美容所の開設届はいつ・どこに出す?──構造設備基準と保健所検査の流れ
美容室を新しく開くときは、営業を始める前に美容所の開設届を保健所(都道府県知事。保健所設置市・特別区は市長・区長)へ出し、保健所の検査で構造設備の確認を受けます。開設届は美容師法第11条に基づき、位置・構造設備・管理美容師その他の従業者の氏名などをあらかじめ届け出るもので、届け出た構造設備の検査・確認を受けた後でなければ美容所を使用できません(美容師法第12条)。消毒設備・清潔保持・採光照明換気(施行規則第25〜27条)、理容所との重複開設(平成28年4月1日〜)、必要書類と検査の流れ、やり直しを避ける順番を整理し、物件は不動産、労務・社会保険は社労士へ分離受任で振る分担を示しました。
結論(先に要点):美容室を新しく開くときは、営業を始める前に美容所の開設届を保健所(都道府県知事。保健所を設置する市・特別区では市長・区長)へ出し、保健所の検査で構造設備の確認を受けます。開設届は美容師法第11条に基づき、美容所の位置・構造設備・管理美容師その他の従業者の氏名などを、あらかじめ届け出るものです。届け出た構造設備について都道府県知事の検査を受け、衛生上必要な措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後でなければ、美容所を使用できません(美容師法第12条)。本記事は届出の要件と流れを整理するためのもので、届出の受理・確認は保健所が行い、当事務所が確認を保証するものではありません。
美容所を開くとき開設届はいつ・どこに出す?
美容師法(昭和32年6月3日法律第163号)第2条は、美容を「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と定義し、美容師を「厚生労働大臣の免許を受けて美容を業とする者」、美容所を「美容の業を行うために設けられた施設」と定めています。ここで大切なのは、美容師の免許が個人の資格であるのに対し、美容所の開設は免許とは別に、美容所ごとの届出が必要だという点です。免許を持っているだけでは店は開けません。
開設届の提出先は、美容所の所在地を管轄する都道府県知事です。ただし保健所を設置する市(政令市・中核市等)や特別区では、市長・区長が窓口になります。届出は「あらかじめ」=営業を始める前に行います(美容師法第11条)。届け出る主な事項は、美容所の位置、構造設備、管理美容師その他の従業者の氏名などです。届け出た事項に変更が生じたとき、又は美容所を廃止したときも、すみやかに届け出ます(同条)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 美容師法第11条(開設の届出) |
| 提出先 | 都道府県知事(保健所設置市・特別区は市長・区長) |
| 時期 | 営業を始める前に「あらかじめ」 |
| 届出者 | 美容所の開設者(美容師でない個人・法人でも可) |
| 変更・廃止 | 事項に変更・廃止があればすみやかに届出 |
構造設備基準(面積・区画・採光・消毒設備)は何を満たす?
美容所の開設者は、その美容所について衛生上必要な措置を講じなければなりません(美容師法第13条)。具体的な内容は、厚生労働省令である美容師法施行規則と、各都道府県の条例に定められています。国の施行規則が定める代表的な措置は次のとおりです。
| 項目 | 主な内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 消毒設備 | かみそり・はさみ・くしなど皮膚に接する器具を消毒する設備。血液が付着し、又は付着したおそれのある器具は、煮沸(2分以上)・エタノール水溶液・次亜塩素酸ナトリウム水溶液などで消毒する | 施行規則第25条 |
| 清潔保持 | 床・腰板は不浸透性材料。洗場に流水装置。ふた付きの汚物箱・毛髪箱を備える | 施行規則第26条 |
| 採光・照明・換気 | 作業面の照度は100ルクス以上。作業室内の炭酸ガス濃度を1000分の5以下に保つ | 施行規則第27条 |
| 区画 | 作業場を、居住室・休憩室など作業に直接関係のない場所から隔壁等で完全に区分する | 衛生管理要領 |
作業室の面積や美容椅子の台数といった具体的な数値は、各都道府県の条例と保健所の手引きに委ねられています。全国一律の面積基準を定める国の規定は確認できていないため、ここでは面積の具体値を断定しません。開業地の条例と保健所の手引きで確認してください。区画や消毒場所の考え方は、厚生労働省の「理容所及び美容所における衛生管理要領」(昭和56年6月1日環指第95号。平成22年9月15日健発0915第5号で改正)が示しています。
理容所と美容所を同一店舗で兼ねられる?
兼ねられますが、条件があります。平成28年4月1日以降、一定の要件を満たせば、同一の場所で理容所と美容所を重複して開設できるようになりました。要件は大きく2つです。①理容所・美容所それぞれの構造設備・衛生上の要件をいずれも満たすこと、②その施設で施術する従事者の全員が、理容師と美容師の両方の資格を持つ者であること、です。この取扱いは、規制改革実施計画(平成27年6月30日閣議決定)を受けた「理容師法施行規則及び美容師法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成27年12月9日生食発1209002号)などで示されています。
重複開設の場合でも、開設届は理容所と美容所のそれぞれについて必要です。理容所の開設は理容師法、美容所の開設は美容師法と、根拠となる法律が別だからです。同時に開くのか、既存の施設に追加するのかで、届出書に記載する事項(相手方の施設名や開設予定年月日)が変わることがあるため、様式は開業地の保健所で確認します。
開設届に必要な書類と保健所検査の流れは?
開設届では、届出書のほかに施設の図面と資格・衛生に関する書類が求められます。自治体で様式・部数は異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
| 書類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 美容所開設届 | 位置・構造設備・管理美容師その他の従業者の氏名など |
| 施設の平面図 | 作業室・待合・消毒設備・洗場・便所の配置と寸法 |
| 美容師免許証の写し | その美容所で美容の業に従事する美容師のもの |
| 管理美容師講習会修了証の写し | 常時2人以上の美容師が従事する場合 |
| 医師の診断書等 | 結核・皮膚疾患等に関するもの(自治体による) |
| 使用水の水質検査結果 | 井戸水等を使う場合 |
| 登記事項証明書 | 開設者が法人の場合 |
流れは、事前相談 → 開設届の提出(営業開始前)→ 保健所の立入検査(構造設備の確認)→ 確認 → 美容所の使用開始(営業)、という順です。美容所を使用できるのは、検査で第13条の措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後です(美容師法第12条)。標準処理期間や検査の日程は自治体で異なるため、開業予定日から逆算して開業地の保健所に相談します。
ご自身のケースについて相談したい方へ
在留資格・許認可など、行政手続について状況をお聞かせください。
なお、常時2人以上の美容師が従事する美容所には、管理美容師を1名置きます。管理美容師になれるのは、美容師の免許を受けた後3年以上美容の業務に従事し、かつ都道府県知事の指定した講習会の課程を修了した者です(美容師法第12条の3)。
届出前に工事を進めてよい?やり直しを避ける順番は?
内装工事をすべて終えてから届け出ると、構造設備が基準に合わず手直しになることがあります。区画・洗場・消毒設備・換気は、基準に沿って設計段階から織り込むのが安全です。おすすめの順番は、①物件の下見と用途の確認 → ②保健所への事前相談(図面持参)→ ③工事 → ④開設届の提出 → ⑤保健所の立入検査・確認 → ⑥営業開始、です。特に、作業場を居住室等から隔壁で完全に区分する点、洗場の流水装置、消毒設備は、後から足すと壁や配管をやり直すことになりがちです。物件を契約する前に、間取りが基準を満たせるか、給排水・換気を確保できるかを見ておきます。
美容室の開業は複数の分野が交わるため、担当は次のように分かれます。
- 美容所開設届の作成、保健所との事前相談の支援 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明 → 四葉不動産株式会社
- 開業後の従業員の労働条件・社会保険・就業規則 → 四葉社会保険労務士事務所(社会保険労務士)
- 内装が大規模な用途変更に及ぶ場合の確認申請 → 建築士・特定行政庁
- 建物や事業の会計・税務 → 税理士
- 権利義務・紛争にわたる個別の法的判断 → 弁護士
四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当事務所は美容所開設届の申請支援のみを独立した事業体として担い、物件・労務・税務は、それぞれの資格者・事業体と別々にご契約・ご相談いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。許認可の全体像は許認可の手続き、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表をご覧ください。飲食を併設する場合は飲食店営業許可と保健所の設備基準もあわせてご確認ください。届出の受理・確認そのものは保健所が判断します。
よくある質問
Q. 美容師免許があれば、そのまま自分の店を開けますか?
A. 免許と開設は別です。美容師免許は個人の資格ですが、店(美容所)を開くには、免許とは別に美容所の開設届を保健所に出し、構造設備の検査・確認を受ける必要があります(美容師法第11条・第12条)。検査で衛生上必要な措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後でなければ、美容所を使用できません。
Q. 開設届はいつ出せばよいですか?
A. 営業を始める前に「あらかじめ」出します(美容師法第11条)。届出のあとに保健所の立入検査があり、その確認を受けてから営業を開始できます。検査の日程調整に日数がかかるため、開業予定日から逆算して、まず事前相談から始めるのが安全です。標準処理期間は自治体で異なるので、開業地の保健所の公式ページで確認してください。
Q. 理容室と美容室を1つの店で両方やりたいのですが可能ですか?
A. 平成28年4月1日以降、①理容所・美容所それぞれの構造設備・衛生上の要件を満たし、②施術者の全員が理容師と美容師の両方の資格を持つ場合に、同一の場所で重複開設ができます。ただし開設届は理容所・美容所のそれぞれに必要です。要件の細部と様式は開業地の保健所で確認してください。
Q. 管理美容師は必ず置かなければなりませんか?
A. 常時2人以上の美容師が従事する美容所では必要です。管理美容師になれるのは、美容師免許を受けた後3年以上美容の業務に従事し、都道府県知事の指定した講習会の課程を修了した者です(美容師法第12条の3)。美容師が常時1人の美容所では、管理美容師を置く義務はありません。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「美容師法」(昭和32年6月3日法律第163号)第2条(定義)、第11条(開設の届出)、第12条(検査・確認)、第12条の3(管理美容師)、第13条(衛生上必要な措置)(参照日 2026-09-17)
- e-Gov法令検索「美容師法施行規則」(平成10年厚生省令第7号)第25条(消毒の方法)、第26条(清潔保持の措置)、第27条(採光・照明・換気)(参照日 2026-09-17)
- 厚生労働省「理容所及び美容所における衛生管理要領について」(昭和56年6月1日環指第95号。平成22年9月15日健発0915第5号で改正)(参照日 2026-09-17)
- 「理容師法施行規則及び美容師法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成27年12月9日生食発1209002号)/規制改革実施計画(平成27年6月30日閣議決定)に基づく理容所・美容所の重複開設の取扱い(参照日 2026-09-17)
- 開業予定地の保健所が公表する美容所開設届の手引き、及び各都道府県の条例(構造設備・面積・衛生措置の基準・様式・必要書類。参照日 2026-09-17)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の届出の受理、構造設備・衛生措置の基準への適合、検査の結果を保証するものではありません。美容所開設届の受理・立入検査・確認は保健所(都道府県・保健所設置市・特別区)が行います。作業室の面積など構造設備の具体的な基準は各都道府県の条例に委任されており、施設ごとの基準・様式・必要書類は当該自治体の公式ページで確認してください。大規模な用途変更に及ぶ場合の建築確認は建築士・特定行政庁が担います。事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明は四葉不動産株式会社、開業後の従業員の労働条件・社会保険・就業規則は四葉社会保険労務士事務所、会計・税務は税理士、権利義務・紛争にわたる個別の法的判断は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・ご相談のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|火・水 10:00〜19:00/月・木・金・土・日 18:00〜19:00
