サ高住にできる物件の条件は?各戸25㎡・バリアフリーの実際──高齢者住まい法の登録基準
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)として登録できる物件の骨格は、各戸原則25㎡以上(共用部分が十分なら18㎡以上)、各戸または共用部分の台所・便所・洗面・浴室・収納、廊下幅・段差・手すりのバリアフリー、少なくとも安否確認と生活相談の提供の4つです。既存建物でも満たせますが、床面積と共用設備の作りで可否が決まります。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、高齢者の居住の安定確保に関する法律と国交省・厚労省の案内から物件条件を整理します。
結論(先に要点):サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)として登録できる物件の骨格は、①各戸の床面積が原則25㎡以上(共用部分が十分なら18㎡以上)②各戸または共用部分に台所・便所・洗面・浴室・収納③廊下幅・段差・手すりのバリアフリー④少なくとも安否確認(状況把握)と生活相談のサービス提供、の4つです。これは高齢者住まい法の登録基準であり、建物の設計・改修に加えて、契約や運営のルールも合わせて問われます。既存建物でも満たせますが、床面積と共用設備の作りで可否が決まります。
「空いているアパートをサ高住にできないか」というご相談は増えています。ただ、サ高住は自由に名乗れる住宅ではなく、高齢者住まい法に基づく登録制度です。本記事は、東京でサ高住を検討する不動産オーナー・事業者に向けて、登録できる物件・建物の条件を、高齢者の居住の安定確保に関する法律の条文と国土交通省・厚生労働省の案内から順に整理したものです。可否と数値の最終確認は、登録主体である都道府県・政令市等の窓口で行います。
サ高住として登録できる物件の最低条件は?
サ高住は、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)第5条に基づく登録を受けた高齢者向けの賃貸住宅等です。登録の主体は都道府県知事(政令指定都市・中核市ではその長)で、登録には有効期間があり5年ごとに更新します(2026年8月25日参照)。
登録基準の骨格は、大きく「住宅そのもの」「提供するサービス」「契約」の3つに分かれます。
| 区分 | 登録基準の骨格 |
|---|---|
| 規模 | 各戸の床面積は原則25㎡以上(居間・食堂・台所等の共用部分が十分な面積を有する場合は18㎡以上) |
| 設備 | 各戸に台所・水洗便所・収納設備・洗面設備・浴室を備える(共用部分に共同利用のため適切に備える場合は各戸への設置を要しないものがある。ただし便所・洗面は各戸が基本) |
| 構造 | バリアフリー構造(廊下幅の確保、段差の解消、手すりの設置) |
| サービス | 少なくとも状況把握(安否確認)サービスと生活相談サービスを提供。ケアの専門家が関与 |
| 契約 | 居住部分が明示された書面契約。家賃・敷金・サービス対価以外の金銭を徴収しない。前払金には返還ルールと保全措置。入居者の同意なく居住部分の変更・契約解除をしない |
注意すべきは、床面積や設備の数値は住宅の基準であって、サービスや契約のルールと合わせて「登録基準」を構成するということです。 建物だけを整えても、サービス体制や契約書が基準に届かなければ登録されません。物件の話としてまず効くのは、床面積とバリアフリー、そして共用設備をどう作るかです。
各戸25㎡・共用設備・バリアフリーは既存建物でも満たせる?
満たせる場合はありますが、既存建物ほど床面積と共用部分の作りで可否が分かれます。
第一に床面積です。各戸25㎡以上が原則で、これを満たせない狭い住戸でも、居間・食堂・台所などの共用部分に十分な面積があれば18㎡以上まで緩和されます。つまり「各戸を広げる」か「共用部分を厚くする」かの設計判断になります。既存のワンルームアパートを転用する場合、この共用部分をどこに確保するかが最初の関門です。
第二に設備です。各戸に台所・便所・洗面・収納・浴室を備えるのが基本ですが、共用部分に共同利用の設備として適切に備えれば、各戸への設置を要しないものがあります(台所・浴室・収納など)。ただし水洗便所と洗面設備は各戸に備えるのが基本です。この緩和をどう使うかで、改修の規模が大きく変わります。
第三にバリアフリーです。廊下の幅、段差の解消、手すりの設置などの構造基準に適合させる必要があります。既存建物では、廊下幅や階段・エレベーターの有無が、改修で満たせるかどうかの分かれ目になります。
| 契約前に確認 | なぜ効くか |
|---|---|
| 各戸の床面積と間取り | 25㎡(緩和で18㎡)を満たせるか。住戸の統合が要ることも |
| 共用部分に取れる面積 | 床面積緩和・共用設備緩和の可否を左右する |
| 廊下幅・段差・エレベーター | バリアフリー適合の改修規模を左右する |
| 給排水・電気容量 | 共用の台所・浴室、状況把握機器の導入に影響 |
| 用途・構造 | 用途変更の確認申請や耐震の要否に関わる |
床面積やバリアフリーの適合、用途変更の確認申請の要否は、建築確認・設計の領域です。当社(不動産会社)は、物件がサ高住の登録基準を満たせるかの下調べと、取得・賃貸借の条件交渉に伴走します。 設計判断や適合の可否そのものは建築士が行います。介護事業所一般の物件の詰まり方は「介護事業所の物件が見つからない本当の理由」に、賃貸借契約のどこを読むかは「賃貸借契約書、どこを読めばいいか」に整理しています。
登録申請・建築確認・介護サービス指定は誰が担う?
サ高住は複数の専門家が関わります。役割は分かれています。
| やること | 担い手 |
|---|---|
| 物件の調査・取得・賃貸借の媒介と契約 | 宅地建物取引業者(当社) |
| サ高住登録の申請書類の作成 | 行政書士 |
| バリアフリー適合・用途変更等の設計、建築確認 | 建築士 |
| 介護保険サービス(特定施設入居者生活介護等)の指定申請 | 別手続(指定権者への申請) |
サ高住は「住宅」の登録であって、その中で介護サービスを提供するかどうかは別の制度です。入居者に介護保険サービスを提供するなら、状況に応じて別途の指定や届出が要ります。 住宅の登録と介護サービスの指定を混同すると、開設の段取りを見誤ります。
サ高住登録の申請など官公署に提出する書類の作成は、四葉行政書士事務所が承ります。登録主体・様式・登録基準の運用(自治体独自の高齢者居住安定確保計画による上乗せ等)は変わります。着手時点で登録主体である自治体のページを直接ご確認ください。 事業用物件全般は投資用・事業用不動産、事務所と許認可の関係は会社設立とオフィス選びをご覧ください。用途地域と容積率が土地の値づけをどう動かすかは「日本の土地値はなぜ『容積率』で変わるのか」に整理しています。
費用と期間の目安はどのくらい?(表)
費用と期間は、物件の状態(新築か既存改修か)と自治体の運用で大きく変わります。全国一律の定価はありません。 ここでは金額を断定せず、何にお金と時間がかかるかの「項目」として整理します。
| 項目 | 目安の考え方 | 担い手 |
|---|---|---|
| 建築・改修費 | 床面積・バリアフリー・共用設備の作りで大きく変動。最大の変動要因 | 建築士・施工業者 |
| 設計・確認申請 | 用途変更の確認申請が要ると期間が延びる | 建築士 |
| 登録申請 | 自治体の様式に沿った書類作成。手数料は自治体による | 行政書士 |
| 登録の有効期間 | 5年(更新が必要) | — |
| 状況把握・生活相談の体制 | 人員配置・機器導入の運営コスト | 事業者 |
期間は、既存建物の改修規模と用途変更の要否で数か月単位で動きます。 具体の金額・期間・自治体独自の基準は本記事では確定できないため、未検証として扱い、登録主体と建築士に個別にご確認ください。 数字の目安を無理に置くよりも、変動要因を押さえて計画するほうが安全です。
誰に相談すればよいですか?
物件の調査、取得・賃貸借の媒介、売買・賃貸借の契約は、四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。サ高住登録の申請など官公署に提出する書類の作成は、四葉行政書士事務所が承ります。バリアフリー適合・用途変更の設計や建築確認は建築士が、介護保険サービスの指定申請は別手続として扱います。
この2つ(不動産会社・行政書士事務所)はそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社・当事務所は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。設計・建築確認は建築士、登記は司法書士、税務は税理士、労務は社会保険労務士(2026年9月開業予定)へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。相談は無料です。
よくある質問
Q. 各戸が18㎡でもサ高住として登録できますか?
A. できる場合があります。各戸の床面積は原則25㎡以上ですが、居間・食堂・台所その他の高齢者が共同で利用するための十分な面積の設備がある場合は18㎡以上まで緩和されます(高齢者の居住の安定確保に関する法律の登録基準)。共用部分の面積の取り方で可否が変わるため、設計段階で建築士と登録主体に確認してください。
Q. 既存のアパートをサ高住に転用できますか?
A. 床面積・バリアフリー・共用設備の基準を満たせれば可能です。ただし、廊下幅や段差、共用部分の面積、給排水の作りが基準に届かないと、改修や用途変更の確認申請が必要になります。既存建物では、まず各戸の床面積と共用部分に取れる面積を確認するのが出発点です。
Q. サ高住なら介護サービスも当然に提供できますか?
A. いいえ。サ高住は「住宅」の登録であり、状況把握(安否確認)と生活相談の提供が登録の基準です。入居者に介護保険サービスを提供するには、状況に応じて別途の指定や届出が必要です。住宅の登録と介護サービスの指定は別の制度なので、分けて段取りしてください。
Q. サ高住の登録申請は不動産会社に頼めますか?
A. いいえ。官公署に提出する登録申請書類の作成は行政書士の業務で、四葉行政書士事務所が承ります。物件の調査・媒介・契約は四葉不動産株式会社が承ります。バリアフリー適合や用途変更の設計・建築確認は建築士が担います。いずれも独立した事業体として、それぞれ直接ご契約いただきます。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(平成13年法律第26号。第5条=サービス付き高齢者向け住宅事業の登録(都道府県知事等)、第7条=登録の基準(規模・構造・設備・サービス・契約に関する基準)、登録の有効期間(5年)と更新。2026年8月25日参照)
- 国土交通省「高齢者の居住の安定確保に関する法律(住宅)」(サ高住登録制度の概要。各戸25㎡以上(共用部分が十分なら18㎡以上)、各戸の設備、バリアフリー、状況把握・生活相談サービス、前払金の保全等。2026年8月25日参照)
- サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(国土交通省)「制度について」(登録基準・登録の主体・情報提供。2026年8月25日参照)
※各戸の床面積・共用設備の緩和・バリアフリーの具体的な数値や、自治体独自の高齢者居住安定確保計画による上乗せ基準は、国土交通省令・厚生労働省令および各自治体の運用によって定まり、自治体ごとに異なります。本記事は個別の物件について判断していません。着手時点で登録主体である自治体の窓口と建築士に確認してください。
※用途変更の確認申請の要否・耐震やバリアフリーの適合は、物件の床面積・構造・区域の指定によって変わります。最終判断は建築士・特定行政庁の窓口で行ってください。
※費用・期間の具体額は物件と自治体の運用で大きく変動し、本記事では確定していません(未検証)。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件の可否や登録の受理を判断・保証するものではありません。
※物件の調査・媒介および売買・賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、登録申請等の官公署提出書類の作成は四葉行政書士事務所が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。
この記事の執筆者
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。物件(不動産)と登録(行政手続)の論点を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。
「これ、どうしたらいい?」の一言からで大丈夫です。
代表が直接お返事し、ご希望を伺って条件に合う物件があればLINEでご紹介します。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|10:00〜18:00(定休:火・水)
