放課後児童クラブ(学童保育)に使える物件は?用途地域と面積・避難の目安
放課後児童クラブ(学童保育=放課後児童健全育成事業)に使える物件は、用途地域(工業専用地域では児童福祉施設等を建てられず、それ以外の12地域は原則可)、専用区画の面積(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準〈平成26年厚生労働省令第63号〉第9条=児童1人おおむね1.65㎡以上・静養区画を含む)、避難、消防、耐震の5点で決まります。放課後等デイサービスとは別制度です。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、契約前に確認できることを条文と省令から整理します。
結論(先に要点):放課後児童クラブ(学童保育=放課後児童健全育成事業)に使える物件は、①用途地域(建築基準法別表第二。工業専用地域では児童福祉施設等を建てられず、それ以外の12地域は原則可)、②専用区画の面積(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準〈平成26年厚生労働省令第63号〉第9条=児童1人につきおおむね1.65㎡以上・静養区画を含む)、③避難のしやすさ(児童の活動室を2階以上に置くなら避難経路と防火の確認)、④消防(消防法施行令別表第一の用途区分)、⑤耐震(新耐震=昭和56年6月以降か)——おおむねこの5点で決まります。可否の最終確認は特定行政庁・市町村・消防署の窓口で行います。
「放課後等デイサービスの物件要件は前に読んだが、学童も同じでよいのか」という質問をよく受けます。答えは「別制度なので物件の見方も一部違う」です。本記事は、貸主・借主が物件を選ぶ段階で確認できる学童(放課後児童クラブ)の適合条件を、条文と省令から整理したものです。事業の届出そのもの(放課後児童健全育成事業の届出)は行政書士または事業者ご本人が市区町村に行う手続で、当社は代行しません。用途変更の確認申請が要る規模なら建築士へ振り分けます。
放課後児童クラブと放課後等デイサービスは、物件要件も別物ですか?
はい、別物です。名前が似ていて混同されがちですが、根拠法・所管・面積基準が違います。ここを取り違えると、探すべき物件も相談先も変わってしまいます。
放課後児童クラブ(学童保育)は、児童福祉法第6条の3第2項が定める「放課後児童健全育成事業」です。小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に適切な遊び及び生活の場を与えて健全な育成を図る事業を指します。障害の有無を問わない、いわゆる「学童」です。
一方の放課後等デイサービスは、児童福祉法第6条の2の2に基づく障害児通所支援の一つで、障害のある就学児が対象です。両者は所管も手続も基準も別です。
| 放課後児童クラブ(学童) | 放課後等デイサービス | |
|---|---|---|
| 根拠法 | 児童福祉法6条の3第2項 | 児童福祉法6条の2の2(障害児通所支援) |
| 対象 | 小学生(保護者が昼間家庭にいない) | 障害のある就学児 |
| 手続 | 市町村長へ届出(34条の8第2項) | 都道府県・指定都市等の指定 |
| 設備基準 | 省令第63号+市町村条例 | 省令第15号+自治体条例 |
| 面積 | 専用区画 児童1人おおむね1.65㎡ | 指導訓練室等(自治体条例) |
放課後等デイの物件要件は放課後等デイサービスの物件は用途地域・1階・面積・採光で決まるに、保育所は小規模保育の物件と用途地域に別途整理しています。本記事は学童(放課後児童クラブ)に絞ります。
学童の物件は、どの用途地域なら使えますか?
放課後児童クラブは、建築基準法上は**「児童福祉施設等」(児童厚生施設に準じた扱い)とされるのが一般的です。用途地域による建築の可否は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第48条と別表第二**で決まります。
大づかみに言うと、工業専用地域では児童福祉施設等を建てられません。それ以外の12の用途地域では原則として建築できます。第一種・第二種低層住居専用地域や田園住居地域でも児童福祉施設等は原則建てられますが、規模や周辺環境との関係で確認が要る場合があります。学童は住宅街の中に置かれることが多く、この点は実務上あまり詰まりません。
| 用途地域 | 児童福祉施設等の建築 |
|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用、田園住居 | 原則可(規模等の確認が要る場合あり) |
| 中高層・住居系(第一種中高層〜準住居) | 可 |
| 近隣商業・商業 | 可 |
| 準工業・工業 | 可 |
| 工業専用 | 不可 |
「その地域なら必ず使える」保証ではありません。用途地域上は可でも、次の面積・避難・消防・耐震で詰まることがあります。用途地域上の可否の最終確認は特定行政庁で行います。
1人あたりの面積・静養スペース・避難の目安は?
面積の骨格は、**放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号)**が定めます。核心は次の3つです。
- 専用区画の面積:第9条第2項は、遊び及び生活の場としての機能**並びに静養するための機能を備えた区画(専用区画)**の面積を、児童1人につきおおむね1.65㎡以上と定めます。静養スペースは別枠の努力ではなく、この専用区画の要素として求められます。
- 支援の単位:第10条第4項は、一の支援の単位を構成する児童の数をおおむね40人以下とします。1つの区画に無制限に受け入れられるわけではありません。
- 職員:第10条は、放課後児童支援員を支援の単位ごとに2人以上置くこと、支援員は保育士・社会福祉士等で都道府県知事等の研修を修了した者であることを定めます(1人を除き補助員に代えられます)。
物件を選ぶ段階では、まず「**児童数×1.65㎡の専用区画が取れるか」「静養できる区画を確保できるか」を見ます。40人規模なら専用区画だけでおおむね66㎡以上が目安になります。ただし、この省令は地方分権の流れで「参酌すべき基準」**となっており、実際に適用される数値は市町村の条例で定められます。1.65㎡・40人はあくまで国の目安で、開設予定の市区町村の条例・運営要綱で確認するのが実務です。
| 見る項目 | 何で決まるか | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 専用区画の面積 | 省令第63号(1人おおむね1.65㎡)+市町村条例 | 市町村(子育て支援課等) |
| 静養スペース | 専用区画の機能として(第9条) | 市町村 |
| 支援の単位(おおむね40人以下) | 省令第63号第10条+市町村条例 | 市町村 |
| 避難(2階以上に置く場合) | 建築基準法の避難規定・自治体運用 | 特定行政庁 |
避難については、児童の活動室を2階以上に置く場合に、建築基準法の避難規定や自治体の運用で避難経路・防火の確認が加わります。1階でワンフロア完結なら、この論点は軽くなります。
戸建てや空き店舗を学童に転用できますか?(用途変更が要る規模とは)
できます。実務では空き店舗や戸建ての転用が多く、ここで見るのは用途変更の確認申請・耐震・消防です。
用途変更については、建築基準法第87条第1項が、建築物の用途を変更して特殊建築物(別表第一(い)欄の用途)とし、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超える場合に、確認申請の規定(第6条)を準用すると定めています。児童福祉施設等はこの特殊建築物に当たります。裏を返すと、200㎡以下なら用途変更の確認申請は不要です(この200㎡への引き上げは2019年〈令和元年〉6月25日施行の改正によるもの。それ以前は100㎡でした)。
ただし「確認申請が不要=そのまま使ってよい」ではありません。申請が要らない規模でも、避難・防火・消防への適合は別途必要です。耐震は昭和56年6月1日以降の新耐震基準かが最初の分かれ目で、旧耐震なら診断・補強が課題になります。消防は消防法施行令別表第一の用途区分で扱いが変わり、自動火災報知設備などの要否は所轄消防署で確認します。
| 項目 | 確認すること | 確認先 |
|---|---|---|
| 用途変更の確認申請 | その用途部分が200㎡超か(法87条1項) | 特定行政庁・建築士 |
| 耐震 | 昭和56年6月以降の新耐震か。旧耐震なら診断・補強 | 建築士・特定行政庁 |
| 消防 | 用途区分と消防用設備の要否 | 所轄消防署 |
床面積が200㎡を超えるかの判断、用途変更の設計・手続は建築士(設計者)の領域です。当社は物件の床面積や現況を確認して見立てをお伝えしますが、用途変更の可否の最終判断と申請は建築士へ直接ご依頼いただく形をご案内します。
物件を押さえる前に、市区町村へ何を確認しておきますか?
学童は市町村が地域の実情に応じて実施主体となる事業で、補助金や運営の枠組みが自治体ごとに大きく違います。物件を押さえる前に、開設予定の市区町村へ次を確認しておくと手戻りが減ります。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 面積・支援の単位の条例基準 | 省令は「参酌すべき基準」。実数は市町村条例で決まる |
| 届出の要否・様式(34条の8第2項) | 民間が行うときは市町村長へあらかじめ届出が要る |
| 補助・委託の要綱と募集時期 | 自治体運営・補助の枠がある地域では物件要件が定まる |
| 消防・建築の事前相談 | 転用時の設備負担を契約前に把握できる |
物件の間取りが基準に届くかの見立てと、賃貸・売買の媒介は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。役割は次のように分かれます。
| 担い手 | 役割 |
|---|---|
| 宅地建物取引業者(当社) | 物件の用途地域・面積・現況の確認と、賃貸・売買の媒介 |
| 行政書士 | 放課後児童健全育成事業の届出書類の作成・自治体協議 |
| 建築士 | 用途変更の確認申請の要否判断・設計・手続 |
| 所轄消防署・消防設備士 | 消防用設備の要否判断・設置 |
| 司法書士 | 会社設立・不動産の登記 |
事業の届出は行政書士または事業者ご本人、用途変更の確認申請は建築士、消防用設備は消防設備士、会社設立や登記は司法書士へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。 これらはそれぞれ独立した事業体であり、当社とは別々にご契約いただきます。当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。相談は無料です。事業用物件全般の相談は事業用不動産の相談、開業に向けた物件探しは事業所・オフィスの相談にまとめています。
よくある質問
Q. 放課後児童クラブと放課後等デイサービスは、同じ物件基準で探してよいですか?
A. 別制度なので基準が違います。学童(放課後児童クラブ)は児童福祉法6条の3第2項の事業で、専用区画は児童1人おおむね1.65㎡(省令第63号)、手続は市町村長への届出です。放課後等デイは障害児通所支援で、面積基準も手続(指定制)も別です。物件を探す前に、どちらの事業かをはっきりさせてください。
Q. 専用区画は何㎡必要ですか?
A. 省令第63号第9条は、静養機能を含む専用区画を児童1人につきおおむね1.65㎡以上と定めます。40人規模ならおおむね66㎡以上が目安です。ただしこの省令は「参酌すべき基準」で、実際の数値は開設予定の市区町村の条例で確認してください。
Q. 民間が学童を始めるとき、届出はどこに出しますか?
A. 国・都道府県・市町村以外の者が放課後児童健全育成事業を行うときは、児童福祉法34条の8第2項により、あらかじめ市町村長へ届け出ます。届出書類の作成は行政書士が承ります。当社は届出を代行しません。物件の紹介と、届出手続はそれぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。
Q. 事務所を学童に変えると、必ず用途変更の確認申請が要りますか?
A. その用途に供する部分の床面積が200㎡を超える場合に、建築基準法第87条第1項により確認申請が必要です。200㎡以下なら確認申請は不要ですが、避難・防火・消防への適合は別途必要です。床面積の判断と申請は建築士へ直接ご依頼ください。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「児童福祉法」(昭和22年法律第164号。第6条の3第2項=放課後児童健全育成事業の定義、第34条の8第2項=市町村以外の者が行うときの市町村長への届出。2026年8月30日参照)
- 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号)(第9条第2項=専用区画〈遊び及び生活の場・静養機能〉の面積は児童1人につきおおむね1.65㎡以上、第10条=放課後児童支援員は支援の単位ごとに2人以上・資格と研修、第10条第4項=一の支援の単位はおおむね40人以下。2026年8月30日参照)
- e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号。第48条・別表第二=用途地域ごとに建築できる建築物〈工業専用地域では児童福祉施設等を建築できない〉、第87条第1項=用途を変更して特殊建築物とし床面積200㎡超となる場合の確認申請の準用。2026年8月30日参照)
- 国土交通省「建築基準法改正により小規模な建築物の用途変更の手続きが不要となりました(2019年6月25日施行)」(用途変更の確認申請が必要となる規模を100㎡超から200㎡超へ引き上げ。確認申請が不要でも法令適合は必要。2026年8月30日参照)
※用途地域上の建築の可否、面積・支援の単位の基準、用途変更の確認申請の要否、消防用設備の要否は、物件ごと・自治体ごとに異なります。本記事は個別の物件について判断していません。面積・支援の単位・届出は開設予定の市区町村、用途地域と用途変更は特定行政庁、消防用設備は所轄消防署の窓口で最終確認してください。
※専用区画1.65㎡・支援の単位40人などの数値は「参酌すべき基準」であり、実際に適用される数値は市町村の条例で定められます。本記事の数値は国の目安です。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件で学童の届出・運営が成り立つことを判断・保証するものではありません。
※物件の調査・見立て・媒介は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が承ります。放課後児童健全育成事業の届出は行政書士または事業者ご本人、用途変更の確認申請は建築士、消防用設備は消防設備士、会社設立・登記は司法書士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。
この記事の執筆者
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。物件(不動産)と手続(行政・許認可)の論点を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。
「これ、どうしたらいい?」の一言からで大丈夫です。
代表が直接お返事し、ご希望を伺って条件に合う物件があればLINEでご紹介します。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|10:00〜18:00(定休:火・水)
