医療法人の設立認可の流れと必要書類|個人開業から法人化まで
個人で開業しているクリニックを法人化するには、まず医療法人の設立認可が要ります。医療法人は主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ設立できず(医療法第44条第1項)、認可の後に設立の登記をすることで成立します(医療法第46条)。都道府県医療審議会への諮問を経る認可のスケジュール、定款又は寄附行為・事業計画・財産目録などの必要書類、剰余金の配当禁止(医療法第54条)や持分の定めのない医療法人といった論点を整理し、設立登記は司法書士、税務は税理士、労務は社会保険労務士へ分離受任で振る分担を示しました。
結論(先に要点):個人で開業しているクリニックを法人化するには、まず医療法人の設立認可を受ける必要があります。医療法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ設立できず(医療法第44条第1項)、認可の後に主たる事務所の所在地で設立の登記をすることによって成立します(医療法第46条)。認可申請の受付は年に数回に限られることが多く、都道府県医療審議会への諮問を経るため、本申請から認可までおおむね2〜3か月かかります。認可申請書・定款又は寄附行為・事業計画・財産目録などの書類作成と提出サポートは当事務所(四葉行政書士事務所)が担当し、設立の登記は司法書士、法人の税務・会計は税理士、社会保険の切替えは社会保険労務士が、それぞれ独立した事業体として別々に対応します。本記事は制度の流れを整理する一般的な情報提供で、個別の可否や様式は所在地の都道府県の審査によります。
医療法人にすると、個人開業と何が変わるのか?
医療法人は、病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団を法人としたもので、「医療法人」と称します(医療法第39条)。個人開業では院長個人が診療所の開設者ですが、法人化すると開設者は法人になり、院長は理事長として法人を運営します。分院の開設や介護事業への展開、事業承継のしやすさが、法人化を検討する主な動機です。
一方、医療法人には非営利性の枠がかかります。医療法人は剰余金の配当をしてはならず(医療法第54条)、利益を出資者へ配当することはできません。2007年(平成19年)4月1日施行の改正医療法により、新規に設立できるのは原則として持分の定めのない医療法人です。株式会社のように持分の払戻しや配当を予定した設計はできない点が、個人事業や一般の会社との大きな違いです。
| 項目 | 個人開業 | 医療法人 |
|---|---|---|
| 開設者 | 医師個人 | 医療法人 |
| 設立の手続 | 開設届(医療法第8条第1項) | 設立認可(医療法第44条第1項)+設立登記(医療法第46条) |
| 剰余金の配当 | ― | 禁止(医療法第54条) |
| 持分 | ― | 新規設立は持分の定めのない医療法人が原則 |
| 分院・介護事業 | 個人単位で制約 | 定款の範囲で展開しやすい |
法人化の要否そのものは、税務・資金繰り・承継計画を踏まえた経営判断です。税額や社会保険料の試算は税理士の領域で、当事務所は税務相談を行いません。
設立認可の申請はいつ出し、認可までどれくらいかかるのか?
医療法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ設立できません(医療法第44条第1項)。知事が設立を認可するにあたっては、あらかじめ都道府県医療審議会の意見を聴くこととされており、この諮問・答申の日程が全体のスケジュールを決めます。
多くの都道府県では、認可申請の受付や事前の説明会が年に数回(春と秋など)に限られています。実務上は、仮申請(事前審査)で書類の内容を整えてから本申請に進み、医療審議会の審議を経て認可書が交付される流れが一般的です。本申請から認可まではおおむね2〜3か月、事前準備を含めると数か月単位の逆算が必要です。
| 段階 | 主な内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 事前相談・仮申請 | 定款案・事業計画・財産目録の点検 | 受付時期に合わせる |
| 本申請 | 認可申請書一式の提出 | 受付回(年数回) |
| 都道府県医療審議会 | 諮問・答申 | 本申請から数週間〜 |
| 認可書の交付 | 設立の認可 | 本申請からおおむね2〜3か月 |
受付回・締切・様式は都道府県ごとに異なります。開設予定地の都道府県の手引きを、申請の直前に必ず確認してください(本記事では特定の都道府県の日程を断定しません)。
認可申請に必要な書類と拠出財産はどうそろえるのか?
設立認可の中心になるのは、定款又は寄附行為です(医療法第44条)。社団医療法人は定款、財団医療法人は寄附行為を作成し、名称・目的・開設する医療機関・事務所の所在地・資産・社員(又は評議員)や役員に関する事項などを定めます。役員は、原則として理事3人以上・監事1人以上を置く必要があります(医療法第46条の5第1項)。
拠出する財産は、診療所の運営に使う設備・運転資金などで、財産目録・拠出申込書などで裏づけます。運転資金をどの程度見込むかは都道府県の手引きで運用が異なり、一定期間分の運転資金を目安とする指導が見られますが、金額の基準は都道府県で確認が必要です(本記事では具体的な金額を断定しません)。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 設立認可申請書 | 都道府県所定の様式 |
| 定款又は寄附行為 | 社団は定款、財団は寄附行為(医療法第44条) |
| 設立総会議事録 | 設立の意思決定の記録 |
| 事業計画書・予算書 | 開設後2年程度の収支見込み |
| 財産目録・拠出申込書 | 拠出する財産と運転資金の裏づけ |
| 役員名簿・就任承諾書 | 理事3人以上・監事1人以上(医療法第46条の5第1項) |
これらの認可申請書類の作成・提出サポートは、官公署へ提出する書類の作成として当事務所(四葉行政書士事務所)が担当できます。事業計画の数値の妥当性や税務は税理士の領域です。
認可の後、登記と税務・労務は誰に引き継ぐのか?
認可書が交付されても、その時点ではまだ法人は成立していません。医療法人は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します(医療法第46条)。設立の登記は、認可等設立に必要な手続が終了した日から2週間以内に行う必要があります。登記が終わってはじめて、法人として診療所の開設許可(医療法第7条)や保険医療機関の指定などの手続に進みます。
役割は次のように分かれます。
- 医療法人設立認可申請書・定款又は寄附行為・事業計画・財産目録などの書類作成・提出サポート、認可後の各種届出の支援 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 分院・移転先など事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明 → 四葉不動産株式会社
- 医療法人の設立の登記・不動産登記 → 司法書士
- 法人の税務・会計、社会保険料の試算、拠出財産・事業計画の数値 → 税理士
- 役職員の雇用契約・就業規則・社会保険の新規適用や切替え → 社会保険労務士
- 権利義務・紛争にわたる個別の法的判断 → 弁護士
四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当事務所は医療法人の設立認可申請の支援のみを独立した事業体として担い、物件・登記・税務・労務は、それぞれの資格者・事務所と別々にご契約・ご相談いただきます。設立登記は司法書士、税務は税理士に振り、当事務所は登記申請の代理・登記申請書の作成、税務相談を行いません。当事務所は紹介料を受け取りません。個人開業の入口となる診療所開設届は診療所の開設は届出か許可か(医療法第8条)にまとめています。取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービス、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表をご覧ください。認可の可否そのものは都道府県が判断します。
よくある質問
Q. 個人のクリニックを、いつでも医療法人にできますか?
A. 設立認可の受付や説明会は、都道府県ごとに年に数回など時期が限られていることが多く、思い立ってすぐに申請できるとは限りません。仮申請(事前審査)から本申請、都道府県医療審議会の諮問・答申を経て認可に至るため、本申請から認可までおおむね2〜3か月かかります。受付回・締切は開設予定地の都道府県の手引きで確認してください。
Q. 医療法人は、利益を配当できますか?
A. できません。医療法人は剰余金の配当をしてはならないと定められています(医療法第54条)。役員への貸付けや特定の個人のための資産保有など、実質的に配当と同視される行為も避ける必要があります。2007年(平成19年)4月1日施行の改正医療法により、新規設立は原則として持分の定めのない医療法人です。
Q. 認可が下りたら、すぐに法人として診療を始められますか?
A. 認可書の交付だけでは法人は成立しません。主たる事務所の所在地で設立の登記をすること(医療法第46条)で法人が成立し、登記は認可等の手続が終了した日から2週間以内に行います。その後、法人としての診療所開設許可(医療法第7条)や保険医療機関の指定の手続が必要です。開設と保険診療開始の時期がずれないよう逆算しておくと安全です。
Q. 設立認可の申請書は、行政書士に頼めますか?
A. 官公署へ提出する認可申請書・定款又は寄附行為・事業計画・財産目録などの書類作成と提出サポートは、行政書士が担当できます。ただし設立の登記は司法書士、法人の税務・会計は税理士の業務です。当事務所はこれらの登記代理や税務相談は行わず、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく前提でご案内します。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「医療法」(昭和23年法律第205号)第39条(医療法人)、第44条第1項(設立認可=都道府県知事)・第44条(定款又は寄附行為)、第46条(設立の登記により成立)、第46条の5第1項(役員=理事3人以上・監事1人以上)、第54条(剰余金の配当の禁止)(参照日 2026-09-05)
- 厚生労働省「医療法人制度について」(持分の定めのない医療法人・第五次医療法改正=平成19年4月1日施行に関する資料。参照日 2026-09-05)
- 都道府県(例:愛知県・東京都・埼玉県・茨城県)の医療法人設立認可申請の手引き・受付時期・様式(申請の直前に開設予定地の公式ページを参照して確認する。参照日 2026-09-05)
- 組合等登記令(昭和39年政令第29号)にもとづく設立の登記(認可等設立に必要な手続が終了した日から2週間以内)(参照日 2026-09-05)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の設立認可の可否、必要書類、拠出財産の基準、受付時期、様式を保証するものではありません。医療法人設立認可の審査は都道府県知事(都道府県医療審議会への諮問を経る)が行い、受付時期・締切・様式は都道府県ごとに異なります。設立の登記は司法書士、法人の税務・会計と拠出財産・事業計画の数値は税理士、雇用契約・就業規則・社会保険の新規適用や切替えは社会保険労務士、事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明は別事業体の四葉不動産株式会社、権利義務・紛争にわたる個別の法的判断は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・ご相談のうえ対応します。当事務所は登記申請の代理・登記申請書の作成、税務相談を行わず、相互に紹介料を受け取りません。受付時期・様式・必要書類は開設予定地の都道府県の公式ページで確認してください。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|火・水 10:00〜19:00/月・木・金・土・日 18:00〜19:00
