貨物利用運送事業の第一種登録と第二種許可、どちらが要る?──車両を持たず運送を手配する事業の手続き
自社でトラックを持たず、他社の運送を手配して荷物を運ぶ利用運送には、貨物利用運送事業法の手続きが必要です。トラック等の利用運送や集配を伴わない利用運送は第一種登録(法第3条第1項)、船舶・航空・鉄道の運送と集配を一貫して引き受ける場合は第二種許可(法第20条)に分かれます。財産的基礎(純資産300万円以上)、営業所・保管施設の要件、登録免許税、一般貨物(緑ナンバー)・軽貨物(黒ナンバー)との違いを整理し、会社設立の登記は司法書士、営業所・保管施設の物件は不動産へ分離受任で振る分担を示しました。
結論(先に要点):自社でトラックを持たず、他社の運送を手配して荷物を運ぶ事業(利用運送)を始めるには、貨物利用運送事業法にもとづく手続きが必要です。トラック・鉄道・内航海運など、船舶・航空・鉄道以外の利用運送や、集配を伴わない利用運送は同法第3条第1項の「第一種貨物利用運送事業」の登録(国土交通大臣)で足ります。これに対し、船舶・航空・鉄道による運送と、その前後の集配(トラック集荷・配達)を一貫して引き受ける場合は、同法第20条の「第二種貨物利用運送事業」の許可が必要です。本記事は、第一種と第二種の分かれ目、財産的基礎(純資産300万円以上)や営業所・保管施設の要件、一般貨物(緑ナンバー)との違いを、行政書士の視点で整理する一般的な情報提供です。個別の登録・許可の可否は運輸局の審査によります。
貨物利用運送の第一種登録と第二種許可は何が違う?
貨物利用運送事業とは、自らは運送手段(船舶・航空機・鉄道車両・トラック)を持たず、実際に運送を行う運送事業者(実運送事業者)の運送を利用して、荷主に対し運送を引き受ける事業です。貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)は、これを「第一種」と「第二種」に分けています。
| 区分 | 手続き | 対象となる事業(要旨) |
|---|---|---|
| 第一種貨物利用運送事業 | 国土交通大臣の登録(法第3条第1項) | 第二種以外の利用運送。トラック(自動車)の利用運送のほか、船舶・航空・鉄道の利用運送でも、荷主先での集配(門から門までの一貫輸送)を伴わないもの |
| 第二種貨物利用運送事業 | 国土交通大臣の許可(法第20条) | 船舶運航事業者・航空運送事業者・鉄道運送事業者の運送を利用し、その運送に先行・後続する集配(トラック等による集荷・配達)を一貫して引き受けるもの |
分かれ目は「集配とセットで、船舶・航空・鉄道の運送を一貫して引き受けるか」です(法第2条第7項・第8項の定義)。たとえば海上コンテナを港から港まで手配するだけなら第一種、荷主の倉庫から集荷し、船で運び、着地でトラック配送まで通しで引き受けるなら第二種、という整理になります。トラックだけを使って手配する国内の利用運送は第一種です。四葉行政書士事務所では、行政書士業務の範囲で、どちらに当たるかの確認、事業計画・申請書類の作成、申請の代理を支援します。個別の登録・許可の可否は運輸局の審査によります。
第一種登録に必要な財産的基礎と営業所の要件は?
第一種貨物利用運送事業の登録は、法第6条の登録拒否事由に当たらないことが条件です。実務で問題になりやすいのは、財産的基礎(同条第7号)と施設(同条第6号)です。
| 事項 | 内容(要旨) |
|---|---|
| 財産的基礎 | 貨物利用運送事業法施行規則第8条により、純資産額300万円以上が目安。貸借対照表の資産総額から繰延資産・営業権を除いた額から負債総額を差し引いて算定する。設立後まだ決算を迎えていない法人は、資本金300万円以上で足りるとされる |
| 営業所 | 使用権原があること。都市計画法・建築基準法など関係法令に適合した場所であること |
| 保管施設 | 保管を行う場合に、荷物の保管に適した施設を確保していること。保管を行わない形態なら不要 |
| 欠格事由 | 法第6条第1項各号(許可取消しから一定期間を経過しない者など)に当たらないこと |
登録が済むと、登録免許税として9万円を納付します(登録免許税法別表第一。金額は書く時点の税率で確認してください)。営業所や保管施設の物件は、用途地域や使用権原の確認が先に必要になるため、物件を決める前に要件へ照らして確認しておくとやり直しを避けられます。物件側の要件は、別事業体の四葉不動産株式会社がまとめた運送業の営業所・車庫の物件要件もあわせてご確認ください。
第二種許可で国際輸送や集配までやるには何が要る?
第二種貨物利用運送事業の許可(法第20条)は、船舶・航空・鉄道の運送に、トラック等による集配を一貫して組み合わせる事業に必要です。国際海上輸送・国際航空輸送のフォワーダー(利用運送)でこの許可を取得する例が多く見られます。
| 事項 | 内容(要旨) |
|---|---|
| 財産的基礎 | 第一種と同様、施行規則により純資産額300万円以上が目安 |
| 集配体制 | 集配を行う区域と、集配を担う運送(自ら行う貨物自動車運送事業、または他の運送事業者への委託)の体制を、運送の安全が確保されるよう計画すること |
| 営業所・保管施設 | 事業の遂行に必要な施設を確保していること |
| 許可・登録免許税 | 許可後に登録免許税として12万円を納付(登録免許税法別表第一。金額は書く時点の税率で確認) |
国際輸送では、外国の実運送事業者の運送を利用する場合の取扱いや、国際約款の届出など、国内完結の場合と異なる論点が加わります。第二種は「集配を一貫して引き受ける」点が第一種との違いなので、集配を自社トラックで行うなら別途、一般貨物自動車運送事業の許可が要るのかも含めて設計が必要です。
一般貨物(緑ナンバー)と利用運送はどう使い分ける?
「自分でトラックを持って運ぶ」のか「他社の運送を手配する」のかで、必要な手続きが根本的に変わります。
ご自身のケースについて相談したい方へ
在留資格・許認可など、行政手続について状況をお聞かせください。
| 事業の形 | 必要な手続き | 根拠 |
|---|---|---|
| 自社のトラック(緑ナンバー)で有償運送する | 一般貨物自動車運送事業の許可 | 貨物自動車運送事業法第3条 |
| 軽トラック等(黒ナンバー)で有償運送する | 貨物軽自動車運送事業の届出 | 貨物自動車運送事業法 |
| 車両を持たず他社の運送を手配する(トラック・国内) | 第一種貨物利用運送事業の登録 | 貨物利用運送事業法第3条第1項 |
| 船舶・航空・鉄道+集配を一貫して引き受ける | 第二種貨物利用運送事業の許可 | 貨物利用運送事業法第20条 |
自社車両で運ぶ一般貨物の要件(営業所・車庫・最低車両数など)は、一般貨物自動車運送事業の許可|営業所・車庫の要件で、軽貨物(黒ナンバー)の届出は貨物軽自動車運送事業の届出で扱っています。実運送を自社で行うのか、手配に徹するのかによって、利用運送だけでよいのか、運送業の許可も要るのかが決まります。
登録・許可の申請から開業までの流れは?
第一種(登録)と第二種(許可)で流れは似ていますが、審査の重さが違います。
| 段階 | 内容・目安 |
|---|---|
| 事前確認 | 第一種か第二種か、財産的基礎(純資産300万円以上)を満たすか、営業所・保管施設を確保できるかを確認 |
| 申請書の提出 | 管轄の地方運輸局(外国船舶等が絡む一部は国土交通省本省)へ提出 |
| 標準処理期間 | 運輸局が公示。第一種はおおむね2〜3か月、第二種はおおむね3〜4か月が目安(書類の不備・補正がない場合。申請先の最新の案内で確認) |
| 登録・許可 | 登録免許税を納付(第一種9万円・第二種12万円) |
| 開業 | 運賃・料金の設定・届出など、開業に伴う手続きを済ませて事業開始 |
四葉行政書士事務所では、行政書士業務の範囲で、区分の確認、事業計画・申請書類の作成、申請代理を支援します。会社を新たに設立する場合の設立登記は司法書士、営業所・保管施設の物件探しは宅地建物取引業者が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務の全体像は許認可・各種申請サービスをご覧ください。
よくある質問
Q. トラックを1台も持たなくても事業を始められますか?
A. はい。貨物利用運送事業は、自らは運送手段を持たず、実運送事業者の運送を利用して荷主に運送を引き受ける事業です。トラック等の利用運送で集配を伴わないものは第一種貨物利用運送事業の登録(貨物利用運送事業法第3条第1項)で始められます。自社車両で運ぶ場合は、別に一般貨物自動車運送事業の許可などが必要です。
Q. 第一種と第二種はどちらを選べばよいですか?
A. 荷主先での集配(集荷・配達)とセットで、船舶・航空・鉄道の運送を一貫して引き受けるなら第二種の許可、そうでなければ第一種の登録が基本です。トラックだけを使って国内で手配する利用運送は第一種です。どちらに当たるかは事業の形によるため、事業計画に照らした確認をおすすめします。
Q. 資本金はいくら必要ですか?
A. 第一種・第二種とも、財産的基礎として純資産額300万円以上が目安です(貨物利用運送事業法施行規則第8条)。設立してまだ決算を迎えていない法人は、資本金300万円以上で足りるとされています。純資産の算定方法や添付書類は申請先で確認してください。
Q. 国際輸送のフォワーダーをやりたい場合はどうなりますか?
A. 船舶・航空による国際運送に、集配(トラック集荷・配達)を一貫して組み合わせるなら、第二種貨物利用運送事業の許可が典型です。集配を伴わず港から港・空港から空港までの手配にとどまるなら第一種に当たる場合があります。国際約款の届出など国内完結とは異なる論点もあるため、個別に確認が必要です。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「貨物利用運送事業法」(平成元年法律第82号)第2条・第3条第1項・第6条・第20条(参照日 2026-09-15)
- 貨物利用運送事業法施行規則第8条(財産的基礎の算定=純資産額300万円以上)(参照日 2026-09-15)
- 国土交通省「貨物利用運送事業の登録・許可の手引き」(第一種・第二種の区分、営業所・保管施設・集配体制の要件、標準処理期間の目安)(参照日 2026-09-15)
- 登録免許税法別表第一(第一種の登録9万円・第二種の許可12万円)(参照日 2026-09-15)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の登録・許可の可否、必要書類、審査期間を保証するものではありません。財産的基礎の算定や集配体制の細部、標準処理期間は申請先の地方運輸局・国土交通省の最新の手引きで確認してください。会社の設立登記は司法書士、営業所・保管施設の物件探しと賃貸借は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応し、当事務所は紹介料を受け取りません。四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|火・水 10:00〜19:00/月・木・金・土・日 18:00〜19:00
