給与計算をfreeeで内製したい。社会保険労務士には何を頼めばいいのか
浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
給与計算をfreeeで自社処理に切り替えるのに、資格は要りません。つまずきやすいのは操作ではなく、最初の設定の設計と毎月の判断です。四葉はこの内製の体制づくりの支援を顧問料に含めて行っています。代行と内製の比べ方、支援の中身、なぜ顧問料だけでできるのかを整理します。
結論(先に要点):給与計算をfreeeで自社処理(内製)に切り替えるのに、資格は要りません。つまずきやすいのは操作ではなく、最初の設定の設計と、毎月の判断です。四葉社会保険労務士事務所は、この内製の体制づくりの支援を顧問料に含めて行っています。社会保険労務士への「頼み方」は、代行だけではないということです。
このページは、給与計算を外注せずfreeeで自社処理したい——あるいは、いま外注している給与計算を自社に戻したい——と考えている中小企業の経営者・総務担当の方に向けたものです。代行の相場は給与計算を社会保険労務士に頼むと、いくらかかるのかに、ソフトと資格の線引きはfreee人事労務を入れました。顧問社労士は何をしてくれるのですかに書きました。本記事は内製という選択肢の中身です。
内製にすると、何が自社に残るのか?
計算そのものは、ソフトが引き受けます。残るのは3つです。
- 入力——勤怠の確定、入退社や扶養の変更の反映
- 確認——計算結果が前月とずれたとき、そのずれが正しいずれかどうかの見極め
- 判断——イレギュラーへの対応
3つめが曲者です。入社月の社会保険料はいつの給与から控除を始めるのか。退職月の日割と保険料はどう扱うのか。休業中の人の社会保険料はどうするのか。こうした場面は毎月は起きませんが、起きたときにソフトは「どう設定するか」を聞いてくるだけで、「どうすべきか」は教えてくれません。ここが、内製した会社の相談が増える場所です。
内製でつまずくのは、どこか?
切り替えの経験からいえば、つまずきは操作より手前にあります。
| つまずきどころ | 何が問題になるか |
|---|---|
| 給与項目・手当の設計 | 手当の性質によって、割増賃金の基礎や社会保険の報酬に入るかどうかが変わる。最初の設定を誤ると、毎月同じ誤りを複製する |
| 控除の根拠 | 社宅費や親睦会費など、法令に定めのない控除には賃金控除の労使協定(労働基準法第24条第1項ただし書)が必要。協定なしの控除は、ソフトの設定としては通ってしまう |
| 締日と支払日 | 締めから支払いまでの日数と、月額変更・算定の判定タイミングの関係 |
| 改定の反映 | 保険料率や雇用保険料率の改定を、いつの給与から反映するか |
いずれも、ソフトの操作方法を調べても答えが出ない類いの問題です。設定は自社ででき、根拠の整理には労務の知識が要る——内製の支援とは、この部分を埋める仕事です。
「内製の支援」を頼むと、何をしてもらえるのか?
四葉の場合、範囲は次のとおりで、すべて顧問料に含みます。
- 初期設定の設計——給与項目・手当・控除の整理と、その根拠づけ(賃金控除の労使協定が要るものの洗い出しと整備を含みます)
- 移行時の並走——最初の数か月、締めのたびに計算結果を突き合わせ、ずれの原因をご一緒に確認します
- 毎月のご相談——入退社・休業・賞与などイレギュラーが起きたときの判断のご相談。回数の制限はありません
- 改定時の確認——保険料率などの改定があった月の反映の確認
線引きもはっきりさせておきます。画面操作の細部は、freeeの公式ヘルプとサポートの領域です。 当事務所が支援するのは、設定の設計と労務の判断です。また、内製に切り替えたあとも、資格取得届や算定基礎届などの手続の代行をご依頼いただく場合は、報酬額表の料金を都度申し受けます(自社で電子申請する道もあります——線引きの整理)。
代行と内製、どちらが向いているのか?
| 代行 | 内製(freee+支援) | |
|---|---|---|
| 毎月の費用 | 顧問料+1人あたり月1,100円(税込) | 顧問料のみ(+freeeの利用料。額はプランによるため公式サイトでご確認ください) |
| 社内の作業 | 勤怠データの受け渡し | 入力・確認・締めまで自社 |
| 向いている会社 | 給与に触れる担当者を置けない・置きたくない | 総務担当がいて、月次の作業を社内で完結させたい |
| 切り替え | — | 途中からの切り替えも、内製から代行への戻しも可能 |
どちらでも顧問料は変わりません。担当者の採用や退職で状況が変わったら、切り替えればよい設計にしています。迷っている段階の整理からご相談いただけます。
なぜ顧問料だけでできるのか?
種明かしをすると、料金の設計の帰結です。四葉の顧問料は、労務のご相談に対する対価で、手続や給与計算を包括していません。そして内製の支援——設定の設計の相談、毎月の判断の相談——は、社会保険労務士法が定める**「相談に応じ、又は指導すること」**(第2条第1項第3号)そのものです。つまり四葉にとって内製の支援は、顧問契約で毎月お受けしている相談の一場面であって、別のサービスではありません。
手続や給与計算を顧問料に包括している事務所では、顧問先の内製が進むほど顧問料の根拠が細っていきます。四葉は相談の対価と手続の対価を分けているので、内製をお勧めしても自分の首を絞めない——だから顧問料に含められる、という構造です。
四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?
文京区小日向の四葉社会保険労務士事務所は、顧問契約の範囲で、freeeでの給与計算の内製の体制づくり——初期設定の設計、賃金控除協定の整備、移行時の並走、毎月の締めと改定時のご相談——を支援します。代行をご希望の場合は従業員1人あたり月1,100円(税込)でお受けします。ご相談は無料です。 いま外注している料金表と、freeeの見積りをお持ちいただければ、総額の比較からご一緒します。料金の全体は報酬額表に、ご依頼の手順はご相談から契約までの流れにあります。
誰に相談するか
年末調整は税務の領域で、税理士の業務です(freeeの年末調整機能は誰の仕事か)。freee会計の記帳・決算も税理士にご依頼ください。在留資格の申請や補助金は四葉行政書士事務所(当事務所とは別の事業体で、別々にご契約いただきます)がお受けします。いずれも紹介料の授受はありません。
よくある質問
Q. まだfreeeを入れていない段階でも相談できますか?
A. できます。締日・人数・手当の構成を伺って、設定の設計から入るのがむしろ近道です。どのソフトを選ぶかは会社のご判断で、freeeの機能・料金はfreeeの公式サイト・ヘルプで最新の情報をご確認ください。
Q. 内製にしたら、社会保険労務士に頼むことは残りますか?
A. 残ります。毎月の計算は自社に移りますが、その手続が要るのか・いつまでかという判断と、資格取得届・算定基礎届などの手続は残ります。手続は代行をご依頼いただくことも、自社で電子申請することもできます。そして内製の体制づくりの支援そのものが、顧問契約の中身です。
Q. freeeの操作方法も教えてもらえますか?
A. 画面操作の細部は、freeeの公式ヘルプとサポートの領域です。当事務所が支援するのは、その手前と後ろ——給与項目や控除の設計、控除の根拠(労使協定)、締めや改定のときの判断——です。役割を分けたほうが、確実に進みます。
Q. 内製に切り替えたら、給与計算の代行料はどうなりますか?
A. 代行をやめた月から、1人あたり月1,100円の代行料はかからなくなります。顧問料はご相談の対価なので変わりません。内製後の毎月のご相談・改定時の確認は、顧問料に含まれます。
この記事の根拠
- 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項第3号(労務管理その他の労働に関する事項についての相談・指導)、第27条 ―― 2026年8月14日にe-Gov法令検索で現行条文を確認。なお第27条が社会保険労務士に限る(独占とする)のは第2条第1項第1号〜第2号の事務で、給与計算そのものと相談・指導(第3号)は独占業務ではありません
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第24条第1項ただし書(賃金の一部控除には書面による労使協定が必要) ―― 同日にe-Gov法令検索で現行条文を確認
- freee人事労務の機能・対応範囲・料金は改定されます。本記事は機能の詳細に立ち入らず、最新の情報はfreeeの公式サイト・ヘルプでご確認ください(電子申請の範囲は別記事=2026年8月時点の公表資料で整理)
- 四葉社会保険労務士事務所の料金は報酬額表に掲載しています。金額はすべて税込です
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
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