グループホームの3類型|戸建て型・アパート型・サテライト型の違い
障害者グループホームの住居は、戸建て型・アパート型・サテライト型の3つに大きく分けられます。それぞれの特徴とサテライト型特有の要件(本体住居との距離・部屋数上限)を、物件選びの視点で整理します。
結論(先に要点):障害者グループホームの住居は、大きく戸建て型(一戸建てを1つの共同生活住居として使う)、アパート型(共同住宅の1棟・1フロアなどを共同生活住居として使う)、サテライト型(本体となる共同生活住居と一体的に運営する、原則1人用の別の住居)の3つに分けられます。どの類型を選ぶかは、対象者像・定員・立地の条件によって変わります。中でもサテライト型は、本体住居との距離・部屋数の上限など、他の2類型にはない独自の要件があります。
3類型の比較
| 類型 | 特徴 | 主な確認ポイント |
|---|---|---|
| 戸建て型 | 一戸建てを1つの共同生活住居として使う | 用途地域・居室面積・既存建物の用途変更要否 |
| アパート型 | 共同住宅の1棟・複数フロア等を共同生活住居として使う | 建物全体の管理形態、他住戸との区分、消防設備 |
| サテライト型 | 本体住居と一体運営する、原則1人用の別住居 | 本体住居との距離、部屋数の上限、訪問支援の体制 |
いずれの類型でも、居室面積(原則7.43㎡以上)や共用設備の基準(詳しくは姉妹コラム「指定基準を満たす物件条件」)は共通して満たす必要があります。
サテライト型住居の要件
サテライト型住居は、地域移行やひとり暮らしに近い生活を希望する入居者向けに設けられた類型で、本体の共同生活住居と一体的に支援する仕組みです。厚生労働省の資料によれば、主な要件は次のとおりです(厚生労働省「サテライト型住居の利用対象者像について」)。
| 項目 | 目安となる要件 |
|---|---|
| 本体住居との距離 | 概ね20分以内で移動可能な距離 |
| 設置数の上限 | 本体1ホームにつき概ね1〜2部屋まで(本体の定員が4人以下の場合は1部屋まで) |
| 支援の頻度 | 本体住居の従業員が原則1日1回以上訪問 |
| 入居期間の考え方 | 概ね3年以内を目途に、一般住宅等への移行を計画的に支援 |
サテライト型は「本体住居があってこそ」成り立つ類型のため、単独では設置できません。距離や部屋数などの数値要件は改正・自治体運用で変わることがあるため、着手前に指定権者(東京都等)の最新の基準を確認してください。
どの類型を選ぶか——対象者像・定員・立地から逆算する
類型の選択は、次のような視点から検討します(最終判断は事業計画・指定権者との協議によります)。
- 対象者像:地域生活への移行段階にある方にはサテライト型が選択肢になり得ます。共同生活の支援を重視する場合は戸建て型・アパート型が中心になります。
- 定員規模:まとまった人数を受け入れる場合はアパート型(共同住宅)が物件を確保しやすい場合があります。
- 立地の確保しやすさ:戸建て型は住宅街での物件確保がしやすい一方、用途変更の要否(姉妹コラム「建築基準法と用途変更の要否」)を確認する必要があります。
物件と指定申請を、一つの窓口で(四葉の視点)
どの類型を選ぶかによって、確認すべき用途地域・面積・消防設備・距離要件が変わります。四葉は四葉不動産(宅地建物取引業)と四葉行政書士事務所(行政書士業務)の両方を持ち、対象者像や事業計画に応じた類型の選択肢を、物件選びの段階から一緒に整理します。詳しくは姉妹コラム「物件と指定申請を一つの窓口で」をご覧ください。用途地域を含めた物件探しの基本は姉妹コラム「グループホームに使える物件の探し方」、消防設備の要否は姉妹コラム「消防設備の要否」もあわせてご覧ください。
現場の実感(文京区の事業者の例)
文京区で開設を検討していたある事業者の例では、本体住居の近くにサテライト型として使えそうな1Kのアパートを見つけていました。距離を確認したところ、徒歩とバスを乗り継いで20分をやや超える見込みであることが分かり、別の物件を探し直すことになりました。「近そうに見える」ことと「要件を満たす距離」は必ずしも一致しません。地図上の距離だけでなく、実際の移動時間で確認することが大切です。(個別事情は抽象化しています。可否は物件ごとに異なり、当方が一律に保証するものではありません。)
よくある質問
Q. 3つの類型のうち、どれが一番始めやすいですか?
A. 一概には言えません。対象者像・定員・確保できる物件によって適した類型が変わります。事業計画の段階でご相談いただくことをお勧めします。
Q. サテライト型だけで開設できますか?
A. いいえ。サテライト型は本体となる共同生活住居があって初めて設置できる類型です。単独では設置できません。
Q. サテライト型の「20分以内」は、地図上の距離ですか?
A. 実際の移動時間の目安とされています。徒歩・公共交通機関などを踏まえた移動時間で確認する必要があり、地図上の直線距離だけでは判断できません。
Q. アパート型は、建物全体を借りる必要がありますか?
A. 必ずしも建物全体である必要はなく、1棟の一部(複数フロア等)を共同生活住居として使う形態もあります。ただし、他の住戸との区分や管理形態、消防設備の扱いを個別に確認する必要があります。
Q. 戸建て型は用途変更の手続きが必要ですか?
A. 建物の従前の用途や、用途変更部分の床面積によります。詳しくは姉妹コラム「建築基準法と用途変更の要否」をご覧ください。
Q. どの類型が自分の事業計画に合うか、相談できますか?
A. はい。対象者像・定員・希望エリアをうかがいながら、四葉不動産が物件の選択肢を整理し、四葉行政書士事務所が指定基準の観点から確認します。
この記事の出典(一次情報)
- 厚生労働省「サテライト型住居の利用対象者像について」
- e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(平成17年法律第123号)
- e-Gov法令検索「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)
※サテライト型住居の数値要件(距離・部屋数・期間)は改正・自治体運用で変わることがあります。着手前に必ず指定権者(東京都等)の窓口で最新の基準をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の可否判断・効果を保証するものではありません。
この記事の執筆者
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——行政書士(登録番号 第25087022号)・宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)。四葉行政書士事務所 代表/四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)。元毎日新聞記者・中国総局長。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。物件(不動産)と指定申請(行政手続)を一つの窓口で。
開設の流れ全体は「グループホーム開設の流れ【東京都・文京区版】」、全体像は開設の完全ガイド(物件と指定申請)をご覧ください。
