お酒を売るにはどの免許が要る?一般酒類小売業免許と通信販売免許の違い
酒類を継続して販売するには、酒税法第9条にもとづき、販売場ごとに、その所在地の所轄税務署長の酒類販売業免許が必要です。店頭で売る一般酒類小売業免許と、2以上の都道府県の消費者にネット販売する通信販売酒類小売業免許の違い、通信販売で扱える酒類の制限(国産は課税移出数量3,000キロリットル未満の製造者の酒類)、販売場ごとの場所的要件、酒税法第10条の人的・経営基礎要件、登録免許税3万円と標準処理期間の目安を整理し、物件・税務・通関は分離受任で振る分担を示しました。
結論(先に要点):酒類を継続して販売するには、酒税法第9条にもとづき、販売場ごとに、その販売場の所在地の所轄税務署長の酒類販売業免許を受けなければなりません。店頭やチラシで一般の消費者・料飲店に売るなら「一般酒類小売業免許」、インターネットやカタログで2以上の都道府県の消費者に売るなら「通信販売酒類小売業免許」で、扱える酒類の範囲が違います。免許は酒税法第10条の人的・場所的・経営基礎・需給調整の要件を満たしたときに下ります。本記事は、免許の種類、販売場(物件)ごとの要件、申請者・経営基礎の要件、費用と期間の目安、物件・税務・通関を誰に振るかを、行政書士の視点で整理する一般的な情報提供です。個別の免許の可否は所轄税務署の審査によります。
酒類を売るにはどの免許が要るのか(小売と卸の違い)?
酒類の販売業をしようとする者は、酒税法第9条により、販売場ごとに、その販売場の所在地の所轄税務署長の免許を受けなければなりません。免許を受けずに酒類を販売すると罰則の対象になります。
酒類販売業免許は、売る相手によって大きく次のように分かれます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 酒類小売業免許 | 消費者、料飲店(酒場・料理店等)、菓子製造業者等に、酒類を小売する免許 |
| 酒類卸売業免許 | 酒類の製造者や販売業者に、酒類を卸売する免許 |
飲食店で客に酒を出すだけなら、原則として販売業免許は不要ですが、店で開栓していない酒をそのまま持ち帰り用に売るなど「販売」に当たる行為をするには、小売業免許が要ります。まず「誰に売るのか」を整理することが、必要な免許を見極める出発点です。
一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許はどう違うのか?
小売のうち、店頭販売を中心とするものと、通信販売とでは免許が分かれます。
| 事項 | 一般酒類小売業免許 | 通信販売酒類小売業免許 |
|---|---|---|
| 販売の方法 | 販売場での店頭販売のほか、2都道府県未満の範囲(同一都道府県内など)への配達等 | インターネット・カタログ等で、2以上の都道府県にわたる広範な地域の消費者に販売 |
| 扱える酒類 | 原則としてすべての品目 | 国産は、品目ごとの課税移出数量が3,000キロリットル未満の製造者が製造・販売する酒類、および輸入酒類に限られる |
| 主な用途 | 街の酒販店、飲食併設の物販など | 地酒・輸入酒のEC(ネットショップ) |
2以上の都道府県の消費者にネット販売するなら、一般酒類小売業免許だけでは足りず、通信販売酒類小売業免許が必要です。逆に、通信販売免許では大手メーカーの一般的な国産酒を広域に売ることはできません。どの売り方をするかで、取るべき免許と扱える商品が変わります。
販売場(物件)にはどんな要件があるのか(販売場ごとの免許)?
免許は「販売場ごとに」与えられます(酒税法第9条)。店舗や倉庫を複数持つなら、それぞれの販売場について免許が要ります。販売場となる物件には、場所的要件があります。
| 事項 | 主な要件 |
|---|---|
| 使用権原 | 販売場の物件について、自己所有または賃貸借などの使用権原があること |
| 場所的要件(第10条第9号) | 酒類の製造場や、他の酒類販売場、酒場・料理店等と同一の場所でないこと。販売場が独立した営業所として区画され、区別できること |
| 区画・設備 | 代金決済の設備など、酒類の販売場として実態を備えていること |
用途地域そのものによる酒販固有の制限は基本的にありませんが、建物の使用権原と、他の営業と区別された販売場の区画が要ります。賃貸物件では、賃貸借契約で酒類販売に使えることを確認しておくと、あとで区画のやり直しを避けられます。販売場・倉庫となる物件探しと賃貸借は、別事業体の四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)が担います。
申請者・経営基礎の要件(滞納・欠格事由)とは?
酒税法第10条は、免許を与えない場合(拒否要件)を定めています。主なものは次のとおりです。
| 要件 | 内容(要旨) |
|---|---|
| 人的要件 | 過去に酒類の免許を取り消されて一定期間を経過しない、国税・地方税の滞納処分を受けて一定期間内である、罰金・禁錮以上の刑を受けて一定期間を経過しないなどに当たらないこと |
| 場所的要件 | 前述のとおり、販売場が製造場・他の販売場・酒場等と同一場所でないこと |
| 経営基礎要件 | 経営の基礎が薄弱でないこと(申請者の資金・経験・知識、経営状態など) |
| 需給調整要件 | 酒類の需給の均衡を著しく害しないこと(仕入先・販売先、販売方法の具体性など) |
税金の滞納があると人的要件で引っかかるため、申請前に納税状況を整えておくことが大切です。あわせて、酒類の販売業者には二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正11年法律第20号)にもとづく年齢確認や、酒類の陳列・広告における表示(「20歳以上の年齢であることを確認できない場合は酒類を販売しない」旨の表示等)が求められます。
免許までの流れと期間の目安は?
申請から販売開始までの流れと費用の目安は次のとおりです。
| 段階 | 内容・目安 |
|---|---|
| 事前相談・申請書の提出 | 販売場の所在地を所轄する税務署(酒類指導官)へ提出 |
| 標準処理期間 | おおむね2か月(申請書等の提出後、税務署の審査。書類の不備・補正がない場合の目安) |
| 免許の付与・登録免許税 | 免許付与時に登録免許税(酒類小売業免許は1件3万円。卸売業免許は1件9万円) |
| 販売開始 | 免許通知書の受領後、記帳義務・表示義務を守って販売を開始 |
免許が出た後も、酒類の販売数量等の記帳や、翌年度以降の報告義務があります。酒税・記帳や決算は税理士の領域です。輸入酒類を扱う場合の通関手続きは、通関業者・税関の領域になります。
物件・税務・通関は誰に振ればいい?
酒類販売業は、許認可・不動産・税務・通関が交わります。担当は次のとおり分かれます。
- 免許申請の要件確認・申請書類の作成・申請代理 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 販売場・倉庫となる物件探し、使用権原・区画の確認、賃貸借契約 → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)
- 酒税・記帳・決算などの税務 → 税理士
- 輸入酒類の通関手続き → 通関業者・税関
- 法人設立・役員変更などの登記 → 司法書士
四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。各分野は、それぞれの資格者と独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。飲食店で深夜に酒類を提供する場合の届出については、深夜酒類提供飲食店営業の届出と要件もあわせてご確認ください。
よくある質問
Q. 飲食店を開くのですが、酒を出すだけでも免許は要りますか?
A. 店内で客に酒類を提供して飲ませるだけなら、原則として酒類販売業免許は不要です。ただし、開栓していない酒をそのまま持ち帰り用に売るなど「販売」に当たる行為をするには、一般酒類小売業免許が必要です。深夜0時以降も酒類を提供する飲食店は、別に深夜における酒類提供飲食店営業の届出が要ります。
Q. ネットショップで全国にお酒を売りたいのですが、どの免許ですか?
A. 2以上の都道府県の消費者にインターネットで販売するには、通信販売酒類小売業免許が必要です。ただし、販売できる国産酒は品目ごとの課税移出数量が3,000キロリットル未満の製造者の酒類に限られ、大手メーカーの一般的な国産酒を広域に売ることはできません。輸入酒類は扱えます。
Q. 税金を滞納していると免許は取れませんか?
A. 酒税法第10条の人的要件により、国税・地方税の滞納処分を受けて一定期間内である場合などは、免許を受けられないことがあります。申請前に納税状況を整えておくことが大切です。個別の判断は所轄税務署の審査によります。
Q. 申請してからどのくらいで免許が下りますか?
A. 標準処理期間はおおむね2か月です。これは申請書等の提出後、書類の不備・補正がない場合の目安で、補正事項の解消がこの期間内に整うことが前提です。個別の審査期間は所轄税務署の判断によります。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「酒税法」(昭和28年法律第6号)第9条・第10条(参照日 2026-09-06)
- 国税庁「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達」第9条関係・第10条関係(一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の区分、通信販売の品目制限、場所的要件・経営基礎要件・需給調整要件)(参照日 2026-09-06)
- 国税庁「酒類の販売業免許等申請の手引」(免許の要件、登録免許税3万円、標準処理期間おおむね2か月)(参照日 2026-09-06)
- 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正11年法律第20号)(酒類販売業者の年齢確認・表示義務)(参照日 2026-09-06)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の免許の可否、必要書類、審査期間を保証するものではありません。要件の細部(通信販売で扱える酒類の範囲、場所的要件の判断など)は所轄税務署・酒類指導官で扱いが異なる場合があるため、申請先の最新の手引きで確認してください。販売場・倉庫の物件探しと賃貸借は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、酒税・記帳などの税務は税理士、輸入酒類の通関は通関業者、法人設立・役員変更などの登記は司法書士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
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