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2026.09.18手続と期限

育児休業取得状況の公表義務、2025年4月から300人超の会社にも広がるのか

浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

2025年(令和7年)4月1日から、男性労働者の育児休業等の取得状況を公表する義務が、常時雇用する労働者1000人超の企業から「300人超」の企業へ広がりました(育児・介護休業法第22条の2・改正は令和6年法律第42号)。公表するのは男性の育児休業等の取得率で、年に1回、直前の事業年度の状況を、その事業年度終了後おおむね3か月以内に、誰でも見られる方法で公表します。常時雇用する労働者の数え方・取得率の計算式・公表時期と方法・公表しない場合の不利益(勧告・企業名公表・過料)まで、社会保険労務士の観点で整理します。

結論(先に要点):2025年(令和7年)4月1日から、男性労働者の育児休業等の取得状況を公表する義務が、常時雇用する労働者1000人超の企業から「300人超」の企業へ広がりました。公表するのは男性の育児休業等の取得率で、年に1回、直前の事業年度の状況を、その事業年度が終わってからおおむね3か月以内に、誰でも見られる方法で公表します。

育児・介護休業規程の整備と、取得率の算定・公表の実務は社会保険労務士がお引き受けします。数値の計算や公表方法の設計はご一緒しますが、最終的な確認・承認は会社が行います。四葉社会保険労務士事務所は独立した事業体として業務を受任し、個別の判断は面談のうえ資格者が行います。

育児休業取得状況の公表義務は、2025年4月から誰に広がるのか?

育児休業等の取得状況の公表は、もともと2023年(令和5年)4月から常時雇用する労働者が1000人を超える企業に義務づけられていました。2024年(令和6年)に成立した改正育児・介護休業法(令和6年法律第42号)により、2025年(令和7年)4月1日から対象が「300人を超える企業」まで広がりました。根拠は育児・介護休業法第22条の2(育児休業の取得の状況の公表)です。

時期公表義務の対象
2023年4月〜常時雇用する労働者が1000人を超える企業
2025年4月〜常時雇用する労働者が300人を超える企業(1000人以下を含む)

新たに対象になったのは、従業員が300人超1000人以下の企業です。すでに1000人超で公表していた企業の義務は変わりません。育児・介護休業法の2025年改正はこの公表義務の拡大だけではなく、給付や柔軟な働き方など複数の項目が同時に動いています。全体像は育児・介護休業法の2025年改正——事業主は何をするかに整理しています。

「常時雇用する労働者300人超」は、どう数えるのか?

「常時雇用する労働者」は、正社員だけを指すのではありません。雇用形態や名称を問わず、事実上、期間の定めなく雇用されているのと同じ状態の労働者を含めて数えます。

数え方含めるか
期間の定めなく雇用されている者含める
過去1年以上引き続き雇用されている、または雇入れから1年以上雇用が見込まれるパート・アルバイト等含める
上記に当たらない短期の労働者原則として含めない

「300人超」は300人ちょうどを含みません。301人以上が対象です。自社の人数が境目に近いときは、パート・アルバイトの雇用実態まで含めて数える必要があるため、就業規則の整備とあわせて人数の考え方を確認しておくのが安全です。就業規則そのものの義務は就業規則は何人から義務かに整理しています。具体的な人数のあてはめは、雇用の実態によって判断が分かれる場合があります。

公表する数値は、取得率をどの計算式で出すのか?

公表するのは、男性労働者の育児休業等の取得率です。次の2つのうち、どちらか一方を選んで公表します。

公表する指標計算式
①育児休業等の取得率育児休業等をした男性労働者の数 ÷ 配偶者が出産した男性労働者の数
②育児休業等と育児目的休暇の取得率(育児休業等をした男性労働者の数 + 育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数)÷ 配偶者が出産した男性労働者の数

分母は「その事業年度に配偶者が出産した男性労働者の数」です。同じ子について複数回育児休業を取得した男性も、取得者は1人として数えます。どちらの指標を選んだかがわかるように、指標の名称もあわせて公表します。数値の裏づけとして、育児休業給付や育児目的休暇の取得記録を整理しておくと算定がぶれません。給付の側の改正は育児時短就業給付の要件出生後休業支援給付に整理しています。

いつまでに、どこで公表しなければならないのか?

公表は年1回です。公表を行う日の属する事業年度の、直前の事業年度の状況について、その直前の事業年度が終了してからおおむね3か月以内に公表します。

項目内容
対象期間直前の1事業年度
時期直前の事業年度終了後、おおむね3か月以内
方法インターネットの利用その他、一般の人が閲覧できる適切な方法
公表先の例自社ホームページ、または厚生労働省の「両立支援のひろば」

自社にホームページがない場合でも、「両立支援のひろば」など誰でも閲覧できる方法で公表すれば足ります。公表した数値は、求職者や取引先が見る前提の情報になるため、算定の根拠を残しておくことが大切です。育児休業給付の延長の実務は育児休業給付の延長——2025年の厳格化にまとめています。

公表しないと、どんな不利益があるのか?

公表義務に違反した場合でも、直ちに罰金が科されるわけではありません。ただし、法違反として次の対応の対象になります。

段階内容
報告徴収・助言・指導・勧告厚生労働大臣(都道府県労働局)が報告を求め、助言・指導・勧告を行う(育児・介護休業法第56条)
企業名の公表勧告に従わない場合、その旨を公表することができる(同法第56条の2)
過料報告をせず、または虚偽の報告をした場合は20万円以下の過料(同法第66条)

ご自身のケースについて相談したい方へ

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罰金ではなくても、勧告に従わないと企業名が公表される点が実務上の負担です。加えて、公表義務を果たしていること自体が、採用の場面での企業の姿勢として見られます。育児と仕事の両立支援に取り組む企業として、くるみん認定などの前提を整える意味でも、公表を正しく行っておく価値があります。個別の企業がいつ・どの数値を公表すべきかの最終的なあてはめは、事業年度や雇用の実態によって変わります。

四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?

当事務所がお引き受けするのは、育児休業の取得状況の公表に対応するための労務の設計です。

  • 常時雇用する労働者数の考え方の整理と、公表義務の対象かどうかの確認
  • 育児・介護休業規程・育児目的休暇制度の整備
  • 男性の育児休業等取得率の算定方法の設計と、公表内容・時期・方法の設計
  • 公表の根拠となる取得記録の整理の仕組みづくり
  • 育児休業給付・育児時短就業給付・出生後休業支援給付など関連する手続の支援

数値の算定や公表方法はご一緒に設計しますが、最終的な数値の確認と公表の実行は会社が行います。四葉社会保険労務士事務所は独立した事業体として業務を受任し、別の専門家が必要な場合は、お客様に直接ご契約いただく形をご案内します。当事務所は紹介料を受け取りません。

ご相談は無料です。費用は報酬額表に、サービス内容ご相談の流れもあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 育児休業取得状況の公表義務は、2025年4月から誰が対象になりますか?
A. 常時雇用する労働者が300人を超える企業です。もともと1000人超の企業が対象でしたが、2024年成立の改正育児・介護休業法(令和6年法律第42号)により、2025年(令和7年)4月1日から300人超まで広がりました。根拠は育児・介護休業法第22条の2です。新たに対象になるのは従業員300人超1000人以下の企業で、すでに公表していた1000人超の企業の義務は変わりません。

Q. 「常時雇用する労働者」にはパートも含めて数えるのですか?
A. 含めます。雇用形態や名称を問わず、期間の定めなく雇用されている者に加え、過去1年以上引き続き雇用されているパート・アルバイト等や、雇入れから1年以上雇用が見込まれる者も含めて数えます。「300人超」は301人以上を指し、300人ちょうどは含みません。境目に近いときは雇用の実態まで含めて確認が必要で、具体的なあてはめは実態によって判断が分かれる場合があります。

Q. 公表する取得率は、どうやって計算しますか?
A. 男性の「育児休業等の取得率」(育児休業等をした男性労働者の数 ÷ 配偶者が出産した男性労働者の数)か、「育児休業等と育児目的休暇の取得率」(育児休業等をした男性労働者の数と育児目的休暇を利用した男性労働者の数の合計 ÷ 配偶者が出産した男性労働者の数)のいずれか一方を選び、指標の名称とあわせて公表します。同じ子について複数回取得した男性も、取得者は1人として数えます。

Q. 公表しないと罰則はありますか?
A. 直ちに罰金が科されるわけではありません。ただし、厚生労働大臣(都道府県労働局)による報告徴収・助言・指導・勧告の対象となり(育児・介護休業法第56条)、勧告に従わない場合は企業名を公表することができるとされています(同法第56条の2)。また、報告をせず、または虚偽の報告をした場合は20万円以下の過料の対象です(同法第66条)。

この記事の根拠

  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第22条の2 ── 育児休業の取得の状況の公表。常時雇用する労働者の数が一定数を超える事業主に、年1回、男性労働者の育児休業等の取得状況の公表を義務づける
  • 同法を改正する令和6年法律第42号 ── 公表義務の対象を常時雇用する労働者1000人超から300人超へ拡大。2025年(令和7年)4月1日施行(1000人超の対象は2023年4月から)
  • 公表する指標(①育児休業等の取得率=育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数、②育児休業等と育児目的休暇の取得率)、公表の時期(直前の事業年度終了後おおむね3か月以内)、公表の方法(インターネットの利用その他一般に閲覧できる方法・「両立支援のひろば」等) ── 厚生労働省・都道府県労働局のリーフレット「2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1000人以下の企業にも義務化されます」(2026年9月18日参照)
  • 常時雇用する労働者の考え方(期間の定めなく雇用されている者に加え、過去1年以上引き続き雇用されている、または雇入れから1年以上雇用が見込まれるパート等を含む) ── 厚生労働省の育児・介護休業法に関する資料(2026年9月18日参照)
  • 報告徴収・助言・指導・勧告(同法第56条)、勧告に従わない場合の公表(同法第56条の2)、報告をせず又は虚偽報告をした場合の20万円以下の過料(同法第66条)
  • 個別の企業が公表義務の対象に当たるか、いつ・どの数値を公表すべきかの最終的なあてはめは、事業年度・雇用の実態によって判断が分かれます。本記事では個別の結論を出していません(未検証

本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。四葉社会保険労務士事務所では、常時雇用する労働者数の考え方の整理、公表義務の対象かどうかの確認、育児・介護休業規程・育児目的休暇制度の整備、男性の育児休業等取得率の算定方法と公表内容・時期・方法の設計、取得記録の整理の仕組みづくり、関連する給付手続の支援についてご相談いただけます。数値の確認と公表の実行は会社が行います。四葉社会保険労務士事務所は独立した事業体として業務を受任し、別の専門家が必要な場合は、お客様に直接ご契約いただく形をご案内します。紹介料はありません。よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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