特定遊興飲食店営業許可とは?深夜酒類提供との違いと申請の要件

深夜に客を踊らせたりショーを見せたりしながら酒と食事を出すクラブ・ラウンジは、風営法第2条第11項の「特定遊興飲食店営業」にあたり、第31条の22にもとづく都道府県公安委員会の許可が必要です。2015年改正で新設され2016年6月23日に施行された制度で、深夜酒類提供(届出)や接待飲食(風俗営業の許可)との違い、条例が定める営業所設置許容地域・保全対象施設からの距離(おおむね100メートル限度)・営業時間の制限、申請書類と構造設備の要件を整理し、物件は不動産、平面図・求積図は建築士、労務は社労士、飲食店営業許可は保健所へ分離受任で振る分担をまとめました。
結論(先に要点):深夜に客を踊らせたりショーを見せたりしながら酒と食事を出すクラブ・ラウンジ等を開くには、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条第11項の「特定遊興飲食店営業」にあたり、第31条の22にもとづいて、営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受ける必要があります。これは2015年(平成27年)の風営法改正で新設され、2016年(平成28年)6月23日に施行された比較的新しい「許可」制度です。深夜に酒を出すだけの店(届出)や、客を接待する店(風俗営業の許可)とは、必要な手続が分かれます。営業できる地域は条例が定める「営業所設置許容地域」に限られ、構造設備や欠格事由の審査もあるため、物件を借りる前に立地と構造が要件に合うかを確認しておく必要があります。本記事は、特定遊興飲食店営業許可の対象・地域・申請の要件を整理する一般的な情報提供であり、個別の許可の可否は判断しません。
特定遊興飲食店営業とはどんな営業を指すのか
風営法第2条第11項は、特定遊興飲食店営業を「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)」で、「午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)」と定めています。整理すると、次の4つをすべて満たす店が対象です。
- ①客に「遊興」をさせる
- ②客に飲食をさせる
- ③客に酒類を提供する
- ④深夜(午前0時から午前6時まで)の時間帯にも営業する
④が肝で、昼から深夜0時前までの時間帯だけで営むなら、たとえ遊興をさせても特定遊興飲食店営業には当たりません。深夜0時をまたいで遊興をさせる点が、この営業の中心です。なお「遊興」については法律に定義規定がなく、警察庁の解釈運用基準で考え方が示されています。営業者が客に積極的に働きかけて客が遊び興じる状態にすることを指し、不特定の客にショー・演芸・生演奏などを見せる、ダンスをさせる、カラオケ装置を使って歌うことを勧めて歌わせる、ゲーム・遊技をさせる、といった行為が例示されています。一方、カラオケ機器やテレビを置いて客が自ら使うだけで店が積極的に勧めない場合は、遊興に当たらないと整理されるのが一般的ですが、実態で判断されます。個別の該当性は所轄警察署が判断します。
深夜酒類提供飲食店営業や接待飲食店とは何が違うのか
深夜に酒を出す飲食店は、「接待の有無」と「遊興の有無」で手続が3つに分かれます。ここを取り違えると、必要な許可が取れないまま営業してしまう危険があります。
| 店の中身 | 必要な手続 | 根拠 |
|---|---|---|
| 接待をして飲食をさせる(スナック・クラブ等) | 風俗営業(接待飲食等営業)の許可 | 風営法第2条第1項第1号・第3条第1項 |
| 深夜に客に遊興をさせ、酒類を提供する(接待なし) | 特定遊興飲食店営業の許可 | 風営法第2条第11項・第31条の22 |
| 深夜に酒類提供が中心(接待も遊興もなし) | 深夜における酒類提供飲食店営業の届出 | 風営法第33条第1項 |
「接待」があれば、遊興の有無にかかわらず風俗営業の許可の問題になります(接待については接待をともなう飲食店(風営法1号)の許可は、どんな物件なら取れる?で整理しています)。接待はないが深夜に遊興をさせるなら特定遊興、遊興も接待もなく深夜に酒を出すだけなら届出で足ります(詳しくは深夜0時以降にお酒を出す店、届出は何がいる?)。なお、客に遊興のための設備を設けつつ、営業所内の照度を10ルクス以下として営む店は、特定遊興ではなく風俗営業(低照度飲食店。第2条第1項第3号)の規制対象になり得ます。特定遊興は照度が10ルクスを超えることが前提です。
営業できる地域と時間にどんな制限があるのか
特定遊興飲食店営業でとくに物件選びに効くのが「場所」です。この営業は、原則として都道府県の条例が定める「営業所設置許容地域」でしか営むことができません。許容地域の指定は政令の基準に従って条例で行われ、その基準の一つとして、学校・図書館・児童福祉施設・病院・診療所などの保全対象施設の敷地の周囲おおむね100メートルを限度とする区域に該当しないことが挙げられています。例外として、ホテル等の施設内で国家公安委員会規則の基準に適合した営業所(ホテル等内適合営業所)は、許容地域外でも営めるとされています。
| 項目 | 原則 |
|---|---|
| 営業できる地域 | 条例が定める営業所設置許容地域に限る(ホテル等内適合営業所は例外) |
| 保全対象施設からの距離 | 施行令は敷地の周囲おおむね100メートルを限度として条例で定める(具体値は条例で異なる) |
| 営業時間 | 法律上は一律の深夜営業禁止がないが、都道府県条例で禁止時間を定められる |
営業時間は、風俗営業のような一律の深夜営業禁止がない代わりに、都道府県の条例で営業禁止時間が定められていることがあります。許容地域の範囲・距離・禁止時間は都道府県ごとに大きく異なり、同じ通り沿いでも区画によって変わります。物件を決める前に、その所在地が営業所設置許容地域に該当するか、禁止時間はどうかを、所轄警察署(生活安全課)と条例で確認することが欠かせません(参照日 2026-10-09)。年少者の深夜の立入りや酒類提供にも制限があるため、営業の方法とあわせて事前に確認してください。
許可申請に必要な書類と構造設備の要件は何か
許可申請は、営業所の所在地を管轄する警察署を経由して公安委員会に対して行います。提出書類は都道府県で差がありますが、一般的には次のようなものが求められます(必ず所轄警察署の公式案内で最新の様式を確認してください)。
| 区分 | 書類の例 |
|---|---|
| 申請の基本 | 許可申請書、営業の方法を記載した書類、遊興をさせる方法を記載した書類 |
| 営業所 | 平面図・求積図、照明・音響設備図、営業所の使用権原を疎明する資料(賃貸借契約書等) |
| 申請者 | 住民票、誓約書、法人は定款・登記事項証明書 など |
ご自身のケースについて相談したい方へ
在留資格・許認可など、行政手続について状況をお聞かせください。
構造設備については、風営法第31条の23が風俗営業の許可に関する規定(第4条の許可の基準=欠格事由や場所的・構造的基準など)を準用しており、技術上の基準の細目は施行規則と都道府県条例で定められています。善良の風俗や清浄な風俗環境を害するおそれのある設備を設けないこと、見通しや照明に関する基準など、客室の構造が審査対象になります。図面と現況が食い違うと実地調査で指摘を受けるため、求積図・平面図の作成や内装設計は建築士・内装業者と設計段階から詰めておくのが安全です。これらは当事務所とは独立した事業体として別々にご契約いただきます。
許可が下りるまでの流れと他士業への振り分けはどうなるか
特定遊興飲食店営業の開業は、複数の専門分野にまたがります。担当は次のとおりです。
- 特定遊興飲食店営業許可の要件確認・申請書類の作成・許可申請の代理 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
- 店舗物件の賃貸借・立地(営業所設置許容地域・用途地域・保全対象施設からの距離)の事前確認 → 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)
- 平面図・求積図の作成、客室の構造・内装設計・工事 → 建築士・内装業者
- 従業員の深夜割増賃金やシフトなど労務 → 四葉社会保険労務士事務所(社会保険労務士)
- 飲食店営業許可(食品衛生法) → 保健所
四葉行政書士事務所とは別事業体の四葉不動産株式会社が、独立した事業体として別契約で、物件探し・賃貸借契約・営業所設置許容地域や保全対象施設からの距離の事前確認を担当します。平面図・求積図は建築士・内装業者、労務は四葉社会保険労務士事務所、飲食店営業許可は保健所が、いずれも独立した事業体・所管として別々にご契約・お手続きいただきます。各分野は、それぞれの窓口・資格者と別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。許可の可否と審査は、都道府県公安委員会(所轄警察署)が判断します。
よくある質問
Q. 深夜に営業しなければ特定遊興の許可は要らないのですか?
A. そのとおりです。風営法第2条第11項は、午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むものを特定遊興飲食店営業から除いています。昼から深夜0時前までの時間帯だけで遊興をさせる店は、この許可の対象ではありません。深夜0時をまたいで客に遊興をさせ、酒類を提供する点が特定遊興の中心です。個別の該当性は所轄警察署が判断します。
Q. 「遊興させる」とは具体的に何を指しますか?
A. 法律に定義はなく、警察庁の解釈運用基準で考え方が示されています。営業者が客に積極的に働きかけて客が遊び興じる状態にすることを指し、不特定の客にショー・生演奏を見せる、ダンスをさせる、カラオケを勧めて歌わせる、ゲーム・遊技をさせる、などが例示されています。カラオケ機器を置いて客が自由に使うだけで店が勧めない場合は遊興に当たらないと整理されるのが一般的ですが、実態で判断されます。
Q. 接待をともなう店や深夜に酒を出すだけの店とは、手続がどう違いますか?
A. 接待をするなら風俗営業(接待飲食等営業)の許可、接待はないが深夜に遊興をさせるなら特定遊興飲食店営業の許可、遊興も接待もなく深夜に酒を出すだけなら深夜における酒類提供飲食店営業の届出です。遊興と接待のどちらにあたるかで手続が変わるため、営業の方法を具体的に整理してから物件を選ぶことが大切です。
Q. どんな物件なら特定遊興の許可が取れますか?
A. 原則として、都道府県条例が定める営業所設置許容地域にある物件に限られます(ホテル等内適合営業所は例外)。許容地域は、保全対象施設の敷地の周囲おおむね100メートルを限度とする区域などを避けて条例で指定され、距離や範囲は都道府県で異なります。物件を決める前に、所轄警察署(生活安全課)でその所在地が許容地域に該当するかを確認してください。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(昭和23年法律第122号)第2条第1項第1号・第3項、第2条第11項、第3条第1項、第13条第1項、第31条の22、第31条の23、第33条第1項(参照日 2026-10-09)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号)(構造設備の技術上の基準・申請書類)(参照日 2026-10-09)
- 警察庁生活安全局「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」(「遊興」の考え方)(参照日 2026-10-09)
- 各都道府県の風俗営業等の規制条例(営業所設置許容地域・営業禁止時間・保全対象施設からの距離)(参照日 2026-10-09)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第45号。特定遊興飲食店営業の新設、2016年〔平成28年〕6月23日施行)(参照日 2026-10-09)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の許可の可否、営業所設置許容地域への該当性、構造設備基準の適合、必要書類、審査期間、欠格事由の該当性を保証するものではありません。許容地域・距離・営業禁止時間・様式は都道府県ごとに異なるため、必ず営業所の所在地の条例と所轄警察署(生活安全課)の公式案内で確認してください。特定遊興飲食店営業許可の可否と審査は都道府県公安委員会(所轄警察署)が判断します。店舗物件の賃貸借・立地の確認は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、平面図・求積図は建築士・内装業者、労務は四葉社会保険労務士事務所(社会保険労務士)、飲食店営業許可は保健所が、それぞれ独立した事業体・所管として別々にご契約・お手続きのうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
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