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相続の手続き(行政書士の実務から)

遺産分割の「10年ルール」とは?早く分けないと特別受益・寄与分が主張できなくなる(民法904条の3)

座卓を囲んで一枚の書面に向かう三人の後ろ姿を描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

遺産分割の「10年ルール」とは、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割では、原則として特別受益(民法第903条)や寄与分(民法第904条の2)を考慮した具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)で分けることになる仕組みです(民法第904条の3)。2021年の民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)で新設され、2023年(令和5年)4月1日に施行されました。施行日前に始まった相続にも及びますが、附則の経過措置により、相続開始から10年を経過する時と施行日から5年を経過する時(2028年〔令和10年〕3月31日)のいずれか遅い時まで猶予されます。10年を過ぎる前に家庭裁判所へ遺産分割の請求をすれば主張を保てる例外や、相続人全員の合意による分割の扱いも含めて、遺産分割協議書の作成は行政書士、調停・審判は弁護士、相続登記は司法書士、相続税は税理士へ分離受任で振る分担を、行政書士の実務から整理しました。

結論(先に要点):遺産分割の「10年ルール」とは、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割では、原則として特別受益(民法第903条)や寄与分(民法第904条の2)を考慮した具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)で分けることになる仕組みです(民法第904条の3)。2021年(令和3年)の民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)で新設され、2023年(令和5年)4月1日に施行されました。施行日前に始まった相続にも及びますが、附則の経過措置により、少なくとも施行日から5年、つまり2028年(令和10年)3月31日までは猶予されます。10年を過ぎる前に家庭裁判所へ遺産分割の請求をすれば主張を保てるなどの例外もあります。本記事は一般的な情報提供で、特別受益・寄与分の有無や金額といった法的効果の最終判断をするものではありません。四葉グループの行政書士は、相続関係や財産の調査、相続人全員の合意による遺産分割協議書の作成を独立した事業体として担います。話し合いがつかない場合の調停・審判は弁護士、相続登記は司法書士、相続税の申告や不動産評価は税理士、相続不動産の売却は別事業体である不動産業者の領域で、それぞれ別々にご契約いただきます。

遺産分割の10年ルール(民法904条の3)とは何が変わるのか?

民法第904条の3は、「相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割」については、前3条、すなわち特別受益の持戻し(第903条・第904条)と寄与分(第904条の2)の規定を適用しない、と定めています。つまり10年を過ぎると、生前贈与を受けていた人の取り分を減らす(特別受益)、介護などで貢献した人の取り分を増やす(寄与分)という調整を原則として行わず、法定相続分(遺言があれば指定相続分)で分けることになります。

区分10年を経過する前10年を経過した後(原則)
分割の基準具体的相続分(特別受益・寄与分を反映)法定相続分又は指定相続分
特別受益の持戻し主張できる(第903条)原則として考慮しない
寄与分の主張主張できる(第904条の2)原則として考慮しない

この改正の狙いは、長く放置された遺産分割を早期に促し、所有者不明土地の発生を防ぐことにあります。相続全体の期限の見取り図は相続に関する期限のまとめでも整理しています。特別受益・寄与分そのものの考え方は特別受益・寄与分と具体的相続分をご覧ください。あてはめの最終判断は資格者の領域で、当事務所の相続・遺言のご案内もご確認ください。

10年の起算日はいつで、施行前に始まった相続はどう扱われるのか?

10年の起算点は「相続開始の時」、つまり被相続人が亡くなった日です。問題になるのは、施行日(2023年〔令和5年〕4月1日)より前に始まっていた相続の扱いです。この点は改正法(令和3年法律第24号)の附則の経過措置が定めており、施行日前に開始した相続にも新しい第904条の3は適用されますが、急に不利にならないよう猶予が設けられています。

相続開始の時期具体的相続分で分割できる期限(いずれか遅い時まで)
施行日(2023年4月1日)以後に開始相続開始から10年を経過する時
施行日前に開始(10年経過が2028年3月末より後)相続開始から10年を経過する時
施行日前に開始(すでに10年経過又は10年経過が2028年3月末より前)施行日から5年=2028年(令和10年)3月31日

要するに、「相続開始から10年を経過する時」と「施行日から5年を経過する時(2028年3月31日)」のいずれか遅い時までは、特別受益・寄与分を反映した分割を求められます。古い相続でも2028年3月末までは猶予がある、という点がこの経過措置の要です。自分の相続がどの行に当たるかは、被相続人の死亡日を起点に確認します。期限管理を含む受任の流れは受任の流れに沿って進めます。

10年を過ぎると特別受益や寄与分は本当に一切主張できないのか?

「10年を過ぎたら必ず主張できなくなる」とは限りません。民法第904条の3はただし書で例外を定めています。次のいずれかに当たれば、10年経過後でも具体的相続分による分割ができます。

号10年経過後でも具体的相続分で分割できる場合
第1号相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき
第2号10年の期間満了前6箇月以内に、やむを得ない事由で分割を請求できなかった相続人が、その事由の消滅時から6箇月を経過する前に家庭裁判所に請求したとき

加えて、第904条の3は相続人による主張を制限する規定であり、相続人全員が具体的相続分での分割に合意すれば、10年を過ぎても特別受益・寄与分を踏まえた内容で遺産分割協議をまとめることは妨げられません。逆にいえば、合意が得られそうになく主張を保ちたいなら、10年を過ぎる前に家庭裁判所へ遺産分割の請求(調停・審判の申立て)をしておくことが確実です。調停・審判の流れは遺産分割の調停・審判で整理しています。どの事情が「やむを得ない事由」に当たるか、申立てが必要かの最終判断は弁護士・裁判所の領域です。

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期限に間に合わせるには何を・誰に頼めばよいのか?

期限に間に合わせるには、まず被相続人の死亡日から10年(又は2028年3月末)までの残り時間を把握し、相続人・財産・特別受益や寄与の事情を早めに整理することが出発点になります。関係する専門家が分かれるため、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただくのが基本です。四葉グループの行政書士は、戸籍等による相続関係の調査、財産目録の作成、相続人全員の合意による遺産分割協議書の作成までを、独立した事業体として担います。

依頼先主な役割
行政書士(当事務所)相続関係・財産の調査、遺産分割協議書の作成(全員の合意が前提)
弁護士話し合いがつかない場合の調停・審判、10年の期限管理を含む代理・法的判断
司法書士相続登記(不動産の名義変更)
税理士相続税の申告、不動産などの財産評価
不動産業者(別事業体の当社)相続不動産の売却・活用の相談

特別受益・寄与分の有無や金額、10年の期限が迫った事案での申立ての要否といった法的効果の最終判断は、行政書士が代わりに判断・保証するものではありません。相続人間で争いがある場合は弁護士へ、期限が迫っているときは早めに専門家へご相談ください。相続不動産の売却が絡む場合は、別事業体の不動産業者による相続不動産の相談窓口もご利用いただけます。当事務所の報酬額表は別に定めています。各専門家とは独立した事業体として契約し、相互に紹介料を受け取りません。

よくある質問

Q. 10年を過ぎたら、もう遺産分割自体ができなくなるのですか?
A. いいえ。10年を過ぎても遺産分割そのものはできます。変わるのは分けるときの基準で、原則として特別受益・寄与分を反映した具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)で分けることになります(民法第904条の3)。相続人全員が合意すれば、具体的相続分を踏まえた内容でまとめることも可能です。

Q. 親が亡くなったのがかなり前ですが、もう手遅れですか?
A. 施行日前に始まった相続でも、経過措置により少なくとも2028年(令和10年)3月31日までは猶予があります。正確には「相続開始から10年を経過する時」と「施行日から5年を経過する時(2028年3月31日)」のいずれか遅い時までです。残り時間は被相続人の死亡日を起点に確認します。

Q. 10年の期限を止めるには何をすればよいですか?
A. 10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求(調停・審判の申立て)をすれば、その後に分割をしても特別受益・寄与分を主張できます(民法第904条の3第1号)。申立ての要否や進め方の判断は弁護士・裁判所の領域です。

Q. 遺産分割協議書の作成は行政書士に頼めますか?
A. 相続人全員の合意が成立している場合の遺産分割協議書の作成や、戸籍等による相続関係の調査は行政書士がお手伝いできます。一方、話し合いがつかず調停・審判が必要な場合は弁護士、登記は司法書士、相続税は税理士の領域で、それぞれ別々にご契約いただきます。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索・法務省「民法」第904条の3(期間経過後の遺産の分割における相続分。相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割には第903条から第904条の2までを適用しない。ただし書第1号=10年経過前の家庭裁判所への分割請求、第2号=期間満了前6箇月以内のやむを得ない事由と事由消滅時からの6箇月の請求)・第903条(特別受益)・第904条の2(寄与分)(参照日 2026-10-08)
  • e-Gov法令検索「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)附則第3条(第904条の3の経過措置。施行日前に開始した相続にも適用し、相続開始の時から10年を経過する時又は施行日から5年を経過する時のいずれか遅い時までとする)(参照日 2026-10-08)
  • 法務省「民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)」の施行期日に関する情報(第904条の3を含む遺産分割に関する規定の施行日=2023年〔令和5年〕4月1日。施行日から5年=2028年〔令和10年〕3月31日)(参照日 2026-10-08)

本記事は一般的な情報提供であり、特別受益・寄与分の有無や金額、個別の事案で10年の期限内に何をすべきかといった法的効果の最終判断や、その結論を保証するものではありません。遺産分割の基準は民法第904条の3が定め、施行前の相続の猶予は令和3年法律第24号の附則が定めています。相続関係・財産の調査や相続人全員の合意による遺産分割協議書の作成は四葉グループの行政書士が独立した事業体として担い、話し合いがつかない場合の調停・審判や期限管理を含む法的判断は弁護士、相続登記は司法書士、相続税の申告・財産評価は税理士、相続不動産の売却・活用は別事業体である四葉不動産株式会社が、それぞれ別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

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