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許認可の手続き(行政書士の実務から)

建物の解体・改修でアスベストの事前調査と報告はいつ・誰が必要か

足場のある建設現場と小型トラック、ヘルメットの水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

建物の解体・改修では、石綿(アスベスト)含有建材の有無を調べる事前調査が規模にかかわらず原則義務です。根拠は大気汚染防止法第18条の15と石綿障害予防規則第3条の2本立てで、建築物の調査は2023年(令和5年)10月1日以降、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行い、行政書士は代行できません。解体で床面積80㎡以上、改修・工作物で請負代金100万円以上(税込)の工事は2022年(令和4年)4月1日から石綿事前調査結果報告システムで報告が必要になった規模・様式、建設リサイクル法第10条の届出や石綿作業主任者との重なり、報告違反30万円以下の罰金などの罰則までを条文とともに整理し、事前調査は有資格の調査者、報告・届出は行政書士、除去・解体は専門業者、労務は社労士、登記は司法書士・土地家屋調査士へ分離受任で振る分担をまとめました。

結論(先に要点):建物を解体・改修するときは、石綿(アスベスト)含有建材の有無を調べる事前調査が、工事の規模にかかわらず原則として義務です。根拠は大気汚染防止法第18条の15(元請業者等による調査・記録・報告)と、労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則第3条の2本立てです。建築物の事前調査は、2023年(令和5年)10月1日以降、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行わなければならず、行政書士が代行できる領域ではありません。一定規模以上(建築物の解体で解体部分の床面積の合計80㎡以上、建築物の改修や工作物で請負代金の合計額が100万円以上〔税込〕)の工事は、2022年(令和4年)4月1日から、事前調査の結果を石綿事前調査結果報告システムで都道府県等と労働基準監督署へ報告することが義務づけられました。本記事は、発注者(施主)が最初に押さえる順序として、事前調査・報告・他の届出・罰則・専門家の振り分けを一般的な情報提供として整理するもので、個別の工事が調査・報告の対象かどうかの最終判断はしません。

解体・改修の前に、アスベストの事前調査はなぜ義務なのか?

石綿(アスベスト)は、過去に建材へ広く使われ、吸い込むと中皮腫や肺がんの原因になります。すでに建っている建物を壊したり改修したりするときに、石綿含有建材を知らずに破砕すると粉じんが飛散します。そこで、工事に着手する前に建材の石綿の有無を調べる「事前調査」が、原則としてすべての建築物・工作物の解体・改修工事に義務づけられています。

事前調査の根拠は2つの法律にまたがります。

法令主な内容
大気汚染防止法第18条の15解体等工事の元請業者又は自主施工者が、特定建築材料(石綿含有建材)の有無を調査し、記録を作成・保存し、一定規模以上は結果を都道府県知事等へ報告する
石綿障害予防規則第3条(労働安全衛生法に基づく)事業者が、石綿等の使用の有無を事前に調査し、記録を保存する。働く人の健康障害を防ぐための枠組み

同じ事前調査でも、周辺への飛散防止(環境側=大気汚染防止法)と、働く人の健康(労働側=石綿障害予防規則)という2つの目的があり、報告は後述の一つのシステムで行えます。四葉行政書士事務所では、行政書士業務の範囲で、工事が報告や届出の対象かの整理、届出書類の作成、発注者側の手続の代理を支援します。石綿の有無を判定する調査そのものは、有資格の調査者が行います。

事前調査は誰が行える?(行政書士が代行できない部分はどこ)

2023年(令和5年)10月1日以降、建築物の事前調査は、一定の知見を有する有資格者が行わなければなりません。代表的な資格は次のとおりです。

資格調査できる範囲(代表例)
一般建築物石綿含有建材調査者一般の建築物の事前調査
特定建築物石綿含有建材調査者一般に加え、より専門性の高い建築物の事前調査
一戸建て等石綿含有建材調査者一戸建て住宅・共同住宅の住戸内部に限った事前調査

さらに、工作物(建築物以外の設備・構造物)の事前調査についても、2026年(令和8年)1月1日から、資格者による調査が義務づけられています。

**この事前調査そのものは、行政書士が代行できる業務ではありません。**行政書士は、調査の結果を前提とした報告や届出の書類作成・代理を担いますが、建材が石綿を含むかどうかの調査・判定は、有資格の調査者(必要に応じて分析機関)が行います。ここは明確に分かれます。

事前調査結果の報告が必要になる規模・様式は?

2022年(令和4年)4月1日から、一定規模以上の工事は、事前調査の結果を報告することが義務づけられました。報告の対象は次のとおりです。

工事の種類報告が必要になる規模
建築物の解体工事解体する部分の床面積の合計が80㎡以上
建築物の改修工事請負代金の合計額が100万円以上(税込)
工作物の解体・改修工事請負代金の合計額が100万円以上(税込)

報告は、原則として「石綿事前調査結果報告システム」から電子的に行います。このシステムは、一度の操作で都道府県等(大気汚染防止法の窓口)と労働基準監督署(石綿障害予防規則の窓口)の両方へ届く仕組みです。報告の義務を負うのは、工事を請け負った元請業者又は自主施工者で、工事に着手する前に報告します。発注者(施主)自身が報告するわけではありませんが、発注者は、依頼先が有資格者による事前調査と報告を行う体制かを確認しておくことが大切です。なお、上記の規模に当たれば、石綿の有無にかかわらず事前調査の結果を報告する必要があります。

解体時に重なる他の届出(建設リサイクル法・労働安全衛生法)は?

解体工事では、石綿の手続と並行して、別の法律の届出・手続が重なります。

  • 建設リサイクル法第10条の届出:建築物の解体で床面積の合計が80㎡以上など一定規模以上の工事(対象建設工事)は、発注者又は自主施工者が、工事に着手する日の7日前までに、分別解体等の計画を都道府県知事へ届け出ます。怠ると20万円以下の罰金の対象です。
  • 解体工事業者側の制度:工事を請け負う側には、請負代金に応じて解体工事業登録又は建設業許可(解体工事業)が必要です。切り分けは解体工事業の登録と建設業許可はどう違う?で整理しています。
  • 労働安全衛生法に基づく体制:石綿を含む建材の除去・解体を行う作業では、石綿作業主任者(石綿作業主任者技能講習の修了者)を選任し、作業員に特別教育を行うことが求められます。労災保険・特別教育などの労務の体制づくりは、四葉行政書士事務所とは別事業体の社会保険労務士(四葉社会保険労務士事務所)が、独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。
  • がれき類の処理:解体で生じたがれき類は産業廃棄物で、収集運搬・処分は許可を受けた業者が行います。許可の取り方は産業廃棄物収集運搬業の許可はどう取る?で整理しています。

ご自身のケースについて相談したい方へ

在留資格・許認可など、行政手続について状況をお聞かせください。

相続した古い建物を壊す場合は、解体の前後で相続登記(司法書士)も関わります。相続不動産の名義変更の流れは相続登記はどう進める?を、更地にして売るか建物付きで売るかといった売却の窓口は、四葉行政書士事務所とは別事業体の不動産の相続・売却の窓口をご覧ください。

違反するとどうなる?(罰則・工事の停止)

石綿の手続を怠ると、罰則の対象になり得ます。

違反の類型(大気汚染防止法)罰則の例
事前調査結果の報告をしない・虚偽の報告をした30万円以下の罰金
隔離等の措置を伴う特定粉じん排出等作業の作業基準に違反した3月以下の懲役又は30万円以下の罰金(直接罰)

作業基準違反の直接罰は、2021年(令和3年)4月1日の改正で設けられました。建設リサイクル法第10条の届出を怠った場合にも、同法に基づく20万円以下の罰金があります。罰則に加え、適正な調査・報告・作業がされていないと、行政からの指導や作業の中止につながり、工事全体の遅れや追加費用の原因になります。だからこそ、発注の段階で手続の見通しを立てておくことが大切です。

調査・報告・工事・労務で誰に頼む(有資格調査者・行政書士・専門業者・社労士)?

石綿がからむ解体・改修は、分野ごとに担当が分かれます。

  • 石綿含有建材の事前調査・判定(必要に応じ分析)→ 建築物石綿含有建材調査者などの有資格の調査者・分析機関
  • 事前調査結果の報告・建設リサイクル法第10条の届出などの書類作成・代理 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 石綿の除去・解体工事(石綿作業主任者の選任)→ 登録・許可を受けた専門の解体業者
  • 労災保険・特別教育などの労務 → 社会保険労務士(四葉社会保険労務士事務所)
  • 相続登記・会社設立などの登記 → 司法書士
  • 建物滅失登記(表題部)→ 土地家屋調査士(申請先は法務局)
  • 譲渡所得・設備投資などの税務 → 税理士
  • 更地・建物付き土地の売却や物件手配 → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。有資格の調査者・社会保険労務士・司法書士・土地家屋調査士・税理士を含む各分野は、それぞれの資格者と独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。

よくある質問

Q. 石綿が無いと分かっている建物でも、事前調査や報告は要りますか?
A. 事前調査は、石綿が無いことを確かめるためにも原則として必要です。書面調査と目視調査を行い、判断できない建材は分析調査などで確認します。そのうえで、建築物の解体で床面積80㎡以上、改修や工作物で請負代金100万円以上(税込)といった規模に当たれば、石綿の有無にかかわらず事前調査の結果を報告する義務があります。

Q. 事前調査や報告は行政書士に頼めますか?
A. 石綿の有無を調べる事前調査そのものは、2023年(令和5年)10月1日以降、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行う領域で、行政書士は代行しません。行政書士は、調査結果を前提とした報告や建設リサイクル法第10条の届出などの書類作成・代理を担当します。調査は有資格の調査者と、独立した事業体として別々にご契約のうえ進めます。当事務所は紹介料を受け取りません。

Q. 報告は発注者(施主)と工事業者のどちらがするのですか?
A. 大気汚染防止法上、事前調査結果の報告義務を負うのは、工事を請け負った元請業者又は自主施工者です。発注者自身が報告するわけではありません。ただし発注者は、依頼先が有資格者による事前調査を行い、石綿事前調査結果報告システムで適切に報告する体制かを、契約前に確認しておくことが大切です。

Q. 相続した古い建物を解体する場合、先に相続登記が必要ですか?
A. 建物の解体や売却の前提として、名義や権利関係の整理が関わります。相続した不動産の名義変更(相続登記)は司法書士の業務で、2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されています。石綿の調査・解体・登記・売却の順番は、有資格の調査者・司法書士・不動産の各担当と別々にご契約のうえ、個別にご確認ください。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「大気汚染防止法」(昭和43年法律第97号)第18条の15(特定工事の元請業者等による調査・記録・報告等)(参照日 2026-10-04)
  • e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」(平成17年厚生労働省令第21号)第3条(事前調査及び分析調査)(参照日 2026-10-04)
  • e-Gov法令検索「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法。平成12年法律第104号)第10条(参照日 2026-10-04)
  • 環境省「石綿事前調査結果の報告制度について」(令和4年4月1日報告義務化・報告対象・石綿事前調査結果報告システム)(参照日 2026-10-04)
  • 環境省・厚生労働省・国土交通省「建築物石綿含有建材調査者講習」制度および大気汚染防止法の令和2年改正の解説資料(建築物は令和5年10月1日、工作物は令和8年1月1日から有資格者による調査。作業基準違反の直接罰は令和3年4月1日新設)(参照日 2026-10-04)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の工事が事前調査・報告・届出の対象に当たるか、必要書類、審査・受理の結果を保証するものではありません。石綿含有建材の有無の調査・判定は建築物石綿含有建材調査者などの有資格の調査者が、石綿の除去・解体工事は石綿作業主任者を置く専門の解体業者が、労災保険・特別教育などの労務は社会保険労務士が、相続登記・会社設立などの登記は司法書士が、建物滅失登記(表題部)は土地家屋調査士が、税務は税理士が、更地・建物付き土地の売却は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

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