従業員101人以上になったら行動計画の届出は必要ですか?

浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
常時雇用する労働者が101人以上になると、女性活躍推進法(第8条)と次世代育成支援対策推進法(第12条)の両方で、一般事業主行動計画の策定・届出・周知・公表が義務になります。女性活躍推進法の情報公表(第20条)も義務で、2025年成立の改正により2026年4月1日から男女の賃金の差異と女性管理職比率の公表義務が101人以上に拡大されました(従来は301人以上)。100人以下は努力義務で、えるぼし・くるみんの認定取得は任意です。2つの計画の違い、常時雇用労働者の数え方、情報公表の項目と出し先を整理します。
結論(先に要点):常時雇用する労働者が101人以上になると、女性活躍推進法と次世代育成支援対策推進法の両方で、一般事業主行動計画の策定・届出・周知・公表が義務になります(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第8条、次世代育成支援対策推進法第12条)。あわせて女性活躍推進法の情報公表(同法第20条)も義務で、2025年の改正により2026年4月1日から、男女の賃金の差異と女性管理職比率の公表義務が101人以上に拡大されました(従来は301人以上)。100人以下の会社は、いずれも努力義務です。えるぼし・くるみんの認定取得は任意です。この記事では、2つの法律の行動計画の中身、101人を超えたときに具体的に何をするか、情報公表の項目と出し先を整理します。
「従業員が100人を超えそうだが、何か届け出が要るのか」「行動計画は女性活躍と子育てで別々に作るのか」——組織が100人前後に増えてきた中小企業の人事・総務担当から、よく受ける質問です。このページは、一般事業主行動計画の策定・届出・情報公表の義務がどこで発生し、女性活躍推進法と次世代法でどう違うかを整理します。個別の行動計画の目標設定や公表実行は会社が行うため、この記事はその手前の制度の考え方に絞ります。
一般事業主行動計画とは、何を定める計画ですか?
一般事業主行動計画は、企業が計画期間・目標・目標達成のための対策と実施時期を定めて、雇用環境を整えるための計画です。同じ名前の計画が、根拠の異なる2つの法律にそれぞれあります。
| 法律 | 計画の目的 | 認定 |
|---|---|---|
| 女性活躍推進法(平成27年法律第64号)第8条 | 女性が活躍できる雇用環境の整備(採用・継続就業・登用など) | えるぼし・プラチナえるぼし(任意) |
| 次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第12条 | 仕事と子育ての両立支援(育児休業・所定外労働の免除など) | くるみん・プラチナくるみん(任意) |
どちらも、まず自社の状況把握・課題分析を行い、それを踏まえて数値目標を含む行動計画を作り、社内に周知して外部に公表し、都道府県労働局長へ届け出る、という流れは共通です。目的と根拠法が違うため、2つの計画は別々に作るのが基本ですが、様式を工夫して一体的に策定・公表することもできます。就業規則や育児・介護の制度整備と一体で進めると効率的です。育児・介護休業法の2025年改正は育児・介護休業法の2025年改正で何が変わりますかに整理しています。
従業員101人以上で、何が義務になりますか?
分岐点は常時雇用する労働者101人以上です。次のように義務の範囲が変わります。
| 常時雇用労働者数 | 女性活躍推進法 | 次世代育成支援対策推進法 |
|---|---|---|
| 101人以上 | 行動計画の策定・届出・周知・公表+情報公表(義務) | 行動計画の策定・届出・周知・公表(義務) |
| 100人以下 | 努力義務 | 努力義務 |
「常時雇用する労働者」には、期間の定めなく雇用されている人のほか、過去1年以上引き続き雇用されている(見込みを含む)有期契約の人も含まれるのが一般的な扱いで、パート・アルバイトでもこの条件に当たれば数えます。したがって、正社員だけで数えて「100人以下だから対象外」と判断すると、実際には義務対象だった、という取りこぼしが起きます。行動計画を策定したら、都道府県労働局長への届出(様式第一号など)と、労働者への周知・外部公表を行います。公表は「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページなどで行います。就業規則の作成・届出義務(常時10人以上)とは基準となる人数が違う点にも注意が必要です。詳しくは就業規則は何人から作成・届出が必要ですかをご覧ください。
女性活躍推進法と次世代法の行動計画は、どう違いますか?
同じ「一般事業主行動計画」でも、盛り込む中身が違います。
- 女性活躍推進法の計画:採用者に占める女性割合、管理職に占める女性割合、男女の継続勤務年数の差、労働時間の状況などを把握・分析し、課題に応じた数値目標を立てます
- 次世代法の計画:育児休業の取得率、所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進、子育て中の従業員が働きやすい制度など、仕事と子育ての両立に関する目標を立てます
女性活躍推進法は「女性の活躍」、次世代法は「子育て支援(男女とも)」に軸足があります。次世代法は当初2025年3月末までの時限立法でしたが、2024年の改正で延長されています。育児休業の取得状況の公表義務が拡大された点は育児休業取得状況の公表義務はどこまで広がりましたかに、両立支援やハラスメント防止の周辺整備はパワハラ防止措置は中小企業にも義務ですかにまとめています。
情報公表は、どの項目をどこに出しますか?
女性活躍推進法の情報公表は、規模で求められる範囲が変わります。2025年の改正による2026年4月1日からの拡大を含めて整理します。
| 常時雇用労働者数 | 情報公表の範囲 |
|---|---|
| 101人以上300人以下 | 所定の項目から任意の1項目以上(従来)。加えて男女の賃金の差異・女性管理職比率が2026年4月1日から義務 |
| 301人以上 | 所定の2区分から各1項目以上+男女の賃金の差異(2022年7月8日から義務)。女性管理職比率も対象 |
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ポイントは、男女の賃金の差異の公表義務が、2026年4月1日から101人以上に拡大されたことです(従来は301人以上)。あわせて女性管理職比率も101人以上に公表義務が新設されました。これは2025年に成立した女性活躍推進法の改正によるもので、省令・指針も改正されています。公表先は「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページなど、求職者が容易に確認できる方法です。具体的な数値の算定・公表の実行は会社が行い、社会保険労務士は状況把握・課題分析の設計、行動計画の作成支援、届出、就業規則・諸規程への反映を支援します。介護・障害福祉など人員基準のある事業所の労務は介護・障害福祉の労務管理にも整理しています。
100人以下の会社は、何もしなくてよいのですか?
100人以下の会社は、女性活躍推進法・次世代法の行動計画も情報公表も努力義務で、罰則を伴う義務ではありません。ただし、次の点は押さえておくと安心です。
- 人数はいつ超えるかを見ておく。採用が進んで101人以上になった時点で義務が発生します。事後に慌てないよう、100人前後になったら準備を始めます
- 任意でも取り組む価値がある。行動計画の策定・届出をして一定の基準を満たすと、えるぼし・くるみんの認定を受けられます(任意)。認定は採用・広報で使えます
- 周辺の義務は人数が別。就業規則は常時10人以上、ハラスメント防止措置は全事業主が対象など、法律ごとに基準人数が違います
努力義務だからといって放置すると、101人を超えた瞬間に未整備のまま義務対象になります。定年後の再雇用や有期契約の更新で人数が動く会社は、常時雇用労働者の数え方を早めに固めておくのが安全です。高年齢者の雇用確保との関係は定年後の再雇用と70歳までの就業確保はどう進めますかをご覧ください。四葉社会保険労務士事務所では、状況把握・行動計画・届出・情報公表の設計を支援します。ご相談は無料です。 費用は報酬額表を、よくいただくご質問はよくあるご質問をご覧ください。
よくある質問
Q. 従業員が101人以上になると、必ず行動計画の届出が要りますか?
A. はい。常時雇用する労働者が101人以上になると、女性活躍推進法第8条と次世代育成支援対策推進法第12条の両方で、一般事業主行動計画の策定・届出・周知・公表が義務になります。100人以下は努力義務です。
Q. 「常時雇用する労働者」はパートも数えますか?
A. 期間の定めなく雇用されている人のほか、過去1年以上引き続き雇用されている(見込みを含む)有期契約の人も含めるのが一般的な扱いです。パート・アルバイトでもこの条件に当たれば数えるため、正社員だけで判断すると取りこぼします。
Q. 男女の賃金の差異は101人の会社も公表するのですか?
A. 2026年4月1日から、男女の賃金の差異と女性管理職比率の公表義務が常時雇用101人以上に拡大されました(従来は301人以上)。2025年に成立した女性活躍推進法の改正によるもので、公表は女性の活躍推進企業データベースや自社ホームページなどで行います。
Q. えるぼし・くるみんの認定は取らないといけませんか?
A. いいえ。えるぼし(女性活躍推進法)・くるみん(次世代法)の認定取得は任意です。行動計画の策定・届出・公表という義務とは別で、一定の基準を満たした会社が申請して受けるものです。採用や広報で活用できます。
この記事の根拠
- 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)第8条(一般事業主行動計画の策定等・常時雇用する労働者100人を超える事業主に義務、100人以下は努力義務)、第20条(女性の職業生活における活躍に関する情報の公表)
- 女性活躍推進法は2016年4月1日施行。行動計画の策定・届出・情報公表の義務対象が常時101人以上に拡大されたのは2022年4月1日(従来は301人以上)
- 男女の賃金の差異の情報公表は、301人以上に2022年7月8日から義務化。2025年に成立した女性活躍推進法の改正により、2026年4月1日から男女の賃金の差異・女性管理職比率の公表義務が101人以上に拡大(省令・指針も改正)。同改正で法律の有効期限も延長されています
- 次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第12条(一般事業主行動計画・常時雇用する労働者100人を超える事業主に策定・届出義務、100人以下は努力義務)。同法は当初2025年3月末までの時限立法で、2024年の改正で延長されています
- えるぼし・プラチナえるぼし(女性活躍推進法)、くるみん・プラチナくるみん(次世代法)の認定取得は任意です
- 「常時雇用する労働者」の数え方、情報公表項目の具体的な範囲は、厚生労働省の手引き・省令・指針により確認しています(2026年9月時点)。個別の目標数値の設定・公表の実行は会社が行います
この記事は、目標数値の具体的な設定までは決めていません。状況把握・課題分析の設計、行動計画の作成支援、届出、就業規則・諸規程への反映、情報公表の設計は社会保険労務士の業務です。具体的な数値の算定と公表の実行は会社が行い、認定申請は任意です。
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
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