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2026.09.20許認可(行政書士の実務から)

クリーニング所の開設に必要な届出と設備は?許可との違い・クリーニング師・取次所とコインランドリーの扱い

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

クリーニング店(クリーニング所)を開くときは、営業を始める前に位置・構造設備などをあらかじめ都道府県知事へ届け出ます(クリーニング業法第5条第1項)。必要なのは許可ではなく届出ですが、届け出た構造設備の確認を受けた後でなければ使用できません(第5条の2)。洗う店にはクリーニング所ごとに一人以上のクリーニング師が必要(第4条)で、受取・引渡しのみの取次所は届出は必要でもクリーニング師は不要です。利用者が自ら洗うコインランドリー(コインオペレーションクリーニング)はクリーニング業法の規制を受ける施設ではなく、自治体の衛生指導要綱による扱いになります。構造設備の考え方と、物件・労務・税務を分離受任で誰に振るかを整理しました。

結論(先に要点):クリーニング所(洗たく物を処理し、又は受取り・引渡しをするための施設)を開くときは、営業を始める前に、その位置・構造設備などをあらかじめ都道府県知事へ届け出ます(クリーニング業法第5条第1項)。必要なのは「許可」ではなく「届出」ですが、届け出た構造設備について都道府県知事の確認を受けた後でなければ、クリーニング所を使用できません(同法第5条の2)。洗たく物を洗う店には、クリーニング所ごとに一人以上のクリーニング師を置きます(同法第4条)。本記事は届出の要件と流れを一般的に整理するもので、届出の受理・確認は保健所(都道府県・保健所設置市・特別区)が行い、当事務所が確認を保証するものではありません。

クリーニング所の開設に許可と届出のどちらが必要なのか?

必要なのは届出です。クリーニング業法(昭和25年5月27日法律第207号。最終改正 平成26年6月13日法律第69号)第5条第1項は、クリーニング所を開設しようとする者は、あらかじめ、クリーニング所の位置・構造設備・従業者の数・クリーニング師の氏名など厚生労働省令で定める事項を、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)に届け出なければならない、と定めています。営業許可制ではないため「審査して可否を決める」しくみではありませんが、届出をせずに開設することはできません。

もう一つ大切なのが、使用前の確認です。届け出た構造設備について都道府県知事の検査を受け、確認を得た後でなければ、そのクリーニング所を使用してはなりません(同法第5条の2)。つまり「届け出た=すぐ使える」ではなく、「届出 → 検査・確認 → 使用開始」という順序になります。届け出た事項に変更が生じたとき、又はクリーニング所を廃止したときも届け出ます(同法第5条第3項)。

項目内容根拠
手続の性質許可ではなく届出クリーニング業法第5条第1項
提出先都道府県知事(保健所設置市・特別区は市長・区長)同項
時期営業(使用)を始める前に「あらかじめ」同項
使用開始構造設備の検査・確認を受けた後同法第5条の2
変更・廃止事項の変更・廃止があれば届出同法第5条第3項

クリーニング師は必ず置かなければならないのか?

洗たく物を処理する(洗う)クリーニング所には必要です。クリーニング業法第4条は、営業者は、クリーニング所(洗たく物の受取及び引渡しのみを行うものを除く。)ごとに、一人以上のクリーニング師を置かなければならない、と定めています。クリーニング師は、クリーニング師試験に合格して都道府県知事の免許を受けた者です(同法第2条・第6条)。免許は個人の資格で、店ごとの届出(第5条)とは別のものです。

ここで押さえておきたいのが、括弧書きの「洗たく物の受取及び引渡しのみを行うもの」、いわゆる取次所です。洗わずに受取り・引渡しだけを行う取次所は、クリーニング所として届出は必要ですが、クリーニング師を置く義務は免除されています(第4条括弧書き)。宅配クリーニングの取次拠点や、店頭で預かって別工場で洗う店舗は、この取次所に当たることが多いといえます。ただし、同じ場所で一部でも洗浄・乾燥・仕上げを行うなら「洗う店」となり、クリーニング師の設置が必要になります。自店がどちらに当たるかは、開業地の保健所に施設の内容を示して確認してください。

構造設備基準(洗い場・消毒・区画)はどこまで求められるのか?

営業者は、クリーニング所について、洗たく物の消毒その他環境衛生上必要な措置を講じなければなりません(クリーニング業法第3条)。同条は、指定された施設以外での洗たく物の処理の禁止、洗濯・脱水に必要な機械器具の設置、施設の清潔保持、洗い前後の洗たく物の区分保管、床の不浸透性材料など、衛生上の措置の枠組みを定めています。感染症の予防上必要があるものとして指定された洗たく物(伝染性の疾病の病原体による汚染のおそれのあるもの等)は、他の洗たく物と区分し、消毒したうえで洗たくすることが求められます。

具体的な基準は、クリーニング業法施行規則(昭和25年厚生省令第35号)と各都道府県の条例・施行細則に委ねられています。区画・洗い場・消毒設備・採光換気・給排水などの数値や運用は自治体で異なるため、全国一律の面積基準などをここで断定することはしません。厚生労働省の「クリーニング所における衛生管理要領」が区画や消毒の考え方を示しているので、開業地の条例・施行細則と保健所の手引きとあわせて、設計段階から織り込むのが安全です。工事をすべて終えてから届け出ると、基準に合わず手直しになりがちなので、物件を契約する前に、洗い場・給排水・区画・換気を確保できる間取りかを確認しておきます。

取次所や無人ランドリー(コインランドリー)はどこから規制対象になるのか?

「洗う/取り次ぐ/利用者が自分で洗う」で扱いが分かれます。前述のとおり、取次所(受取・引渡しのみ)はクリーニング所として届出が必要で、クリーニング師は不要です(クリーニング業法第4条・第5条)。これに対し、利用者が自ら洗濯機・乾燥機を操作して洗う、いわゆるコインランドリー(コインオペレーションクリーニング)は、営業者が他人の洗たく物を処理するわけではないため、クリーニング業法の規制を受ける施設ではありません。したがってクリーニング業法上の開設届やクリーニング師の設置は求められません。

もっとも、無届でよいという意味ではありません。コインオペレーションクリーニングの営業には、厚生労働省の「コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生措置等指導要綱」(昭和58年3月29日環指第39号)を踏まえ、多くの自治体が独自の衛生指導要綱を定めており、開業前に保健所へ届け出て衛生上の指導を受ける運用になっています。自治体により様式・提出時期が異なるため、開業地の保健所で確認してください。物件側の要件(用途地域・排水・電気容量など)は別記事のコインランドリーに使える物件の条件にまとめています。

ご自身のケースについて相談したい方へ

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業態クリーニング業法の届出クリーニング師主な根拠
洗う店(自家洗い)必要(第5条第1項)+使用前確認(第5条の2)必要(第4条・一人以上)クリーニング業法
取次所(受取・引渡しのみ)必要(第5条・洗たく物の受取及び引渡しのみを行うもの)不要(第4条括弧書き)クリーニング業法
コインランドリー(利用者が自ら洗う)クリーニング業法の規制を受ける施設ではありません自治体の衛生指導要綱(環指第39号を踏まえたもの)

物件・労務・税務はそれぞれ誰に相談すればよいのか?

クリーニング店の開業は複数の分野が交わるため、担当は次のように分かれます。

  • クリーニング所開設届の作成、保健所との事前相談の支援 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明 → 四葉不動産株式会社
  • 従業員の労働条件・社会保険・就業規則 → 四葉社会保険労務士事務所(社会保険労務士)
  • 開業後の会計・税務 → 税理士
  • 賃貸借や取引をめぐる紛争・権利義務にわたる個別の法的判断 → 弁護士

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体です。当事務所はクリーニング所開設届の申請支援のみを独立した事業体として担い、物件・労務・税務は、それぞれの資格者・事業体と別々にご契約・ご相談いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。許認可の全体像は許認可の手続き、受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表をご覧ください。保健所への届出と構造設備という点では飲食店営業許可と保健所の設備基準美容所開設届と構造設備基準も考え方が近いので、あわせてご確認ください。届出の受理・検査・確認そのものは保健所が判断します。

よくある質問

Q. クリーニング店を開くのに許可はいりますか?
A. 許可ではなく届出です。開設しようとする者は、あらかじめ位置・構造設備などを都道府県知事に届け出ます(クリーニング業法第5条第1項)。ただし、届け出た構造設備について確認を受けた後でなければ使用できません(同法第5条の2)。「届出=すぐ営業」ではなく、届出のあとに検査・確認の段階があります。

Q. 受け取りと引き渡しだけの取次所でもクリーニング師は必要ですか?
A. 洗たく物の受取及び引渡しのみを行う取次所は、クリーニング師を置く義務が免除されています(クリーニング業法第4条括弧書き)。ただし取次所も「クリーニング所」なので、開設の届出そのものは必要です(同法第5条)。同じ場所で一部でも洗浄・仕上げをするなら「洗う店」となり、クリーニング師が必要です。

Q. コインランドリーもクリーニング業法の届出がいりますか?
A. 利用者が自ら洗うコインランドリー(コインオペレーションクリーニング)は、クリーニング業法の規制を受ける施設ではありません。したがってクリーニング業法上の開設届やクリーニング師の設置は求められません。ただし多くの自治体が衛生指導要綱を定め、開業前に保健所へ届け出て指導を受ける運用のため、開業地の保健所で確認してください。

Q. 内装工事はどの段階まで進めてよいですか?
A. 洗い場・給排水・区画・消毒設備・換気は、構造設備の基準に沿って設計段階から織り込むのが安全です。工事をすべて終えてから届け出ると、基準に合わず手直しになることがあります。届出のあとに構造設備の検査・確認があり、確認を受けてから使用できます(クリーニング業法第5条の2)。物件契約の前に、間取りが基準を満たせるかを保健所に相談しておくと、やり直しを避けられます。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「クリーニング業法」(昭和25年5月27日法律第207号。最終改正 平成26年6月13日法律第69号)第2条(定義)、第3条(環境衛生上の措置)、第4条(クリーニング師の設置)、第5条(開設等の届出)、第5条の2(使用前の検査・確認)、第6条(クリーニング師の免許)(参照日 2026-09-20)
  • e-Gov法令検索「クリーニング業法施行規則」(昭和25年厚生省令第35号)(参照日 2026-09-20)
  • 厚生労働省「クリーニング所における衛生管理要領」(参照日 2026-09-20)
  • 厚生労働省「コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生措置等指導要綱について」(昭和58年3月29日環指第39号)(参照日 2026-09-20)
  • 開業予定地の保健所が公表するクリーニング所開設届の手引き、及び各都道府県の条例・施行細則(構造設備・衛生措置の基準・様式・必要書類、コインオペレーションクリーニングの衛生指導要綱。参照日 2026-09-20)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の届出の受理、構造設備・衛生措置の基準への適合、検査の結果を保証するものではありません。クリーニング所開設届の受理・検査・確認は保健所(都道府県・保健所設置市・特別区)が行います。構造設備の具体的な基準はクリーニング業法施行規則と各都道府県の条例・施行細則に委任されており、施設ごとの基準・様式・必要書類は当該自治体の公式ページで確認してください。事業用物件の選定・賃貸借・重要事項説明は四葉不動産株式会社、従業員の労働条件・社会保険・就業規則は四葉社会保険労務士事務所、会計・税務は税理士、権利義務・紛争にわたる個別の法的判断は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・ご相談のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

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