18歳未満(高校生)を雇うときの労務──深夜・時間外・危険業務の制限と年齢証明

浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
満18歳未満(年少者)を雇うと、大人と同じシフトでは労働基準法に引っかかります。原則として午後10時から午前5時まで働かせられず(第61条)、36協定による時間外・休日労働や変形労働時間制も使えません(第60条)。危険有害業務・坑内労働にも就かせられず(第62条・第63条)、年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付ける義務もあります(第57条)。重量物の取扱いは年少者労働基準規則第7条が年齢・性別・断続/継続で上限を定め、満16歳以上18歳未満の男性で断続30kg・継続20kgが基準です。満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終わっていない児童には、最低年齢(第56条)、1日7時間・深夜は午後8時まで、学校長の証明書と親権者等の同意書の備付けといった、さらに重い制限がかかります。深夜業の交替制の例外が満16歳以上の男性に限られる点、満15歳年度末後の第60条第3項の例外が時間外の解禁ではない点を社会保険労務士の視点で整理し、個別の懲戒・解雇の争いは弁護士へ振り分けます。
結論(先に要点):満18歳未満(年少者)は、原則として午後10時から午前5時まで働かせられず(労働基準法第61条)、変形労働時間制や36協定による時間外・休日労働も使えません(同第60条)。危険有害業務にも就かせられず(同第62条)、年齢を証明する書類の事業場への備付けが義務です(同第57条)。
満18歳未満を雇うと、大人のシフトと何がどう変わる?
年少者(満18歳未満)には、通常の労働者には当てはまらない上乗せの保護が、労働基準法第6章(第56条から第64条まで)にまとめて置かれています。大人と同じシフト表に素直に当てはめると、法令に引っかかる箇所がいくつも出ます。
まず全体像を押さえます。満18歳未満について効いてくる制限は、大きく4つです。
| 区分 | 根拠条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 深夜業の禁止 | 第61条 | 原則として午後10時〜午前5時は就労させられない |
| 時間外・休日労働と変形労働時間制の不適用 | 第60条第1項 | 36協定による時間外・休日労働、各種変形労働時間制が使えない |
| 危険有害業務・坑内労働の禁止 | 第62条・第63条 | 省令で定める危険・有害な業務、坑内労働に就かせられない |
| 年齢証明書類の備付け | 第57条 | 年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付ける |
高校生アルバイトの多くはここにいう満18歳未満です。採用時に「高校生だから」と年齢だけで括らず、満年齢で区分を確認するのが出発点になります。満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終わっていない児童には、さらに重い制限がかかります(後述)。
深夜(22時〜5時)に働かせられないのはなぜ?例外はある?
労働基準法第61条第1項が「使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない」と定めているからです。心身の発達途上にある年少者を深夜労働から守る趣旨です。大人の割増賃金(深夜手当)を払えば足りる、という話ではなく、そもそも働かせること自体が禁じられています。
例外は条文に限定列挙されています。読み違えやすいので整理します。
| 例外 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 交替制の満16歳以上の男性 | 第61条第1項ただし書 | この者は深夜業の禁止の対象外 |
| 厚生労働大臣による時刻変更 | 第61条第2項 | 地域・期間を限って午後11時〜午前6時に変更できる |
| 交替制事業の許可 | 第61条第3項 | 行政官庁の許可を受けて午後10時30分まで、午前5時30分から労働させられる |
| 一定の事業・業務 | 第61条第4項 | 災害等による臨時の必要(第33条第1項)や、別表第1第6号(農林)・第7号(畜産・水産)・第13号(保健衛生)の事業、電話交換の業務は前3項を適用しない |
ここで注意したいのは、「交替制」の例外が使えるのは満16歳以上の男性に限られる点です。満16歳未満の者や女性は、交替制でもこのただし書では深夜に就労させられません。一般的な飲食店・小売店の深夜帯シフトに高校生を入れる、という運用は、この第61条で止まります。深夜帯の割増やみなし残業の設計そのものについては飲食店を開業するときの労務に整理しています。
時間外・休日労働や変形労働時間制は年少者に使える?
原則として使えません。労働基準法第60条第1項が、第32条の2から第32条の5まで(各種変形労働時間制)、第36条(時間外・休日労働の労使協定)、第40条(労働時間・休憩の特例)、第41条の2(高度プロフェッショナル制度)の各規定を、満18歳未満については適用しないと定めているためです。
つまり、36協定を結んでいても、それを根拠に年少者へ時間外労働や休日労働をさせることはできません。1か月単位・1年単位・1週間単位・フレックスタイム制といった変形労働時間制も、年少者には原則として使えません。年少者は1日8時間・1週40時間の法定労働時間の枠の中で働かせるのが基本になります。36協定そのものの限度については36協定で残業はどこまでさせられるかをご覧ください。
ただし、満15歳以上満18歳未満の者には、第60条第3項に例外があります。満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した後であれば、次の範囲でなら変形労働時間制の例により働かせられます。
- 1週間の労働時間が第32条第1項の枠内(週40時間以内)にある場合に、ある日の労働時間を4時間以内に短縮することを条件に、他の日を10時間まで延長する
- 1週48時間以下・1日8時間以下の範囲で、第32条の2(1か月単位)または第32条の4(1年単位)等の変形労働時間制の例により労働させる
これは「枠を広げてよい」のではなく、「週40時間(または省令の時間)の総枠を動かさないまま、日ごとの配分を調整できる」という性質のものです。時間外労働そのものを解禁するものではありません。
させてはいけない危険有害業務と、備えるべき年齢証明の書類は?
労働基準法第62条が、満18歳未満を危険有害業務に就かせることを禁じています。第1項は、運転中の機械・動力伝導装置の危険な部分の掃除・注油・検査・修繕、運転中の機械へのベルト・ロープの取付け・取外し、動力によるクレーンの運転、省令で定める危険な業務や重量物を取り扱う業務を挙げています。第2項は、毒劇薬・毒劇物その他の有害な原料・材料や爆発性・発火性・引火性の原料・材料を取り扱う業務、著しく粉じん・有害ガス・放射線を発散する場所、高温・高圧の場所その他安全・衛生・福祉に有害な場所での業務を挙げ、第3項でその範囲を厚生労働省令に委ねています。受けているのが年少者労働基準規則です。
重量物を取り扱う業務の制限は、同規則第7条が年齢・性別・作業の継続性で区切っています。
| 年齢区分 | 性別 | 断続作業(kg以上) | 継続作業(kg以上) |
|---|---|---|---|
| 満16歳未満 | 女 | 12 | 8 |
| 満16歳未満 | 男 | 15 | 10 |
| 満16歳以上満18歳未満 | 女 | 25 | 15 |
| 満16歳以上満18歳未満 | 男 | 30 | 20 |
表の数値「以上」の重量物を取り扱う業務が、就かせてはならない業務にあたります。このほか、同規則第8条が、就業制限業務の種類を具体的に列挙しています(動力クレーンの玉掛け、二人以上で行う玉掛けの補助作業を除く、といった細かな区分を含みます)。どの作業が制限業務にあたるかの最終的な当てはめは、現場の作業内容ごとに規則を確認する必要があります。ガソリンスタンドのように危険物を扱う現場での配置についてはガソリンスタンドの労務もあわせてご確認ください。坑内労働は、第63条が満18歳未満について全面的に禁止しています。
年齢証明の書類も忘れやすい義務です。第57条第1項は、満18歳未満の者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならないと定めています。住民票記載事項証明書で足りると案内されることが多いですが、本人任せにせず会社が備え付けておくのが条文の建付けです。
満15歳到達年度末までの児童を使う場合の追加の制限は?
さらに重い制限がかかります。労働基準法第56条第1項は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、使用してはならないと定めています。中学校卒業前の児童は、原則として働かせられないということです。
例外として、第56条第2項は、別表第1第1号から第5号まで(製造・鉱業・建設・運輸交通・貨物取扱い)に掲げる事業以外の事業で、児童の健康・福祉に有害でなく労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて満13歳以上の児童を修学時間外に使用でき、映画の製作・演劇の事業については満13歳未満の児童についても同様とする、と定めています。いわゆる子役がこれにあたります。
この児童を使う場合、労働時間と深夜業の制限は年少者よりさらに厳しくなります。
| 項目 | 一般の年少者(満15歳年度末後〜18歳未満) | 児童(満15歳年度末まで) |
|---|---|---|
| 労働時間 | 1日8時間・1週40時間 | 修学時間を通算して1日7時間・1週40時間(第60条第2項) |
| 深夜業の時間帯 | 午後10時〜午前5時(第61条第1項) | 午後8時〜午前5時(第61条第5項・子役等は当分の間午後9時〜午前6時) |
| 備付け書類 | 年齢を証明する戸籍証明書(第57条第1項) | 上記に加え、修学に差し支えないことの学校長の証明書、親権者または後見人の同意書(第57条第2項) |
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子役の深夜帯の取扱いは、第61条第5項と関連告示で、当分の間、午後9時から午前6時までが使用禁止時間帯とされています。児童を使うには行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可が前提になるため、許可の有無と条件を先に確認するのが実務の順序です。
違反するとどうなる?採用前にそろえておく確認は?
深夜業・時間外労働・危険有害業務・最低年齢の制限は、いずれも罰則付きの規定です。知らずにシフトへ組み込んでいたという状態でも、使用者の責任が問われ得ます。年少者を雇う前に、次を確認しておくと事故が減ります。
- 満年齢と、満15歳に達した日以後の最初の3月31日を過ぎているかの確認
- 年齢を証明する戸籍証明書(児童の場合は学校長の証明書・親権者等の同意書も)を事業場に備え付けたか
- シフトに午後10時〜午前5時の時間帯が入っていないか。入るなら第61条の例外に本当にあたるか
- 担当させる作業が第62条・年少者労働基準規則の危険有害業務・制限業務にあたらないか
- 36協定や変形労働時間制の対象から年少者を外せているか
就業規則に年少者の取扱いを書き込んでおくと、現場でのシフト設計の迷いが減ります。就業規則の作成義務そのものについては就業規則は何人から義務かをご覧ください。なお、最低賃金は年少者にも当然に適用されます。2026年度の最低賃金もあわせてご確認ください。在留資格にもとづく時間制限がかかる留学生アルバイトの管理は、年齢による制限とは別の論点です。留学生アルバイトの週28時間管理に整理しています。個別の懲戒・解雇をめぐる争いが生じた場合は、社労士ではなく弁護士の領域になります。相談先の分け方は社員を辞めてもらうとき、社労士と弁護士のどちらに頼むのかをご覧ください。
よくある質問
Q. 高校生のアルバイトを、閉店作業で午後10時を15分ほど過ぎて働かせるのは問題ありますか?
A. 満18歳未満であれば、午後10時以降は労働基準法第61条第1項により原則として就労させられません。15分でも「午後10時から午前5時までの間」に含まれます。交替制の満16歳以上の男性や、行政官庁の許可を受けた交替制事業など、条文に列挙された例外にあたらない限り、閉店作業であってもこの時間帯に残すことはできません。シフトの終了時刻を午後10時より前に置く設計が基本になります。
Q. 繁忙期だけ、高校生にも36協定の範囲で残業してもらうことはできますか?
A. できません。労働基準法第60条第1項が、第36条(時間外・休日労働の労使協定)を満18歳未満には適用しないと定めているためです。36協定を結んでいても、それを根拠に年少者へ時間外・休日労働をさせることはできません。満15歳年度末を過ぎた者について、同条第3項の範囲で日ごとの労働時間の配分を調整できる余地はありますが、これは週の総枠を動かさないことが前提で、時間外労働の解禁ではありません。
Q. 年齢を証明する書類は、本人が「18歳以上です」と言えば省略してよいですか?
A. 省略できません。労働基準法第57条第1項は、満18歳未満の者について年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けることを使用者の義務としています。自己申告だけでは、後から年少者だったと分かったときに制限違反の責任を免れません。満15歳年度末までの児童を使う場合は、これに加えて学校長の証明書と親権者または後見人の同意書の備付けが必要です(同条第2項)。
Q. 重量物の運搬を任せたいのですが、何kgまでなら高校生にさせてよいですか?
A. 年少者労働基準規則第7条が年齢・性別・作業の継続性で上限を定めています。満16歳以上満18歳未満の男性なら断続作業30kg・継続作業20kg、女性なら断続作業25kg・継続作業15kgが基準で、これら「以上」の重量物を取り扱う業務には就かせられません。満16歳未満はさらに低く設定されています。どの作業がこの制限業務にあたるかは現場の作業内容ごとに規則で確認する必要があり、個別の当てはめは資格者が行います。
この記事の根拠
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第56条第1項 ──「使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない」
- 同法第56条第2項 ── 別表第1第1号から第5号までに掲げる事業以外の事業で児童の健康及び福祉に有害でなくかつ労働が軽易なものは、行政官庁の許可を受けて満13歳以上の児童を修学時間外に使用でき、映画の製作又は演劇の事業については満13歳に満たない児童についても同様
- 同法第57条第1項 ──「使用者は、満十八歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない」。第2項 ── 児童については修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を備え付ける
- 同法第60条第1項 ── 第32条の2から第32条の5まで、第36条、第40条及び第41条の2の規定は満18歳に満たない者については適用しない。第2項 ── 第56条第2項により使用する児童の労働時間は修学時間を通算して1週40時間・1日7時間。第3項 ── 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した満18歳未満の者について、1日4時間以内への短縮を条件に他日を10時間まで延長する方法、週48時間以下・1日8時間以下の範囲で変形労働時間制の例による方法で労働させられる
- 同法第61条第1項 ──「使用者は、満十八歳に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六歳以上の男性については、この限りでない」。第2項 ── 厚生労働大臣は必要と認める場合に地域又は期間を限って前項の時刻を午後11時及び午前6時とできる。第3項 ── 交替制によって労働させる事業は行政官庁の許可を受けて午後10時30分まで・午前5時30分から労働させられる。第4項 ── 第33条第1項により労働時間を延長・休日労働させる場合、別表第1第6号・第7号・第13号の事業又は電話交換の業務には前3項を適用しない。第5項 ── 第56条第2項により使用する児童については第1項の時刻を午後8時及び午前5時、第2項の時刻を午後9時及び午前6時とする
- 同法第62条第1項 ── 運転中の機械・動力伝導装置の危険な部分の掃除・注油・検査・修繕等、動力によるクレーンの運転、省令で定める危険な業務・重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。第2項 ── 毒劇薬・毒劇物その他有害な原料・材料、爆発性・発火性・引火性の原料・材料を取り扱う業務、著しく粉じん・有害ガス・放射線を発散する場所、高温・高圧の場所その他安全・衛生・福祉に有害な場所での業務に就かせてはならない。第3項 ── その範囲は厚生労働省令で定める
- 同法第63条 ──「使用者は、満十八歳に満たない者を坑内で労働させてはならない」
- 年少者労働基準規則(昭和29年労働省令第13号)第7条 ── 重量物を取り扱う業務の制限。満16歳未満は女12kg・男15kg(断続作業)/女8kg・男10kg(継続作業)、満16歳以上満18歳未満は女25kg・男30kg(断続作業)/女15kg・男20kg(継続作業)、各値「以上」が制限対象。第8条 ── 年少者の就業制限業務の種類を列挙
- 条文は e-Gov法令検索で2026年10月31日に確認。別表第1の各号(第6号=農林、第7号=畜産・水産、第13号=保健衛生)および児童の深夜業に関する告示の適用は、現場の事業区分ごとに確認が必要
この記事は、個別の該当性を判断するものではありません。四葉社会保険労務士事務所では、年少者・高校生を雇う際のシフト設計、就業規則への年少者条項の整備、年齢証明書類の備付け体制、交替制事業の深夜業に関する許可申請、危険有害業務の切り分けの考え方についてご相談いただけます。個別の懲戒・解雇をめぐって争いになった場面の交渉・訴訟は当事務所では扱わず、弁護士への相談をご案内します。別の専門家が必要な場合は、それぞれ別契約となり、紹介料はありません。ご相談いただく場合の費用は報酬額表に、よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
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