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2026.07.24グループホーム開設

グループホーム開設と建築基準法|用途変更確認申請の要否

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

既存の建物をグループホームに転用する場合、建築基準法上の「用途変更」の手続きが必要になることがあります。確認申請が必要になる面積の基準と、申請が不要でも押さえておくべき点を整理します。

結論(先に要点):一般の住宅やアパートなど、既存の建物をグループホーム(建築基準法上は原則「寄宿舎」)に転用する場合、用途変更部分の床面積の合計が200㎡を超えるときは、建築確認申請が必要です(令和元年6月25日施行の建築基準法改正により、従来の100㎡超から200㎡超に緩和)。200㎡以下で確認申請が不要な場合でも、建築基準法への適合義務そのものはなくなりません。この点を見落とすと、開設後に是正を求められることがあります。

用途変更確認申請が必要になるライン

用途変更部分の床面積建築確認申請
200㎡超必要
200㎡以下原則不要(令和元年6月25日施行改正による)

この基準は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条第1項第一号の「特殊建築物」に関する規模要件です。国土交通省の資料によれば、この改正は小規模な用途変更の手続き負担を軽減し、既存建物の有効活用を促す目的で行われました(国土交通省「建築基準法改正により小規模な建築物の用途変更の手続きが不要となりました」東京都都市整備局「建築基準法改正(令和元年6月25日施行)により200㎡以下の用途変更の手続(確認申請)が不要に」)。

なお、建築基準法施行令第137条の18で定める「類似の用途」間の変更については、200㎡以下の基準にかかわらず確認申請が不要とされる場合があります。寄宿舎がこの「類似の用途」に該当するかは、変更前の用途によって異なります。

「確認申請が不要」でも、適合義務は残る

ここが見落とされやすい点です。用途変更部分が200㎡以下で確認申請が法律上不要であっても、建築物を寄宿舎として使う以上、建築基準法の規定(防火・避難関係規定等)に適合させる義務そのものは残ります。確認申請という「手続き」が省略されるだけで、「基準を満たさなくてよい」という意味ではありません。この違いを混同すると、後から是正指導を受けるリスクがあります。用途地域の基本は姉妹コラム「グループホームに使える物件の探し方」、居室・設備の指定基準は姉妹コラム「指定基準を満たす物件条件」もあわせてご覧ください。

戸建て住宅を寄宿舎に転用する際に増えやすい規定

一般の住宅(戸建て)を寄宿舎に転用する場合、住宅として使っていたときには求められなかった規定への適合が必要になることがあります。代表的な論点は次のとおりです(個別の要否・仕様は建築士・特定行政庁の確認が必要)。

  • 内装制限(避難経路となる廊下・階段等の仕上げ材料)
  • 二方向避難の確保
  • 防火区画・戸境壁の防火性能
  • 廊下幅・階段の基準

これらは建物の規模・構造・階数によって適用が変わるため、「この物件はどうか」の具体的な判断は、建築士または特定行政庁(建築主事のいる区市町村・都道府県)への相談が必要です。当コラムは一般的な論点の整理にとどまり、個別物件の適合判断を行うものではありません。

物件と指定申請を、一つの窓口で(四葉の視点)

用途変更の要否は、契約前に確認しておかないと、想定していなかった改修費用が発生する典型的な項目です。四葉は四葉不動産(宅地建物取引業)と四葉行政書士事務所(行政書士業務)の両方を持ち、物件選びの段階で用途変更の要否を見据えます。必要に応じて連携する建築士・特定行政庁への相談も整理します。詳しくは姉妹コラム「物件と指定申請を一つの窓口で」をご覧ください。

現場の実感(文京区の事業者の例)

文京区内で、延床面積約180㎡の空き家(戸建て)をグループホームに転用しようとしていたある事業者の例では、「200㎡以下だから確認申請は不要」という情報だけで手続きを進めようとしていました。実際には、確認申請が不要でも建築基準法の防火・避難関係規定への適合義務は残るため、区の建築部署への事前相談で、二方向避難の確保に関わる改修が必要と分かりました。「確認申請の要否」と「法適合の要否」は別の話——この違いを契約前に押さえることが重要です。(個別事情は抽象化しています。可否は物件ごとに異なり、当方が一律に保証するものではありません。)

よくある質問

Q. 200㎡以下なら、何もしなくてもグループホームにできますか?
A. いいえ。200㎡以下であれば建築確認申請の手続きは原則不要ですが、建築基準法の規定(防火・避難関係規定等)に適合させる義務そのものは残ります。確認申請の要否と、法律への適合義務は別の問題です。

Q. どの規定に適合させる必要があるか、誰に確認すればよいですか?
A. 内装制限・避難経路・防火区画などの具体的な適合要否は、建物の規模・構造によって異なるため、建築士または物件所在地の特定行政庁(建築部署)への相談が必要です。当方では、必要に応じて連携する建築士・窓口への相談を整理します。

Q. 新築でグループホームを建てる場合も同じですか?
A. 新築の場合は用途変更ではなく通常の建築確認の手続きになります。設計段階から寄宿舎としての基準(防火・避難等)を織り込んで計画することになります。

Q. 「類似の用途」への変更とは何ですか?
A. 建築基準法施行令第137条の18で定める、確認申請の対象から除かれる用途間の変更です。寄宿舎がこれに該当するかは、変更前の建物用途によって異なるため、個別に確認が必要です。

Q. 用途変更の改修費用はどのくらいかかりますか?
A. 建物の構造・規模・必要な改修内容によって大きく異なるため、一律にはお答えできません。物件ごとに建築士・施工業者の見積もりで確認することをお勧めします。費用の全体像は姉妹コラム「開設費用の全体像」もご参照ください。

Q. 用途変更が必要かどうか、契約前に見てもらえますか?
A. はい。物件の図面をもとに、用途変更確認申請の要否や、想定される追加対応の論点を整理します。具体的な設計・工事内容の判断は、連携する建築士にご相談いただきます。

この記事の出典(一次情報)

※個別物件の用途変更の要否・適合すべき規定は、必ず建築士または物件所在地の特定行政庁(建築部署)にご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の可否判断・効果を保証するものではありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——行政書士(登録番号 第25087022号)・宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)。四葉行政書士事務所 代表/四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)。元毎日新聞記者・中国総局長。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。物件(不動産)と指定申請(行政手続)を一つの窓口で。建築士の判断が必要な場面は連携する専門家をご案内します。

開設の流れ全体は「グループホーム開設の流れ【東京都・文京区版】」、全体像は開設の完全ガイド(物件と指定申請)をご覧ください。