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2026.09.17許認可の手続き(行政書士の実務から)

台湾・中国企業が日本に拠点を作る:支店と子会社どちらを選ぶ?──外国会社の登記と在留資格『経営・管理』

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

台湾・中国の企業が日本で事業を続けるには、「日本支店(外国会社)」と「現地子会社(株式会社・合同会社)」の二択があります。支店は外国会社の登記が必要で、日本における代表者の1人以上は日本に住所を有する者でなければなりません(会社法第817条)。子会社は日本法人を新設します。代表者が住んで経営するなら在留資格『経営・管理』が要りますが、令和7年10月16日施行の基準改正で資本金3,000万円以上・常勤職員1人以上・日本語能力・経歴・事業計画書の専門家確認が求められるようになりました。擬似外国会社(会社法第821条)や撤退・清算の違いも整理し、登記=司法書士、税務=税理士、労務=社労士、在留申請の取次=行政書士へ分離受任で振る分担を示しました。

結論(先に要点):台湾・中国の企業が日本で事業を続けるには、大きく「日本支店(外国会社)」と「現地子会社(株式会社・合同会社)」の二択があります。日本支店は外国会社の登記が必要で、日本における代表者のうち1人以上は日本に住所を有する者でなければなりません(会社法第817条)。子会社は日本法人を新たに設立します。代表者が日本に住んで経営するなら在留資格「経営・管理」が要りますが、令和7年10月16日施行の基準改正で、資本金3,000万円以上・常勤職員1人以上の雇用・日本語能力・経歴・事業計画書の専門家確認が求められるようになりました。本記事は制度の骨格を整理するもので、個別の可否は入国管理・登記・税務の各手続を通じて判断されます。

台湾・中国企業が日本に拠点を作るとき支店と子会社のどちらを選ぶ?

日本での拠点には、営業活動をしない「駐在員事務所」、外国会社としての「日本支店」、日本法人としての「子会社(現地法人)」があります。継続的に営業(取引)するなら、支店か子会社のいずれかを選びます。

日本支店(外国会社)子会社(現地法人)
法人格本国の会社の一部(別法人ではない)日本の会社(別法人)
登記外国会社の登記(会社法第933条)会社の設立登記(株式会社・合同会社)
責任本国の会社が負う原則として日本法人が負う(有限責任)
代表者の住所日本における代表者の1人以上が日本に住所(会社法第817条)取締役等(住所要件は緩和済み)

支店は本国の会社の一部なので、日本での債務は本国の会社が負います。子会社は独立した日本の会社なので、責任が本国の会社と切り離されるのが一般的です。ここで注意したいのが会社法第821条(擬似外国会社)です。日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続してすることができません。実質的に日本を本拠にする事業を「支店」の形で行おうとすると、この規定に触れるおそれがあるため、実態が日本中心なら子会社が選ばれやすくなります。

外国会社の登記と株式・合同会社の設立は手続がどう違う?

日本支店を置く場合、外国会社は日本において取引を継続してしようとするときに日本における代表者を定め、その代表者を定めた日から3週間以内に外国会社の登記をしなければなりません(会社法第933条)。登記をするまでは、日本において取引を継続してすることができません(会社法第818条。違反して取引をした者は相手方に対し外国会社と連帯して弁済責任を負います)。

子会社を設立する場合は、日本の会社を新たに作ります。株式会社は、定款を作成し、公証人の認証を受け(会社法第30条)、出資の履行を経て、本店所在地での設立登記により成立します(会社法第49条)。合同会社は、定款の作成に公証人の認証が不要で、出資の履行を経て設立登記により成立します(会社法第579条)。最低資本金制度は廃止されており、会社法上は資本金1円でも設立自体は可能です。ただし後述の在留資格「経営・管理」を取るなら資本金等3,000万円以上が求められる点に注意してください(会社法の設立要件と在留資格の要件は別物です)。

手続株式会社合同会社外国会社(支店)
定款の認証必要(会社法第30条)不要
成立・登記設立登記で成立(会社法第49条)設立登記で成立(会社法第579条)外国会社の登記(会社法第933条)
別法人か別法人(日本法人)別法人(日本法人)本国会社の一部

なお、本国(台湾・中国)の会社の存在や代表者を証する書類は、本国での公証・認証を求められることがあり、国・地域で手続が異なります。翻訳文の添付も必要です。この点は書類の種類が定まった段階で、提出先(登記所・入管)に確認します。

代表者の在留資格『経営・管理』の要件は?

代表者が日本に住んで会社を経営・管理するなら、在留資格「経営・管理」が必要です。これは、本邦において貿易その他の事業の経営を行い、又は当該事業の管理に従事する活動を対象とする在留資格です(出入国管理及び難民認定法 別表第一の二)。上陸許可基準を定める基準省令が令和7年10月16日施行で大きく改正され(令和7年10月10日公表・同月30日更新)、要件が厳格化しました。主な内容は次のとおりです。

要件改正後(令和7年10月16日施行)
資本金等3,000万円以上(払込済資本の額又は出資の総額)。個人事業の場合は投下総額
常勤職員1人以上の雇用が必要。対象は日本人・特別永住者・法別表第二の在留資格者(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)に限る
日本語能力申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度(「日本語教育の参照枠」B2相当以上。日本語能力試験〔JLPT〕N2以上など)
経歴経営管理等の分野の博士・修士・専門職の学位、又は事業の経営・管理について3年以上の職歴
事業計画書経営に関する専門的知識を有する者(中小企業診断士・公認会計士・税理士)の確認が必要

このほか、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められず、業務委託などで経営者としての活動実態が十分に認められない場合は該当しないものとして扱われます。事業計画書の確認について、出入国在留管理庁の資料は、弁護士及び行政書士以外の者が官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは行政書士法違反に当たるおそれがある、と注意喚起しています。

経過措置として、施行日の前日までに受け付けて審査中の申請には改正前の基準が適用されます。既に「経営・管理」で在留中の方が施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間に更新申請を行う場合は、改正後の基準に適合しなくても、経営状況や適合の見込みを踏まえて許否が判断されます。3年経過後の更新は、改正後の基準に適合する必要があります。

許認可・銀行口座・初期の税務は誰に振る?

日本進出は、登記・入管・税務・労務・不動産が同時に動きます。担当は次のように分かれます。相互に別々にご契約いただく前提です。

  • 支店/子会社の選択、定款の作成、必要な許認可、在留資格「経営・管理」の申請取次 → 四葉行政書士事務所(行政書士・申請取次)
  • 外国会社の登記、会社の設立登記(商業登記)→ 司法書士(商業登記の申請代理は司法書士の業務です)
  • 事業所(オフィス)の確保・賃貸借・重要事項説明 → 四葉不動産株式会社
  • 法人税・移転価格税制・消費税・国際課税 → 税理士
  • 従業員の労働条件・社会保険・就業規則 → 四葉社会保険労務士事務所(社会保険労務士)
  • 権利義務・紛争にわたる個別の法的判断 → 弁護士

ご自身のケースについて相談したい方へ

在留資格・許認可など、行政手続について状況をお聞かせください。

在留資格の申請取次は、届出済の行政書士又は弁護士が行えます。社会保険労務士は在留資格の申請取次を行えないため、在留の手続は行政書士へ振ります。会社設立後の銀行口座の開設は、金融機関ごとに審査基準が異なり、近年は必要書類・面談が増える傾向があります。開設の可否や条件は当社では保証できないため、取引予定の金融機関に直接確認してください。税務署への法人設立届出、青色申告の承認申請、源泉所得税や消費税の届出などの初期の税務は、税理士と進めます。

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当事務所は拠点形態の整理・定款作成・許認可・在留申請の取次を独立した事業体として担い、登記・税務・労務・物件は、それぞれの資格者・事業体と別々にご契約・ご相談いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。許認可の全体像は許認可の手続き、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表をご覧ください。在留「経営・管理」で会社を設立する道筋は『経営・管理』での中国企業家の会社設立、事業と在留を一緒に見る例は外国人の『経営・管理』とグループホーム開設もあわせてご確認ください。

撤退・清算まで見据えるとどちらが軽い?

拠点は、作るときだけでなく、たたむときの負担も比べておくと選びやすくなります。日本支店(外国会社)を閉じる場合は、営業所の廃止・日本における代表者の退任などの登記が必要で、日本にある財産の清算が問題になることがあります(会社法第822条は、裁判所が外国会社の日本にある財産の全部について清算の開始を命ずることができる場面を定めています)。子会社(日本法人)を閉じる場合は、株式会社・合同会社の解散・清算の手続を踏み、清算結了の登記まで行います。

一般に、責任の切り分けや譲渡・再編のしやすさでは子会社が扱いやすく、初期の設立コストや小規模な試験的進出では支店が軽いこともあります。どちらが「軽い」かは、事業規模、責任範囲、税務、将来の増資・売却の見通しによって変わるため、一律には言えません。入口(設立)と出口(撤退)の両方を、登記は司法書士、税務は税理士、在留は行政書士と分担しながら設計するのが安全です。

よくある質問

Q. 日本支店と子会社は、何が一番違いますか?
A. 法人格です。支店は本国の会社の一部で別法人ではなく、日本での債務は本国の会社が負います。子会社は日本の会社(別法人)で、責任が本国の会社と切り離されるのが一般的です。また、日本に本店を置くか日本での事業を主目的とする外国会社は、支店の形で取引を継続できません(会社法第821条・擬似外国会社)。実態が日本中心なら子会社が選ばれやすくなります。

Q. 資本金は1円でよいと聞きましたが、経営・管理ビザも取れますか?
A. 会社の設立と在留資格は別の要件です。会社法上は最低資本金制度が廃止され、資本金1円でも設立自体は可能です。しかし在留資格「経営・管理」は、令和7年10月16日施行の改正で資本金等3,000万円以上・常勤職員1人以上の雇用などが求められるようになりました。設立できることと、在留資格が許可されることは別に考える必要があります。

Q. 会社の登記や在留申請は、行政書士に全部任せられますか?
A. 業務ごとに担当が分かれます。定款作成・許認可・在留資格の申請取次は行政書士、外国会社の登記や会社の設立登記(商業登記)の申請代理は司法書士の業務です。社会保険労務士は在留申請の取次を行えません。各専門家が独立した事業体として別々に受任し、当事務所は紹介料を受け取りません。

Q. すでに経営・管理で在留していますが、更新はどうなりますか?
A. 経過措置があります。施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間の更新申請は、改正後の基準に適合しなくても、経営状況や適合の見込みを踏まえて許否が判断されます。3年経過後の更新は改正後の基準に適合する必要があります。個別の見通しは、資料をそろえて入管の手続の中で確認します。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「会社法」(平成17年法律第86号)第30条(定款の認証)、第49条(株式会社の成立)、第579条(持分会社の成立)、第817条(外国会社の日本における代表者)、第818条(登記前の継続取引の禁止)、第821条(擬似外国会社)、第822条(日本にある外国会社の財産についての清算)、第933条(外国会社の登記)(参照日 2026-09-17)
  • e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」別表第一の二「経営・管理」(参照日 2026-09-17)
  • 出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(令和7年10月10日公表・同月30日更新)/「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(参照日 2026-09-17)
  • 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令「法別表第一の二の表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動」、及び同法施行規則別表第三(事業計画書の確認)(参照日 2026-09-17)
  • 司法書士法第3条(司法書士の業務=商業登記等の申請代理)、行政書士法第1条の2・第1条の3(行政書士の業務)(参照日 2026-09-17)

本記事は一般的な情報提供であり、拠点形態の選択、在留資格の許可、登記や税務の可否を保証するものではありません。在留資格「経営・管理」の審査は出入国在留管理庁が行い、要件・経過措置の細部は最新の公表資料で確認してください。外国会社の登記・会社の設立登記(商業登記)の申請代理は司法書士、法人税・移転価格税制・消費税・国際課税は税理士、従業員の労働条件・社会保険・就業規則は四葉社会保険労務士事務所、事業所(オフィス)の確保・賃貸借・重要事項説明は四葉不動産株式会社、権利義務・紛争にわたる個別の法的判断は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・ご相談のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。

LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。

東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|火・水 10:00〜19:00/月・木・金・土・日 18:00〜19:00