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2026.09.21社会保険

子ども・子育て支援金は2026年からどう給与計算に影響する?事業者の実務

浦松 丈二

浦松 丈二

社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)

子ども・子育て支援金は、少子化対策の財源として2026年(令和8年)4月から医療保険料に上乗せして徴収される新しい負担です。被用者保険では会社と本人が折半し、給与から差し引く保険料が増えます。令和8年度の被用者保険の一律の支援金率は0.23%。事業者がまずやることは、加入する健康保険から示される新しい料率をシステムに反映し、控除額と給与明細の表示を確認することです。段階導入のスケジュールと、給与計算・税務の担当分けまで整理します。

結論(先に要点):子ども・子育て支援金は、少子化対策の財源として2026年(令和8年)4月から医療保険料に上乗せして徴収される新しい負担です。被用者保険では会社と本人が折半し、給与から差し引く保険料が増えます。事業者がまずやることは、加入する健康保険から示される新しい料率をシステムに反映し、控除額と給与明細の表示を確認することです。

「新しい保険料が増えると聞いたが、会社は何をすればいいのか」というご相談が、開業前後の事業者から増えています。子ども・子育て支援金は、これまでの社会保険料とは別に新設された負担で、被用者保険では健康保険料などと一緒に給与から天引きされます。制度そのものは国の政策ですが、給与計算にどう反映するかは会社の実務です。先に「いつから・誰が・給与のどこに効くのか」を押さえておきましょう。

子ども・子育て支援金とは何で、いつから徴収が始まるのか?

子ども・子育て支援金は、児童手当の拡充など少子化対策にあてる財源として、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」(令和6年6月12日法律第47号)で創設された制度です。医療保険者(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険など)が、加入者から徴収する医療保険料に支援金分を含めて集め、社会保険診療報酬支払基金を通じて国へ納める仕組みになっています。

項目内容
根拠法子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年6月12日法律第47号)
施行支援金の関係規定は令和8年4月1日施行
徴収の始まり令和8年(2026年)4月分から。被用者保険では令和8年4月分保険料=おおむね5月に支払う給与からの天引き
集め方医療保険者が医療保険料に上乗せして徴収し、支援納付金として国へ納付
使いみち児童手当の拡充、出産・育児関連給付など(少子化対策)

ポイントは、支援金が独立した新しい保険料としてではなく、いまの医療保険料に「上乗せ」する形で徴収されることです。会社にとっては、新しい届出が増えるわけではなく、加入する健康保険から示される料率が変わる、という受け止め方が実務に近くなります。

誰が負担し、給与のどこに反映されるのか?

被用者保険(会社員などが入る健康保険)では、支援金は会社と本人で折半します。国は被用者保険について一律の支援金率を示すこととしており、**令和8年度の率は0.23%**です。基本的に支援金額の半分は会社が負担するため、本人負担はその半分(おおむね0.115%相当)になります。

こども家庭庁が令和7年12月26日に公表した令和8年度の試算では、1人当たりの月額の平均は次のとおりです(会社負担分と本人負担分の合計)。

医療保険の種類月額の平均(試算)
被用者保険(全体)被保険者1人当たり約500円
── 協会けんぽ約450円
── 健康保険組合約550円
── 共済組合約650円
国民健康保険一世帯当たり約300円
後期高齢者医療制度被保険者1人当たり約200円

被用者保険の場合、実際の負担額は率で決まるため、報酬が高い人ほど支援金も大きくなります。上の金額はあくまで平均で、個々の給与では標準報酬月額などに率を乗じて計算されます。給与明細では、健康保険料・厚生年金保険料と並んで、この支援金分が差し引かれる(または健康保険料に含めて表示される)形になり、表示方法は加入する保険者の案内に従います。

なお、以前からある「子ども・子育て拠出金」とは別の制度です。拠出金は全額を会社が負担し、厚生年金保険料と一緒に納めるもので、令和8年度の拠出金率は1000分の3.6に据え置かれています。支援金は労使折半で医療保険料に上乗せする点が違い、両者を混同しないよう注意します。給与から本人負担が増える/増えないの整理は、パートの働き方と保険料を扱った年収の壁(106万円)の撤廃で事業者がやること130万円の壁と一時的な収入増の証明ともあわせて確認しておくと、従業員への説明がしやすくなります。

医療保険料への上乗せは、給与実務をどう変えるのか?

会社側でやることは、大きく次の3つです。

やること中身
料率の反映加入する健康保険(協会けんぽ・健保組合)から示される支援金分を含む新しい料率を、給与計算システムに設定する
控除額・明細の確認令和8年4月分保険料(5月支払給与)から、本人負担分が正しく差し引かれ、明細に表示されるか確認する
従業員への周知手取りが変わる理由を、制度の趣旨とあわせて事前に説明する

freeeやマネーフォワードなどのクラウド給与では、料率は保険者の公表にあわせて更新されるのが通例ですが、自社の設定が最新の率になっているか、施行月の給与計算前に必ず確認します。手計算や古い設定のままだと、本人負担が過不足になり、あとで差額の調整が必要になります。給与計算そのものを外部に任せている場合でも、最終的な控除額と支払額の確定・承認は会社が行います。給与計算の範囲と会社側の確認の考え方は給与計算を社会保険労務士に頼むと、いくらかかるのかにまとめています。

賞与や育児休業中の扱い、標準報酬月額の考え方は健康保険料と同じ枠組みで動くため、既存の社会保険の実務に上乗せ分が加わるイメージで運用するのが現実的です。細かな取扱いは保険者ごとの案内で確定するため、最新の情報は加入先の健康保険と日本年金機構・こども家庭庁で確認してください。

段階的な引上げのスケジュールはどうなっているのか?

支援金は、令和8年度から令和10年度にかけて段階的に導入され、各年度の納付金の総額が法律で定められます。全医療保険加入者1人当たりの平均月額の見込みは、次のように年々上がっていきます。

年度全加入者1人当たり月額の平均(見込み)
令和8年度(2026)約250円
令和9年度(2027)約350円
令和10年度(2028)約450円

ご自身のケースについて相談したい方へ

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この平均額は、被用者保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度をすべて合わせた加入者1人当たりの数字です。被用者保険だけを見た平均(前掲の約500円)とは母数が違うため、金額の水準は一致しません。

被用者保険の令和8年度の率は0.23%と示されていますが、令和9年度・令和10年度の具体的な率は、各年度の総額にあわせてあらためて示される予定です。本記事の執筆時点(2026年9月21日)では令和9年度以降の確定した率までは公表されていないため、施行が近づいた段階でこども家庭庁と加入先の健康保険の公表を確認してください(この点は未検証として、確定値を書かずに残しています)。

給与計算の設定と税務は、誰が担当するのか?

子ども・子育て支援金は社会保険料の枠組みで動く負担のため、給与計算への反映は労務の実務です。制度・税制そのものの設計は国の政策の領域で、事業者や専門家が動かせるものではありません。

やること主な担当
支援金分を含む料率の設定、控除額の確認、社会保険の手続、給与計算社会保険労務士(当事務所)
所得税の年末調整、報酬を得て行う税務書類の作成税理士
制度・税制の設計国の政策(専門家が代行するものではない)

支援金は医療保険料に上乗せされる社会保険の負担で、所得税の年末調整とは別の話です。年末調整のように所得税の過不足を精算する税務は、報酬を得て代わりに行うと税理士の業務になります。給与計算を社会保険労務士に頼んでいても年末調整は含まれない点は、freeeの年末調整は、誰の仕事かで整理しています。当事務所と税理士は独立した事業体で、社会保険労務士業務と税務は別々にご契約いただきます(一括受任はしません)。当事務所は紹介料を受け取りません。

四葉社会保険労務士事務所では、支援金を含む新しい料率の給与計算への反映、控除額と給与明細の確認、従業員への周知の進め方についてご相談いただけます。費用は報酬額表にまとめています。

よくある質問

Q. 子ども・子育て支援金は、いつの給与から差し引かれますか?
A. 被用者保険では、令和8年(2026年)4月分の保険料から徴収が始まります。保険料は翌月の給与から天引きするのが一般的なため、実務上はおおむね令和8年5月に支払う給与から本人負担分が差し引かれます。会社は、施行月の給与計算の前に、支援金分を含む新しい料率がシステムに反映されているかを確認してください。

Q. 支援金は会社と本人のどちらが負担しますか?
A. 被用者保険では会社と本人が折半します。国が示す令和8年度の一律の支援金率は0.23%で、基本的にその半分を会社が負担し、残りを本人が負担します。報酬に率を乗じて計算するため、給与が高い人ほど負担額も大きくなります。金額の水準は加入する健康保険(協会けんぽ・健保組合など)によって差があります。

Q. これまでの「子ども・子育て拠出金」と同じものですか?
A. 別の制度です。子ども・子育て拠出金は全額を会社が負担し、厚生年金保険料と一緒に納めるもので、令和8年度の率は1000分の3.6に据え置かれています。これに対し子ども・子育て支援金は、会社と本人が折半し、医療保険料に上乗せして徴収します。両者は負担する人も納め方も違うため、給与計算では分けて扱います。

Q. 段階的に上がると聞きました。今後どこまで増えますか?
A. 令和8年度から令和10年度にかけて段階的に引き上げられます。全医療保険加入者1人当たりの平均月額の見込みは、令和8年度が約250円、令和9年度が約350円、令和10年度が約450円です。被用者保険の令和9年度以降の具体的な料率は、各年度の総額にあわせてあらためて示される予定なので、確定値は加入先の健康保険とこども家庭庁の公表で確認してください。

この記事の根拠

  • 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年6月12日法律第47号):子ども・子育て支援金制度を創設し、医療保険者が徴収する保険料に支援金分を含めること、支援納付金の額・徴収の方法、社会保険診療報酬支払基金による徴収事務等を規定。支援金の関係規定は令和8年4月1日施行
  • こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」:徴収の開始時期(被用者保険は令和8年4月分保険料=5月給与天引きより拠出)、令和8年度の被用者保険の一律の支援金率0.23%、「基本的に支援金額の半分は企業が負担」(2026年9月21日参照)
  • こども家庭庁「令和8年度の子ども・子育て支援金の額(試算)」(令和7年12月26日公表):被用者保険は被保険者1人当たり約500円(協会けんぽ約450円・健保組合約550円・共済組合約650円)、国民健康保険は一世帯当たり約300円、後期高齢者医療制度は被保険者1人当たり約200円(2026年9月21日参照)
  • 全医療保険加入者1人当たりの平均月額の見込み:令和8年度約250円・令和9年度約350円・令和10年度約450円(こども家庭庁公表資料。段階導入は令和8〜令和10年度)
  • 子ども・子育て拠出金率:令和8年度は1000分の3.6に据置き(全額事業主負担・厚生年金保険料と一体で納付。支援金とは別制度)
  • 支援金率・金額は年度ごとに定められ、令和9年度以降の被用者保険の具体的な率は本記事執筆時点(2026年9月21日)で確定値の公表を確認できていないため、未検証として確定値は記載していません。最新はこども家庭庁および加入先の健康保険で確認してください

この記事は、誰に相談するかまでは決めていません。支援金を含む料率の給与計算への反映、控除額の確認、社会保険の手続は社会保険労務士の業務です。所得税の年末調整は税理士へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形をご案内します。当事務所は紹介料を受け取りません。四葉社会保険労務士事務所にご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。

本記事は一般的な情報提供です。自社の料率設定や控除額の当否など個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。

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