介護タクシー(福祉輸送)を始めるには?許可・営業所・車庫・二種免許の要件
介護タクシー(要介護者らの通院・外出を有償で運ぶ事業)を始めるには、道路運送法第4条にもとづく一般旅客自動車運送事業の許可が必要です。多くは一般乗用旅客自動車運送事業のうち「福祉輸送事業限定」の許可で、福祉自動車なら車両1両から申請できます。一般タクシーとの違い、営業所・車庫(物件)の要件、第二種運転免許(道路交通法第86条)とセダン型で求められる介護福祉士・訪問介護員などの資格、登録免許税3万円と標準処理期間の目安を整理し、物件・免許・労務は分離受任で振る分担を示しました。
結論(先に要点):介護タクシー(要介護者らの通院・外出を有償で運ぶ事業)を始めるには、道路運送法第4条にもとづく国土交通大臣(実務は地方運輸局長)の許可が必要です。多くは一般乗用旅客自動車運送事業のうち「福祉輸送事業限定」の許可で、車いすやストレッチャーに対応した福祉自動車を使うなら車両1両から申請できます。運転者には、旅客を有償で運ぶための第二種運転免許(道路交通法第86条)が要り、セダン型の一般車両で介護輸送をする場合は、運転者が介護福祉士・訪問介護員(ホームヘルパー)などの資格を持つ必要があります。本記事は、許可の種類、営業所・車庫(物件)の要件、二種免許と介護資格、費用と期間の目安、物件・免許・労務を誰に振るかを、行政書士の視点で整理する一般的な情報提供です。個別の許可の可否は運輸支局・地方運輸局の審査によります。
介護タクシー(福祉輸送)を始めるにはどの許可が要るのか?
介護タクシーは、他人の需要に応じ、有償で、乗用車を貸し切って要介護者らを運ぶ事業です。これを始めるには、道路運送法第4条により、一般旅客自動車運送事業の許可を受けなければなりません。
道路運送法第3条は旅客自動車運送事業を種類分けしており、介護タクシーは「一般乗用旅客自動車運送事業」(一個の契約により乗車定員11人未満の自動車を貸し切って旅客を運送する事業)に当たります。実務では、このうち輸送対象を要介護者らに限る「福祉輸送事業限定」の許可を受ける形が中心です。
許可の基準は道路運送法第6条に定められており、要旨は次のとおりです。
| 区分 | 内容(要旨) |
|---|---|
| 輸送の安全(第6条) | 事業の計画が、輸送の安全を確保するため適切なものであること |
| 事業計画の適切さ(第6条) | 営業所・車庫・車両などの事業計画が、輸送の安全その他公共の福祉を阻害しないものであること |
| 遂行能力(第6条) | 事業を自ら適確に、かつ継続して遂行するに足る能力(資金など)を有すること |
このほか、道路運送法第7条の欠格事由(許可の取消しから一定期間を経過しない者など)に当たらないことが求められます。四葉行政書士事務所では、行政書士業務の範囲で、要件の確認、事業計画・申請書類の作成、申請の代理を支援します。個別の許可の可否は運輸支局・地方運輸局の審査によります。
一般乗用旅客と「福祉輸送事業限定」はどう違うのか?
同じ一般乗用旅客自動車運送事業でも、通常の法人タクシーと福祉輸送事業限定では、輸送対象と最低車両数が異なります。
| 事項 | 通常の一般乗用旅客(法人タクシー) | 福祉輸送事業限定(介護タクシー) |
|---|---|---|
| 輸送対象 | 不特定の一般旅客 | 要介護・要支援認定者、身体障害者手帳の交付を受けている者、その他肢体不自由・内部障害等で単独での移動や公共交通機関の利用が困難な者などに限定 |
| 最低車両数 | 営業区域ごとに定める最低車両数(多くの区域で5両以上) | 車両1両から申請可能 |
| 主な使用車両 | 一般の乗用車 | 福祉自動車(車いす・ストレッチャー用のリフトやスロープ等を備えた車)または一般車両(セダン型など) |
福祉輸送事業限定は1両から始められるため、個人や小規模での開業に向きます。一方で輸送できる相手が要介護者らに限られる点が、通常のタクシーとの大きな違いです。誰を運ぶかによって受けるべき許可の種類が変わるため、事業計画の段階で対象を整理しておくことが大切です。
営業所・車庫(物件)と車両にはどんな要件があるのか?
営業所・車庫・休憩仮眠施設と車両には、それぞれ要件があります。
| 施設・車両 | 主な要件 |
|---|---|
| 営業所 | 使用権原があること(自己所有または賃貸借)。建築基準法・都市計画法・農地法など関係法令に抵触しない場所であること。市街化調整区域は原則として設置不可 |
| 車庫 | 原則として営業所に併設。併設できない場合は、営業所から一定の距離内(地域により2kmなど、地方運輸局で異なる)。使用する車両をすべて収容でき、前面道路が車両制限令に適合すること |
| 休憩・仮眠施設 | 営業所または車庫に併設し、乗務員が休憩できること |
| 車両 | 福祉自動車(車いす・ストレッチャー用のリフトやスロープ、回転シート等を備えた車)、または一般車両(セダン型など)。使用権原があること |
営業所や車庫は、物件を先に契約してから用途地域や地目で使えないと分かると探し直しになります。物件選定の段階で、要件に照らした確認をしておくことが大切です。営業所・車庫の物件探しと賃貸借は、別事業体の四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)が担います。
運転者の二種免許と介護資格、労務の扱いは?
旅客を有償で運ぶ運転には、道路運送法とは別に、道路交通法第86条の第二種運転免許が必要です。運転免許の区分は道路交通法第84条に定められており、旅客自動車を旅客の運送のため運転するには第二種免許を受けていなければなりません。
さらに、福祉自動車ではなくセダン型などの一般車両で介護輸送をする場合は、運転者が次のいずれかの資格を持つことが求められます。
| 使用車両 | 運転者に求められるもの |
|---|---|
| 福祉自動車(リフト・スロープ等付き) | 使用車両に応じた第二種運転免許 |
| 一般車両(セダン型など) | 第二種運転免許に加え、介護福祉士・訪問介護員(ホームヘルパー)・居宅介護従業者・ケア輸送サービス従事者研修修了者などのいずれかの資格 |
運転者の労働時間・社会保険・就業規則といった労務は、社会保険労務士の領域です。運転者を雇って始める場合は、労務の設計を別途整えておく必要があります。
許可までの流れと費用・期間の目安は?
申請から運輸開始までの流れと費用の目安は次のとおりです。
| 段階 | 内容・目安 |
|---|---|
| 申請書の提出 | 管轄の運輸支局を経由して地方運輸局へ提出 |
| 所要資金 | 人件費・車両費・燃料費・保険料などの見積りにもとづく自己資金の確保が必要 |
| 標準処理期間 | 審査はおおむね2か月程度(地方運輸局により異なる)。書類の不備・補正がない場合の目安 |
| 許可・登録免許税 | 許可後に登録免許税(3万円)を納付 |
| 運輸開始 | 事業用自動車の登録(緑ナンバー)、運行管理・整備管理の体制を整え、運輸開始の届出 |
法人でタクシー事業として申請する場合は、役員に対する法令試験がある一方、福祉輸送事業限定は取扱いが異なる場合があります。要件の細部は地方運輸局・運輸支局で扱いが異なるため、申請先の最新の手引きで確認してください。許可が出ても、事業用自動車の登録(福祉限定の緑ナンバー)と運輸開始前の確認を経て、実際に運送を始められます。
物件・免許・労務は誰に振ればいい?
介護タクシーは、許認可・不動産・車両・労務が交わります。担当は次のとおり分かれます。
- 許可申請の要件確認・事業計画と書類の作成・申請代理 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 営業所・車庫となる物件探し、用途地域・地目・前面道路の適合確認、賃貸借契約 → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)
- 第二種運転免許・介護資格の取得 → 運転者本人(指定教習所・研修機関)
- 運転者の労働時間・社会保険・就業規則 → 社会保険労務士
- 法人設立・役員変更などの登記 → 司法書士
四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。各分野は、それぞれの資格者と独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。同じ運送業の許可では、貨物を運ぶ場合の営業所・車庫の要件を整理した一般貨物自動車運送事業の許可と営業所・車庫の要件もあわせてご確認ください。
よくある質問
Q. 車両は1台でも介護タクシーを始められますか?
A. 福祉輸送事業限定の一般乗用旅客自動車運送事業は、車両1両から申請できます。通常の法人タクシーは営業区域ごとに定める最低車両数(多くの区域で5両以上)が必要ですが、福祉輸送事業限定はこの要件が緩和されています。どちらに当たるかは輸送対象と事業計画によります。
Q. セダン型の普通車でも介護タクシーはできますか?
A. 可能な場合がありますが、セダン型などの一般車両で介護輸送をするには、運転者が第二種運転免許に加えて介護福祉士・訪問介護員(ホームヘルパー)などの資格を持つ必要があります。車いす・ストレッチャー対応の福祉自動車を使う場合は、使用車両に応じた第二種運転免許で足ります。
Q. 自宅を営業所や車庫にできますか?
A. 使用権原があり、建築基準法・都市計画法・農地法などに抵触しなければ可能な場合があります。ただし市街化調整区域は原則として設置できません。車庫は原則として営業所に併設し、併設できない場合は営業所から一定の距離内(地域により2kmなど地方運輸局で異なる)に置く必要があります。物件を決める前に要件に照らして確認することをおすすめします。
Q. 申請してからどのくらいで許可が下りますか?
A. 審査の標準処理期間はおおむね2か月程度です(地方運輸局により異なる)。これは書類の不備・補正がない場合の目安で、所要資金の確保や補正事項の解消がこの期間内に整うことが前提です。個別の審査期間は運輸支局・地方運輸局の判断によります。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「道路運送法」(昭和26年法律第183号)第3条・第4条・第6条・第7条(参照日 2026-09-06)
- e-Gov法令検索「道路交通法」(昭和35年法律第105号)第84条・第86条(第二種運転免許)(参照日 2026-09-06)
- 国土交通省・各地方運輸局「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)許可申請の手引き」(最低車両数、輸送対象、営業所・車庫の距離、二種免許・介護資格、所要資金、標準処理期間、登録免許税3万円)(参照日 2026-09-06)
- 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)(運行管理・整備管理・運転者の要件)(参照日 2026-09-06)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の許可の可否、必要書類、審査期間を保証するものではありません。要件の細部(営業所と車庫の距離、最低車両数、運転者の資格の扱いなど)は地方運輸局・運輸支局で異なるため、申請先の最新の公示・手引きで確認してください。営業所・車庫の物件探しと賃貸借は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、運転者の労務・社会保険は社会保険労務士、法人設立・役員変更などの登記は司法書士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
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