは、菓子製造業(同条第11号)やそうざい製造業(同条第25号)にあたるのが一般的です。同じ厨房でも、提供の形態が変わると必要な許可が変わります。
イートインとテイクアウトの両方をやりたい場合は、飲食店営業と製造業の複数の許可が必要になることがあります。どの許可に該当するかは、扱う食品・加工の内容・販売の形態で決まるため、開業予定地を管轄する保健所に確認します。飲食店営業許可そのものの取り方は飲食店の営業許可を取る:保健所の施設基準と食品衛生責任者にまとめています。
| 業態 | あてはまる許可 | 根拠 |
|---|---|---|
| 店内で調理して食事を出す | 飲食店営業 | 施行令第35条第1号・食品衛生法第55条第1項 |
| 菓子・パン・ケーキを作って売る | 菓子製造業 | 施行令第35条第11号 |
| 弁当・惣菜を作って売る | そうざい製造業 | 施行令第35条第25号 |
| 常温で保存できる包装食品を売るだけ | 営業届出 | 食品衛生法第57条第1項 |
2021年の食品衛生法改正で、許可業種はどう再編されたのか?
2018年に公布された改正食品衛生法により、2021年(令和3年)6月1日から営業許可制度が見直され、許可を要する業種が食品衛生法施行令第35条に整理されました。あわせて、許可の対象外だが公衆衛生への影響がある営業について、営業届出制度が新設されています(食品衛生法第57条第1項)。
菓子・そうざい関係では、あん類製造業が菓子製造業に統合されたほか、複合型そうざい製造業(施行令第35条第26号)と複合型冷凍食品製造業(同条第28号)が新設されました。複合型そうざい製造業は、そうざい製造業とあわせて食肉処理業・菓子製造業・水産製品製造業(魚肉練り製品を除く)・麺類製造業に係る食品を製造できる業種で、HACCPに基づく高度な衛生管理を行う場合に限り、これらの許可が免除される仕組みです。自分の営業が単独の許可・複合型・届出のどれに当たるかは、保健所で確認します。
| 手続の別 | 根拠 | 主な例 |
|---|---|---|
| 営業許可 | 食品衛生法第55条第1項・施行令第35条 | 菓子製造業、そうざい製造業など |
| 営業届出 | 食品衛生法第57条第1項 | 常温で保存できる包装食品の販売など |
製造業の許可に必要な物件の設備基準は、どこまで求められるのか?
施設が満たすべき基準は、食品衛生法第54条にもとづき各自治体の食品衛生法施行条例で定められています。国は施行規則で参酌すべき枠を示していますが、具体的な数値や仕様は自治体・業態で異なるため、開業予定地の条例と保健所の手引きで確認します。製造業では、客席のある飲食店とは違い、製造専用の区画・作業動線・洗浄設備が重視される傾向があります。代表的な確認項目は次のとおりです。
| 項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| 作業区画 | 製造室を居住スペースや販売スペースと明確に区分する配置 |
| 手洗い設備 | 従事者用の手洗いを設け、交差汚染を防ぐ水栓構造が求められることが多い |
| シンク(洗浄設備) | 用途に応じた槽数。2槽以上を求める自治体が多い |
| 床・壁・天井 | 清掃しやすく耐水性のある材質 |
| 冷蔵・冷凍設備 | 温度を確認できる温度計を備える |
| 換気・防虫防そ・給湯 | 十分な換気、ねずみ・昆虫の侵入防止、必要な給湯 |
自宅の一部を菓子工房にする場合でも、製造室は居住空間と区画する必要があるのが通例です。数値や区画の要否は業態で変わるため、内装工事や間取りを決める前に保健所へ事前相談し、条例の基準に沿った図面にしておくと、工事のやり直しを防げます。物件の選定・賃貸借の見立ては別事業体の四葉不動産株式会社の領域です。
HACCPに沿った衛生管理は、小規模事業者でも必要なのか?
はい。2021年(令和3年)6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています(食品衛生法第51条第1項)。菓子・そうざいの製造業でも、一般衛生管理に加えて衛生管理計画を作り、記録・確認する運用が必要です。ただし小規模な事業者は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でよく、業界団体が作成した手引書を参考にできます。
あわせて、施設ごとに食品衛生責任者を1名置く必要があります(食品衛生法第51条第1項にもとづく一般衛生管理の基準)。調理師・製菓衛生師などの資格がある人はそのまま、資格がない場合は都道府県知事等が行う(または指定する)養成講習会を修了することでなれます。役割は次のように分かれます。
- 菓子製造業・そうざい製造業の許可申請書・図面等の作成、保健所との事前相談の支援 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明、製造室に使える物件かの見立て → 四葉不動産株式会社
- 製造室の区画・排気・防火に関する工事や消防手続 → 建築士・消防設備士・消防機関
- 法人設立の登記 → 司法書士
- 開業後の会計・税務 → 税理士
- 従業員の雇用契約・就業規則・社会保険 → 社会保険労務士
- 権利義務・紛争にわたる個別の法的判断 → 弁護士
四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当事務所は菓子製造業・そうざい製造業の許可申請の支援のみを独立した事業体として担い、物件・工事・消防・登記・税務・労務は、それぞれの資格者・行政窓口と別々にご契約・ご相談いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。許認可の全体像は許認可・各種申請サービス、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表をご覧ください。許可の可否そのものは保健所が判断します。
よくある質問
Q. カフェで自家製のケーキも売りたいのですが、飲食店営業許可だけで足りますか?
A. 店内で提供する分は飲食店営業ですが、作ったケーキを包装して持ち帰り用や卸し用に売る場合は、別に菓子製造業の許可(施行令第35条第11号)が必要になることがあります。どこまでが飲食店営業でカバーされ、どこから製造業の許可が要るかは、販売の形態で分かれます。開業予定地を管轄する保健所に確認してください。
Q. 自宅のキッチンで菓子工房を始められますか?
A. 家庭用のキッチンをそのまま使うことは通常できません。製造室を居住スペースと区画し、手洗い・シンク・冷蔵設備など条例の基準(食品衛生法第54条にもとづく各自治体の条例)を満たす必要があります。工事の前に保健所へ事前相談し、基準に沿った図面にしておくと手戻りが減ります。
Q. そうざい製造業と飲食店営業は、両方取らないといけませんか?
A. 店内で食事を提供しつつ、惣菜を作って包装販売もする場合は、飲食店営業と、そうざい製造業(施行令第35条第25号)の複数の許可が必要になることがあります。複合型そうざい製造業のように、HACCPに基づく衛生管理を条件に複数業種の食品をまとめて製造できる仕組みもあるため、営業内容を保健所に伝えて確認します。
Q. 小さな個人の工房でもHACCPは必要ですか?
A. はい。2021年6月1日から、原則としてすべての事業者に求められています。ただし小規模な事業者は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でよく、業界団体の手引書を参考に衛生管理計画を作って記録・確認する運用が基本です。具体的な様式は保健所や手引書で確認します。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「食品衛生法」(昭和22年法律第233号)第51条第1項、第54条、第55条第1項、第57条第1項(参照日 2026-09-05)
- e-Gov法令検索「食品衛生法施行令」(昭和28年政令第229号)第35条(営業許可を要する業種=菓子製造業は第11号、そうざい製造業は第25号、複合型そうざい製造業は第26号、複合型冷凍食品製造業は第28号)(参照日 2026-09-05)
- 厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」および「営業許可制度の見直し・営業届出制度の創設」(令和3年6月1日完全施行。参照日 2026-09-05)
- 開業予定地の自治体が定める食品衛生法施行条例(施設基準)および保健所が公表する菓子製造業・そうざい製造業の許可申請の手引き(参照日 2026-09-05)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の許可の可否、施設基準への適合、必要書類・手数料・有効期間を保証するものではありません。施設基準は自治体の条例で異なり、菓子製造業・そうざい製造業の許可の最終的な審査は保健所(都道府県・保健所設置市・特別区)が行います。製造室の区画・排気・防火の工事や消防手続は建築士・消防設備士・消防機関、法人設立の登記は司法書士、会計・税務は税理士、雇用契約・就業規則・社会保険は社会保険労務士、権利義務・紛争にわたる個別の法的判断は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・ご相談のうえ対応します。事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明は四葉不動産株式会社が別事業体として担い、当事務所との間で相互に紹介料を受け取りません。施設ごとの基準・様式・必要書類は当該自治体の公式ページで確認してください。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|火・水 10:00〜19:00/月・木・金・土・日 18:00〜19:00
